BABYMETALの哲学(16) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日11月10日は、2012年、初海外公演となるAnime Festival Asia Singapore 2012に出演した日DEATH。

2019年のBABYMETAL は、6月~7月の日英弾丸ツアー、8月の超犀利趴10とサマソニ2019、After Shockフェスを含めてのべ約9万人を動員した9月~10月の全米横断ツアーのあとも、年末まで休みなく活動を続けた。
11月にはMETAL GALAXY WOLRD TOUR IN JAPANとして、11月16-17日さいたまスーパーアリーナ、11月20-21日大阪城ホールの4公演で、のべ約8万2000人を動員した。


12月16-17日には、THE ONE会員のためにZepp Diversity での小箱ライブを行い、12月27日には、テレビ朝日の『MステウルトラSUPERLIVE』@幕張メッセイベントホールに出演、翌12月28日にはCountdown Japan19/20@幕張メッセ1-11ホールにも出演した。


こうした流れは、2014年の欧米デビューをもう一度なぞって上書きする「再デビュー」の意味合いを含んでいたとぼくは思う。
検証してみよう。
2014年3月1日-2日に行われた日本武道館2DAYS公演、赤い夜「巨大コルセット祭り」&黒い夜「DOOMD DAY召喚の儀」にあたるのが、2019年6月28日-29日のTHE SUN ALSO RISES@横アリである。
2014年には、そのあと6月23日-24日に会員限定のApocrypha-Ⅰ&Ⅱが行われ、7月1日にBABYMETAL WORLD TOUR 2014パリ公演、7月3日にケルン公演、7月5日にソニスフィア2014に出演し、7月7日にロンドン公演@THE FORUMが行われたが、2019年には、6月30日にグラストンベリーフェスに出演し、7月2日にロンドン公演@O2アカデミーブリクストンが行われた。
ソニスフィア→ロンドン公演と、グラストンベリー→ロンドン公演の流れは同じである。
2014年、帰国したBABYMETALは、7月21日に会員限定のApocrypha-Y/Apocrypha-Mを行う。
一方、2019年のBABYMETALは、7月6日-7日にBEYOND OF THE MOON@PMなごやを行った。
もともと、2014年のパリ&ケルン公演は、前年に行われたPerfumeのヨーロッパツアーをなぞりながらも、YUIMETAL & MOAMETAL聖誕祭 in Europaとして企画されたものだった。YUIバンギャー、MOAバンギャーはその名場面だった。
横アリ&PMなごやも、2018年夏ごろまでは復帰の意志があったYUIMETALとMOAMETALが対になる聖誕祭の意味合いで設定されたのであり、イギリスからの帰国後に、ステージ上のYUIMETALを内在化/統合したMOAMETAL聖誕祭=BEYOND OF THE MOON@PMなごやを行ったのは、2014年イギリスから帰国後の7月21日に二部制で行われたApocrypha-Y/Apocrypha-Mと同じ意味なのだ。
2014年には、そのあと7月27日にアメリカ初の単独公演ロサンゼルス公演@Fonda Theaterを行ったあと、7月30日から8月6日まで、レディ・ガガのArt Raveツアーに帯同して西海岸を巡る。
順番は、カリフォルニア州ロサンゼルス→アリゾナ州フェニックス→ネバダ州ラスベガス→ネバダ州ステイトライン→ユタ州ソルトレイクシティ→コロラド州デンバーというスケジュールだった。
2019年には、BEYOND OF THE MOONのあと、8月の超犀利趴10、サマソニ2019が先になり、全米横断ツアーは9月4日~10月13日になった。
だが、この中で9月27日から10月11日のロサンゼルス公演までの流れは、コロラド州デンバー→ユタ州ソルトレイクシティ→ネバダ州ラスベガス→アリゾナ州テンピ→カリフォルニア州サンフランシスコ→カリフォルニア州ロサンゼルスとなっており、2014年のレディ・ガガツアーと同じ地域を、逆からたどる形になっている。
前回紹介したが、このツアーは現在のBABYMETALにとっても過酷な「修行」だったのであり、幼い日に驚嘆したレディ・ガガ・チームの体力やプロ意識に追いついているかどうか、自己検証する旅でもあった。
2014年には、初欧米ツアーの後に、8月16日-17日サマソニ2014幕張&大阪に出演し、9月13日-14日に凱旋公演となるBABYMETAL WORLD TOUR 2014@幕張を行った。
一方、2019年には、サマソニ2019大阪&幕張を済ませてからの全米横断ツアーだったが、11月16-17日にMETAL GALAXY WORLD TOUR @SSA、11月20-21日に同@大阪城ホールを行った。
サマソニの前後という違いはあるが、アメリカからの帰国後に凱旋公演を行うという構造は同じである。
2014年には、11月4日・8日にBack to the US/UK Tourが行われ、ニューヨークとロンドンでの追加公演が行われたが、2019年にはさすがにこれにあたる追加ライブは行われなかった。
だが、2014年12月20日に行われたApocrypha-S@豊洲PITにあたるものとして、2019年12月16日-17日にTHE ONE限定ライブApocrypha-Another Galaxy-@Zepp Diversityが行われた。
さらに、2014年12月26日にテレビ朝日『MステSUPER LIVE』に出演したように、2019年にも12月27日にテレビ朝日『MステウルトラSUPER LIVE』に出演した。


2014年には出演していないが、2015年にはThe Final Chapter of Trilogy後に出演したCountdown Japan@幕張メッセにも、新生BABYMETALは2019年12月28日に出演した。


このように、2019年のBABYMETALは、2014年を彷彿させるライブ活動を行っているのである。
やはりBABYMETALにとって2019年は、もう一度「あの頃」の活動を上書きする=「欧米再デビュー」という意味合いが強かったのだと思う。
さて、欧米デビューした2014年にライブを行った国は、日本、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカの5か国だったが、2015年には日本、メキシコ、カナダ、アメリカ、ドイツ、オーストリア、フランス、スイス、イタリア、イギリスと10か国に倍増した。
2019年に新生BABYMETALがライブを行った国は、日本、イギリス、台湾、アメリカの4か国だった。本来は11月に中国・香港Clockenflapを含め、5か国のはずだったが、反送中デモの激化により中止となってしまった。
だが、2019年11月ごろには、2020年のライブスケジュールが公表されていた。
それは、日本、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ドイツ、フランス、オーストリア、ベルギー、オランダ、イギリス、フィンランド、ロシア、タイ、マレーシア、インドネシア、台湾、フィリピン、ポーランド、スイス、スペインの20か国におよぶ壮大なツアーだった。
2015年には、海外ツアーの合間にSSA、幕張メッセ、横アリを結ぶTRILOGYが行われ、後半には東京・大阪・名古屋・福岡・札幌のZEPPを巡る初の「ジャパンツアー」も行われた。したがって、もし武漢ウイルス禍がなければ、2020年も10月10日のMETAL RESISTANCE Episode Xの前後、再び全国を巡るドームツアーが行われた可能性もあった。
2014年、1stアルバム『BABYMETAL』を引っ提げて「欧米デビュー」したBABYMETALにとって、2015年は「世界征服」に向けた戦果を拡大する年だった。
同じように、3rdアルバム『METAL GALAXY』によって「欧米再デビュー」を果たした2019年のBABYMETALにとって、2020年は新たなBABYMETAL像を北欧・東欧・南欧・アジアに広げる年だった。
2020年1月25-26日のLEGEND METAL GALAXY@幕張メッセは、2015年1月の新春キツネ祭りと同じように、前年の戦果をファンと共有し、「世界征服」に向けた進撃の狼煙を上げるセレモニーだった。
だからこそ、東西の神バンドが一同に会し、アベンジャーズも勢ぞろいしたのだし、両日ですべてのレパートリーを披露する被りなしセトリが準備されたのだ。
『別冊カドカワNo.830』では、Day-2終盤の「Starlight」「Shine」「Arkadia」についてSU-とMOAの感想を引き出している。
「何かあの部分は、1年の総まとめのような感じがしますね。YUIMETALが正式に脱退することがわかって、「Starlight」という曲を発表して、そこから半年経って「Arkadia」を披露して…新たにこの道を歩むことを決めて進んできたんですね。(中略)これが、ある意味BABYMETALのひとつの集大成なのかもしれないし。わからないんですけど、でも、これがたぶん私たちの決意であって、1本の超大作みたいなものをイメージしてましたね。」(SU-METAL、同書P.167)
「本当にこの部分の重みが凄いというか…いろんな気持ちが詰まってましたね。ここだけで一つの物語が欠けるんじゃないかっていうくらい、私たちもいろんな想いを込めている曲たちなので。この3曲でSU-METALとMOAMETALの決意を、これからのBABYMETALはこうしていくんだっていう熱を伝えたかったですね。自分のなかでもグッとくる感覚がありました。」(MOAMETAL、同書P.167-168)
もちろん、『METAL GALXY』の終わりの3曲、「Starlight」「Shine」「Arkadia」は、2018年のDarksideから、横アリのBABYMETAL AWAKENS、PMなごやのBABYMETAL ARISESにいたるひとつの物語を成しており、これが生身の新生BABYMETALそのものを表現した感動シーンであることは間違いない。
だが、敢えて言うなら、Legend METAL GALAXY@幕張メッセ2日間は、BABYMETALがDarksideとLightsideを統合し、シティポップからデスメタルまで、幅広い楽曲のバリエーションを生披露できることを示す、いわば見本市だったことに評価の基準を置くべきではないか。
初日はLightsideとして、『METL GALAXY』Japan Complete Ver.のDisk 1から、「FUTURE METAL」「DADADANCE」で始まり、「Oh! MAJINAI」、「Brand New Day」、「Night Night Burn」が初披露された。バックバンドはLeda(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、大村孝佳(G)による「東の神バンド」で、フィニッシュの「Road of Resistance」だけ、西の神バンドが共演した。


この曲のひとつ前の「THE ONE」は、Darksideの間演奏されていた「Unfinished Ver.」ではなく、2015年12月の横アリで初披露され、MVにもなった輝かしいオリジナルバージョンだった。
二日目はDarksideとしてDisk 2の「In The Name Of」で始まり、「BxMxC」が初披露された。バックバンドはChris Kelly(G)、Clinton Tustin(B)、Anthony Barone(D)、C.J. Masciantonio(G)で、フィニッシュ曲の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」だけ、東の神バンドが演奏した。
そう、「Starlight」「Shine」「Arkadia」のあと、かなり長いアンコールを経て、フィニッシュ曲はSU-以外のMOA、鞘師里保、藤平華乃、岡崎百々子の4人が、ステージの上下からダッシュし、偽闘で入り乱れる「イジメ、ダメ、ゼッタイ」だった。


なぜ、新生BABYMETALの再進撃の狼煙が「イジメ、ダメ、ゼッタイ」だったのか。
BABYMETALのメジャーデビュー曲であり、2014年のソニスフィアで本場イギリスのメタルファンをノックアウトした代表曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、2017年12月2-3日のLegend-S-洗礼の儀以降、封印されていた。
あの時、MOAは広島グリーンアリーナのステージを、たった一人で駆け抜けたのだった。それが今や、東西の神バンドがそろい踏みし、3人の頼もしいアベンジャーズとともに、あの「イエスタデー!」やXジャンプをやっていた。そしてSU-は、幕張メッセの天井を突き抜けるほどの声量で「♪君を守るか~ら~」と歌い上げていた。
前日の「THE ONE」オリジナルバージョンといい、この「イジメ、ダメ、ゼッタイ」といい、BABYMETALは本当にYUIMETAL抜きで「再デビュー」し、「世界征服」へ向けた進撃を再開したのだ。
ぼくは現場でボロボロ泣きながらそのことを受け止めた。
ぼくはこのブログでBABYMETALの10年を総括しながら、インフルエンザ以下の脅威でしかない武漢ウイルスを「死病」扱いし、渡航制限や人との交流、経済活動の自粛を唱えるマスメディアや政治家や「識者」を徹底的に批判した。
あれは、莫大な医療利権と政権攻撃の材料とするために「作られたパンデミック」だからである。
この意見は今でも変わらない。
武漢ウイルス関連の記事を書くと、ベビメタと関係ないとか、見ている世界が違うとか批判もされたが、そんな利権のために、必死の決意でYUIMETAL抜きの「再デビュー」を果たし、再進撃を始めたBABYMETALの歩みをストップされたのが、どうにも我慢できなかったからである。
(つづく)