10年のキセキ(54) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日6月6日は、2015年、ROCK IN VIENNA フェス@オーストリア・ウイーンに出演し、2018年には、オランダ・ユトレヒト公演@TivoliVredenburgが行われた日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計    
・世界 感染確認者6,583,615人>死者389,911人
・日本 感染確認者17,064人>死者907人・退院14,972人・要入院1,178人>重症98人
●10万人当たり
・世界 感染確認者85.34人>死者    5.05人
・日本 感染確認者13.49人>死者    0.71人
出典:厚労省「新型コロナウイルスの現在の状況について」(6月5日12:00現在)

翌日2016年9月20日も東京は雨だった。
二日目のチケットは一般で購入した天空席だったし、物販列に並ぶ必要もなかったので、仕事を1時間早く切り上げ、地下鉄駅のトイレで黒Tシャツに着替えた。
東京ドーム二日目Black Nightのセットリストは以下のとおり。
1.    BABYMETAL DEATH
2.    あわだまフィーバー
3.    ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
4.    META!メタ太郎
5.    Sis. Anger
(神バンドソロ)
6.    紅月-アカツキ-
7.    おねだり大作戦
8.    No Rain No Rainbow
9.    ド・キ・ド・キ☆モーニング
10.    メギツネ
11.    ヘドバンギャー!!
12.    イジメ、ダメ、ゼッタイ
神バンド:Leda(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、大村孝佳(G)
二日間全曲被りなしというルールから、「BABYMETAL DEATH」始まり~「イジメ、ダメ、ゼッタイ」終わりは予想できた。前日「Tales of the Destinies」が演奏されたから、あとはしばらく演奏されていなかった「No Rain No Rainbow」がどこに入るのかがポイントと思われた。
天空席からは、中央構造物の全体が眺め渡せた。前日オープニングの「Road of Resistance」で三人が登場した頂上ステージもよく見えた。
開演前、全身骨タイツを着た、おそらく少女と思われる人たちが、アリーナのステージ側通路に出てきて、そのうちの一人が観客を煽っていた。やがて黒い大きな箱を引いた骨タイツも登場し、花道付近でウロウロしていたと思ったら、いつのまにかバックスクリーン方面へ帰っていった。
あの人たちは一体誰だったのか、今もって不明である。
初日と同じく、KOBAMETALの挨拶と、「紙芝居」の「いよいよ史上最大の決戦の始まりだ」に続いて「BABYMETAL DEATH」が始まる。
中央構造物の頂上には、白い衣装を着た三人の姿が現れた。初日同様、ここからスタートするのか。だが、それはウェンブリーと同じく、ダミーだった。「♪ダダダダダダダッ、ダダダダダダダッ…」とイントロが始まると、3つの棺桶状花道の先端からSU-、YUI、MOAがそれぞれ十字架にかけられた姿で出現した。5万5000人が大歓声をあげる。SU-は見慣れているが、YUI、MOAの十字架姿は初めてだ。
ギターのリフに入るや三人は十字架をはねのけ、いつものベビメタ体操に入っていく。もちろん観客は「B・A・B・Y・M・E・T・A・L!DEATH、DEATH…」の大合唱。


三人のスカートは、2014-2015年を思わせる赤いものに代わっている。肩には赤い房飾りがついている。SU-のは大きく、YUI、MOAのは小さい。そしてSU-のスカートだけ後ろが長くなっている。これはもう三人がキツネ様の眷属として、年齢に応じてその正体を現しているということだ。以前も書いたが、初日のRed Nightで黒を基調とした2016年仕様のコスチューム、二日目のBlack Nightで以前の華やかな赤いスカート姿になったのは、BABYMETALが「アイドル」であり続けるという意味だったと思う。
2曲目の「あわだまフィーバー」では2番の「♪Ah~イェイ!」のところで、SU-が「Say!」というと5万5000人が「イェイ!」と叫び、続けて「もっと!」「いいね!」と煽られ、さらにヒートアップしていった。
3曲目は「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」。
この曲は、合いの手最難関の曲である。いきなりの「SU-:電気を消して元気をチャージホラあげぽよで→客:ウキウキミッドナイト!」「SU-:そろそろ本気と書いて→客:マジ!→SU-:アゲぽよでピカピカミラーボール」に始まり、前奏部の「えいやー!」、1番の「SU-:ゲソゲソイカゲソが食べたいあたしはスルメ派→客:なーの!」、「SU-:今集まれあたしんち→客:Party time!」に始まり、ウィスパーパートの「SU-:あなたとわたし→客:You & me!」、「SU-:今宵は楽しい→客:ウキウキミッドナイト!」、「SU-:門限→客:Closing time!」、「SU-:ノノノン→客:No way!」、「SU-:まだまだ続くよ→客:キンキラリーン!」の一連のつながりを覚えていることが「アイドル」としてBABYMETALファンの必須要件であり、最終連の「SU-:眠くなってきたお腹もいっぱいでもこれからが→客:クライマックス!」、「SU-:しょぼしょぼおめめこすって→客:マジ!→SU-:アゲポよーで→客:キンキラリーン!」は、合いの手ありきで成立する。
それを東京ドームの古参メイトは軽々とやってのけた。
いくら世界的人気といっても、欧米の観客にはこんなことはできない。
日本のアイドル文化をよく知り、「アイドル」としてのBABYMETALを愛している日本の「ベビオタ」にしかできないことだ。それを東京ドームのBlack Nightでやることに意味があった。
4曲目の「META!メタ太郎」は、2016年ワールドツアーのセトリにずっと入っていたが、東京ドームでは、初めてのパフォーマンスが行われた。


間奏部の「♪ウォーウォーウォウォウォー…」になったとき、SU-が「Sing it!」と叫び、Cm→G#→A#→Cmのコード進行のままそれが延々と続いたのだ「Everybody Sing it!」で演奏が止まり、5万5000人のシンガロングが東京ドームに響いた。そこからC#mに転調し3番に入り、最後は安定のEで終わる。BABYMETALとシンガロングする楽しさに、拍手はいつまでも続いた。
eRa風の女性コーラスのインターリュードが流れ、「Anger」=怒りに関する「紙芝居」が流れる。またしてもA-KIBAが悪者になっている。ここからはBBMとSU-ソロが交互に演じられる中盤パートで、最初は「Sis. Anger」である。歌詞は「怒りの炎ですべて焼き尽くしてやるから」「ざっけんじゃねーぞ、おい、おら」と荒っぽいが、歌い踊るYUI、MOAは「怒り」とは程遠くKawaii。
次は映画のワンシーンのような壮大なインターリュードが流れる中、真っ赤なサーチライトが観客を照らすレーザーショウに続いて、神バンドのメンバーが花道に出てくる。「Mischief of Metal Gods」である。ヘッドレスのStrandbergを引きまくるLeda様がカッコいい。続いて大村神によるゆったりしたフレーズからのひざまずいての速弾き。BOH神はグルーヴ感に満ちたタッピングで5万5000人を沸かせ、最後は両手をあげて感謝した。
青山神は表情たっぷりに超絶ドラミングを聴かせた。
大歓声のうちに神バンドのインストステージが終了すると、悲壮感漂うオーケストラのインターリュードが流れた。続いてピアノのあるべジオによるイントロが流れると大歓声が沸く。「紅月-アカツキ-」である。
センターステージで「♪幾千もの~」と歌い出すSU-はマントと赤いマフラーを身につけている。SU-は「アカツキだー!」と叫ぶと、マントを翻し、腰でリズムをとりながら「メタル美少女戦士」と化した。
2012年10月のLegend “I”で初披露されてから4年。SU-METALソロの原点であり、「アイドル界のダークヒロイン」としてMetal Resistanceの狼煙をあげた曲である。東京ドームで、この曲のツインギターがLeda&大村コンビになったのは必然だった。吹き上がるパイロの炎は、あの時決意した変わらぬ情念の証だ。
続くのは同じくLegend “I”で初披露されたBBMの「おねだり大作戦」。2014年11月のNY公演以来、海外ではニセ札が飛び交う人気曲になったが、この曲の本来のテーマはオタクに際限なく時間とお金を使わせる「アイドル界の暗部」である。「Sis. Anger」よりも恐ろしい。まさしくBLACK BABYMETALである。
Kawaiくもおっかない「おねだり大作戦」が終わると、スクリーンに青い雨が流れ、「止まない雨はない…メタルはEL・DO・RA・DOへたどり着くのだった」という紙芝居に続いて、花道の先端にいるSU-にスポットライトが当たる。日本武道館以来の「No Rain No Rainbow」である。
SU-は歌いながら花道を移動し、ステージへと進んでいく。間奏部で、美しいツインギターを聴かせるLeda&大村は背中合わせになった。そして頂上ステージに移動したSU-は表現力の極致といえる歌唱を響かせた。
花道の先端からステージへ、そして頂上へという流れは、そのままSU-の歌手人生を思わせる。
5万5000人がしわぶきひとつ立てずにSU-の歌を聴いている。天空席にいるぼくの回りで、すすり泣く声がいくつも聴こえた。
打って変わってカワイイ電子音から「おはようWake up」と告げるSEが繰り返される。
観客は「ハイ!ハイ!」と合いの手を入れる。
SEの「ドキドキモーニング」に続いてイントロのリフが始まる。SU-の「♪アー」を合図に、三人は頂上部のスッポンから登場した。2010年11月に初披露された重音部デビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」である。
やはり東京ドーム二日目Black Nightは、「アイドルサイド」なのだ。
天空一般席にいたぼくには、ようやく東京ドームの舞台装置の構造がわかった。客席中央の円形ステージ&スクリーンで360度の観客から見え、花道でアリーナ席に近づくと同時に、中央タワーの頂上ステージでは、3階席以上の観客にも近づくのだ。曲の意味合いによって、どこで演じるかが決まる。初日「Road of Resistance」で出現したのは天空からの降臨。SU-ソロ曲で頂上ステージが使われたのは、5万5000人の観客にSU-の歌の素晴らしさを伝えるためだろう。
「ド・キ・ド・キ☆モーニング」は、三人が頂上ステージのすぐ下にある3つのサブステージで演じられ、これだけ世界的な存在になっても、相変わらず三人がKawaiiアイドルであることをきっちり訴求した。
続いて「♪きーつーねー、きーつーねー、私はメーギツネー…」というSU-のアカペラが流れる。東京ドームへとBABYMETALを導いたキツネ様に捧げる「メギツネ」である。大歓声とともに「オイ!オイ!」と合いの手を入れる5万5000人の大観衆。


ステージ面に降り立った三人は、ニコニコ顔で「ソレ!ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ…」と踊りまくる。
間奏部。SU-「Are you ready? Are you ready, 東京ドーム?!」「Everybody clap your hands!」と命じると、YUIが「みんな手を叩いて」と日本語で叫ぶ。MOAが「全然聞こえないよ!」と煽ると、観客は全員手を叩き、「ソレソレソレソレ!」と叫ぶ。満足そうに観客席を見るSU-。さらに、YUIとMOAが「ソレソレソレソレ!」「ソイヤソイヤソイヤソイヤ!」と繰り返し、SU-がトドメの「1、2、123!Shout!」と叫ぶと、5万5000人の観客が熱狂的にジャンプしまくるお祭り状態になった。
巨大な東京ドームの興奮が収まらぬうちに、不穏なオルガンと雷鳴のSEが鳴り響く。11曲目「ヘドバンギャー!!」である。
「♪いーちごのよーるを」のところのYUI、MOAのジャンプが高い。2015年のメキシコシティ以降に発覚した「跳べない身体」問題は完全に克服され、大きくなった身体にアスリート並みの筋肉をつけた二人は、パワフルかつダイナミックなダンスを展開していた。
間奏部、「♪ヘドバンヘドバン…」のパートになると、スモークがたかれ、YUIとMOAは花道上を丸ステージに乗って移動していく。YUIが「もっともっとー!」と叫べば、MOAが「みんなー!ちゃんと見てるよ!」と煽る。ステージに仁王立ちするSU-は「お前らの本気はそんなもんか」とキツーいお言葉。アリーナ前列で、さくら学院のタオルを持ち、土下座ヘドバンしている観客がスクリーンにクローズアップされる。ヘドバン地獄は3分近く続いた。
三人がクタクタと人形ぶりで崩れ落ちて曲が終わると、聞きなれたピアノの演奏にのって英語版の「イジメ、ダメ、ゼッタイ紙芝居」が流れる。
文言は途中から変わった。「Every one of us may be small in existence. But if we link our hearts together, we will become one in great numbers in unity. In that moment, our hearts are linked, our Metal Spirit glowing crimson red, the impossible become possible. There is nothing more left to fear, you can be brave and move forward. In a dream, Fox God taught us. A new LEGEND will come our way.」(後略)
一人ひとりは小さな存在だが、心をつないで一つになれば、メタル魂が真っ赤に染まり、不可能なことが可能になる。新しい伝説が生まれる。要するに東京ドーム公演が実現したことを、いつもの紙芝居に巧みに織り込んであった。この間、5万5000人のコルセットに仕込まれたライトが赤く点灯した。SU-が「♪ルルルー」と歌い出すと、それに合わせてライトも点滅した。
YUIとMOAは、2つの花道の先端に移動していた。「♪ズクズクズクズク…」とイントロが始まると、リズムに合わせて、SU-とYUI・MOAがアイコンタクトする。「♪アー」でYUI、MOAは20メートルに及ぶ花道を疾走した。
東京ドーム公演2日間を締めくくる「イジメ、ダメ、ゼッタイ」である。
フジロックの項で触れたが、この曲こそ、日本では「キワモノ」「マガイモノ」扱いされ、海外では高く評価されたBABYMETALの真の代表曲である。
メタルの情熱を示すパイロの炎が吹き上がる。
パワー全開のYUI、MOAの偽闘が展開され、割って入ったSU-は3度目のサビで「♪これ以上、もう君の泣き顔は見たくない」と歌ったあと、「東京ドーム!」と叫んだ。
これは、2015年新春キツネ祭りの「Road of Resistance」の「かかってこいやー!」、翌2017年サマソニ幕張マリンステージでの「ついに、ついに、ここまで来ました!」と並ぶ、3大SU-シャウトとしてBABYMETALの歴史に刻まれている。まあ、ぼくが勝手に刻んでるんだけどね。
「♪イジメ、ダーメ、ダーメー」でフィニッシュした瞬間、三人の笑顔が弾けた。


三人は各花道を移動しながら「We are?」「BABYMETAL!」のC&Rを行った。最後の花道で、SU-がパイロのオイルで足を滑らせた。体力の限界でもあったのだろう。三人は肩を組んで花道を進み、SU-がYUIにマイクを向けて「We are?」と言わせ、MOAにもマイクを向けるフリをしてスカし、MOAがヘッドセットのマイクで「We are?」と叫ぶというコミカルなシーンもあった。
神バンドのメンバーも花道に出てきて、大村神が背中で弾くパフォーマンスを見せた。
その間、三人は中央タワー頂上ステージに移動していた。頂上部でSU-は「みんなの声もっと聴かせて!」と叫び、「We are?」の問いかけに応えて5万5000人の観客が声の限りに「BABYMETAL!」と叫んだ。
SU-が頂上部に出現した巨大な銅鑼を「3、2、1!」で鳴らし、三人はまた天空へと帰っていった。
こうして夢の東京ドーム2日間は幕を閉じた。
(つづく)