10年のキセキ(50) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日6月2日は、2016年、スイス・プラッテルン公演@Z7が行われ、2018年にはRock im Park 2018@ニュルンベルクZeppelinfeldに出演した日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計    
・世界 感染確認者6,117,213人>死者370,920人
・日本 感染確認者16,884人>死者892人・退院14,502人・要入院1,472人>重症115人
●10万人当たり
・世界 感染確認者79.29人>死者4.81人
・日本 感染確認者13.35人>死者0.71人
出典:厚労省「新型コロナウイルスの現在の状況について」(6月1日12:00現在)

中一日置いて、6月7日はいよいよドイツ・ケルン公演である。
2014年の欧米デビュー時、MOAMETAL聖誕祭が行われたのが、この会場だった。
あれから2年。欧米では全く無名だったBABYMETALは、ニューアルバムが米Billboard 200で39位、英オフィシャルチャートで15位にランクインし、大規模ロックフェスでは大物メタルバンドの一角に食い込み、数万人の観客を集める人気グループになった。
会場のLive Music Hallは収容1,500人で、「日本のアイドル」の欧米デビューだった2014年なら適切な大きさといえたが、今や狭すぎる。ピットの中央に柱がある構造は、サークルモッシュがやりにくく、野外ロックフェスの後方より見づらい。ぎゅうぎゅう詰めの観客により、場内の気温はぐんぐん上昇した。あまりの暑さでSU-もノースリーブのコスチュームになっていた。

セットリストは以下のとおり。
1. BABYMETAL DEATH
2. ギミチョコ!
3. いいね!
4. Amore -蒼星-
5. META!メタ太郎
6. Sis. Anger
(神バンドソロ)
7. Catch Me If You Can
8. メギツネ
9. KARATE
10. Road of Resistance
11. THE ONE English Ver.
「ギミチョコ!」が2曲目に入ったが、すし詰めの客席を考慮してか、「Sit down~Jump!」は行われず、「Do what you wanna do!」からの「Scream!」にとどまった。
3曲目は「いいね!」で、ラップパートで「ケルン!ケルン!Put your KITSUNE U---P!(~キツネだお)」の煽りが行われた。
「Amore-蒼星-」のSU-は、完璧なピッチに加え、ダンスでも無駄な動きがそぎ落とされ、ひとつひとつのキメポーズがバッチリ決まって、美しさとカッコよさで観客の目を惹きつけた。


「META!メタ太郎」では、「♪ダッダダダ、ダッダダダ…」というリズムに合わせて観客は「♪ハイ!ハイ!」と合いの手を打ち、例の敬礼振りにも何も問題がなかった。
続く「Sis. Anger」でもYUI、MOAの「♪ざっけんじゃねーぞ」に対して、観客は「♪オイ!オラ!」という合いの手を返し、『METAL RESISTANCE』収録の新曲でも、ライブの盛り上がりを作れるように洗練されていた。
相変わらず大歓声が起こる神バンドソロ~「Catch Me If You Can」の流れで、客席はますますヒートアップし、「メギツネ」で「♪ソイヤソイヤ…ソレソレ」と踊った後、「KARATE」の「How you Feeling Tonight?」の問いかけにで観客は野太い声で「Ya!!!!」と答え、アドリブのハミングにウットリし、最後に「Everybody Jump!」で一体化した。
だが、フィニッシュの順番がパワーメタルの「Road of Resistance」からの「THE ONE English Ver.」だったことが、観客の不満を呼んだ。
2014年は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」、2015年~2016年は「Road of Resistance」で〆るのが、これまでのBABYMETALだった。「THE ONE」はパワーメタルの前に置かれるのが通例で、ウェンブリーでもそうなっていた。
しかも、「THE ONE」で終わると、曲数は11曲になってしまい、ニューヨーク~シルバースプリングの14曲、デトロイト~プラッテルンの13曲に比べると、2曲~3曲少ない。カットされたのは「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「あわだまフィーバー」「ヤバッ」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」は「いいね!」が代わりに入ったからいいとしても、『METAL RESISTANCE』のKawaiiメタル曲が披露されなかったのに加えて、ミドルテンポの「THE ONE」で終わってしまったため、パワーメタルの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」からの「See You!」を期待していたケルンのファンは肩透かしを食ったような気分になった。
客電が点き、会場のドアが開いても、観客はなかなか帰ろうとしなかった。ネットでは、あまりの暑さで機材トラブルがあったのだろうという推測が流れた。
しかし、このセットリストは、6月8日のシュトゥットガルト公演@Longhornでも同じだった。


「See You!」なしの「THE ONE」フィニッシュは、日本では横アリ二日目で経験済みであり、東京ドーム初日もそうだった。YUIが欠場した2017年12月の広島から現在に至るまで、ライブ終わりの「See You!」は消えたままである。
今年1月の幕張Legend METAL GALAXYで、SU-、MOA、鞘師里保、岡崎百々子、藤平華乃、東西の神バンドが勢ぞろいした、あの感動の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」フィニッシュでも、「See You!」はなかった。
今思えば、2016年のケルン、シュトゥットガルトの観客は、プログレメタルで終わる新しいBABYMETALスタイルを海外で初めて体験したのだ。
シュトゥットガルト公演の翌日6月9日、BABYMETALはドーバー海峡を越えて、ロンドンのThe Troxyのステージに登壇した。
『Kerrang!』Award 2016で、「Best Live Band」賞に輝いたのである。Kerrang! Awardsは昨年の「The Spirit of Independence」賞に続く2年連続の受賞である。
司会者の紹介で、コスチュームのまま登壇した三人は、昨年に比べて落ち着き、堂々としていた。
だが、SU-が英語でスピーチを始めた途端、司会席にいたメタルバンドSkindredのリードボーカリスト/シンセ奏者のBenji Webbeが何度も口をはさんで遮ったため、SU-はスムーズにスピーチを進められなかった。たどたどしい英語にイラついたのか、あまりのKawaiさに茶々を入れたくなったのかはわからないが、MTVで見ていたファンからの批判に、Benjiはセレモニー終了後BABYMETALへの謝罪ツイートをした。
翌6月10日、BABYMETALは、前年Dragon Forceのステージに飛び入りしたDownload Festival UK 2016のメインステージに立った。会場のドニントンパークは、ロンドンから電車で2時間ほどのレスターシャー州にあるサーキット場であるが、Download フェスティバルの会場は、駐車場から坂道を登っていった丘の頂上エリアであり、隣の丘には中世の面影を残すドニントン城が見える。
各ステージ前のピットは芝生になっており、「ロックの本場」イギリス人は、この時期になると家族連れでここを訪れ、1日中好きなバンドのライブを見ながら、数え切れぬ屋台の料理とビールを楽しむ。会場周辺には観覧車やアトラクションも設置されている他、いくつものキャンプサイトがあり、開催期間中ずっとそこで過ごす人たちもいる。
だが、2016年6月10日、BABYMETALの出番前に雨が降り出し、開演が1時間近く遅れた。
2015年-2016年シーズン、レスターシャー州の中心都市レスター市を本拠地とするプレミアリーグチーム、レスターには日本人の岡崎慎司が加入し、5000倍のオッズを覆して、リーグ優勝した。
レスターのロゴはキツネであり、ファンはFoxと呼ばれていた。
晴れていたのに突然雨が降ることを「狐の嫁入り」というが、キツネ様の使いであるBABYMETALの登場前に雨が降るのはお馴染みである。ステージにたまった水をKOBAMETALが掃いたり、機材にカバーをかけたりして懸命に開演準備する中、泥田のようになったメインステージ前の観客は、雨に晒されながらひたすらBABYMETALを待ち続けた。
セットリストは、
1.    BABYMETAL DEATH
2.    ギミチョコ!
(神バンドソロ)
3.    Catch Me If You Can
4.    メギツネ
5.    Road of Resistance
の5曲。『METAL RESISTANCE』からは「Road of Resistance」だけで新味はないが、それだけに6万人の観客は2014年のSonisphere、2015年のReading & Leedsに続いて本場の大規模ロックフェスで歌い踊るBABYMETALと超絶演奏を繰り広げる神バンドに熱狂した。
翌6月11日、BABYMETALは再びドーバー海峡を越え、この年だけ行われたDownload Festival Paris 2016に出演した。会場はパリ近郊の名門ロンシャン競馬場。


ただし、前日のDownload UKの雨の影響か、機材トラブルにより、BABYMETALの出番はまたしても30分ほど遅れた。
セットリストはDownload UKと同じだが、ヨーロッパ中から集まったBABYMETALファンが大集結し、イギリスとはまた違ったノリで、BABYMETALのライブに熱狂した。


ワールドツアー2016のヨーロッパラウンドを終えたBABYMETALが帰国して約2週間後の6月28日、『Kerrang!』の「The 50 greatest Rockstars in the world」で大物ロックスターに囲まれつつ、13位にランクインした。
(つづく)