10年のキセキ(62) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日6月19日は、2013年、2ndシングル「メギツネ」が発売され、TV埼玉『Hot Wave』に出演した日DEATH。

2017年6月18日、BABYMETALは、KOЯNをヘッドライナーとするThe Serenity of Summer Tourの出演者として、ニューメキシコ州アルバカーキのIsleta Amphitheaterのステージに立った。


ツアー自体は、6月16日のユタ州ソルトレークシティから始まっており、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、コネチカット州といった東海岸の都市や、カナダのトロントを経て、8月2日のオハイオ州クリーブランドまで続くもので、BABYMETALの出番はそのうち6月18日~25日の6公演だけだった。
6公演のうち5公演は、アンフィシアターと呼ばれる、ステージをすり鉢状に見下ろす形式の野外劇場で、いずれも収容人数は15,000人~20,000人クラス。だがBABYMETALの出番はまだ陽の高い時間だったため、ステージは酷暑との戦いになった。
セットリストは6公演共通で、
1.    BABYMETAL DEATH
2.    ヤバッ!
(神バンドソロ)
3.    Catch Me If You Can
4.    メギツネ
5.    KARATE
6.    ギミチョコ!!
の6曲。神バンドはハリウッドPalladiumと同じく、藤岡幹大(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、大村孝佳(G)のラインナップ。
「紙芝居」が始まったとき、1万5000人を収容するIsleta Amphitheaterは後方の芝生ゾーンまで8割がた埋まっていた。青山神が「♪ダダダダダダダン、ダダダダダダダン」とドラミングをスタートし、三人がフードをかぶって下手から登場すると大歓声が沸いた。BABYMETALは巡回ツアーであるSerenity of Summerに来場する観客にとって、お目当てのひとつなのだ。2016年のCBS『The Late Show with Stephen Colbert』出演で全米に知名度を上げ、APMAsのロブ・ハルフォードとの共演では「メタルの未来はここにある」と評された。
2年に渡って東海岸・中西部・西海岸をくまなくツアーし、主要なフェスにも出演してきた結果、Cuteで実力も十分なメタルダンスユニットBABYMETALは、アメリカの一般観客にとって、フェスのラインナップに入っていれば「必ず見たい!」と思うメジャーな存在になっていたのだ。
「ギミチョコ!!」「KARATE」の生演奏はテレビやAmazonネットで全世界に放映されたが、「ヤバッ!!」は初見の客が多かっただろう。日本語で意味は解らない。だが、YUI、MOAの腕振り行進や「♪あれどっち(トイ)これどっち(トイ)パーリラパーリラ、フー…」のヘンテコダンスから、口に手を当てる「♪ヤバッ」のフリは、単なるCuteではなく、コケティッシュだったり、Funnyだったりもする「Kawaii」の概念をアメリカ人に伝えるのに十分だったはずだ。
そこから一転して白塗りの神バンドによる超絶演奏、そこへ「ハイ!ハイ!…」と入ってくる三人のコンビネーションは、BABYMETALの魅力である「ギャップ」の極致で、レッチリツアーに続いて、Serenity of Summerでも、各会場を埋めた数万人の観客の中にファンベースを広げていった。
翌6月20日はカリフォルニア州チュラビスタのMattress Firm Amphitheater。
この日は、時差を無視すれば、言うまでもなくYUIMETALの誕生日だった。
「KARATE」の曲中、本来「How you feeling?」と語りかけるところ、SU-は「Today is the birthday of YUIMETAL」といい、YUIに向かって「Happy Birthday」と言った。観客からは拍手と歓声がわき起こり、YUIは赤くなって「Theはにかみ」という表情を見せた。

曲が終わって、「Road of Resistance」に向かう前、三人が水分補給をするために後ろを向いた瞬間、上手側にいたMOAが感極まって泣いてしまい、その背中をSU-がさすっていたのも印象的だった。
今思えば、このツアーがYUIMETAL最後の海外ツアーとなった。
翌6月21日の会場は、6公演中唯一の屋内会場であるカリフォルニア州イングルウッドのThe Forumだった。


もちろんここは、2019年10月11日、新生BABYMETALのアメリカ初の単独スタジアム公演、3rdアルバム『METAL GALAXY』のリリースライブを行ったあのThe Forumである。
ぼくの勝手な妄想だが、YUIMETAL最後の海外ツアーとなったSerenity of Summerで回った唯一の屋内大会場だったThe Forumを、アベンジャーシステムで新三人組になり、史上最長の2019年全米横断ツアーの目標地にしたのは、そこからすべてをリスタートする「約束の地」だったからではないか。
2017年12月、神バンドが黒いコスチュームに変わったLegend-S-洗礼の儀@広島グリーンアリーナでYUIの欠場が発表され、2018年1月8日に藤岡幹大神の逝去が発表された。2018年5月からの欧米ツアーはDarksideの姿で4人体制~7人体制となり、Galactic Empireをゲストに迎えた10月のジャパンツアー幕張メッセ開演直前にはYUIMETALの脱退が発表され、ネットで「オワコン」と評する声まであった。
2019年6月にアベンジャーシステムと3rdアルバムのリリースが発表されるまで、BABYMETALは苦難の道を歩んだ。
だから。
家で飲みながら見る『LIVE at THE FORUM』冒頭の「DA DA DANCE」で、いつもぼくは泣いてしまう。
THE FORUMはYUIMETAL最後の海外ツアーとなった2017年6月以来の「約束の地」だ。
モノクロの「FUTURE METAL」は、2016年にロブ・ハルフォードに評された「遠い未来」。
そして、イントロが繰り返され、会場が真っ赤に燃え上がり、「BABY、BABY、ベイビーメロッ、フォーッ!」と曲が始まる。演奏するのはGalactic Empire主体の銀河神バンドで、YUIMETAL脱退に揺れる2018年10月にジャパンツアー~Dark Night CarnivalでBABYMETALを支え、2019年には史上最長の全米横断ツアーを共に戦った。その黒いコスチュームは、2017年12月の広島以来のものだ。
「♪轟け愛のレクイエム」とは「鎮魂歌」のことであり、藤岡神にもヴィニー・ポールにも向けられている。
そしてTak. Matsumotoのギターソロの後、「♪もう迷わない誓いを両手に かがやけ愛のDA DA DANCING QUEEN!!」と歌い上げる瞬間、SU-はキツネサインを高々と掲げる。
このオープニングには、SU-とMOAの2年間のすべての思いが込められているのだ。
だがそれはまだ先のお話。
Serenity of Summerツアーは、6月22日、マウンテンビュー@Shoreline Amphitheater、6月24日オーバーン@White River Amphitheatreを経て、6月25日、アイダホ州ナンパのFord Idaho CenterでBABYMETALの出番を終えた。
最終日、フィニッシュ曲の「ギミチョコ!!」には、普段からESPの7弦ギターを愛用しているKOЯNのギタリスト“Head”ウェルチと、帯同している写真家兼ボディガード兼フィジカルトレーナーDonV氏がEⅡ-FR-7を持って共演した。


こうして、東京ドーム後、レッチリUK、METALLICA、Guns N’ Roses、レッチリUS、KOЯNと続いたBABYMETALの海外大物バンド前座修業ツアーは終了した。
(つづく)