10年のキセキ(59) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日6月12日は2015年、Download Festivalのドラゴンフォースのステージに上がり、「ギミチョコ!!」を共演した日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計
・世界 感染確認者7,318,329人>死者415,097人
・日本 感染確認者17,292人>死者920人・退院15,383人・要入院981人>重症88人
●10万人当たり
・世界 感染確認者94.86人>死者5.38人
・日本 感染確認者13.67人>死者0.73人
出典:厚労省「新型コロナウイルスの現在の状況について」(6月11日12:00現在)

Guns N‘ Rosesの4公演が終わっても、国内単独ライブのスケジュールが未だ発表されない2017年3月1日、『Live at Tokyo Dome』の全国18劇場でのプレミア上映と、Legend “I,D,Z”からの15作品を全国5都市で連続上映する「フィルムフェスツアー」の開催が発表された。
フィルムフェスツアーの上映作品にはTHE ONE限定の「新春キツネ祭り」(2015年)や、「APOCRYPHA THE BLACK MASS & THE RED MASS」(2015年)が含まれ、メンバーのインタビューが載ったオリジナルパンフレットや復刻版Tシャツも販売されるというもので、各会場とも9日間にわたって映像作品でBABYMETALの歴史をたどることのできる企画だった。
3月7日、KOЯNをヘッドライナーとし、SlipknotのボーカルCorey Taylorの別バンドStone Sour、Skillet、Yelawolf、Islander、DEDと共に巡回するUSツアーの5公演に、BABYMETALが出演することが発表された。レッチリ、METALLICA、Guns N’ Rosesほどの知名度があるわけではないが、KOЯNもStone Sourも当代アメリカのメタルシーンの中心を担うバンドである。
この時点でも、まだBABYMETALの単独ツアースケジュールは発表されておらず、2017年は1月のMETALLICA、Guns N‘ Rosesに続いて、4月のレッチリ、6月のKOЯNと「前座修業」ばかりが先行し、国内の予定はフィルムフェスツアーだけである。メイトは4月1日FOX DAYまで待ち続けなければならないという歯がゆさを抱えたまま日々を過ごした。
3月25日、2017年度最初のBABYMETAL単独公演となる「BABYMETAL US TOUR 2017 SPECIAL HEADLINE SHOW IN LA」が、6月16日にアメリカ・ロサンゼルス・ハリウッドで行われることが発表された。
KOЯNツアーに参加する前の設定であり、結局2017年は、海外での単独ライブはこれだけだった。
4月2日、KOЯNツアーが終わった7月からの五大キツネ祭りの開催が発表された。
FOX DAYから1日ズレたが、メイトにとっては待ちに待った国内ツアーである。


五大キツネ祭りとは、Metal Resistance第五章に因み、男性限定の黒キツネ祭り、女性限定の赤キツネ祭り、若者限定の金キツネ祭り、高齢者限定の銀キツネ祭り、白塗り限定の白キツネ祭りの5形態を、東京、大阪、名古屋の3都市で順次開催するものだった。
2015年にももクロの太宰府男祭りで物議を醸した性別・年齢限定ライブの極致といえる形態で、2017年5月に『ナカイの窓』(TBS)でマキシマム・ザ・ホルモン、Gacktとともに「限定しすぎライブ」を行うアーティストとして取り上げられたりもした。
同時に、THE ONEメンバーの中から、金・銀・黒・赤・白の「キツネ戦士」が各1名選ばれるというイベントも行われた。

2017年4月12日、BABYMETALはRed Hot Chili Peppers US Tour 2017初日、ワシントンDC@Verizon Centerのステージに立った。
セットリストは以下のとおり。
1.    BABYMETAL DEATH
2.    いいね!
(神バンドソロ)
3.    あわだまフィーバー
4.    メギツネ
5.    KARATE
6.    ギミチョコ!!
神バンド:藤岡幹大(G)、BOH(B)、かどしゅんたろう(D)、Leda(G)


今回のツアーでは、基本的にこのセトリだが、4月15日のローリー、4月22日のリトルロック、4月24日のジャクソンビルだけ、2曲目が「ヤバッ!」、3曲目が「Catch Me If You Can」に代わった。
「KARATE」の間奏部で、SU-が「Turn on your phone light.」と語りかけ、観客が一斉にスマホのライトを点灯する光景が出現した。Guns N’ Rosesのライブに学んだともいわれるが、NBCやNHLの試合に使われる2万人超のスタジアムを巡る今回のレッチリUSツアー各会場で行われたこの「スマホライト煽り」は、タイミングよく発売された『Live in Tokyo Dome』の再現といえた。
レッチリのツアースケジュールが発表された1月、その中に、妹が住んでいて、前年もCarolina Rebellionで訪れたノースカロライナ州シャーロットのSpectrum Centerがあったのを見たぼくは、再び渡米することを決めてチケットを取った。
乗り継ぎのデトロイトでThe Filmoreを見学したりしつつ、前日にシャーロットに到着し、日曜日にはメガチャーチを体験したりして、いよいよ当日4月18日の開演3時間前にSpectrum Centerのドアの前に並んだ。


海外全通組のPAPI-METALさんとITCHIE-METALさんがいらっしゃったのでお声がけして色々お話しさせていただいた。
アリーナには折りたたみ椅子が設置されており、ぼくのシートはステージから15メートルほどの位置で、ライブが始まってスタンディングになれば前列付近まで行けるポジションだった。
オープニングアクトにはレッチリのオリジナルドラマーのジャック・アイアンズのドラムショーがあり、その時点では観客は6割程度の入りだったが、BABYMETALが始まるころには8割方埋まった。
アメリカ国籍を取得し、もう30年以上滞米している妹によれば、レッチリは日本でいえばサザン・オールスターズのように誰でも知っている国民的バンドであり、旦那の妹の娘(女子大生)は、前日ローリーでレッチリ&ベビメタを見たとのことで、旦那のお母さん(80歳)も、『The Late Show with Stephen Colbert』を見て、BABYMETALを知っていると言っていた。
7時50分過ぎ、BABYMETALのバックドロップが上がる。
「紙芝居」に続いて「BABYMETAL DEATH」が始まり、上手からBABYMETALが登場すると、ジャック・アイアンズの時、座ったままだった周りの観客が一斉に立ち上がった。Carolina Rebellionから1年、シャーロットでのBABYMETALの知名度と人気は、日本で考える以上に相当高い。ジャンルは違うのに、レッチリがBABYMETALを気に入り、イギリスに続いて帯同していることも確実にプラスに働いていると思った。
2曲目の「いいね!」では、SU-METALの手慣れた煽りに驚愕する。
「What’s up, Charlotte?」「Make some noise!」「Say Hoo!Say Hoo!Cha-r-lotte!Cha-r-lotte!」「Put your Kitsune U----P!」からのYUI、MOAの「きつねだお!」の声がスタジアムに響き渡る。三人ともパワフルかつキレキレのダンスを見せる。
神バンドのソロ。ドラムスのかどしゅんたろう神はその時が初見だった。大阪と同じく「あわだまフィーバー」につながるロカビリーのリズムだが、青山神よりひとつひとつの音が重く、パワフルな印象。藤岡神はコード進行を無視したアウトスケールな速弾きを展開し、Leda神がソロ後半に「Californication」のメロディを奏でると、レッチリファンから大歓声が上がった。
スタジアムに「さくらさくら」のメロディが流れ、ヘヴィなリフから、「メギツネ」が始まる。海外で聴くと、やはり「メギツネ」は、つい身体が反応してしまうという意味で「日本的ファンク」という感じがする。
間奏部のSU-の煽り、「Hey!Charlotte!…On the count of Three, Let’s jump up with the Fox God. Are you ready?」からの「1,2,123!Jump!」に続いて、YUI、MOAが「ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレ!」と煽ると、立っている人はほぼ全員軽くジャンプし、首を上下左右に振り、動かずにはいられないようだった。
熱狂から一転し、「KARATE」のヘヴィかつゆったりしたイントロが始まる。このリズムにも観客の頭がゆらゆらと動いている。
間奏部。SU-の煽りは、ぼくが聴きとった限り以下のとおり。
「How you feeling tonight?How you feeling tonight, Charlotte!」
「Take your phone out. Slide down and turn on light.」
強弱をつけ、観客と対話しながら、ライトを点けさせる。
「Did you turn on your light?」
ライトが場内に広がり始めると、それを見渡して、
「Oh beautiful!I wanna see more!Give me your light!」
と言い、無数の光が瞬く中で、ハミングが始まる。
「♪ウォー~ウォオウォオーオーウォー~」というアドリブのメロディは、1年前のCarolina Rebellionより洗練され、スムーズになっている。後半の「♪ウォオーウォオーウォオー」になるとSU-は「Sing it!」と命じる。YUI、MOAは手を左右に振り、一緒に生声で歌う。その動きに合わせて、会場のライトも揺れ、シンガロングはどんどん大きくなってくる。
そして「Everybody Jump!」。
観客のほとんどがジャンプしていた。やはり、BABYMETALはLive Bandである。Kawaii METALとして話題性が先行しても、ライブを見ればその実力で観客を感動させてしまう。「音楽に国境はないんだなって思います」というSU-やMOAの言葉は、文字通り真実なのである。

翌日のシャーロットの地方紙には、BABYMETALのライブが大々的にレポートされていた。


フィニッシュは「ギミチョコ!!」。
かどしゅんたろう神のドラミングは、銀河神バンドのドラムスよりさらに荒々しくパワフル。ギターソロパートでは、ギターと張り合っているように響いた。
間奏部では、SU-が観客とやりとりする「手練れ感」がすごかった。
SU-「Are you all enjoy yourself?」観客「Yeah!」
SU-「We thank for Red Hot Chili Peppers!」「Let’s get the party started with us!」観客「Yeah!」
MOA「I can’t hear you!」観客「Yeah!」
YUI「Make some noise!」観客「Yeah!」
SU-「Let’ get ready to sing Chocolate, OK?」観客「Yeah!」
SU-「♪Give me my Chocolate, Chocolate, Chocolate, Sing it!」
観客「♪Chocolate, Chocolate, Chocolate!」
SU-「♪Give me my Chocolate, Chocolate, Chocolate, Sing it!」
観客「♪Chocolate, Chocolate, Chocolate!」
レッチリUKツアーから、発音しにくい「C!I!O!(ちぇけら)」が「Give me my」に代わり、「チョチョチョ」が省かれて歌いやすくなり、観客はニコニコ顔で大合唱していた。
いつものように「We are?」「BABYMETAL!」のC&Rの後、SU-はちゃんと「It’s time to Red Hot Chili Peppers!」とメインアクトへの橋渡しをし、三人は「See You!」でスッと背過ぎを伸ばし、ステージを去っていった。会場は割れんばかりの大歓声と大拍手でBABYMETALを見送った。
ベビメタTを着ていたぼくが出口へ向かうとき、すれ違うアメリカ人に「BABYMETAL, Great!」とか「Good Job!」とか声をかけられ、果ては、ライブを見て感動したらしい大男にハグされた。還暦まであと3年という年齢だったのに、日本から来た若者に見えたのだろうか。
(つづく)