10年のキセキ(66) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日6月25日は、2014年、「ギミチョコ!!」MVのYouTube再生数が1000万回を突破し、2017年、KORN US ツアーナンパ公演@ Ford Idaho Centerが行われた日DEATH。

2017年9月26日、BABYMETALは巨大キツネ祭り@さいたまスーパーアリーナのステージに立った。
ぼくは幸運にもSSAの両日に当選し、初日は朝から物販待機列に並んだ。白キツネ祭り@Zepp Osaka Baysideの帰り、名古屋で下車して蟹江の山田酒造に行ったとき、その場にいたメイトさんとともに最愛半纏を注文してあったのが届いたので、当日はベビTの上にそれを羽織っていた。
10:30、動き出した物販列はすでにアリーナをぐるりと1周するほどの人数になっていた。
2017年のGuns N’ Roses、サマソニ、五大キツネ祭りでは、朝から並ばないとグッズがあっという間に売り切れてしまうということから、平日にもかかわらずこれだけの人数が集まったのだ。さいたまスーパーアリーナにはいくつかの会場形態があるが、巨大キツネ祭りはメインアリーナがライブ会場、コミュニティアリーナが物販会場になっていた。広大な空間には、クロークと18列のブースがあり、各ブースの奥にはグッズの段ボールが山と積まれていた。五大キツネ祭りまでのように開始30分で売り切れるということはなく、午後になってもほとんどのグッズが買えた。巨大キツネ祭り以降、BABYMETALのグッズを買うために、前夜あるいは朝一番で並ばなくてもよくなった。要するにBABYMETAL運営は、巨大キツネ祭りを機に物販を劇的に改善したのだ。
ただ、物販列に長時間並ぶことで、列n前後にいる方とお話しできたり、手作りグッズを交換したりできるという楽しみもある。この時にはハリウッド、オフ会、白キツネ祭り、山田酒造で出会ったメイトさんに再会することができた。ハリウッドでお話ししたコロンビアの少年メイトグループやイギリス人のリーさんもいた。
巨大キツネ祭りで改善された点はもうひとつ、海外でのテロ事件頻発を受けて、番号呼び出し→手荷物検査のあと、金属探知機による身体検査が行われ、チケットチェックイン→ブロック案内という流れになった。モッシュッシュピットの場合はその前にTHE ONE IDの顔写真&QRコードによる認証があり、スマホでこの画面が出せずに戸惑う方もいた。
開場は17:00。大きいチケット番号だったぼくが入場できたのは18:30だったが、さすがBABYMETALクオリティで、2万人を超える観客が大きな混乱もなく、定刻までにスムースに入場していった。
ぼくのポジションはアリーナ最後方のCブロックで、すでに人で埋まっていたので、今回は全体を見渡せるように、ブロック後方の柵にもたれて観戦することにした。
「Painkiller」「Battery」といったお馴染みのBGMが流れ、「演出の都合上、ライブ中は非常灯を消灯します」というアナウンスに続いて、19:07、客電が落ちた。
「BABYMETAL DEATH」の神秘的なプレリュードが流れると、シート席も含めて観客全員が起立し、「ウォー」という歓声をあげてキツネサインを掲げた。


「5つのメタルの魂が5匹の狐となり、5色の狐火となって舞い踊った夏…」
ステージ奥には5面の巨大スクリーンがある。それはMETALLICAのソウル公演に学んだものだ。そこに黒・赤・金・銀・白のマスクが映る。
「5色の狐火がひとつになり、THE ONEとなる。諸君、首の準備はできているか?」
という呼びかけに、全観客は一糸乱れず「Yeah!!!」と大歓声を上げる。
今回の舞台装置は、シンプルなエンドステージ構造で、ステージの上には十字架型のシーリングライトが吊られていた。客席への花道や島舞台はない。それだけに東京ドームや、Guns N‘ Rosesの京セラドーム、レッチリの前座で回ったNBAスタジアムのような巨大空間という感じがしない。観客はびっしりと埋まり、アリーナから見上げるレベル500の3階席も近く見える。
「さあ、巨大キツネ祭りの幕開けだ!」というナレーションに続き、ライブが始まった。
セットリストは以下のとおり。
1.    BABYMETAL DEATH
2.    ド・キ・ド・キ☆モーニング
3.    メギツネ
(神バンドソロ)
4.    ヤバッ!
5.    Amore-蒼星-
6.    4の歌
7.    シンコペーション
8.    META!メタ太郎
9.    イジメ、ダメ、ゼッタイ
10.    KARATE
11.    ヘドバンギャー!!
12.    Road of Resistance
13.    THE ONE English Ver.
神バンド:藤岡幹大(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、大村孝佳(G)
SU-、YUI、MOAの三人は、ステージ中央のスッポンから登場した。大舞台ならではのサプライズ登場である。
大観衆は、ひとつの生き物であるかのように、「B!A!B!Y!M!E!T!A!L!」と声を合わせ、「DEATH!DEATH!DEATH!DEATH!…」と叫び続ける。
『METAL RESISTANCE』をリリースした2016年は、TVでもたびたび取り上げられ、東京ドームにはのべ11万人が集まった。
だがそこから一転して、2016年末から2017年前半のBABYMETALはレッチリ、METALLICA、Guns N‘ Roses、レッチリ、KOЯNと続く「海外前座修業」に出てしまい、国内は「フィルムフェスツアー」と高倍率の小箱&性別・年齢・ドレスコード限定の五大キツネ祭りだけ。欅坂46と共演した2016年4月以来TVには出ないし、アイドル系の雑誌には取り上げられない。『ヘドバン』以外のメタル雑誌もライブレポートを掲載してくれない。
だが、それでも様々なきっかけでBABYMETALを好きになり、どうしても見たいというメイトが、伝説の2015年新春キツネ祭り以来のSSA、平日開催の巨大キツネ祭りに再び集まった。
要するに、巨大キツネ祭りは、2万人のメイトを集めた巨大な「小箱ライブ」だったのだ。
Cブロックでは、ギターソロパートで、早くもサークルピットができた。
「BABY、METAL、DEA---TH」で曲が終わり、SSAはキツネ様の結界で真っ赤に染まった。
そこへ流れてきたのは、カワイイ電子音と「おはようWake up」のSEだった。
2曲目「ド・キ・ド・キ☆モーニング」である。
BABYMETALのデビュー曲であり、2015年までは単独ライブで必ずセトリに入っていたが、『METAL RESISTANCE』がリリースされた2016年以降は出番が少なくなっていた。2017年にはハリウッドPalladiumと黒・赤・銀キツネ祭りで披露されたが、巨大キツネ祭りではSSA初日しか披露されなかった。そして結局これがSU-、YUI、MOAがそろった「ド・キ・ド・キ☆モーニング」の見納めとなった。
2010年11月28日の横浜赤レンガ倉庫から、さくら学院重音部としてTIFなどアイドルフェスでの披露も含めて、ぼくの集計では通算105回、三人は客前でこの曲を歌い踊った。BABYMETALが最初に海外で注目されたのも「ド・キ・ド・キ☆モーニング」MVだったし、パンテラ風のリフをカワイイアイドルソングのメロディに接ぎ木するという「アイドルとメタルの融合」を体現する曲だった。
もちろん巨大キツネ祭り初日の現場では、BABYMETALにその後過酷な運命が待ち受けていることなど予想できなかった。
3番が終わって三人が寝ころんだ瞬間、女性限定エリアから「キャー」という歓声が上がった。
デビュー以来7年が経とうとしていたが、あくびをし、眠そうな顔で起き上がり、「リンリンリン!」と歌い踊る三人は相変わらずKawaiかった。
ただ、白キツネ祭りでは気づかなかったが、YUIの身体がやや重そうなのは気になった。
2015年にYUI・MOAの身体が急速に大きくなったことで「跳べない身体」問題が起こり、一時期YUIは痩せすぎを指摘されたが、MIKIKO師の厳しい指導により、二人はアスリート並みの筋肉を身に着けることでよりパワフルなダンスを披露するようになった。しかし、2017年後半のYUIはそれ以上の問題を抱えていたのではないか。推測の域を出ないが、腰の痛みをカバーする薬剤の副作用が出ていた可能性もある。
暗転した場内に「キーツーネー、キーツーネー、私はメーギツネー」というSEが流れる。


五面のスクリーンが演出の一環として本格的に使われたのも巨大キツネ祭りの特徴だった。
鋭いまなざしで客席を見つめるSU-と狛キツネポーズをとるYUI、MOAがフラッシュのように映り、曲に入っても、ステージ上のポジションとは別に、スクリーンでの二人は五面のスクリーンを瞬間移動する。
「♪ここに生きーる~」と歌い上げるSU-の歌は驚くほど正確なピッチで、しかも表情を含めた表現力が上がっており、英語や煽りとともに、短い「ロス期間」でもトレーニングを絶対に欠かさないことがよくわかった。
場内は「ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」の大合唱、大ジャンプ大会となった。熱烈なメイトだけが集まる巨大な「小箱」ライブ、しかもキツネ様のお祭りなのだから、「モッシュ、ダイブ、連続してのジャンプなど、危険な行為は固く禁止いたします」という警告など守れるはずがない。
青山神がロカビリー風の「ズンタタ、ズンタ」というリズムを刻む。
藤岡神、大村神、BOH神、青山神とアドリブソロに続き、SU-、YUI、MOAが、ニコニコ顔で「うんパパうんパ」の手拍子を促しつつ入ってくる。
よきところで、シンセサイザーによるリフが入り、リズムはロカビリーからスカに変わる。4曲目「ヤバッ!」である。
2016年まで神バンドソロから入る曲は「Catch Me If You Can」「悪夢の輪舞曲」「紅月-アカツキ-」の3パターンだったが、2017年は1月のGuns N‘ Roses前座で「あわだまフィーバー」へつながるパターンが初披露され、巨大キツネ祭りで「ヤバッ!」へとつながるパターンが初披露されたわけだ。
五面のスクリーンに青い雲海が映り、両サイドの十字架照明が降りてくる。壮大なシンフォニーが流れ、レーザーライトが交錯する。
「♪愛ーの言葉…」という澄み切ったSU-の声が会場内に響き渡る。5曲目「Amore-蒼星-」である。
SU-は全身からオーラを放ちながら舞い踊る。やはりSU-には大舞台が似合う。この日のピッチは神がかり的でさえあった。ウェンブリー仕様で、いったん倒れてから転調してアカペラで歌い出すピッチも完璧。
アウトロのギターのダブルストップに合わせてフィニッシュを決めた瞬間、聞き惚れていた観客から怒号のような歓声と拍手が沸き起こった。
「♪しっしっししし、しししし」というSEが流れる。観客はすかさず「よんよん!」と応じる。東京ドーム以来の「4の歌」である。東京ドームでは残響音でリズムが合わなかったが、熱心なメイトだけの巨大な「小箱」であるSSAでは、2万人の観客が完璧にテンポを合わせて合いの手を入れる。
ここでも、巨大スクリーンが演出に使われていた。二人だけなので、中央を除いた四面で、YUIとMOAのポジションが瞬時に入れ替わったり、全面YUIになったり、MOAになったりした。
今回は、東京ドームのようにステージを走り回る煽りはなく、「よん」の数は音源通り合計88回だったが、やはりBBM楽曲とSU-ソロとのギャップは、BABYMETALの魅力の一つだった。
大スクリーンに心電図が映し出され、鼓動のSEが流れる。場内がうす紫色に染まり、赤いレーザー光が客席に向かって放たれた。心電図のパルスが速くなり、鼓動が高まると、あのかっこいいギターのリフが流れる。
7曲目「シンコペーション」である。
SU-の気迫のこもった表情や、ダイナミックに踊るYUI、MOAがスクリーンにアップになるが、三人とも髪が顔に貼りつき、汗が飛び散る。2017年待望の大規模ライブで気合が入りまくり、ダンスのシンクロ率やキレのクオリティが極限まで高まっていた。観客は「スキ!キライ!スキ!キライ!スキ!」と正確に合の手を入れてその情熱に応えた。
暗転した場内に「♪ドンドン!ドドン!」というドラム音が流れる。観客はすかさず「META!」と叫ぶ。
8曲目「META!メタ太郎」である。この曲が巨大キツネ祭りのハイライトだった。
東京ドーム以降、この曲は観客がシンガロングを待ち望む曲になった。『ヘドバン』では、「裏THE ONE的」な位置づけと評していた。
そして、SSAを巨大な「小箱」にしてしまった巨大キツネ祭りでは、観客は1番から「♪ウォーウォーウォーウォウォ、ウォーウォーウォー」と声を出すだけでなく、「♪ぶっ飛ばせ、メタ太郎!」の後、2万人が一糸乱れず敬礼振りを行った。
2番の後のシンガロングパートでは、SU-が「Everybody Singin!」と煽り、東京ドーム仕様で、転調せずそのまま大合唱が続いた。SU-が笑顔でイヤモニを外し、YUIとMOAも笑顔で観客にシンガロングを促す。
「♪君に届いているか仲間の声」「♪君の心のヒーロー呼び出せ」という歌詞が、2万人の心に沁み込んだ。
メイトにとって、BABYMETALこそヒーローだった。
巨大スクリーンに逆さフライングVの映像が映る。「紙芝居」に「Wall of Death」の文字が現れるとCブロックに巨大サークルピットが作られ、ぼくのいた後方柵まで逆圧縮が押し寄せ、身動きできなくなる。シート席からの情報では、アリーナには合計7つのサークルができたとのこと。
SU-の「♪あー」に合わせてステージ上をYUIとMOAが疾走すると、サークルは超高速で回転し始めた。ほとんど100メートルダッシュの速度。巨大キツネ祭り初日のサークルモッシュは、ぼくが見てきた中でおそらく最高速だったと思う。
観客が息を切らせた状態のまま、照明が青く変わり、三人が両腕を斜めに構える。ヘヴィなギターのリフが響くと照明は赤く変わり、三人が正拳突きの振りに入る。
10曲目「KARATE」である。
ここでも、初めての試みとしてステージの三人のライブ映像にスクリーンでCG加工が施されるシンクロ演出が行われた。気迫にあふれて踊る三人の体から可視化されたオーラが真っ赤な炎となって噴き出すという趣向。
三人が力尽きて倒れると、炎は消え、青い光に包まれる。SU-がいち早く立ち上がり、何かにすがるような表情をしたYUIを助け起こし、続いて泣きそうな顔のMOAを助け起こす。三人は肩を組み、アイコンタクトしながら、前へと歩き出す。そして、クライマックスでもSU-は「Everybody Jump!」と叫ばず、ラストシーンは握りこぶしをキツネサインに変えて掲げて胸に秘める残心のポーズだが、その一瞬前に照明を消してしまうという演出だった。
以降、SU-のアドリブハミング~スマホライト煽りはなくなり、以降、YUI欠場~脱退後もこのミニドラマ演出が「KARATE」のデフォルトとなった。
それは、このシークエンスが過酷な海外ライブツアーで戦うBABYMETALの心象風景であり、観客がその気持ちを共有して煽られてもいないのにタイミングを合わせてジャンプし、キツネサインを胸に秘める映像を心の中に描けるようになったからだ。
暗転後、雷鳴と不穏なオルガン、そして鐘の音…。11曲目は「ヘドバンギャー!!!」だった。五大キツネ祭りでは白キツネ祭り以外すべてセトリに入り、サマソニ2017でも披露された。それは当然12月のLegend-S-洗礼の儀の伏線だった。

だが、次の12曲目「Road of Resistance」で再び超高速サークルピットが発生し、SU-が「Come on さいたま!」と叫び、フィニッシュの「THE ONE」で、Wembleyと同じように万国旗が降られた後に、謎のような予告編が上映されるまで、広島で聖誕祭が行われることは、誰も知らなかった。
ライブ終了後、大スクリーンにモノクロの神殿のような建物と、XX、Ⅱ、Ⅲ、Ⅻ、MMXⅦといったローマ数字が映し出された。
そして「紙芝居」のナレーションで聴きとれたのは
「5つの扉すべてが開いた時、キツネ様の新たなるお告げの全貌が明らかになる」
「聖なる人が聖なる神へと生まれ変わるとき、Metal Resistance第Ⅵ章が始まる」
「三つ目の狐が現れ、ついに、あの聖地でイニシエーション、洗礼の義が行われる」
というものだった。
翌9月27日から10月14日-15日の大阪城ホールまで、「謎解き」が始まった。
(つづく)