10年のキセキ(101) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日8月10日は、2013年、サマソニ2013幕張@Rainbow Stageに出演した日DEATH。

2019年9月27日のデンバー公演を終えたBABYMETALはロッキー山脈を超えて西海岸エリアに入った。
9月28日はユタ州ソルトレイクシティ公演、9月30日はネバダ州ラスベガス公演である。
ソルトレイクシティは、2014年8月4日にLady GagaのArt RaveツアーのOAを務めた。会場は収容人員19,911人のEnergy Solutions Arenaだった。
ラスベガスは、同じく2014年8月1日で、収容人員17,157人のMGMグランドガーデンアリーナだった。
今回はソルトレイクシティが収容人員3,500人のThe Union Event Center、ラスベガスは収容人員2,500人のHouse of Bluesである。
2014年は、SU-が16歳の高校2年生、YUIとMOAが15歳の中学3年生だった。
セットリストは、1曲目「メギツネ」2曲目「ド・キ・ド・キ☆モーニング」3曲目「ギミチョコ!!」4曲目「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の4曲だった。


「紙芝居」は、「A long time ago, in the Metal Galaxy far, far away…」から始まるものだったが、BABYMETALがPoker Face Monster=Lady GagaのElectric Chapelに招かれ、彼女に「Artistic Revolution through the potential of Heavy Metal」(ヘヴィメタルの可能性によるアート革命を行え)という「呪文」をかけられ、「We live for the applause and justice for Kawaii and Heavy Metal」(私たちはKawaiiとヘヴィメタルへの喝采と正義のために生きる)と決意し、Metal Monster=LADYMETALに変身するというやたらと長いものだった。
続いて、「♪キーツーネー、キーツーネー、私はメーギツネー…」というSEから、ヘヴィなC#mのパワーコードが繰り返され、サーチライトが客席に放射される中、キモノ風のガウンをまとい、キツネ面で顔を隠した三人が登場。客席に向かって深々とお辞儀をし、キモノガウンを脱いでメギツネポーズをする。
そこから、イントロが始まり、YUIとMOAがキツネサインを客席に突き刺し、ギターの「♪キュイーン」というピッキング・ハーモニクス音から「♪ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」と空中浮遊のような片足平行移動ダンスを繰り広げ、ダンスやアートに目の肥えたLady Gagaファンを驚愕させ、かつ魅了していった。
あれから5年。
会場は二回りも小さいが、BABYMETALは連日の単独公演で3,000人クラスの会場をSOLDOUTできる人気アーティストになっていた。


あの時と同じ「♪キーツーネー、キーツーネー、私はメーギツネー…」というSE。
「紙芝居」もまたあの時と同じ「A long time ago, in the Metal Galaxy far, far away…」から始まる。ナレーションは男声に代わっていたが「BABYMETALに“不可能”は存在しない。キツネ様の聖名のもと、BABYMETALのセンセーションは全世界に広がり続ける。」という力強い宣言になっていた。
しかも、2014年の長ったらしい「紙芝居」でLady Gagaにかけられた「呪文」は生きていた。
2018年に披露された「In the name of」「Distortion」「Elevator Girl」「Kagerou」「Starlight」に加えて、全米横断ツアーで披露された「Shanti Shanti Shanti」「PAPAYA!!」に加え、2019年9月下旬、リリース直前の『METAL GALAXY』の未発表曲「DA DA DANCE」「Oh! MAJINAI」「Night Night burn」などの楽曲がネット上でリークされていた。
10月11日になればよりハッキリするが、『METAL GALAXY』は、インド、タイ、東欧のポルカ、エスニックメタル、日本のバブル期のラテン、ジュリアナ風ダンスミュージック、シティポップ、ストリートラップ、ゲーム音楽などの要素とヘヴィメタルを組み合わせ、Only OneのBABYMETAL音楽に仕立てていた。
それは、オールドスクールなヘヴィメタルの概念からは逸脱しており、見方によっては「ポップ寄り」になったと感じるメタルヘッズもいたかもしれないが、実は、2014年当時、Lady Gagaの前座としてアメリカデビューしたときから胚胎していた「ヘヴィメタルの可能性によるアート革命」というコンセプトどおりだった。
当時は、前座としては異例なほど長く、何をくどくど説明しているのだろうとしか思われなかったが、今、振り返ってみると、恐ろしいほどそれが正しかったことに気づく。
だから、2014年と同じく、「メギツネ」で始まり、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」の続編ともいえる「Elevator Girl」に続き、エスニックな「Shanti Shanti Shanti」や銀河神バンドソロ+ブルージィな「Kagerou」で幅の広さを見せつつ、「Starlight」、「FUTURE METAL」、「Distortion」でDjentの要素や近未来的なイメージを訴求し、「ギミチョコ!!」「PAPAYA!!」の熱狂につなげるというセトリは、まさにヘヴィメタルの可能性を拡張し、Lady Gagaのようなシアトリカルな音楽=コンテンポラリーアートの域にまで高めようとするものに他ならなかった。
そして、フィニッシュも、2014年には「イジメ、ダメ、ゼッタイ」一発だったものが、グルーヴ・メタルの「KARATE」、デスメタル+J-POPの「ヘドバンギャー!!!」、プログレ/シンフォニックメタルの「THE ONE」、パワーメタルの「Road of Resistance」で締めるというバリエーション豊かなものになった。


BABYMETALは、2014年の欧米デビューから2016年の『METAL RESISTANCE』リリース~2017年まで、世界中を旅してビッグネームになり、2018年にはDarksideの苦境を経て、大きく成長した。
ソルトレイクシティとラスベガスの観客の中に、2014年のLady Gagaのライブに参加した人がどれだけいたかはわからない。2017年のハリウッドのエクストラヘッドライナーショウの待機列でぼくが話したおばちゃんは、1960年代からロックコンサートに通っているが、Lady GagaのライブでBABYMETALを知って、それ以来のファンだと言っていた。
だから、大きく成長した姿をアメリカのファンに見せられたことは、BABYMETALにとって大きな意味があったといえよう。
10月1日、BABYMETALはアリゾナ州テンピ公演@Marquee Theatre(収容2,500人)、10月4日カリフォルニア州サンフランシスコ@The Warfield(収容2,300人)を経て、いよいよ10月11日、アメリカ初のアリーナ公演となるロサンゼルスThe Forum(収容17,500人)を迎えることになる。
(つづく)