10年のキセキ(111) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日8月27日は、2015年ドイツ・ベルリン公演@Huxleysが行われた日DEATH。

2020年1月25日、METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW-Legend METAL GALAXY@幕張メッセ初日が行われた。
セットリストは以下のとおり。

1.    FUTURE METAL
2.    DADADANCE
3.    Elevator Girl
4.    Shanti Shanti Shanti
5.    Oh! MAJINAI(初披露)
6.    ヤバッ!
7.    Brand New Day(初披露)
8.    ギミチョコ!!
9.    メギツネ
10.    Night Night Burn!(初披露)
11.    THE ONE(Original ver.)
12.    Road of Resistance
アベンジャー:2-4&12 岡崎百々子、5-7&12鞘師里保、8-11&12藤平華乃
神バンド:1-12大村孝佳(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、Leda(G)
12のみChris Kelly(G)、Clinton Tustin(B)、Anthony Barone(D)、C.J. Masciantonio(G)

定刻を10分ほど回った18:40。客電が落ち、オープニングの「紙芝居」が始まった。
大スクリーンに宇宙空間を赤い光と青い光が飛翔していく。やがてその二つが衝突してビッグバンが起こり、新しい宇宙が生まれる映像。厳かな声で英語による男声ナレーションが響く。
大意は、「太陽と月が重なり合い、メタル銀河が出現した。それは新たな伝説が生まれる予兆。メタル銀河を旅するBABYAMETALは我々を見たこともない世界へ導く。光の力と闇の力。二つの力を得たBABYMETALはTHE ONEとなる。今宵は一夜限りのスペシャルライブ。我々は光の力に満たされたBABYMETALを目撃する。」というもの。
SSAと大阪城ホールで予告されていた通り、三人のアベンジャーズが全員集合し、東西の神バンドが集結したのがLegend-METAL GALAXY-の特徴だった。
しかも、セットリストは東京ドームと同じく、初日と二日目で全く異なる「被りなし」パターンだった。
初日のセットリストは、「FUTURE METAL」~「DADADANCE」から始まるが、2019年の全米横断ツアーやTHE FORUM、SSA、大阪城ホールで演じられた「PAPAYA」「Kagerou」「Distortion」「Starlight」「Shine」「Arkadia」といった楽曲はセトリに入らなかった。
考えてみると、これらの楽曲は『METAL GALAXY』のDisk-2=Darkside収録曲である。
逆に、初日のセトリに入った「FUTURE METAL」「DADADANCE」「Elevator Girl」「Shanti Shanti Shanti」や、初披露された「Oh!MAJINAI」「Brand New Day」「Night Night Burn」はすべてDisk-1=Light Side収録曲である。
つまり、2014年日本武道館の赤い夜&黒い夜、2016年東京ドームのRed Night & Black Nightと同じく、初日DAY-1はLight Side、二日目DAY-2はDarksideという二日間セットになっていたわけだ。
それは、とりもなおさず、Legend-METAL GALAXY-@幕張メッセが、BABYMETALの歴史上、極めて重要なライブだったということを示している。
2020年8月現在、これがBABYMETALの日本国内におけるラストステージである。
そしてこの模様は、9月9日リリースのBlu-ray&DVD、10日のプレミア上映会で確認することができる。
なので、以下の記述は、これから初見という方には完全ネタバレとなるので、「そっ閉じ」するか、「予習」のつもりで読んでいただきたい。

「見たこともない世界」というのは、『METAL GALAXY』を引っ提げて、2月3日から3月1日まで初訪問となる北欧・ロシアを含む汎ヨーロッパツアー第一ラウンド、3月22日からの東南アジアツアー、6月5日からのロックフェス&東欧ポーランド・南欧スペインを含む汎ヨーロッパツアー第二ラウンドまで、未知の国々を巡る2020年ワールドツアーを示していた。
そしてオープニングナレーションの最後に、「一夜限りのスペシャルライブ」であると告げられると、場内は、新たな旅立ち=日本武道館という連想ゲームから、何かが起こる予感にものすごい歓声で満たされた。
だが、オープニングの「FUTURE METAL」から2曲目「DADADANCE」、3曲目「Elevator Girl」、4曲目「Shanti Shanti Shanti」までは2019年ライブの定番で、特に新味はなかった。
先発アベンジャーは岡崎百々子。神バンドは下手ギターが大村神、べースBOH神、ドラムス青山神、上手ギターLeda神で、SSA・大阪城Hと変わらない。


アップになるSU-とMOAは見るたびに美しくなっていた。岡崎百々子とともに「DADADANCE」の「♪フォー」で、両手を斜めにポージングする瞬間は「華麗」以外の何物でもなく、「Shanti Shanti Shanti」で指の先までしなやかに踊る様子は「セクシー」そのものであった。
ここからいつものように「ギミチョコ!!」「Starlight」「Distortion」「メギツネ」「PAPAYA」「KARATE」につないでいくのだろう…と思った矢先、その予測は完全に外れた。
5曲目が始まる前、童謡風BGMと日本語による女声ナレーターの声が流れた。かつてLegendシリーズのライブでBBMが登場する前と同じテイストの懐かしい元祖「紙芝居」だ。
―引用―
それはパラダイスメタル銀河と呼ばれるとっておきの夢の島。だがしかし大人が一歩足を踏み入れると「ないものねだり」の魔法をかけられてしまうから、決して立ち入ってはいけないと伝えられてきた場所でもあった。
「ようこそ!ここへ!」シャカリキなキタキツネに誘われるままに、ついつい足を踏み入れてしまったウインターランドの鋼鉄の戦士。すぐさま「ないものねだり」の魔法をかけられてしまい、奇妙な踊りが止まらなくなってしまう。「シャカリキMosh’sh」を始めてしまうのだ。そんな姿を見た他の鋼鉄の戦士たちは「こんなのメタルじゃねえ」と嘆きながらも、まんまと魔法にかけられてしまい、気が付けば、隣人と肩を組み合いながら「シャカリキMosh’sh」を繰り広げ、メタルの銀河にパラダイスは広がっていくのであった…。
―引用終わり―
そして、スクリーンいっぱいに、SABATONのヨアキム・ブローデンが映り、「♪ナイナナナイナイ、ナイナイナイ、ナナナイナイナイ、ナナナイナイナイ…」とグロウルで歌いながらコサックダンスで踊るイントロが始まった。
5曲目、初披露の「Oh! MAJINAI」だった。


スクリーンの中のヨアキムは、コサックダンスをしながら増殖し、ツルハシで地面を掘ったり、銅像になったり、果ては深紅の地に黄色い星のマークがついた社会主義国の国旗みたいな旗を振る。これは明らかに旧ソ連のパロディだった。確かに哀愁を帯びたフィードル入りのポルカの曲調は、ロシア民謡にも聴こえる。
だが、アップになるSU-・MOAの表情はニコニコ顔で、楽しそうに歌い踊っていた。アベンジャーは鞘師里保に代わっており、三人が手をつないで踊る姿は、フォークメタルをBABYMETALがやるとこうなるというKawaiさに満ちていた。
6曲目は「ヤバッ!」。
2017年の巨大キツネ祭りでやったように、今日の青山神はイントロを「♪ズンタタ、ズンタ」というロカビリーのアクセントで叩き、観客もそのリズムで手拍子する。
一瞬「エリーゼのために」の「♪ラーララララララララ」というメロディのあとは、スカのリズムに変わる。
「♪チガウ、チガウ…」とSU-が歌うと、アベンジャーが「チガウ」ことを示すためなのか鞘師里保がアップになる。SU-は目をクルクル回すコケティッシュな表情で歌い、MOAと鞘師里保は「♪チガウ、チガウってないよ」のところでは行進風の振りをし、「♪気になっちゃってどうしよう」のときは頭をたたき、「♪ヤバッ」の瞬間には、口に手を当ててKawaii表情を見せた。観客ももちろん、「トイ!」と合いの手を合わせ、「楽しく激しくKawaii BABYMETAL」を堪能した。
曲が終わると、大スクリーンに夜明けの海の映像が映った。BGMは聴いたことのないインターリュード。
やがて映像は満天の星空から都会のスカイスクレーパーが朝日に浮かび上がる風景へと変わる。まるで80年代シティポップのレコードジャケットである。初披露となる7曲目「Brand New Day」だった。


SU-の歌は素晴らしかった。この曲の「♪雨ならBreak したっていんじゃない」の「て」の音は、「Shine」のハイD#を超える地声ハイEである。
日本人女性ボーカリストの最高音なのに、無理なく素直に伸び、ピッチに微塵の狂いもない。ブレスのタイミングや、シンコペーションを含んだリズム感もキレキレであり、歌い込んできたことがわかった。
この曲の鞘師里保のダンスも素晴らしかった。ムーンウォークみたいなすり足になるパートの足幅の広さ、「♪Just Step by Step」のところの、目線を切って横を向くポージングのキレ。SU-が歌い込むのと同じように、鞘師里保もこのダンスを一つの表現として全身全霊を込めて練習してきたのだろう。
鞘師里保が感極まって泣いていたという証言もあった。尊敬する元モー娘。の高橋愛があべこうじと観に来ていたからとかさまざまな説があるが、ぼくとしてはダンサー/表現者として生きる道を選んだ鞘師里保が、このライブに賭ける気持ちの高ぶりだったと思う。
もちろんMOAもメリハリをつけたダンスでシンクロする。この曲では、英語歌詞のコーラスパートはMOAが踊りながら、素晴らしく正確なピッチで歌っているのだが、「♪It’s gonna be OK, alright」の「nna」は裏声のハイEである。
三者三様の表現に目を奪われていると、そこに大村神とLeda神による生演奏によるマスロックのソロが入ってくる。速いだけでなく“間”やニュアンスを込めた表現力。すべて生。これがBABYMETALの実力である。
音楽性の高さに打ち震えていると、暗転の中、ホワイトノイズまじりの「Give me…Give me…」というグロウルが聴こえてくる。同時にピットがざわついている。メンバーが花道を移動していたのだ。
明転すると客席中央に設けられた島舞台に、SU-、MOAと三人目のアベンジャー藤平華乃がいた。
「Give me Chocolate」からイントロに入ると、ピットではものすごいモッシュが始まった。
間奏部、島舞台の下手、上手の縁いっぱいに藤平華乃、MOAが立ち、笑顔で手拍子を促す。ぼくのいたブロックは元気いっぱいの若者が多く、うねるように走り回るので、ぼくは右手を出して全員とハイタッチした。
9曲目は「メギツネ」。
海外ではセトリ序盤に置かれ、一発で熱狂を生み出す曲だが、日本では中盤に置かれ、後半戦へつなげることが多い。今回はすでにセトリは終盤近くになっていたが、すでに会場はお祭り状態。アップになるSU-やMOAの表情もニコニコ顔だった。間奏部のSU-の煽りは「ヘイ幕張!後ろの方もちゃーんと見てるよ!」だった。
そして10曲目。またも新曲の投入。バブル期サンバ調とメタルを融合させた「Night Night Burn」である。
曲名にふさわしくパイロが点火され、吹き上がる炎の後ろに三人がいるという生映像になった。
SU-、MOAはサンバのリズムで「パンパンパ(ん)パパン」と手拍子を促すのだが、休符がとれず、「パンパンパンパン」と4拍子で打っていた観客が多かった。
実は、このリズムは、2018年4月23日の藤岡幹大追悼ライブMy Little God@川崎Club Citta’で、神バンドマニピュレーターの宇佐美秀文氏率いるUSBが「ミ・キ・オ、フジオカ」と観客に歌わせ、MIXしたリズムだった。両方のライブにいたぼくにはそれがわかった。2020年も1月19日に新宿Renyで恒例の追善ライブが行われていた。バブル期のサンバ調ポップスをオマージュしただけではなく、ちゃんとBABYMETALの歴史とつながっている。それが嬉しかった。
しかし、パイロの炎といえば「PAPAYA!!」だが、いつやるのだろう?
そう思ったとたん、荘厳なオーケストラのインターリュードが流れた。ウェンブリーでおなじみの「THE ONE」前のメロディである。スクリーンには大宇宙の映像。これが流れると、CD音源通り、イントロからバンドが入るオリジナルバージョンになるはずだ。そして…そうなった。
明転すると、ステージ上には七色に輝くガウンをまとったSU-、MOA、藤平華乃が凛々しく立っていた。
2017年12月の広島で、ピアノのアルペジオから入るUnfinished Ver.が客前初披露されて以来、この曲は2018年、2019年とずっとそのバージョンだった。
バックライト=後光を浴びたSU-が静かに歌い出し、間奏部でバンドが入るとMOAがサポートダンサーを率いて登場するアレンジは、神秘的かつ感動的だったが、タイトル通りファンとの一体感=THE ONEを感じるには、イントロから荘厳な感情に浸れるオリジナルバージョンの方がいい。
つまり、この演出はBABYMETALが長かったDarksideを抜け出し、ついにLight Sideに戻ってきたことを示していたのだ。
ぼくの目の前に南米から来た青年がいて、ほかの曲でもときどき自国の国旗のハンカチを振っていた。
インターリュードが聴こえてきたとき、彼に「It’s time to show them your national flag!」と話しかけたらポカンとしていたが、場内が「♪ララララー」と大合唱するところになると、歌いながら国旗を振っていた。ウェンブリーのような盛り上がり。「PAPAYA」も「KARATE」もやらずに、フィニッシュする感じがしてきた。
曲が終わると暗転。だが、終演の「紙芝居」も流れないし、青い客電も消えない。
そして流れたのは戦場で鬨の声をあげるSEの「戦国紙芝居」だった。だが後半は異なり、「光の力と闇の力はかつてない戦いを繰り広げており、最後のメタルの魂を救うためにBABYMETALが立ち上がった」というものだった。
神バンドの演奏によるプレリュードが流れると、ステージ上には下手から鞘師里保、MOA、SU-、藤平華乃、そして岡崎百々子の5人がBABYMETAL旗を担いで立っていた。


さらに中央ステージの下手側に、大村神(G)、Chris Kelly(G)、BOH神(B)、Anthony Barone(D)の4名。同じく上手側にはImperial Guard=Clint Tustin(B)、C.J. Masciantonio(G)、Leda神(G)そして青山神(D)の4名。神バンド+銀河神バンドの8名が両サイドに分かれて布陣していた。
オールスターキャスト。全員集合。壮観という他なかった。
「Road of Resistance」だから、客席は巨大なサークルモッシュを形成していたが、ぼくはとにかくバンドの布陣を確認するために、もみくちゃにされながらブロック柵の前へと進んだので、「♪Woh Woh Woh…」のシンガロングにもロクに参加できなかった。
いずれにしても、凄い光景が目の前に展開していた。東西の鋼鉄のバンドが集い、アベンジャーが一堂に会するというSSA、大阪城Hの告知に偽りはなかった。
曲が終わると、「We are?」「BABYMETAL!」のC&Rが始まり、「Get you Fox hands up! Ah!」でフィニッシュ。
終演後の「紙芝居」では、Metal Resistance Episode Ⅷが宣言され、「光の力を得たBABYMETALは、闇の力に戦いを挑む。続きはDAY-2へ」という感じで初日が終了した。

(つづく)