10年のキセキ(73)祝!MOAMETAL聖誕! | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日7月4日は、1999年、菊地最愛が誕生し、2012年、インディーズデビュー曲『ヘドバンギャー!!』がリリースされ、2013年、日テレ「ZIP」にてBABYMETALが報道された日DEATH。

MOAMETALさん、21歳のお誕生日おめでとうございます。
さくら学院2012年度、「最後まで悩んで」、課外活動としてのBABYMETALの存続を決断してくれたのはMOAMETALさんでした。あの決断がなければ、BABYMETALはさくら学院の「伝説の部活」で終わっていたでしょう。
それから、国内フェス修業でロックファンに認められた2013年、本場欧米のメタルヘッズを驚愕させた2014年、大きくなった身体を過酷な鍛錬で乗り超えた2015年、東京ドームに11万人を動員した2016年、海外大物バンドに帯同した2017年と、BABYMETALは日本のアイドル界を超えて、世界的メタルダンスユニットに成長しました。
しかし、2017年12月2日、Legend-S-@広島グリーンアリーナで、MOAMETALさんのライバルでもあり親友でもあったYUIMETALが欠場となりました。初日のステージでMOAMETALさんは決意と気迫に満ちていながら、やや緊張感も見えましたが、翌日のステージは、まるで身体が一回り大きくなったような自信と燃えるような赤いオーラが立ち上っていました。SU-METALの少し後について階段を上っていくMOAMETALさんは、もうひとりの女神に見えました。あの一夜の奇跡をぼくは忘れられません。
Legend-S-@広島グリーンアリーナの終演間際、スクリーンには「Shine」のメロディが流れていました。
藤岡幹大氏が不慮の事故で亡くなった後、2018年FOXDAYの「Chosen Seven」トレイラーのバックにも「Shine」が流れていました。でも、その一か月後の5月8日カンサスシティに始まった2018年ワールドツアーは、広島で予告された「新しい時代の幕開け」ではなく、「光と闇」の「闇」=Darkside仕様でした。
四人体制、七人体制とフォーメーションが変わり、既存楽曲も1からのやり直しになったはずで、その都度ダンサーの中心に位置したMOAMETALさんは、過酷なレッスンとライブの日々を過ごしたのだと思います。
YUMETAL復帰は結局叶わず、Darksideは1年以上も続きました。
本当にDarksideが明けたのは、2019年7月6日のLegend-M-@ポートメッセなごやで、MOAMETALさんがイントロのギターをかき鳴らした「Shine」からでした。あのメロディを聴いたとたん、Legend-S-とLegend-M-が一瞬にしてつながりました。時空を超えて、巡り合った二人の女神の誕生をぼくらは目撃したのです。
MOAMETALさんがいなければ、BABYMETALはそもそも存在しなかったし、現在のBABYMETALがあるのは、さまざまな困難の中でも、常にSU-と共にいてステージを創り上げてきたMOAMETALさんのおかげです。
現在、世界は不可解なパンデミックと政治的対立の中にあり、BABYMETALのライブ活動は休止を余儀なくされていますが、必ずや近いうちに、MOAMETALさんがぼくらの前にあの笑顔を見せてくれる日がくると信じます。
あらためて、21歳のお誕生日おめでとうございます。

「10年のキセキ」の続き。
2018年ワールドツアー直前の5月7日に配信リリースされた「Distortion」のチャート成績は、以下のとおり。iTunes…日本総合1位、アメリカRockチャート8位
オリコン…週間デジタルチャート2位
Billboard Japan Hot 100…6位
Billboard World Digital Song Sales…2位
シングル曲のリリースは「KARATE」以来だったが、配信ジャンルでは日本でも世界でもランキング上位を占め、BABYMETAL健在が証明された。
2018年ワールドツアー2日目となる5月10日(現地時間)、テキサス州オースティン公演の2時間前、Alternative Press WEB版に、同誌のライターが、BABYMETALのアメリカでのマネージメントを行う5Bの担当者にインタビューした記事が掲載された。
それは「YUIはまだBABYMETALに在籍しています。ですが今回のUSツアーには参加しません。」というものだった。
この知らせに、待機列のBABYMETALファンは歓喜した。
広島での欠場は、もちろんアメリカのファンにも伝わっていた。だが、マネージメント会社が、まだBABYMETALのメンバーだというのだから、欠場理由は脱退ではなく、また、当初考えられていたインフルエンザなどでもなく、おそらく長期間の療養が必要な、何らかの疾病なのだろう。
それが肉体的なものなのか、精神的なものなのかはともかく、完治すればYUIMETALはまた、あの笑顔でファンの前に現れてくれるはずだ。第一、日本のアイドルは脱退する数カ月前に「卒業」を発表して大々的に卒業コンサートをやるのが習わしなんだろう?
これにより、YUIMETALの欠場を事前告知しなかったことがBABYMETAL批判に発展することはなく、ファンの中にはYUIMETALの健康状態を心配する声や、無理せずじっくり療養してほしいという声があふれ、Darksideのスタイルも、YUI不在で一時的にそうなっているのだろうという解釈に落ち着いた。そして、ファンの態度は、かつてのBABYMETALのイメージを愛しつつも、新しいBABYMETALのパフォーマンスを評価し、楽しむという方向にシフトした。
実際、2018年5月の段階で、水野由結がBABYMETALを脱退する意志を固めていたはずはない。
2019年6月に行われた「THE SUN ALSO RISES」がYUIの出身地である神奈川県の横アリで行われ、7月の「BEYOND THE MOON」がMOAの出身地である愛知県のPMなごやで行われたのは、YUIとMOAの20歳の聖誕祭を想定していたためと考えられる。
この事実は、YUIMETAL自身が脱退メッセージで書いたように、この二会場の使用契約がなされたであろう2018年下半期まで、復帰に向けて努力していた証拠である。
もちろん、SU-METALとMOAMETALも、遠く離れた日本で療養中のYUIMETALを思って、連日激しいパフォーマンスを続けた。年長で経験も豊富なサポートダンサーの存在は、二人にとって心強く、かつ大きく成長するきっかけになったのだと思う。


MOAMETALは、後のインタビューでこう語っている。
―引用―
(インタビュアー:フロントに立つようになったり、新たなダンサーが参加したことで、MOAMETALさんの表現に変化は生まれましたか)
表現の幅が広がったと思いますね。まず、ダンスを見直すことが増えました。これまで私は表現者、エンターテナーとしての意識のほうが強かったので、自分のダンスと向き合うことがあまりなかったんですね。だからアメリカツアーでひとつひとつの動きが大事なことに気付いたし、ダンサーさんを見習って必死についていかなきゃと思いながら練習していました。(『PMC Vol.13』P.29)
―引用終わり―
振り付けのMIKIKO師は、この時期のMOAMETALについて、こう語っている。
―引用―
もちろん、迷いや葛藤があった時期だというのは事実なんですが、その中でも「どうやって今までのBABYMETALをつないでいくか」ということを、ふたりはすごく一生懸命考えた時期だったんだろうなと思います。ダークサイドに関しては4人体制、7人体制と、その都度その都度編成もメンバーも違ったんですけど、サポートで入るダンサーたちに、各曲、自分たちの思っているイメージやこだわりみたいなのを伝える機会をなるべく作ろうとしていました。それまでステージ上であうんの呼吸でやってきたことを、新しい人が入ることで、今まで言葉にしなくてもよかったことを言語化する過程で、たぶん自分たちの中でも規律を作れた時期だったのかな。
(インタビュアー:MOAMETALのダンスについて)
それまでのBABYMETALは、小さいころから3人でずっとやってきていたから、それだけMOAMETALの身体の使い方はBABYMETAL独自の使い方になっていたと思うので。身体が変化する時期に大人のダンサーたちの身体のケアや動かし方を知る、いい時期だったんだと思います。(『PMC Vol.15』P.31)
―引用終わり―
だが、当の「大人のダンサー」=佃井皆美と丸山未那子の二人にとっては、人気絶頂のBABYMETALに、YUIMETALの代役として参加することは大変な決断だっただろうと思う。
しかも事前告知もなく、濃いメイクをしていきなりカンサスシティの舞台に立つのである。いくらスゴイパフォーマンスを見せても「BABYMETALらしくない」「YUIを出せ」と、批判の矢面に立たされる可能性もあった。
だが、二人は、瀕死のBABYMETALに力を与える助っ人として選ばれたことを誇りに思ってくれ、すべてを捧げてくれた。カンサスシティから神戸ワールド記念ホールまでの約半年間、BABYMETALを技術的にも、精神的にも支えてくれたのはこの二人である。
2018年ワールドツアー二日目、オースティン公演では、初日の緊張が解け、キャパシティが倍近くなったこともあって、パフォーマンスはより伸び伸びと行われ、四人の連動性も増して一体感がでていた。
セットリストは初日と同じで、新しいスタイルを象徴する4曲の新曲は2日目にしてライブの目玉になっていた。
そして、新曲ではないが、中盤に置かれた「紅月-アカツキ-」で、サポートダンサー二人の鬼気迫る殺陣から発せられるすさまじい「気」が、アメリカ人ファンの心を揺り動かした。
そこへSU-METALがあり得ないほどの声量を響かせる。SU-METALというシンガーは、ツアー2日目~3日目に、ものすごいパフォーマンスを見せることが多い。サポートダンサー二人の気迫に応えて歌い上げるSU-の口からは、パイロもないのに、客席に向かって炎が放たれているようだった。ゴジラか。
フィニッシュ曲「THE ONE Unfinished Ver.」が始まるとき、客席から「ベイビー、メートゥ」というコールが起こり、誰かが「We are so BABYMETAL!」と叫んだ。
「so+名詞」とは、「~が大好きだ」とか「~の味方だ」といった意味である。
アメリカ人の美点のひとつは、先入観にとらわれず、率直なことである。見たものを見たままに評価する。
YUIがいないことはみんな知っていた。その上で、練り上げられたDarkside仕様の BABYMETALのパフォーマンスを称賛していた。
観客が「♪ララララー」とシンガロングするとき、4人はキツネサインを高々と掲げた。
それは、「私たちこそ、今のBABYMETALなのだ」という誇りに満ちていた。
Darksideのアメリカツアーは、5月11日テキサス州ダラス@House of Blues、5月13日テキサス州ヒューストン@Revention Music Center、5月15日ジョージア州アトランタ@Tabernacle Atlanta、5月17日ノースカロライナ州シャーロット@The Fillmore、5月18日テネシー州ナッシュビル@Marathon Music Worksと進んだ。
ダラスでは、終演後のアメリカ人観客による「なんだ。結局最高じゃないか」というツイートが嬉しかった。
そして、5月20日、アメリカラウンドの最終日、オハイオ州コロンバスのMAPFRE STADIUMで行われたRock on the Range 2018を迎えた。
セットリストは以下のとおり。
1.    In the Name of
2.    Distortion
3.    Kagerou(仮称:Tattoo)
4.    メギツネ
5.    ギミチョコ!!
6.    KARATE
7.    Road of Resistance
神バンド:Leda(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、ISAO(G)
Rock on the Rangeは2015年以来。YUIとMOAの身体が急速に大きくなり、「飛べない身体」問題が発生していた時期だった。
あれから3年。2015年には3rdステージのErnie Ball Stage 16:20の出番だったが、2018年には最終日2ndステージのZippo Encore Stageのトリである。
ライブの模様は、X Liveで配信された。
開演前「One more three!」(もう一度3人で!)というコールがあったのは事実だ。だが、「Light and Darkness」で始まる「紙芝居」のナレーションに続いて、1曲目の「In the Name of」でキツネミミガウンをまとった四人が登場すると、その異様な雰囲気と気迫のこもった四人の眼差しに、ステージ前を埋め尽くした観衆は息をのんだ。


曲が始まると、リズムに合わせて「エイ!エイ!エイ!エイ」と声を上げ、キツネサインを掲げる観客もいる。
正直言って、夜7時過ぎとはいえまだ明るいステージに、ただ錫杖をトントンしたり掲げたりしているだけのオープニング・パフォーマンスは、観客が参加する隙がなく、間延びした感じも受けた。だが、曲が終わり「キーン」というハウリング音が途切れなく続き、その中を2曲目「Distortion」の「♪ウォーウウォーウウォーウウォー…」というコーラスが何度も響く。そこへガウンを脱いだ新コスチュームの四人が再登場して、イントロで次々にXポーズをして曲が始まると、観客は一気にヒートアップした。
「Give up, give up」と脅すグロウルに「Can’t stop the power」「Stop the power」「Caught in a bad dream」ときれいな発音でラップしたあと、「♪歪んだカラダ叫びだす」と歌い出したSU-の歌は驚くほど正確なピッチ。客席の中から撮影されたファンカムでも、すさまじい声量とピッチの正確さが確認できる。それに応えて観客は「♪ウォーウウォーウウォーウウォー!」と合の手を入れる。
間奏部のSU-の煽り。「Rock on the Range! Get ready to come with us! Scream and shout!」。
「私たちについて来て!」というSU-の呼びかけは、かつての「三人組」を期待する観客への答えだろう。
3曲目は「Kagerou」。フェスでSU-ソロ曲がセトリに入ったのは、2015年5月29日のRockavaria、5月30日のRock im Revierでの「悪夢の輪舞曲」以来で、この時以降、Rock on the Range2018、Rock am Ring 2018、Rock im Park 2018、Download Festival UK 2018の4つのフェスで「Kagerou」が披露された。


ダンサーはなく、振り付けもない。Legend-S-で歌の女神となったSU-METALは、Darksideの新しいBABYMETAL像のひとつとして、海外フェスの大観衆とたった一人で「勝負」したのだ。
4曲目は「メギツネ」。「キーツーネー、キーツーネー…」というSEが流れると観客は大興奮。考えてみればここで初めて既存曲になる。だが四人はキツネ面をつけず、新コスチューム姿のままだ。
「ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」というMOAの合いの手のボリュームが大きい。気合が入りまくっているのだ。客席はクラウドサーフの嵐になっている。
間奏部のSU-の煽り。「Hey, Rock on the Range! What’s up?」観客「Yeah!」SU-「We’re so happy to be back here again!」観客「Yeah!」SU-「Are you ready to jump?」観客「Yeah!」SU-「I can’t here you!Are you ready?」
「1,2,123!Jump!」で観客席はお祭り騒ぎになる。
続いて「Give me…Give me…」で「ギミチョコ!!」に突入。


イントロで四人の振りまわす腕の動きが大きくダイナミック。笑顔で「♪あたたたたーたたーたたたズッキュン」「♪わたたたたーたたーたたたドッキュン」を一人で歌い通すMOAの声も澄み切っている。
ギターソロはLeda神によるもので、原曲に忠実だが、ワーミーには荒々しさが加わっている。
「Hey,guys! Clap your hands!」と煽るSU-に観客が大歓声を上げる。
6曲目「KARATE」。澄み切ったSU-の歌声が響き渡る。「セイヤ、セセセ、セイヤ!ソイヤ、ソソソ、ソイヤ!」「押忍!」「ウォーウォーウォー」と歌うMOAの声に、観客が唱和する。もうDarksideとは関係なく、よりパワーアップしたBABYMETALの世界が薄暮のRock on the Rangeを支配していた。
フィニッシュは「Road of Resistance」。登場してきた四人が担ぐコロナ旗の角度はピッタリそろっていた。
湧きあがる「Wall of Death」の声に、ステージ前に大きなサークルが形成された。MOAの「1234!」に合わせて、曲が始まり、サークルモッシュが始まった。もちろんサーファーも途切れない。「♪さあ時は来たー」と歌い上げたSU-のピッチは完璧で、会場いっぱいに響き渡った。
「♪ウォーウォーウォウォー」のシンガロングはバンドストップバージョン。観客が大合唱する。
最後の「Get your FOX Hands U---p!」で観客はキツネサインを高々と掲げた。
YUI欠場、小神様急逝によって突入したDarkside初めての大規模野外フェスRock on the Rangeで、BABYMETALは、健在ぶりを立証した。