10 BABYMETAL BUDOKAN Ⅲ(つづき)&Ⅳレポート | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日2月18日は、2016年、NHK放送センターにて「BABYMETAL革命 世界と戦う少女たち」の収録が行われた日DEATH。

Ⅲのレポートも完結しないままに、Ⅳを観て今帰宅した。
あとでちゃんと整理するが、とりあえずⅣのセトリと感想から。

<2021年2月17日10 BABYMETAL BUDOKAN Ⅳセットリスト>

01. In The Name Of
02. Distortion
03. PA PA YA!
04. ギミチョコ
05. ド・キ・ド・キ☆モーニング
06. シンコペーション
07. メギツネ
08. KARATE
09. From Dusk Till Dawn
10. ヘドバンギャー
11. Road of Resistance
12. THE ONE
13. イジメ、ダメ、ゼッタイ
神バンド:(下手G)ISAO(B)BOH(D)青山秀樹(上手G)大村孝佳
アベンジャー:岡崎百々子

同じセトリだが、やはり2日目は、初日より余裕があり、緊張感がほぐれている分だけパフォーマンスの精度も上がっていた。観客の方も、Ⅰから通算4回目となるので、絶叫やモッシュッシュをせずとも、手拍子、振りマネ、ヘドバンなど「あらゆる表現方法」でのノリ方もすっかり板についた。
3曲目「PAPAYA!!」でのタオル振り5曲目「ド・キ・ド・キ☆モーニング」での振りマネ、7曲目「メギツネ」でのビッグ・ウェーブ~「ソレ!ソレ!」ジャンプ、「ヘドバンギャー!!」でのヘドバン大会は、5,000人全員が一斉に立ち上がり、天空席から1階席まで、一心に同じ動作をし、日本武道館が一体化していた。
学生の頃観た外タレのライブでは巨大だと思っていた日本武道館が、これほど小さな「テント」のように思えたのは初めてだった。10 BABYMETAL BUDOKAANは、大声を出さなくてもBABYMETALらしい熱狂ライブができることを証明した。
テレビの中の「専門家」は、「感染者の減り方が鈍化した」「いまだ医療提供体制が不十分」なため、「緊急事態宣言」は継続する方針だというが、誰もそんな発言をまともに信じていない。困ったもんだと思いつつ、みんなが怖いというから、怖くないと言えないだけだ。本当のことが言えない、破壊された世界。そんなDYSTOPIAの東京で、BABYMETALは光り輝いていた。

Ⅲのつづきを書きつつ、本日のⅣでどうしてもみんなに伝えたい発見があったので、それを織り交ぜて書いてみる。
本日のぼくの席は、昨日の反対の東側2階席だった。八角形の中央ステージの床面自体がスクリーンになっており、その上で歌い踊る三人が、まるで映像の中に溶け込んだような印象を受けたのは、ⅢもⅣも変わらない。
ただ、ふと気づくと、八角形ステージの東西と南北に、十字に細い線が引かれているのが目についた。
そして、SU-のブーツは、東を向く場合でも、南を向く場合でも、常にその線の上あるいは、その線をまたいで位置しているのだ。
MOAと百々子のブーツは、SU-のいる線と直交する線上に左右対称で位置している。
SU-が直線上を前に動くと、MOAと百々子は、まるでステージが「秤」であるかのようにSU-の動いた分だけ、バランスをとって直交する線から離れて後ろ側に動く。
例えば、8曲目「KARATE」の最初のポーズは、西側を正面にしているのだが、SU-が東西線の中心点からやや東側(後ろ)に位置し、MOAと百々子はそれと直交する南北線上に正確に位置し、しかも三人とも南側(後ろから見て左側)に45度傾いた形で両手を斜めに上げている。その三人の両手の角度は、東側(背中側)から見ると完全な平行線になっていた。
驚くべき正確さ。
今回のステージは、日本武道館のセンターに八角形ステージを組み、それが上下するというだけのシンプルな構造だが、360度から見られることを考慮して、床面に東西南北に十字の線を引き、それを基準にダンスが組み立てられていたのだ。
だから、どの角度から見ても三人が正確で美しいバランスで見える。
それが、ステージ側面、ステージ上方八角スクリーン、中央ステージ床面という物理的な立体スクリーンの映像とマッチして、声を出せない観客に視覚的なプレゼンテーションを提供していた。
これは薄型LEDデジタルスクリーンという最新技術を使った、舞台技術における一つの発明ではないか。
それを単なる「発明」に留めず、演出に用いて、観客に驚きと感動を与えるところまで昇華しているのが、BABYMETALらしさなのだ。
本日のⅣでも、セトリ8曲目の「KARATE」は、バイオレットの照明で始まり、モノクロームの霧のようなモヤモヤから、三人が倒れるシークエンスでは、生身の三人が倒れると同時に、床面には2018年Darksideで、倒れ込むMOAとサポートダンサーの映像が重なる。だが、SU-はきちんと東西線上に位置しており、立ち上がって東側から見て左側の第一象限で倒れているMOAを助け起こし、同じく南北線上右側の第二象限で倒れている百々子を助け起こし、90度正面を変えて、SU-が南北線上に位置し、MOAと百々子が東西線上に位置して南側へ向けて拳を振り上げつつ前進するというシークエンスに変わる。その位置取りは驚くほど正確である。
つまり、あの感動的なシーンは、すべて計算され、数センチの狂いもないレベルまで鍛錬を重ねて実現しているのだ。
今日もまた、9曲目「From Dusk Till Dawn」を観られた。
今日は最寄り駅へ行く途中、US盤『METAL RESISTANCE』を聴き直してみたが、やっぱり正確な歌詞はわからない。だが、最初の超高音はやはりSU-のファルセットで間違いない。そして音源と違って、ライブでは「♪All is over never…???」のところは、MOAが歌っていた。
床面スクリーンは、夜の地球~超新星爆発~星々が煌めく銀河へと変わってゆき、三人がその上を、「♪In the Air」というサビのメロディどおり、空中浮遊しながら、最後には金色に輝く太陽の光が雲を薙ぎ払う映像へたどり着く。もちろん、ゆったりと踊る三人は、床面の十字線上を正確に動いている。その正確さがあるからこそ、壮大な楽曲の演出意図がストレートに観客の心を動かすのだ。
Kawaiiとかカッコいいとか、集団舞踏の迫力とかではない。もはやこれはアートである。すべてのアイドルファン、ダンスファンに是非見てもらいたい。どんな状況にあっても、BABYMETALはライブ・アーティストなのである。
ここからは、昨日のⅢと共通で、10曲目は「ヘドバンギャー」。
上部スクリーンに、土下座ヘドバンをする観客席の過去映像が映り、それはSU-のブーツのアップに変わる。
まるで、SU-の女王様ぶりにひれ伏す観客というふうに見えなくもない。
だが、曲が始まると床面スクリーンにはルーン文字風の時計の文字盤が映り、それがカチッカチッと動いていく。
これまでのBABYMETALのライブでは、ステージが物理的にぐるぐる動いていたが、今回のステージは固定で、床面に映る映像だけが動いているわけだ。
ここでも、三人が見事なまでに正確に十字線上を動いているのが見て取れた。観客は「こいやー!」「からの!からーの!」と叫びたくてたまらないが、大声を上げるわけにはいかないので「いーちごの!よーるを!」でジャンプするしかない。だが、文字通り武道館が一体化したあの熱狂の光景は、やっぱり最新が最強というキャッチコピーにふさわしい楽しさに満ちていた。
三人が人形ぶりで崩れ落ちて曲が終わると、暗転した場内に戦国SEが流れ、やがて三人が東、西、南の花道スッポンにBABYMETAL旗を担いで登場した。
11曲目「Road of Resistance」である。
南側に位置したSU-が、北側に向かって客席を分ける仕草をする。アップになるMOAの顔はシリアスになろうとしているが、どうしても微笑みがこぼれてしまう。百々子は最初からニッコニコである。
もちろんモッシュはできないので、もどかしいが、MOAのよく透る声で「ワンツースリーフォー!」の掛け声から曲がスタートすると、観客は「DEATH!」「DEATH!」と合いの手を入れ、BABYMETALと一体になろうとした。そして、「♪ウォーウォーウォウォー…」のシンガロングパートでは、ほとんどの観客ががまんできずに歌った。KOBAMETALのいうように、シンガロング=歌うことこそ、BABYMETALに寄り添うぼくらの心の叫びである。DYSTOPIAに奪われてたまるか。
バンドが止まり、5,000人のシンガロングが日本武道館に響く。MOAと百々子が外縁部に出て、客席に笑顔を送っている。アップになるSU-の顔もニコニコである。短かったが、それで十分だ。BABYMETALが「We are always on your side」というなら、ぼくらも常にBABYMETALとともにあるのだ。
間奏部、SU-は「ライブできてるって本当に幸せなことなんだなって思います。みんな、今日は来てくれて、本当にありがとう!」と丁寧な日本語で言った。
それは2曲目の「Distortion」で叫んだ「Welcome to 10 BABYMETAL BUDOKAN!」と内容的には同じなのだが、やはり日本語で言ってくれると天にも昇る気分である。
「燃える熱いハート、ぼくらのーレジスターンス!」で曲が終わり、「あー!」で特効が爆発し、終了なのだが、今回はⅠからずっとここでSEの「ベイビーメートー××××」が流れ、照明は青いままで、追い出しの客電には変わらない。
5分近いアンコールの後、壮大なウェンブリーイントロが盛り上がり、上部スクリーンの中から三人が現れ、12曲目「THE ONE」Original Ver.が始まった。
オープニングでKOBAMETALが「諸君はあらゆる方法でBABYMETALにエールを送ることで、THE ONEになるのだ」と言ったのは、この伏線なのだ。
ステージ床面には満天の星が映り、それが、ステージ側面のスクリーンにこぼれ落ちていく。
客席はMOAと百々子の振りマネをしながら、キツネサインの両手を高く掲げて楽曲に寄り添った。万国旗こそないが、思い思いにロゴタオルを振り、両手でBABYMETALにエールを送り、THE ONEを証しした。幸せなひと時だった。
フィニッシュは、NHK紅白歌合戦で披露した「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。
「紙芝居」は言う。
「夢の中でキツネ様が教えてくれた。私たちにはかけがえのない仲間(METAL HEADS)がいるって」
「♪ルルルー、ルルルー…」とSU-のハミングが始まると、東に百々子、西にMOAが位置していることがわかる。ギターのイントロが始まると、MOAと百々子がクラウチングスタートの体勢になり、ステージ外縁部を交差しつつ走った。
ここまでくれば、もう合いの手をとがめる者は誰もいない。
客席は「もって!」「負けないで!」「見つけちゃいやー!」「イエスタデー!」「バイバイ!」と叫び、ダメジャンプ、飛べジャンプを繰り返した。
思えば、2017年広島GAでYUIが休場し、MOAが一人でステージ上を疾走してから、この曲が2020年1月の幕張で復活するまで2年以上かかっていたが、ここへ来て、再びフィニッシュ曲となった。
この曲は、2011年に初披露され、メジャーデビュー曲となり、以来、ぼくや海外ファンがBABYMETALに出会った頃のフィニッシュソングだった。
要するに、結成10周年目に初出場した紅白歌合戦、そして10 BABYMETAL BUDOKANⅠ~Ⅳで、BABYMETALは「原点」を見せたのだ。
6万人のメタルヘッズをノックアウトした伝説のSonisphere 2014。その原点があるからこそ、BABYMETALは世界のひのき舞台で堂々と活躍できた。
その原点があるからこそ、ゆるぎなく次のステージへと踏み出せる。
2月19-20日で10 BABYMETAL BUDOKANは後半戦へと進む。そのフィニッシュが「イジメ、ダメ、ゼッタイ」なのかどうかはわからないが、おそらくⅢ・Ⅳで一部のセトリを変更したように、少しずつ「変化」も見せていくのだろう。ますます目が離せない。