10年のキセキ(58) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日6月11日は2015年、『Kerrang!』Awardsの「The Spirit of Independence Award」を受賞し、2016年には、Download Festival in Parisに出演した日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計
・世界 感染確認者7,186,650人>死者409,913人
・日本 感染確認者17,251人>死者919人・退院15,298人・要入院1,026人>重症91人
●10万人当たり
・世界 感染確認者93.15人>死者5.31人
・日本 感染確認者13.64人>死者0.73人
出典:厚労省「新型コロナウイルスの現在の状況について」(6月10日12:00現在)

2017年1月21日、BABYMETALはGuns N’ Rosesの「Not In This Lifetime World Tour」日本公演初日、Special Guestとして京セラドーム大阪のステージに立った。
早朝に自宅を出て東京駅から新幹線に乗り、新大阪から環状線で大正駅についたのは11時過ぎ。ドームへ向かう途中で急にお腹が空き、よせばいいのにきつねうどんとお稲荷さんを食べたのがまずかった。11時30分ごろドーム地下の物販待機列に並んだのだが、13時過ぎに列が動き出し、ようやくデッキに出て、テント前まで来たところで、Tシャツが売り切れてしまった。あと30分早く並んでいたら買えたかもしれない。
この頃はグッズ販売の際のチケットチェックがなく、購入点数制限もなかったので、早朝から並んでいる人たちにグッズが買い占められ、オークションサイトに出展されるという事態が横行していた。
さらに高尺SKYドームも京セラドームもBABYMETALの主催公演ではないので、キャパシティに応じた数のグッズは用意されないのは当たり前なのに、実際には来場者の相当高い比率でBABYMETALファンが来てしまうということもあるだろう。
いずれにせよ、ぼくは早朝から並ぶ根性がないばっかりに、METALLICA、Guns N’ Rosesとグッズ購入二連敗である。
開演まではだいぶ時間がある。ドーム内に入ることができたので、バーで時間をつぶしているとドーム内でリハーサルをやっている音が聴こえてくる。これはどの会場でも同じで、BABYMETALは開演4~5時間前にリハーサルをやるから、建物の外にいると、その日に演奏される曲目や、ソロのフレーズからギタリストがわかることがある。この日は「Catch Me If You Can」の前にやるはずの神バンドソロが「あわだまフィーバー」につながるのがいつもと違うようだ。さらに「イジメ、ダメ、ゼッタイ」をやることがわかった。
実際のセットリストは以下のとおり。
1.    BABYMETAL DEATH
(神バンドソロ)
2.    あわだまフィーバー
3.    メギツネ
4.    ギミチョコ!!
5.    KARATE
6.    イジメ、ダメ、ゼッタイ
神バンド:Leda(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、藤岡幹大(G)
ぼくのチケットはシート席だったので、正面に近い三塁側内野席で、全体が見渡せた。
東京ドームより一回り狭い空間で、ステージは外野のバックスクリーン前に設置されている。スクリーン手前の高いステージから左右に曲線を描いて階段がメインステージ面に降りている。
ほぼ定刻どおりに客電が落ち、ステージのスクリーンにBABYMETALのロゴが大写しになると、場内から大歓声が上がる。
「紙芝居」が始まる。いつもの「A Long time ago, in a Heavy Metal Galaxy far, far away…」から「Are you ready?」に客席から「Yeah!!!」の大歓声。ソウルではこの瞬間が見られなかった。


「It’s time for Metal Resistance with BABYMETAL…METAL…METAL…」から、シンバル4つ打ちに続いて、「BABYMETAL DEATH」が始まる。
三人がいつものようにフードを深くかぶって上手から登場する。大歓声。
神バンドは、ソウルをお休みした藤岡幹大神、BOH神が復帰し、Sonisphere 2014メンバーである。
京セラドームいっぱいに、「B!A!B!Y!M!E!T!A!L!DEATH !DEATH!…」のベビメタ体操がこだまする。これだよこれ。東京ドーム以来の鳥肌が立つ。
キーンという「キツネ様の結界音」が響くと、青山神が「♪ズンタタズンタ、ズンタタズンタ」という警戒なロカビリー風の8ビートを刻み始めた。「Catch Me If You Can」のリズムではない。BPMも速い。
ソロは下手に位置したLeda神から。上手の藤岡神は黒いEⅡHorizon FR7ではなく、シグネチャーモデルのサーモンピンクのESP Snapper7である。BOH神がぶっ速いスラップベースを聴かせると藤岡神が下からはやし立てるように見上げる。正確無比な青山神のドラミングは、ソウルで見たラーズ・ウルリッヒの対極で、やっぱりBABYMETALには、この人のドラムが不可欠だと感じる。
「ハイ!ハイ!」と入ってきた三人は満面の笑顔。だが、「♪ワン、ツー、1234!」からは「バットマン」のようなリフから電子音で三人が両手で輪を作る「あわだまフィーバー」になった。


サポートアクトだが、これは新展開だった。
ぼくの回りのシート席は、座っている人の方が多かったが、前の席にいたメギツネさんは、「♪あーイェイ!」と盛り上がっていた。
次は「メギツネ」。イントロの和楽器に続いて、ピッキングハーモニクスが「キーン」と響き、三人がパワフルに「ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」と踊れば、東京ドームのお祭り状態の再現となった。
間奏部でSU-は「C’mon、京セラドーム!Here comes the Fox God. On the count of three, everybody Jump up with Fox God. Are you ready? A---re You---Ready、京セラドーム!」と煽り、観客が「Yeah!」と応じた瞬間、「OK, ワン、ツー、ワンツースリー、Jump!」と叫んだ。クイーンのご下命だが、京セラドームは地盤が緩く、開演前の注意事項でライブ中のジャンプ禁止がきつく言われていた観客は、「ウォー!」と叫びながら、できるだけジャンプの高さを低くし、両手を大きく挙げることで対応した。
サポートアクトとは思えない。ほとんどワンマンライブ状態だった。
「ギミチョコ!!」では、2016年にあれほどバリエーションを見せた間奏部の煽りが封印され、音源通りの演奏となった。これは現在まで変わらない。
「KARATE」は、この時点では、間奏部でSU-の「How you feeling tonight? How you feeling? Osaka Dome! Let us hear your voice. Put your hands up in the air! 」という英語での語りからのハミング「♪Woo… Woo…」という2016年仕様のままだった。
フィニッシュ曲はリハ通り、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」だった。
「♪ルルルー、ルルルー…」に手拍子が響く。この手拍子は東京ドーム以前にはなかったもので、演歌みたいでぼくは好きじゃないのだが、2017年以降、なぜか定着してしまった。「Wall of Death」と言われても、さすがにピットは割れない。だが、「♪ズクズクズクズク…」とイントロが始まり、SU-の「あー」で、YUI、MOAが広いステージのレフト-ライト間を激走すると、観客席は「ウォー!」と大歓声を上げた。
「イジメ(ダメ!)」「キツネ(飛べ!)」ではダメジャンプはできない代わり両手を挙げて大合唱していた。
最後の「We are?」「BABYMETAL!!」のC&Rにも大歓声をあげ、8割方の観客がキツネサインを掲げていた。
アップになったSU-、YUI、MOAはニコニコ顔だった。
今回のツアーは、「Not In This Lifetime World Tour」というタイトル通り、内紛、メンバー変遷などの紆余曲折を経たGuns N‘ Rosesに、全盛期メンバーのスラッシュ(G)、ダフ・マッケイガン(B)が復帰して初めての日本公演だった。アクセルローズもスラッシュも病気を抱えており、「人生最後の」ツアーになる可能性があった。
そこに集まる観客は、コアなメタルファンというより、Guns N‘ RosesにLAメタル全盛の80年代の思い出をダブらせて見る、かつての洋楽ファンが中心だったように思う。
その方たちにとってBABYMETALは、海外での活躍をテレビなどで見聞きしてはいても直接観たことはなく、「しょせんアイドルだろう」と考えていただろうと思う。
だが、わずか6曲のサポートアクトでも、BABYMETALは全力を出し切り、神バンドソロからの「あわだまフィーバー」という新機軸を見せ、Sonisphere 2014に出たメンバーそのままに、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」でBABYMETALに対する固定観念を打ち破ってみせた。
わずか1ヶ月のうちに、Red Hot Chili Peppers、METALLICA、Guns N‘ Rosesという1980~90年代の洋楽シーンを作り上げ、しかも全く違うタイプの音楽性を持つ三つの大物バンドのステージに上がり、直接オールドファンにBABYMETALの生歌、生ダンス、生演奏を見せつけたことは、東京ドーム11万人動員に匹敵する大事業だったのではないか。
今となってはそんな気がする。
Guns N’ Rosesのサポートアクトに関する翌日以降の変化は以下のとおり。


1月22日@神戸ワールド記念ホール→2曲目が「ド・キ・ド・キ☆モーニング」、3曲目が神バンドソロ~「Catch Me If You Can」、6曲目「ギミチョコ!!」でフィニッシュするセトリに代わる。
1月25日@横浜アリーナ→神バンドのベーシストが瀧田イサムに代わる。セトリは神戸同様。
1月29日@さいたまスーパーアリーナ→神バンドメンバーは横浜と同じ。セトリは、初日大阪同様2曲目が神バンドソロ~「あわだまフィーバー」、6曲目「イジメ、ダメ、ゼッタイ」でフィニッシュ。
(つづく)