10年のキセキ(109) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日8月24日は、2016年、Apocrypha White Mass in 名古屋@ZeppNagoyaが行われた日DEATH。

コリィ・テイラー(SLIPKNOT/STONE SOUR)の新曲「CMFT Must Be Stopped」のMVにBABYMETALが出演しています。このMVにはラッパーとしてフィーチャーされているTech N9neとKid Bookieの他に、ロブ・ハルフォード(Judas Priest)、ニッキー・シックス(Mötley Crüe)、スコット・イアン(Anthrax)、ベンジー・ウェッブ(『Kerrang!』AwardsでBABYMETALに謝罪した)、マリリン・マンソン、マキシマム・ザ・亮君など大物アーティストが数秒ずつ顔を出しているのですが、終わり近く4:58~59にSU-METALとMOAMETALが出演しています。こんなのでも無性に嬉しい今日この頃DEATH。
https://www.youtube.com/watch?v=BEPI69cx22E

BABYMETALは2019年11月20-21日にMETAL GALAXY WORLD TOUR in Japan@大阪城ホール二日間公演を行った。
セットリストおよび神バンドはSSAと同じだったが、 アベンジャーは鞘師里保に代わっていた。
大阪城ホールでは、2017年10月14-15日にYUIMETAL最後のステージになった巨大キツネ祭りが行われていた。
2018年10月30-31日の公演は神戸ワールド記念ホールで、SABATONが前座を務め、大阪出身の平井沙弥と大森小都乃がChosen Sevenの一員として加わり、盛り上がった。
だが、広島出身のSU-と鞘師里保、名古屋出身のMOAによる“新三人組”が、ニューアルバム『METAL GALAXY』を引っ提げて大阪城ホールに戻ってくるというのは、関西圏のBABYMETALファンにとって何物にも代えがたい喜びだった。
2019年6月28-29日、大阪ではG20サミットが行われ、世界の首脳が顔をそろえたが、世界情勢は混沌としていた。
サミット終了後、トランプ米大統領は韓国へ立ち寄り、6月29日の午後、板門店で金正恩朝鮮労働党委員長と面会し、アメリカ大統領として初めて38度線を越えるパフォーマンスを行った。その際、シンガポール会談、ハノイ会談と、これまでトランプ大統領と金委員長の「仲介」をしてきたと自負する韓国の文在寅大統領は、韓国側の建物に置き去りにされた。
その直後の7月1日、日本の経済産業省は、半導体材料3品目(レジスト、高純度フッ化水素、フッ化ポリイミド)について包括的輸出許可から個別輸出許可へ切り替えることとし、キャッチオール規制における「ホワイト国」(現:クラスA)リストから、韓国を除外することを通告した。
2016年以降、韓国の産業通商資源部が、大量破壊兵器の製造に用いられる可能性のある輸出品目の管理について、ホワイト国の条件であった日本政府との定期協議をキャンセルしていたためである。
だが、文大統領の就任以降、日韓慰安婦合意の不履行、日本海でのレーダー照射問題、戦時中の「元徴用工」=朝鮮出身労働者に関する国際法を無視した韓国大審院判決などをめぐって日韓両国は対立しており、文大統領は日本の輸出管理厳格化を「元徴用工判決への報復」だとして、「盗人猛々しい」などと激烈な言葉で非難した。
日本政府が行ったパブリックコメントでは日本国民の約7割が輸出管理厳格化に賛成したが、韓国では日本製品不買運動(ジャパン・ボイコット)が起こり、いわゆる日韓貿易紛争へと発展した。
一方、香港では、中国共産党政権の指名する「犯罪者」を無条件で本土へ引き渡す「逃亡犯条例」の制定を、林鄭月娥香港行政長官が強行しようとしたことに対して、民主化を求める若者たちが立ち上がり、6月22日には200万人規模のデモとなった。

だが、中国政府の意を受けた香港警察はデモ隊に容赦なく催涙弾を発射し、弾圧した。新学期が始まると、若者たちの立てこもる大学が次々に機動隊に包囲され、多くの学生が逮捕された。
こうした状況を受けて、2019年11月23日に予定されていたClockenflapフェスは、結局、中止となってしまった。同フェスではBABYMETALがヘッドライナーに予定されており、中環のHarbourfrontには数十万人が集まる可能性があったが、香港政庁および中国共産党は、集まった大群衆がデモ隊のアンセムである「願栄光帰香港」を大合唱するのを阻止したかったのだろう。
2020年7月1日、中国共産党を批判した者は、香港人はもとより外国人であっても逮捕する「香港国家安全維持法」が施行された。表現の自由が失われた以上、香港でロックフェスを開催することは不可能になってしまった。

2019年12月16-17日の両日、THE ONE限定ライブ、Apocrypha -Another Galaxy-@Zepp Diversity が行われた。
セットリストは以下のとおり。
1.    FUTURE METAL
2.    DADADANCE
3.    ギミチョコ!!
4.    Elevator Girl
5.    Shanti Shanti Shanti
6.    Starlight
7.    神バンドソロ~Kagerou
8.    Distortion
9.    メギツネ
10.    PAPAYA!
11.    KARATE
12.    ヘドバンギャー!!
13.    Road of Resistance
アベンジャー:岡崎百々子
神バンド:(下手から)大村孝佳(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、Leda(G)

2019年初のTHE ONE限定ライブであり、ライブのサブタイトルが「Another Galaxy」だったので、参加者はTHE FORUMやSSA、大阪城ホールでは演奏されなかった楽曲の初披露や、限定ライブならではの演出があるのではないかと期待していた。
だが、セットリストは「FUTURE METAL」~「DADADANCE」から始まるものの、「Shine」~「Arkadia」は省かれており、いわば全米横断ツアーの日本バージョンといった趣だった。
ただし、会場のZepp Divercityは収容人数2,473名であり、世界的な存在になったBABYMETALを至近距離で見られることは大きなメリットだった。
また、SSA、大阪城ホールでは見られなかった「Kagerou」前の神バンドソロが見られたのも、THE ONEの特権といえた。日本の神バンドが演奏した2020年1月25日のLegend-METAL GALAXY-@幕張メッセ初日でも、「Kagerou」前の神バンドソロはなかったから、銀河神バンドとの違いを直接比較できたのはこの2回公演のみである。日本でのApocrypha(外典)なので、映像・音源が流出していないため、観られた方は貴重な財産だといえる。
12月27日、BABYMETALは、欅坂46と共演した2016年4月以来、3年8か月ぶりに地上波テレビに出演した。テレビ朝日『ミュージックステーション』ウルトラSUPERLIVE@幕張メッセイベントホールである。
18:25。LISA、ジェネレーションズのあと、CM入り前に「このあと3年ぶりにBABYMETAL登場!」というテロップが流れる。
CM明け、最初の画面は英オフィシャルチャートのスクリーンショット。そして、「今年10月、イギリスのロックチャートで2週連続1位を獲得していたのはビートルズの『Abby Road』50周年記念盤だった。だが、それを打ち破ったのはなんと日本のBABYMETAL」というナレーション。
さらに「全米ロックチャート首位はアジア人史上初の快挙」と、ビルボードのロックアルバム部門で首位になったことをインフォームしてくれた。
さすがテレビ朝日。「切り取り」が上手い。「イギリスでビートルズを破った」「アメリカでアジア人史上初の快挙」これだけ聞けば、BABYMETALを知らない人も、「へえ、凄いな」と興味を惹かれる。
全米総合アルバムチャートであるビルボード200の13位というランキングだって、56年ぶりに坂本九の記録を更新した大ニュースなのだが、一桁でないとお茶の間は反応しないという判断なのだろう。
さらに、「19か国50公演におよぶワールドツアーの真っ最中で、26万人を動員」とのナレーションに会場がどよめく。とはいえ、これは横アリから2020年6月のスペインまでのフェスを含む訪問国数・公演数であり、26万人という動員数はアミューズ提供なのだろうが、どこからどこまでを指すのか、よくわからない。
もちろん、メイトとしては、これだけBABYMETALを持ち上げてくれるのはありがたい。
だがそれは、ウソではないものの「切り取り」による演出だ。
ぼくの考えでは、放送する価値があるのはBABYMETALのライブパフォーマンスそのものであって、ランキングや付帯情報なんか本当はどうでもいい。凄いアーティストだと思うなら、もっと長い出演時間をとり、多くの曲目を演奏させればいいだけだ。それこそディレクターの「目利き」だろう。
事務所との力関係やら予算やらで、アーティストを横一列に並べておきながら、テロップとナレーションで「凄さ」を演出する。そこには「どうせ視聴者はバカだから、アーティストの価値、ニュースの価値は俺たちが決める」といった下心が見え隠れする。
まあせっかく出してくれたんだから、文句を言っても仕方ないのだが。
アーティスト紹介が終わると画面が切り替わり、ステージに立つ三人が映った。
下手にMOAMETAL、中央にSU-METAL、上手に立つのは、久しぶりの藤平華乃だった。
曲は事前予告通り「PA PA YA!!」。


この3年8カ月、BABYMETALは、ライブ会場で見るものだったから、テレビ画面に映る三人は新鮮で、歌詞のテロップがつくのも不思議な感じである。
アップになったSU-の顔は珍しく緊張気味に見えたが、歌い出せば正確なピッチと、観る者に挑みかかるような眼差しで、「世界のメタルクイーン」の風格十分だった。
MOAは下手で軽快に踊りながら、終始歯を見せて笑顔を振りまく。SU-の「♪祭rrrりだ!祭rrrりだ!」に対してKawaii声で「祭りだ!祭りだ!」とScreamし、盆踊り風に踊る姿から、お茶の間を射抜く魅力がズキューン!ドキューン!と放たれていた。
全国ネット初出演の藤平華乃は緊張したに違いないが、必死に笑顔を作り、ダイナミックに脚をあげ、手の先までピンと伸ばして踊り続けた。ステージの奥行きが深かったので、プレデター風のマスクを被った神バンドはほとんど映らなかったが、たぶん大村神-BOH神-青山神-Leda神だと思う。
今回は、1番が終わるとすぐに「♪踊って騒げ!(踊って騒げ!)」のパートに飛ぶショートバージョン。曲タイトルのFeat. F.HIROは登場せずじまいで、あっという間に「♪PAPAYA!パパパ!」と終わってしまった。
2016年のようなタモリとの絡みもなく、『METAL GALAXY』や、年明けの幕張メッセ公演の告知もなかった。わずか3分。とはいえ、ウルトラSUPERLIVE 2019の17:00-19:00の平均視聴率は9.4%。視聴率1%は110万人相当といわれるので、約1000万人がこの日テレビでBABYMETALを見た可能性がある。告知効果としては絶大である。
2016年東京ドームまではNHKを含む地上波でもBABYMETALの活躍がよく報道されていたが、それ以降は一切出演しなくなったから、テレビしか見ない人たちにとっては、「消えた」と思われていたかもしれない。
だがそれで構わないと思う。そういう人は2016年にテレビでBABYMETALを見ても何も感じなかった人だ。CDや映像作品を買うわけでも、ライブ会場に来るわけでもない。それよりテレビで初めてBABYMETALを見て、「スゴイ!」と思ってネットで調べ始める人を掘り起こすのが地上波に出た最大のメリットではなかったか。
それは、他のアーティストにとっても同じで、テレビタレントとしてギャラで生計を立てるのでない限り、地上波はドメスティックな告知媒体に過ぎない。テレビには、テレビ局に利用されている人と利用している人の二種類の出演者がいるのだ。世界中にファンベースがあり、インターネットを告知媒体にしているBABYMETALにとって、テレビはディレクターの言いなりになって出演させていただくものではなく、利用するものだった。そういう基盤を作り上げたのは、ライブに「会いに行く」ことを至上の価値とするぼくらメイトだった。それは誇っていいと思うのだ。そして今、BABYMETALはライブを封じられている。陰謀論のひとつも吐きたくなるよね。
(つづく)