折り返し点 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日2月22日は、2020年、イギリス・マンチェスター公演@O2 Apolloが行われた日DEATH。



10 BABYMETAL BUDOKANは2月19-20日のⅤ・Ⅵで後半戦に突入した。
これまでのセットリストを振り返り、BABYMETALがぼくらに伝えようとしていること、そして3月15-16日のⅦ・Ⅷ、4月14-15日のⅨ・Ⅹのセトリがどうなるかを考察してみよう。

●オープニング~「ド・キ・ド・キ☆モーニング」まで

 


Ⅰ~Ⅳまでのオープニングは共通で、KOBAMETALの「前説」のあと、8人のキツネ男が松明を持って登場し、パイロに点火する「In The Name Of」で始まる。サイレンのようなSEの中、八角形のスクリーン・ステージが真っ赤に染まる2曲目の「Distortion」は、「緊急事態宣言」下にあることを否が応でも知らしめた。
このオープニングは、あの2018年Darksideのオープニングと同じで、その中を「♪ウォーゥウォーゥウォーゥウォー…」と響き渡るコーラスは、BABYMETALが、破壊されつくしたこの世界を救うために降臨するのだという期待感を呼んだ。
そのあと、3曲目の「PAPAYA!!」は、Darksideを乗り越えた2019年のBABYMETALを象徴する曲であり、もちろん、観客がタオルを振り回して「パッパッパッパ…PAPAYA!」と一気にヒートアップできる熱狂チューンである。
そこから、4曲目「ギミチョコ!!」、5曲目「ド・キ・ド・キ☆モーニング」へとつなげることで、BABYMETALはタイムマシンに乗る。「ギミチョコ!!」は2013年12月初披露の代表曲であり、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」は2010年11月、さくら学院重音部としてのデビュー曲である。
こうして、10 BABYMETAL BUDOKANにふさわしい、歴史的な楽曲振り返りの中盤へつなげていったのである。
一方、Ⅴ・Ⅵでは、長い間封印れていた「BABYMETAL DEATH」のインストバージョンをオープニングにすることで、YUIMETAL脱退以前の歴史を一気に蘇らせた。2曲目はⅠ~Ⅳではフィニッシュ曲だった「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で、そこからすぐに3曲目「ギミチョコ!!」、4曲目「ド・キ・ド・キ☆モーニング」へとつなげることで、1stアルバム『BABYMETAL』の世界へと観客をいざなった。
その意図は、中盤によりはっきり表れることになる。

 

●中盤~「メギツネ」「KARATE」の位置

 

「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のあとの6曲目、Ⅰ・Ⅱでは2020年のヨーロッパツアーでヨーロッパ人を歓喜の渦に巻き込んだポルカ・メタル「Oh!MAJINAI」、Ⅲ・Ⅳでは「シンコペーション」、そのあと7曲目「メギツネ」、8曲目「KARATE」を挟んで、9曲目はⅠ・Ⅱでは「Starlight」、Ⅲ・Ⅳでは「From Dusk Till Dawn」が演じられた。
「Oh!MAJINAI」と「Starlight」は3rdアルバム『METAL GALAXY』、「シンコペーション」「From Dusk Till Dawn」は2ndアルバム『METAL RESISTANCE』の収録曲である。
つまり、Ⅰ・Ⅱは最近のBABYMETAL、Ⅲ・Ⅳは2016年~2017年のBABYMETALを振り返るセトリだったのだ。
こう考えれば、Ⅴ・Ⅵで、6曲目「おねだり大作戦」、7曲目「紅月-アカツキ-」が演じられたのもよくわかる。7曲目まで、すべて1stアルバム『BABYMETAL』収録の楽曲である。
このセトリは、YUIMETAL脱退後、封印されていた楽曲をあえて演じることで、2010年のデビューから2015年までの「あの頃」を今に蘇らせるセトリだったのだ。
終演後、オープニング曲を「インスト新曲?」とするツイートもあったように、最近ファンになってくれた方は、ベビメタ体操で始まり、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」でフィニッシュするBABYMETALを知らない。その方たちにも、BABYMETALの歴史を共有してもらうという意味で、あのセトリは非常に大きな意味があったと思う。
そのため、8曲目「Distortion」、9曲目「PAPAYA!!」は3rdアルバム収録曲で、そのすべての歴史を導いてきた10曲目「メギツネ」、「♪心折られても立ち向かってゆこうぜ」と歌う11曲目「KARATE」で、道なき道を突き進むBABYMETALの隊列に加わってもらうことを訴えた。Ⅴ・Ⅵのセトリは、物語性をもった神セトリである。
こういう見方もできる。
日本武道館連続10公演=10 BABYMETAL BUDOKANは、「METAL RESISTANCE」最終章、「BABYMETAL最大の試練」と位置づけられている。
世界がDYSTOPIAに飲み込まれようとしている今、BABYMETALは、封印されていた「あの頃」の楽曲をも解き放ち、総力戦で臨もうとしたのだ。
その意気込みが、フィニッシュへとつながる。

●終盤~アンコール~フィニッシュまで

 


Ⅰ~Ⅳまでのセトリでは、中盤の最後に「BABYMETALの変化の兆し」を表現する10曲目「ヘドバンギャー!!」を配し、声を出せないまでも、日本武道館が狭く見えるほど総立ちの観客が「♪ウォーウォーウォウォー…」とシンガロングする「Road of Resistance」でいったんフィニッシュし、そのあとSEによる「ベイビーメート―××××」のアンコールの後、12曲目オリジナルバージョンの「THE ONE」から、13曲目「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で終わるという構成だった。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」はNHK紅白歌合戦披露曲であり、メジャーデビューシングルでもある。10 BABYMETAL BUDOKANのフィニッシュにふさわしい、いわばBABYMETALの「原点」であった。
しかし、この曲をオープニング2曲目に持ってきたⅤ・Ⅵでは、11曲目の「ヘドバンギャー!!」でいったんフィニッシュし、アンコールの後、12曲目「THE ONE」、13曲目「Road of Resistance」でフィニッシュした。
共通するのは、「THE ONE」である。
BABYMETALのファンは、モッシュッシュメイト、略称メイトと呼ばれるが、公式なファン会員サイトはTHE ONEであり、SU-は欧米でのインタビューで、自分たちのファンのことを「We call them THE ONE」と紹介していた。
この曲は、2015年Final Chapter of Trilogy@横アリ初日の初披露以来、「We are THE ONE」「You are THE ONE」と繰り返し、ライブ会場が一体化する、壮大なプログレメタルの格調を持った曲である。
2016年4月2日のWembley Arenaでは会場に集まった欧米各国のファンがそれぞれの国旗を振り、同時中継で日本のZepp Tokyoのライブ・ビューイングの観客とつながった。
「パンデミック」により、人の移動や渡航はもちろん、人がフィジカルに集まるライブ自体も厳しく制限されている今、「メタルで世界をもういちどひとつにしよう」と呼びかけるこの曲は、BABYMETALのテーマそのものである。
この曲を必ずフィニッシュ前に演奏することで、10 BABYMETAL BUDOKANは、BABYMETALの10年間の集大成を表現するライブであることが鮮明になっているといえる。
さて、後半戦となるⅦ・Ⅷ、Ⅸ・Ⅹのセトリはどうなるのか。
これまでのセトリで共通するのは、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「ヘドバンギャー!!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」「メギツネ」「ギミチョコ!!」「Road of Resistance」「KARATE」「THE ONE」「Distortion」「PAPAYA!!」の10曲であり、これはそのままベストアルバム『10 BABYMETAL YEARS』の収録曲である。
共通しない曲のうち「In The Name Of」「BABYMETAL DEATH」は、Ⅶ~Ⅹでもどちらかがオープニングになる可能性があるが、「Oh!MAJINAI」「Starlight」「シンコペーション」「From Dusk Till Dawn」「おねだり大作戦」「紅月-アカツキ-」が再びセトリになる可能性より、まだ披露されていない楽曲が採用される可能性の方が高いように思う。
1stアルバムでは「いいね!」「Catch Me If You Can」「4の歌」「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」「悪夢の輪舞曲」、2ndアルバムでは「あわだまフィーバー」「YAVA!」「GJ!」「META!メタ太郎」「No Rain No Rainbow」「Tales of The Destinies」「Amore-蒼星-」「Sis.Anger」、3rdアルバムからは「FUTURE METAL」「DADADANCE」「Elevator Girl」「Shanti Shanti Shanti」「Brand New Day」「↑↓←→BBAB」「Night Night Burn」「BxMxC」「Kagerou」「Shine」「Arkadia」が残っている。
個人的な願望で言えば、Ⅸ・Ⅹでは「Shine」「Arkadia」で締めてもらいたいし、「FDTD」が披露されたのだから、東京ドーム以来の「Tales of The Destinies」も見たい。もちろん未披露の「↑↓←→BBAB」も見たい。
いずれにせよ、あと4回。
10 BABYMETAL BUDOKANが無事完遂できた暁には、BABYMETALは新たな段階へと進化する。
そして、東京のど真ん中、日本武道館から発したエネルギーの波が、武漢ウイルス禍のDYSTOPIA=Darksideを吹き飛ばし、アーティストが普通にライブをやり、人々が普通に往来できるように、世界に光が蘇り、人々に笑顔が戻るように、最後までBABYMETALと共に戦っていきたい。