10年のキセキ(44) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★本日5月25日は、2012年、初の英語インタビュー「Otaku-Verse Zero」が行われ、2015年には日テレ『ZIP』でBABYMETALが報道された日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計    
・世界 感染確認者5,259,378人>死者341,039人
・日本 感染確認者16,550人>死者820人・退院13,413人・要入院2,287人>重症168人
●10万人当たり
・世界 感染確認者68.17人>死者4.37人
・日本 感染確認者13.08人>死者0.65人
出典:厚労省「新型コロナウイルスの現在の状況について」(5月24日12:00現在)

2ndアルバムのリリース予定と東京ドーム公演のアナウンスは、翌日ネットニュースやスポーツ紙で一斉に報じられたが、BABYMETALの2015年は、横アリで終わりではなかった。
12月25日、BABYMETALはテレビ朝日のミュージックステーション・スーパーライブに出演した。
披露したのは「ギミチョコ!」で、2番まで歌って、すぐに「♪ヤバイ超!超!ハード超!いっぱい頑張ったんです…」になるショートバージョン。


藤岡幹大、BOH、青山秀樹、大村孝佳の神バンドも生出演していた。ドラムスは叩かれていたので、スタジオでは聴こえていたはずだが、放送ではカラオケにSU-の生歌という組み合わせだった。当て振りでも神バンドは全力パフォーマンスしたが、どうしてもテレビの画面ではBABYMETALは「キワモノアイドル」に見えてしまう。だが、メイトにはいいクリスマス・プレゼントになった。
12月28日。BABYMETALはようやく2015年最後となるCount Down Japan 15/16のステージに立った。
巨大天下一メタル武道会、サマソニ2015、OZZ Fest Japanに続いて、4回目の幕張メッセである。
出番は、初日Earth Stageの17:00~。きゃりーぱみゅぱみゅの後、くるりの前。会場は約2万人の観客で埋まった。


セットリストは、
1.    BABYMETAL DEATH
2.    ド・キ・ド・キ☆モーニング
3.    ギミチョコ!
(神バンドソロ)
4.    Catch Me If You Can
5.    KARATE
6.    イジメ、ダメ、ゼッタイ
7.    メギツネ
8.    Road of Resistance
の8曲で、神バンドは、2015年苦楽を共にした藤岡幹大(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、大村孝佳(G)。
「Road of Resistance」では、BABYMETAL旗を置いて、SU-が客席を分ける仕草をしたあと、定位置につくとき、渡されるはずのマイクがなかったため、「♪東の空に~」と歌に入ってもしばらく聴こえなかったというパプニングがあった。こういう時でも動じず、スタッフがマイクを渡すまで生声で歌い続けるSU-METALのステージ度胸には感服する。
年が明け、BABYMETALからの新年のメッセージは、「HAPPY NEW YEAR!!申年!!」というシンプルなものだったが、ハッシュタグには、#BABYMETAL #FOXDAY #Wembley #Tokyodomeとあり、2016年がBABYMETALにとって大きな年になることを予感させた。


1月15日、2ndアルバムのタイトルが『Metal Resistance』であることが公式サイトから発表された。
ワクワク感は募る一方だが、それから実際のFOXDAYを迎えるまでライブは組まれておらず、メイトにとってはBABYETALを一目見たい気持ちが募る、いわゆる「ベビメタロス」に苛まれることにもなった。
2月9日、NHKで二度目の特番が収録されることが発表され、THE ONEメンバーに18日に行われるスタジオライブ観覧者募集がアナウンスされた。
ちなみに、ぼくがBABYMETALに関する文章を書き始めたのは、2015年の横アリ初日からだったが、それをブログにしてみようと思い立ったのがこの頃だった。二度目の離婚後、鬱状態に陥り、仕事も手につかなくなっていたぼくはBABYMETALを発見し、彼女たちの活躍をネットで追い、その“意味”を考え、文章にすることでアイデンティティを取り戻した。学生時代に読んだ、プロレスやプロレスラーの生き方を哲学的に論考した村松具視のエッセイ集『私、プロレスの味方です。』を“オマージュ”して、このタイトルのブログを開設したのが2016年2月17日だった。
2月19日、公式サイトから『METAL RESISTANCE』のアートワークが発表され、12曲の収録曲名が明らかになった。
「Road of Resistance」「あわだまフィーバー」「No Rain No Rainbow」はすでに知られていたが、「チガウチガウ(仮)」は「ヤバッ!」、「松岡修造orクンフーソング(仮)」は「KARATE」、「ららら(仮)」は「THE ONE」というのだとわかった。
謎だったのが、これまで披露されたことのなかった「Amore-蒼星-」「META!メタ太郎」「シンコペーション」「GJ!」「Sis. Anger」「Tales of The Destinies」の6曲だった。
特に「META!メタ太郎」は、タイトルからして「何じゃこりゃ!?」であり、FOXDAYが待ち遠しかった。
2月25日には『METAL RESISTANCE』の公式trailerが公開され、翌26日、「KARATE」が、先行配信シングルとしてiTunesで配信され、ニッポン放送「ミュ~コミプラス」で初オンエアされた。


日付が前後するが、シングル曲としての「KARATE」のランキング最高順位は以下のとおり。
<海外>
2月26日付iTunes UK Top Songs Metal Chart…1位、Rock Chart3位
2月26日付iTunes US Top Songs Metal Chart…1位
3月19日付Billboard World Digital Song Sales…2位
4月2日付Billboard Twitter Top Tracks …25位
4月23日付Billboard Spotify Viral 50…41位
<国内>
4月25日付Billboard Japan Radio Songs…34位
5月2日付Billboard Japan Hot 100…17位
なお、オリコンでは配信シングルである「KARATE」のランキングは公表されていない。
3月18日、「KARATE」のフルMVが公開された。
この頃から、『METAL RESISTANCE』リリースに向けて、BABYMETALのメンバーやKOBAMETALを始めとするスタッフのインタビューを含む記事を掲載した雑誌が国内で発売され始める。
3月19日発売『ミュージックマガジン』2016年4月号
3月28日発売『ヘドバンVol.10』
3月28日発売『NYLON JAPAN』5月号
3月31日発売『別冊カドカワDIRECT 04』
前後するが、3月26日には、横アリの映像を用いた「THE ONE」のフルMVが公開され、同日、WOWOWで「The Final Chapter of Trilogy」@横アリが放送された。
そして、4月1日FOXDAY。BABYMETALの2ndアルバム『METAL RESISTANCE』が、CD、配信ともに世界同時リリースされた。
ランキングが確定するのは、もう少し先だが、オリコンによる2016年4月1日付デイリーランキングでは1位を獲得。iTunes Storeでは、3月28日-4月3日の週間総合アルバムチャートで1位となった。
何かが起きそうな予感の中、当のBABYMETALは、現地時間4月2日、“聖地”イギリス・ロンドンのWembley Arenaに立っていた。

正式名称The SSE Arena, Wembleyは、屋内プール競技場として建設され、1978年に改修されて収容人数12,500人のコンサート/室内競技場となった。ウィキペディアによれば、ここでライブを行ったアーティストには、U2、ダイアナ・ロス、ブリトニー・スピアーズ、ビヨンセ、パール・ジャム、オアシス、ボブ・ディラン(12回)、マドンナ、ミューズ、ビーチボーイズ(50周年)、エヴァネッセンス、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインなどがいる。レディング&リーズフェスティバルで、BABYMETALがライブを行うと発表したとき、日本のメディアは、「あの名門ウェンブリー」と報道したが、ブリクストン・アカデミーに比べると、ロック史というよりメインストリーム感の強い会場である。
2016年3月12日にX-JapanがWembley Arenaでライブを行う予定だったが、PATAの病気により延期され、結局BABYMETALがWembley Arenaでライブを行った初めての日本人アーティストとなった。
『Live at Wembley』として映像化され、先日も#STAYHOMEの一環で、YouTubeで無料公開されたので、ご覧になった方も多いと思うが、2016年4月2日に行われた「BABYMETAL World Tour 2016 Kicks Off at The SEE Wembley Arena」は、BABYMETALにとって、あるいは日本の音楽史にとって、後世に残る金字塔である。
ウェンブリーと同時刻に、2015年の国内ライブが行われた渋谷TSUTAYA O-EASTとSapporo、Tokyo、 Divercity、Nagoya、Namba、Fukuokaの各ZEPPでライブビューイングが行われた。
セットリストは以下のとおり。
1.BABYMETAL DEATH
2.あわだまフィーバー
3.いいね!
4.ヤバッ!
5.紅月-アカツキ-
6.GJ!(初披露)
(神バンドソロ)
7.Catch Me If You Can
8.ド・キ・ド・キ☆モーニング
9.META!メタ太郎(初披露)
10.4の歌
11.Amore-蒼星-(初披露)
12.メギツネ
13.KARATE
14.イジメ、ダメ、ゼッタイ
15.ギミチョコ
16.THE ONE
17.Road of Resistance
神バンドは、2015年ツアーと同じ藤岡幹大(G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、大村孝佳(G)。
BABYMETALとしては最多の17曲で、うちSU-METALソロの「Amore-蒼星-」、BBMの「GJ!」、ヴァイキングメタルの「META!メタ太郎」の3曲が初披露だった。
また、先行配信シングルの「KARATE」は、重要曲としてセットリストの後半に置かれていた。
オープニングの「BABYMETAL DEATH」では、サプライズが仕掛けられていた。
「紙芝居」の間、白い衣装の三人がステージの上段に現れ歓声を浴びていたのに、イントロのリフが始まると、三人は客席中央の島舞台のスッポンから出現した。まるで、瞬間移動して「降臨」したかのようだった。
世界初披露となる「GJ!」は、応援団の三々七拍子をモチーフとしており、さまざまな音楽のジャンルや、童謡も組み込んでしまうBABYMETALらしさあふれる楽曲だった。
「META!メタ太郎」は、「♪ダッ・ダダダダッ・ダダダダッ…」という水戸黄門の主題歌のようなマーチ調で、一度聴いたら頭の中で永遠にリフレインされ、街中を歩いていても行進歩調で歩いてしまう中毒性の高い曲だった。
新SU-ソロの「Amore-蒼星-」は、壮大なオーケストラのイントロでSU-の身体に翼が生えるというイリュージョンから始まるパワーメタルで、悲壮感に満ちたジャパメタの「紅月-アカツキ-」と好対照になっていた。
「THE ONE」のイントロでは、ライブビューイング中の日本と同時中継の映像がスクリーンに映り、2014年11月のロンドン追加公演と同じく、日英メイト同盟が現出した。さらにヨーロッパのメイトからの提案で、客席には参加者の国旗が持ち込まれ、「♪ららららー」のシンガロングパートで、色とりどりの各国旗が振られるという「メタルで世界を一つにする」シーンが出現した。


フィニッシュ曲「Road of Resistance」では、その観客たちが「♪ウォーウォーウォウォー…」と大合唱し、2016年ワールドツアーのキックオフは大成功の裡に終了した。
曲が終わると、三人は素の表情に戻り、ステージ上段からゆっくりと階段を下りて客席に相対した。


MOA「You are also precious to me. I love you!」
YUI「It is thanks to you that we are here today. We love London!」
SU-「You are guys, amazing!」
その後SU-が、「We are going back to Japan…」と言いかけると場内から悲鳴のような声があがるが、すぐに「But, we are always on your side!」と続けると、場内から大歓声が上がった。
これこそ、「会いに行けるアイドル」の真逆、「会えなくても心の中にいるアイドル」の真骨頂だった。
MCなしで踊り続けるBABYMETALにとって、17曲は「活動限界」なので、ライブは1時間15分と短く、そのことが毎年ウェンブリーで行われたライブをランキング形式にするアワードで、2016年度第2位にとどまった原因かもしれないが、このライブは高く評価され、『Karrang!』アワードで、2016年度Best Live Bandに選出される原動力となった。もちろん、ウェンブリーの会場にいた者にとっても、日本で4:30から行われたライブビューイングに参加していた者にとっても、忘れえぬライブだったはずだ。
(つづく)