10年のキセキ(2) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日4月6日は、2012年、初単独ライブ、タワレコ渋谷店15分一本勝負が行われた日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計
・世界 感染確認者1,172,383人>死者63,878人
・日本 感染確認者3,271人>死者70人・退院584人・入院治療を要する者2,617人
>無症状324人・病状確認中708人・治療中1,585人>重症者69人
●10万人当たり
・世界 感染確認者15.20人>死者    0.83人
・日本 感染確認者2.59人>死者0.06人
出典:厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について」(4月5日正午現在)

Kenjiさんからご指摘をいただきましたが、4月4日アップ分のEurostat Data Explorerのリンクが切れておりました。検索結果ページのURLではリンクしないようです。
アップ分はすでに訂正しましたが、改めてリンク先を表示します。
https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/-/EDN-20171110-1?inheritRedirect=true
このページ自体はグラフが出ていてわかりやすいのですが、2014年度とちょっと古いので、グラフの下にあるHere(Absolute Number)でデータベースのページ「Pneumonia」にリンクされます。このページのデフォルトは2017年になっていますが、各国のデータがそろっていないので、年度(Period)を2016年にするとすべての国のデータがそろっています。
なお、森一生さんのコメントで、肺炎については10万人当たり/1年間のデータで、武漢ウイルスについては、この数カ月だけのデータなので、比較にならないとのご指摘がありました。それはその通りで、今後、武漢ウイルスでの死者数が増えていけば、各国とも2020年の終わりには、肺炎を上回る数値になる可能性もあります。
ただ、このデータを引用した趣旨は、以前から肺炎死者の多かった国ほど、肺炎に対する医療設備が整っている可能性が高いため、ヨーロッパ各国で同時期に陽性者が拡大し始めた武漢肺炎についても、国によって死亡率が異なるのだろうという仮説を立証するためです。その意味ではこのデータは参考になると思います。

 

2010年11月28日、横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで行われた「さくら学院祭☆2010」が行われ、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が初披露された。
この曲のタイトルに「☆」が入っているのは、ライブのタイトルに合わせたためである。コスチュームは赤と黒を基調にしてはいたが、実は私服で、観客はわずか300人だった。
2011年2月12日、さくら学院Happy Valentineライブ@原宿アストロで、重音部は初めてBABYMETALと名乗る。ヘヴィメタルのヘヴィとベビーをかけ、Kawaiiメタルの赤ちゃんという意味からそう名付けられた。だから、BABYMETALを英語風に「ベイビーメタル」と発音するのは正しくない。
ここから世界を股に掛けた壮大なBABYMETALの物語が始まる。
そう思われた矢先の2011年3月11日、東日本大震災が発生した。
観測史上最大のマグニチュード9の地震だけでなく、最大遡上高40mの大津波が、岩手・宮城・福島の太平洋岸一帯を襲った。これにより、死者・行方不明者1万8000人、全半壊40万戸という戦後最大の被害が発生した。
さらに、福島第一原子力発電所では、津波による全電源喪失が起き、原子炉建屋の水素爆発とベントによる放射性物質の拡散により、避難者はピーク時で47万人に達した。
当時の菅直人内閣が、「原子力発電所の安全確認」という名目で、震災とは直接関係ない全国すべての原子力発電所も一斉停止させたため、各電力会社は、原発の電力分を火力発電に代替するまでの期間、「計画停電」を余儀なくされ、停電世帯は全国800万戸以上に上った。また、福島第一原子力発電所から拡散した放射性物質の危険性をマスコミが連日報道し、浄水場の放射能検査のため、断水世帯は180万戸以上に上り、水やミルクの買い占め、東北産の農産物への風評被害なども起こった。
ある程度事態が落ち着くと、AKB48、ももいろクローバーZといったアイドルグループは、被災地でのチャリティライブを継続的に行ったが、小中学生からなるさくら学院は、メンバーの安否確認後、一時的に活動休止となった。
3月23日に発売予定だった1stアルバム『さくら学院 2010年度 〜message〜』は、震災のため、1カ月遅れの2011年4月27日にトイズファクトリーから発売された。
このアルバムには9曲目に重音部BABYMETALの「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が収録されている。音源としては、これがBABYMETALの初収録となる。


6曲目の新聞部Scoopersの「Brand New Day」は、2019年10月にリリースされたBABYMETALの3rdアルバム『METAL GALAXY』に同名の曲があるが、全く別の曲である。
7曲目の「Dear Mr.Socrates」はシングルカットされてMVが作られ、バトン部 Twinklestars は7月にメジャーデビューした。
このMVには、メンバーとして水野由結と菊地最愛が出演していたが、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)の2011年11月25日放映分で、アイドル好きのタワーレコード社長嶺脇育夫がフィーチャーされた際に、菊地最愛が踊りながらぴょこっと顔を出して手を振るシーンがカワイイと繰り返し流された。


嶺脇社長の「推しメン」が小学校6年生の菊地最愛であることに、タモリは大笑いしていたが、のちに彼女が欧米を沸かせる世界のBABYMETALのMOAMETALとして『ミュージックステーション』に出演することになるとは、思いもよらなかっただろう。
レッスンが再開された初日、新メンバーとして、水野由結・菊地最愛と同学年の田口華、1学年下の磯野莉音がさくら学院に加わった。
7月23日-24日、Shibuya Duo MUSIC EXCHANGEで行われた「さくら学院2011年度 NEW〜Departure〜」で、2011年度の12人体制がお披露目された。
8月27-28日には「東京アイドルフェスティバル 2011」に出演。


さくら学院は2日間にわたりフリーエリアでのミニライブとHOT STAGEステージでの45分の2ステージをこなした。45分セトリでは、BABYMETALが「ド・キ・ド・キ☆モーニング」を披露している。
秋。
NTT東日本の「FLET'S 光 WiFi」のCMキャラクターにさくら学院が起用され、メンバーはWiFi電波を擬人化した「光の天使」となった。10月14日から放映されたCMとネット配信動画のメディアミックスにはさまざまなバリエーションがあった。


天使No.4の中元すず香は、「スマホは光」編(2011年10月14日~)、「家の中WiFi」編(2011年11月19日~)、「あれこれパパ」編(2011年12月10日~、水野、菊地も)、「おでかけパック」編(2012年6月9日~、水野、菊地も)、児嶋一哉と共演した「CMを見ていた夫婦編」(2012年8月31日~)など堀内まり菜と共にほぼフル出演で、ハマカーンがMCを務める配信動画「光の天使のお勉強」で、NTTのアンテナショップ「光House」や商店街でのロケも行なった。
世界のメタルクイーンSU-METALは、今流行りの芸人とのロケも経験しているのだ。
印象深かったのが、天使No.9の水野由結とNo10の菊地最愛である。
「FLET'S 光ライト編」(2012年2月4日~)では、なぜか風呂屋の煙突の上に座っているイチローの回りを水野由結と菊地最愛が飛び回り、町で光導入に悩む人を「イチローさん、あれを見てください」「あの人にはライトです。お手頃料金で始めるインターネット月々¥2940~」と勧めるという内容だった。イチローが「あの人にもライト、あの人にもライト」というと、YUI&MOAが「イチローさん、すごーい」と言い、イチローが「プロでライトやってるんで」というのがオチ。
戸建て用の「FLET’Sにねん割」「メンバーズクラブ」のCMでは、寝ている佐藤健の枕元を飛び回り、「た・け・るさーん」と呼びかけ、「にねん割」という言葉を睡眠学習させるシーンが印象的だった。
当時、さくら学院やYUI&MOAのことを知らなかった人でも、イチローのCMや佐藤健のCMを「あ、見たことあるな」と記憶している人は多いはずだ。
日本では2003年ごろからYahooBBなどアナログ回線を用いたADSLブロードバンドが普及し始めたが、インターネットで動画がストレスなく見られるようになったのはもう少し後だ。
アメリカでは2005年にYouTubeが発足し、2007年にはiPhoneが発売された。
携帯電話用3G回線は、日本では2001年から運用が始まっていたが、2008年ごろには域内84%の普及率となり、iPhoneなどのスマホも普及した。
2010年から2011年にかけて、家庭用光回線やWiFi機器や街頭スポットが一気に広がり、オフィスや在宅のパソコンとスマホのバリアフリーが当たり前で、動画がほぼ無制限で見られる現在の環境が整っていった。
「光の天使」はその推進役を担ったわけだが、実は、この環境こそ、BABYMETALが世界に羽ばたく基盤となったものである。
2011年10月12日にBABYMETALの「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のエディットバージョンがYouTubeにアップされた。
当時、「青文字系」「裏原宿系」を代表する「アイドルとファッションの融合」=きゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPON」MVがYouTubeにアップされ、欧米で数千万回の視聴回数を記録していた。
ジェンダーを逆手に取ったマドンナや、「アート」を戦略化したレディ・ガガの方法論とは別個に、Kawaiiという価値観が、マニアックな欧米のジャパンカルチャーファンだけでなく、新しいアーティスティックな表現として、一般の音楽ファンにも受け入れられたのだ。
BABYMETALの「ド・キ・ド・キ☆モーニング」も、同じテイストのホラーKawaii動画として欧米の視聴者に評価され、KOBAMETALの元には海外でのライブのオファーがあったという。
古風にも、メタルを名乗る以上、海外に打って出るには本格的なライブバンドでなければダメだと考えていたKOBAMETALは、そのオファーを断った。
結果的にはそれが正解だった。仮に、ポップアーティストの方法論としてKawaiiメタルを前面に出していたとしたら、一時期は欧米でもてはやされたとしても、メンバーの成長とともに、あっという間に消費されつくしてしまい、「一発屋」で終わっただろうからだ。
だが、2013年12月のLegend-S-@幕張メッセのライブを撮影した「ギミチョコ!!」MVがBABYMETALの欧米進出を決定づけたことを考えると、ネットの高速化やスマホの普及こそ、「YouTubeから世界へ」というアーティストの新たなストラテジーを可能にした原動力であったことは確認しておかねばならない。
バブル期に、日本のロックバンドが欧米進出できたのは、莫大な費用のかかるプロモーションが行えたからだ。バブルがはじけて広報費が使えなくなると、実力のあるバンドでも、ワールドツアーを継続的に行うことは難しかった。
なお、現在YouTubeにアップされている「ド・キ・ド・キ☆モーニング」MVは2012年11月8日アップロードのフルバージョンに差し替えられている。
(つづく)