武漢ウイルス禍総括(3) | 私、BABYMETALの味方です。

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★今日のベビメタ
本日6月15日は、2015年、「Metal Hammer」誌の「Golden Gods」2015で「Break Through」賞を受賞した日DEATH。

5.安倍政権の防疫政策の評価

2020年6月15日現在、2人以上の武漢ウイルス「感染者」が出た222か国・地域のワーストランキングは以下のとおり。




「水際対策」「積極的疫学調査」「日本モデル」「全国一斉休校」「コロナ特措法」「緊急事態宣言」…。
プロセスはともかく、これが「結果」である。
日本は、PCR検査数で51位、感染確認者数で42位、死者数で34位であるから、222の国・地域の中では比較的ワースト上位5分の1~4分の1にランクされる。
ただ、この表に挙げたアメリカ、ロシア、ブラジルといった国はけた違いの数値になっており、より正確な国際比較ができる10万人当たりの数値で見れば、感染確認者数167位、死者数118位なので、GDPで3位、人口で10位の日本がこれだけの被害に抑えられたのは、国および保健当局の防疫政策がおおむね正しかったことを示している。
この場合の国・保健当局とは、安倍政権と厚労省と専門委員会のことである。色々と不満はあるだろうが、他国に比べて軽微な被害に抑えた事実はちゃんと評価しなければならない。
その上で、他国に比べて「死者数が少ない」ということに関しては過大評価してはならないとも思う。
日本の死者は、実数で1,000人足らず、10万人当たりでは0.7人、118位であるが、この順位は222の感染国・地域の真ん中あたりである。ということは、全世界の半分の国・地域では、日本より低い死亡率だったということだ。
世界一の人口を持つ中国や、第二位のインド、経済大国のアメリカやイギリス、EU諸国、ロシア、ブラジルといった主要国で「感染者」が大量に出て、「武漢ウイルスによる死者」が43万人を超えたというが、その症例確定基準や死亡診断基準は、実は各国まちまちである。
繰り返しになるが、各国ともインフルエンザや風邪によって併発する肺炎の死者は高齢者の死因の上位にあり、アメリカCDCの死亡診断基準では、「今年の肺炎による死者はすべて武漢ウイルスの死者」と診断される。
それでも、19019-20年のスペイン風邪(H1N1型インフルエンザ)では、全世界で1,700万人~5,000万人の死者が出たことを考えれば、武漢ウイルスの危険性は、それとはまったく比較にならないほど少ない。
日本の死者が少なかったのは、インフルエンザや風邪による肺炎に対する早期治療体制が整っていたからである。
言い換えれば、欧米諸国のようにパニックになってPCR検査を乱発した挙句、医療崩壊を招き、「肺炎の死者はみんな武漢ウイルス」というような無茶な死亡診断をしなかったからに他ならない。
ここでは、東アジアの沿岸部でSARS-Xによる土着風邪ウイルスによる抗体ができていたという仮説や、BCGの予防接種による抗体が有効だったという仮説についてはとりあえず論じない。
前掲表を見ると、PCR検査数が多い国は感染確認者数が多いことに気づく。
これをもって、「日本の感染者数が少ないのは、PCR検査数が少ないからだ」とか「肺炎の死者の中にもPCR検査をやれば武漢ウイルスの感染者がいる」とかいう人がいる。
それがどうしたというのだ。
インフルエンザ、風邪から併発した肺炎、呼吸器疾患の死者は、わが国では毎年10万人近くいたし、アメリカでも50万人いた。
だが、高齢者が肺炎から多臓器不全を引き起こして亡くなるのは、悲しいが世の常ではないか。マスコミは、そのことに大騒ぎしてはこなかった。現にぼくの母も2月にそうして亡くなった。
インフルエンザによろうが、肺炎球菌によろうが、マイコプラズマ球菌によろうが、武漢ウイルスによろうが、肺炎は肺炎だ。
問題は「感染者の数」ではなく「死者の数」である。交通事故や癌や心臓病や、食べ物をのどに詰まらせて死ぬことや、お風呂で溺れて死ぬことまで、さまざまな死亡リスクがある中で、「武漢ウイルスで国民が死亡する確率」こそ、国民が警戒すべきかどうかの判断基準とするべきだ。
「武漢ウイルスの感染者数」を大げさに取り上げて大騒ぎするのは、そこにどうしても政権批判に結びつけたい意図があるからだろう。

6.    武漢ウイルスの政治化

武漢ウイルス禍のもう一つの側面は、単なる感染症ではなく、政治化したということだ。
総括する際にはこのことを外すわけにはいかない。
中国湖北省武漢市で新型コロナウイルスが発生した際、中国共産党は、それが政権の傷になるのを恐れて隠蔽しようとした。それがそもそも政治化の発端だった。
武漢ウイルス研究所で作られた生物兵器だったかどうかはどうでもよい。アメリカだって、ロシアだって生物兵器を研究していないはずがないし、それが研究所の外に漏れだすリスクは常にある。


問題は、武漢市で感染が広がった2019年12月初旬の時点で、直ちに情報を公開し、国際的な支援を仰がなかったことだ。今更タラレバを言っても仕方ないが、地震や台風といった自然災害のように人間が制御できないことが起きたら、国民を救うためにあらゆる手を尽くして人道的・国際的な支援を要請するのは体制の如何に拠らず為政者の義務だ。
しかし、習近平政権はそうしなかった。
中国共産党は、社会主義独裁体制を貫くために、宗教団体を弾圧し、少数民族を再教育キャンプで虐殺し、民主化を求める香港市民の権利を踏みにじり、台湾へ武力侵攻する姿勢を強めてきた。
少しでも統治能力の欠如を露呈すれば、国民や国際社会から指弾される。力で抑え込んできたから、一度タガが外れれば政権が転覆する。
そのことへの恐れが、武漢ウイルスの流行を最初は隠蔽し、隠せないとわかると1月23日に武漢市を物理的に封鎖し、2月末になると習近平の大号令で「感染者」や「死者」のデータを出さないようにし、3月以降は「早期に抑え込んだ」ことを国際社会に宣伝するとともにいわゆる「マスク外交」を行う原動力になった。
しかしこういう中国の武漢ウイルス禍の政治化は、3月以降に「感染者」が激増した自由主義諸国の不信と反発を生んだ。
武漢ウイルス流行前から、中国の「戦狼的外交」(War Wolf)は問題になっていた。
チェコでは、台湾を訪問しようとしていたクベラ上院議長が急死し、自宅に中国外交部からの脅迫状が届いていたことが武漢ウイルス禍の広がりとともに明るみに出た。これを受けて、プラハ市は北京市・上海市との姉妹都市を解消。バビス首相が中国大使の国外退去を要求する事態となった。
スウェーデンでは、中国で行方不明になったスウェーデン国籍を持つ中国人作家に、市民団体が昨年11月、言論・出版の自由を象徴する「トゥチョルスキー賞」を与えたことに対して、中国大使がスウェーデン政府やマスコミに威圧的な言動を繰り返した。これによりスウェーデン国民の反発が強まり、中国との姉妹都市解消や大学での孔子学院閉鎖が相次いだ。
武漢ウイルスの感染が広がると、WHOのテドロス事務局長は、常に中国政府の意向に沿った言動を繰り返した。テドロスは、中国からの財政支援を受けたエチオピアの保健大臣で、世界各国が中国からの渡航制限をかけ始めると、テドロスは「渡航制限の必要はない」と言い、中国が感染を「収束」させたタイミングで「パンデミック」を宣言した。PCR検査をスクリーニング的に用いるべきではないというWHOの公式見解に反して、記者会見で「Test, test ,test」と発言し、あとから訂正されたこともあった。本来は政治体制の如何によらず、人類共通の疫病に対する組織だったはずのWHOは、テドロスの存在によって政治化されてしまった。
甚大な被害が出たアメリカのトランプ大統領が中国の責任を追及する発言を繰り返すと、中国外交部の担当者は「新型ウイルスは武漢発祥ではない」「ウイルスは米軍が持ち込んだ」と西側諸国に向けてツイートし、発祥地の責任を否定した。もちろんこれは共産党中央の指示によるものだ。


オーストラリアのモリソン首相は、中国政府に対して武漢ウイルスに関する国際調査を要求したが、中国政府はオーストラリアの4か所からの食肉の輸入停止と豪州産大麦に高関税をかける措置を発表した。
こうして、武漢ウイルス発祥の地としての責任を一切否認し、国際社会の介入を拒否し、「共産党体制の勝利」を自画自賛するばかりの中国の姿勢は、被害を受けたあらゆる自由主義諸国を敵に回すことになった。
重要なことは、これらはすべて、中国共産党政権が社会主義独裁体制を守るためのハリネズミのような防衛機制の一環だということだ。
その防衛機制は、表現の自由が保障された自由主義諸国の内部にも及んだ。
欧米や日本では、いわゆるリベラルやレフトの人々によって、武漢ウイルス禍が政権攻撃の材料に使われた。
「感染者」「死者」が増えてくると、政権の防疫政策がなっていないからだと批判する人々が現れた。日本では、安倍政権の防疫政策が最低だと、わざわざ英語でニューヨークタイムスに寄稿した大学教授もいた。
だが、どう見ても「感染者」が少なかった日本では、「国民全員にPCR検査をやらせろ」という意見を述べる「専門家」がメディアを独占した。何度でもいうが、PCR検査では偽陽性が大量に発生する。偽陽性を含んだ「感染者」が増えれば、政権攻撃の材料になる。
中国は「マスク外交」の一環として、3月初旬以降、EU各国にPCR検査キットを大量に提供し始めた。EU各国の「感染者」数が爆発的に増えていくのは3月10日以降である。
日本でも中国製の「簡易検体キット」を売り出す「繊維会社」が現れた。中にはハッキリと「中国から提供された検査キットを使え」と指定して、デタラメな陽性的中率/陰性的中率の表を得意げにSNSにアップする「内科医」もいた。前述したようにメディアはウソの情報を流してまでPCR検査を増やすように煽った。
こうした事情はアメリカでも同じだったはずで、2479万件という世界一のPCR検査に使われたキットのほとんどが中国製だった。4月に入って韓国製も一部輸入されたが、7割が不良品だった。
ひとつひとつの事例を証明する能力はぼくにはない。
だが、2月末に武漢ウイルス禍を「収束」させたあと、中国はPCR検査キットを世界中に売り、PCR検査を多くやった国ほど「感染者」が出た。
そして、大統領選挙を控えたアメリカなど、政治的対立がある国では、いかに現政権が無策であるかを示すために、さまざまなメディアが武漢ウイルスの危険性をこれでもかと煽り、「今年亡くなった肺炎の死者はすべて武漢ウイルスによるもの」にされたのではないか。
武漢ウイルスの「パンデミック」とは、「インフォデミック」であると同時に、「PCRデミック」「チャイナデミック」だったのだ。政治化するのは必然だったかもしれない。
繰り返すが、SARS-CoV2(武漢ウイルス)そのものは、インフルエンザより感染力が低く、8割の患者が肺炎を併発せずに自然治癒するし、肺炎を併発しても早期に治療できれば完治する感染症である。
したがって、2019年12月初旬の段階で、世界中の感染症対策の専門家が武漢市に入り、感染経路を把握し、有効な対策を講じれば、これほどの世界的な広がりになることはなかったはずである。
情報統制、物理的都市封鎖、PCR検査の過信という浅はかな政治的対応が、武漢市民をパニックに陥れ、医療崩壊と、決死の「武漢地獄」のSNS発信を生んだ。そして、中国共産党政権のハリネズミのような防衛機制は、現在に至るまで事態をさらに悪化させ、米中対立―第三次世界大戦の火種になっている。
(つづく)