10年のキセキ(112) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日8月29日は、1986年、青山英樹神が誕生し、2015年、Reading Festival 2015@イギリスRichfield Avenueに出演し、2017年には、5大キツネ祭りin JAPAN 銀キツネ祭り@Zepp Osaka Baysideが行われた日DEATH。

昨日、安倍晋三内閣総理大臣が辞任を表明した。
失われた20年といわれた経済を立て直し、前政権で傷ついた日本の国際的地位を向上させた名宰相だった。
2012年から2019年まで、日本の国内総生産(GDP)は約7.4%増加し、2012年12月に1万円前後だった日経平均株価は、首相辞任ショックで下落した昨日でも2万2000円を超えている。
会見でご自身がおっしゃったように、北朝鮮に拉致された日本人の全員帰還、憲法改正、北方領土返還など、在任中に実現できなかったこともあったが、第一次政権での防衛庁の省への昇格、第二次政権での国家安全保障会議設置、安保法制、防衛装備移転三原則、組織犯罪処罰法改正(テロ等準備罪)、特定秘密保護法の制定など、安全保障分野で国の根幹を守る一方、米国大統領との親密な協力関係、TPP、EUとの経済連携協定(EPA)、出入国管理及び難民認定法改正、対ASEAN外交5原則(安倍ドクトリン)、セキュリティダイアモンド構想、日韓慰安婦合意、対韓輸出管理厳格化など、世界とのつながりについても、確固たる民主主義の価値観にもとづく外交を行った。

教育分野では、教育再生/実行会議、教育基本法の改正、「道徳」の教科化などを推進し、平成から令和への代替わりも滞りなく進め、2020年東京オリンピック・2025年大阪万博の招致にも成功した。
武漢ウイルスへの防疫政策においても、「感染者数」、死者数、経済損失も、先進国中最小レベルに抑えた。
こうした歴史に残る政治的実績に対して、野党や反対勢力からの言いがかりも激しかったが、安倍首相を非難すればするほど、その人の見識の欠如や、「反日」「容共」思想が透けて見える“ブーメラン効果”も生まれた。
約8年の連続在職日数は佐藤栄作を抜いて歴代1位、第一次内閣と合わせると、通算在職日数でも桂太郎を抜いて歴代1位である。ぼくらは歴史的な宰相を戴く時代に生きていたのだ。
次期首相が決まるまではまだ在任中であるが、長い間お疲れさまでした、ありがとうございましたと伝えたい。
ちなみにYUIMETALのBABYMETAL在籍期間も約8年でしたね。

2020年1月26日Legend-METAL GALAXY-@幕張メッセ二日目のつづき。
場内が暗転すると、エコーの効いた幻想的なインターリュードが流れた。
そこにSU-による英語のナレーションが重なる。「メタルの魂は、光と闇の力を得て、無限の輝きを放ち、未知の世界へと飛び立っていく…」といった内容だった。
緑色のレーザー光による「海」がピットに立つぼくらの頭の上に展開されると、遠くから「♪ララララーラーラーラー…」というコーラスが聴こえてきた。9曲目「Starlight」である。
この曲は、藤岡幹大氏に捧げられた曲だが、配信のタイミングはYUIMETAL脱退のアナウンスと同時だったから、メイトにとってはどうしても悲しい思い出が詰まった曲になる。ピットでは、多くの観客が天に向かってキツネサインを掲げた。それは小神様への追悼とYUIへの思いが入り交じった祈りの表現だ。
「♪ラー…ラーラーラララー…」とSU-が歌い上げると、Djentなギターリフに続いてブラストビートがスタートする。Anthony Baroneのドラムスは重い。その重さが悲しみを激しさに、前へ進む力へと変えてくれる。
「♪時を越えて走り続けfar away…」と歌うSU-の歌声は響き渡り、二人のダンサーは激しく踊る。アベンジャーは、この曲から鞘師里保に代わっていた。時折アップになる三人の顔には、襲いかかる運命への怒りや惜別の悲しみを乗り越え、銀河の果てまでも夢を追い続ける意志が強く表れていた。
たとえ今別れても、心はひとつ。辛かった過去=闇の力を昇華し、希望に満ちた未来=光の力と統合する。それは「Starlight」のモチーフであり、二日間のLegend-METAL GALAXYのテーマでもあった。
最後に三人が輪になって「♪ララララーラーラーラーラー…」と歌うコーラスは、小神様への鎮魂歌でもあり、BABYMETALの再生を願う祈りでもあった。
セトリはここから『METAL GALAXY』の収録順通りに展開した。
大スクリーンに巨大な太陽と月の重なる映像。アコースティックギターのA→B→C#のストロークが聴こえてくる。ステージにはSU-、MOA、里保の三人が、お互いに見つめ合いながら、ゆったりとした三拍子のリズムで踊っていた。SU-は、ひとつひとつの歌詞をかみしめるように歌った。
「♪Twilight 昨日今日明日 まだ終わりなき旅の途中でも 巡り合えた奇跡信じて ぼくらは行く君のもとへ」「♪Shining Lightさあ行こうShining Road どこまでも…」
日本語がわかるぼくらには、その深い意味がしっかりと伝わる。SU-とMOA、SU-と里保の深い縁。そして全米横断ツアーを乗り越えた三人の強い絆。


2018年のDarksideを乗りこえ、成長したメタルの魂は、翌週から北欧、ロシア、東南アジア、東欧、南欧など未知の国々を巡る過酷なMETAL GALAXY WORLD TOUR 2020に挑もうとしていた。
「♪果てしなく続く闇の中彷徨っても わずかな光を手繰り寄せて」「♪心が叫んだ構わない壊れても まばゆい光がぼくらを照らすから~」
曲終盤、スクリーンでは、太陽と月が合わさり、一瞬、2018年の日蝕コロナロゴになり、やがてひとつに溶け合っていく。日蝕は、太陽と月が重なるわずかな時間だけ出現する現象である。太陽がなければ月は光らない。夜がなければお天道さまのありがたみがわからない。ぼくらはその宇宙の摂理の中で生きている。
「光と闇は表裏一体…」から始まる2年前の「紙芝居」冒頭のフレーズは、新生BABYMETALの「闇の力と光の力がひとつになる」を予言していたのだ。
スクリーンの映像は、正八面体の宇宙船BABYMETAL号が飛翔する大宇宙、そして満天の星空へ変わる。
メロトロンの神秘的なクワイヤーが高まると、三連符の連続によるリフから力強いブラストビートが始まり、速弾きのツインギターによる美しいメロディから転調し、歌へとつながる。『METAL GALAXY』のフィニッシュを飾る新アンセム「Arkadia」である。


客席からすさまじい大歓声が上がり、各ブロックで形成されたサークルピットが高速で動き出す。
MOAの「♪Glorious! You just be ambitious!」のバックで鳴るディストーションギターの音が士気を鼓舞する。
「♪今、No more tears, no more pain, no more cry…」という歌詞に、闇の力を乗り越えた誇り高きBABYMETALの強さを思い知る。もう、涙も、痛みも、泣くこともない。
「♪光より速く、鋼より強く、使命の道に怖れなく」「♪どれほどの闇が覆い尽くそうと信じたこの道をあるこう」とSU-が歌い上げた瞬間、客席から「ウォー!!!」という大歓声が上がった。幕張メッセに集まった2万人全員が、それがBABYMETALの心からの決意であることがわかっているのだ。ぼくも叫ぼうとしたが、涙声になってしまった。
この曲のアウトロは長い。E→F#→G#が繰り返される中、三人は手刀で空気を切り裂くような型を見せる。これは迫りくるすべての「敵」と戦うコレオグラフィだ。そこには振り付けをしたMIKIKO師の、「がんばれ、戦え、BABYMETAL」という熱い思いも込められているだろう。
アウトロはE→F#からさらに半音転調してG→A→Bへと進む。それは限界を突破し、新次元へ突入したという意味だ。そこには「イジメ、ダメ、ゼッタイ」「紅月-アカツキ-」「Amore-蒼星-」「Road of Resistance」と、BABYMETALのパワーメタル系楽曲を手掛けてきた編曲者の教頭先生の思いも込められているだろう。
大歓声が上がる中、特効の爆発音が響き、三人とバンドは退場した。
だが、これでライブ終了ではなかった。点灯したままの青いシーリングライトの中、観客は前日と同じように、「チャッチャッ、チャチャチャ、ベイビーめーろー」という散発的なコールを続けた。
幕張二日目、ぼくはMosh’shピット後方のミキサーブース近くにいた。
ブースにはKOBAMETALがいた。コールが続く観客席を眺め、小さなカメラで撮影していた。これから起こることを記録しておかなければならないと思っているようだった。
確かにそうだった。
10分近く経ったころ、聴きなれたピアノのメロディが響き、スクリーンに「紙芝居」が映り、「Why do people hurt each other?」というSU-の英語ナレーションが響いいた。なんと12曲目は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」だった。その瞬間、客席から「ウォー!!!」とものすごい歓声があがった。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、BABYMETALの2013年メジャーデビュー曲であり、2015年まで、絶対的フィニッシュ曲だった。
2014年の日本武道館でYUIが花道から転落し、この曲でその無事を確認した三人のアイコンタクト。
Sonisphere 2014で、6万人の本場メタルヘッズをノックアウトして、BABYMETAL旗をまとい、背筋をピンと伸ばして「See You!」とステージを去っていったシーン。
そして、2017年12月の広島Legend-S-洗礼の儀では、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、「In The Name Of」に続く2曲目にセットされていた。だが、そこにYUIはおらず、MOAがたった一人でステージを駆け抜けた。
そして、それがBABYMETALにおける小神様の最後のステージでもあった。
Darksideが始まったのは、あの日からだったのだ。
あれから約2年2ヶ月。
BABYMETALは、小神様とYUIを失ったが、三人のアベンジャーと銀河神バンドを得て、大きく成長した。MOAも成人式を終え、もう一人の女神となった。来週から未知の国々を巡るワールドツアーが始まる。
だが、その前に、広島で見失った大事なメジャーデビュー曲、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を「新三人組」=アベンジャー体制で取り戻す。2019年からの新規ファンも増えている。伝説の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を見せてやる。そんなKOBAMETALの意図がびんびん伝わってきた。
「紙芝居」のナレーションは後半、従来のものと変わっていた。大意は、「…FOX GODが教えてくれた。もし、目の前に困難があったとしても、メタルの光の力と闇の力があれば、不可能を可能にすることができる。夢の中でFOX GODが教えてくれた。太陽と月を合わせてBABYMETALはひとつ―THE ONEになる。FOX GODが教えてくれた。WALL OF DEATH。ホントの勇気見せてくれたら、私たちは世界を変えることができる…」というものだった。
客席各ブロックでは、「Wall of Death!Wall of Death!」の掛け声とともに巨大サークルが形成されていく。
「♪ルルルー、ルルルー…」というハミングが始まり、ステージを見ると、下手にMOAと鞘師里保、上手に藤平華乃と岡崎百々子がクラウチングスタートのポーズをとっていた。白い衣装をつけたオリジナル神バンドも、銀河神バンドとともにステージ上に勢ぞろいしていた。
「♪ドゥクドゥクドゥクドゥク…」とC#mのパワーコードを刻むイントロが始まり、SU-が「♪アー」と叫ぶと、四人が一斉に走り出し、各ブロックでは大歓声とともにサークルモッシュがスタートした。
広島で、MOAがたった一人でステージを駆け抜けた光景を思い出し、ぼくは嗚咽をこらえきれなくなった。
パイロの炎が吹き上がる中、ステージ上では下手から、鞘師里保、MOA、SU-、藤平華乃、岡崎百々子が横一列になってイントロのダンスが繰り広げられていた。


SU-が素晴らしいハイトーンで「♪夢を見ること それさえも持てなくて 光と闇のはざま一人…」と歌い上げる。そうだった。BABYMETALはデビュー当時から、光の力と闇の力に引き裂かれ、悩み苦しむ人々にメタルの力を伝えてきた。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の下降コード進行と上昇コード進行のせめぎ合いは、光と闇の戦いである。「光と闇の融合」こそ、BABYMETALがこの世に降臨した意味だった。
観客は、懐かしさに顔面をしわくちゃにしながら、正確に合いの手を入れていった。「♪自信(持って!)持てずに(負けないで!)隠れ続けた(見つけちゃいやー!)昨日(イエスタデー!)までの自分サヨナラ(バイバイ!)」
何年もやってなくても、身体が覚えている。
サビに入ると、観客の熱狂は一層ヒートアップする。
SU-の「♪イジメ!」にXジャンプをしながら「ダメ!」と大声を上げ、「♪カッコ悪いよー」には「ダメダメダメダメ!」と連呼する。「♪キツネ!」には「飛べ!」と叫び、「きっと飛べるよ」には「飛べ飛べ飛べ飛べ!」と繰り返す。これぞ元祖BABYMETALという嬉しさ。古参メイトの誇り。歴史的ライブに居合わせた幸せ。いろんな感情が炎となって会場を包み込んだ。
MOAはニコニコ顔で「♪イエスタデー♡」「バイバイ♡」とやっていたが、アップになったSU-の目には、キラリと光るものがあった。2番の「♪君を守るかーら~」のところでは声がかすれた。それを聴いたぼくの目から、またどっと涙があふれた。
ブレイクダウンの「痛み…感じて…ずっと…ひとり…心…気づかないふり…もう…逃げない…イジメ、ダメ、ゼッタイ」のセリフのところでは、「YUIちゃんの声だ…」と言う人もいた。五人はステージ中央で「いいね!」サインを合わせた。言葉にならない感動が突き抜ける。
間奏部。MOAと里保の偽闘が始まる。二人ともジャンプが高い。そこへ百々子、華乃も加わる。
ぼくの隣にいた観客は「スゲー!」「ヤバイ!」「カッケー!」と絶叫していた。四人が入り乱れて戦うところへSU-が割って入る。SU-の前蹴りも高い。
この間、神バンド&銀河神バンドは、ギターソロを四人のギタリストが分担して展開し、2組のドラムスが全くリズムの乱れを感じさせず、息の合った演奏を聴かせた。
昨日は銀河神バンド、今日はオリジナル神バンドが、アンコール後の1曲のためだけにスタンバっていたのだと思うと、また胸が熱くなる。
「♪今以上、これ以上、泣き顔は見たくない」に泣いてしまう。
転調し、コード進行がC→D→Em→Bと上昇し始める。SU-の「♪イジメーダーメー、ゼッタイー」に合わせて、客席は「ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!」と絶叫する。
最後の「♪イジメーダーメー、ダーメー」からギターのダブルストップはやや流れたが、一瞬の静寂の後、ドラムロールでギタリストとベーシストがEのコードをかき鳴らす中、「We are?」「BABYMETAL!」のコール&レスポンスが始まった。
ニコニコ顔で、あの腕グルグルをやっているMOAを先頭に、五人は上手、下手、花道の順で駆け回る。
最後にステージ中央に戻り、一瞬間をおいて場内を眺めた後、笑顔で「We---Ar----e?」と叫んだSU-に、すべての観客が「BABYMETA----L!!!」と応えると、SU-が「3、2、1!」と叫び、5人がその場でジャンプした。かつてのBABYMETALを彷彿させるフィニッシュだった。
そこで、もう一度特効が爆発。二日間にわたったライブは大団円を迎えた。
大歓声と拍手、絶叫が沸き起こった。
五人と東西の神バンドがステージを去ったあと、大スクリーンには終演後の「紙芝居」が映り、懐かしい映画の予告編さながらの緊迫したBGMとともに、これまた懐かしい染谷歩さんのナレーションが流れた。
「光の力と闇の力。2つの力を得たBABYMETALは、巨大なメタル銀河を巡り、ついにDOOMS DAY(運命の日)を迎える。2020年10月10日、Metal Resistance 最終楽章」スクリーンには「Metal Resistance Episode X 2020 1010」の文字。


すでに発表されていた2020年ワールドツアーの集大成として、10月10日に10周年記念ライブを行うのだろう。会場は?と固唾をのんで見つめていたが、次のフレーズは「それはOnly The FOX GOD Knows。FOX DAYを待て」だった。
これぞBABYMETAL。見事にBABYMETAL。
2020年1月26日の時点で「パンデミック」を予見していたので、ライブの詳細は発表できないという判断があったとは思えない。
3日前の1月23日、未知の新型ウイルスが発生した武漢市が当局の手で物理的に封鎖されていた。
1月16日に日本国内で初めての感染者(武漢市から帰国した神奈川県在住の中国人)が確認されていたが、その後は報告されておらず、欧米でもドイツ、イタリアなどで数人の感染確認者がいた程度だった。渡航制限も行われておらず、世界はまだ「闇の力」に侵されてはいなかった。
(つづく)