ヨーロッパの教訓 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日4月4日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計
・世界 感染確認者1,007,631人>死者51,356人
・日本 感染確認者2,617人>死者63人・退院514人・入院中2,040人>無症状287人・病状確認中492人・治療中1,261人>重症者62人
●10万人当たり
・世界 感染確認者13.06人>死者0.67人
・日本 感染確認者2.07人>死者0.05人
出典:厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について」(4月3日正午現在)
※本日より出典を厚労省データのみとし、各国データも厚労省の集計日時に統一した。

イタリアやスペインで多くの死者が出ているが、これも、武漢ウイルス自体の「恐ろしさ」だと思い込むのは間違っている。
EU諸国の統計を集めて公開している「Eurostat Data Explorer」では、各国の死因別の死亡者数のデータが得られる。

https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/-/EDN-20171110-1?inheritRedirect=true
の下の方にある「Here」(Absolute Number)でデータベースのページにリンクされている。
デフォルトは2017年になっているので、年度(Period)を2016年にするとすべての国のデータがそろっている。
2016年、EU全体で、肺炎を死因とする人は13万1535人だった。
6月以降にBABYMETALのライブが予定されている国では、イギリス30,029人、ドイツ18,747人、ポーランド13,323人、フランス13,323人、イタリア10,837人、スペイン9,160人、ベルギー3,990人、オランダ3,138人、スイス1,203人、オーストリア955人だった。
ある現象を比較するには、単位を揃えるのが算数や理科の基本だ。高学歴のはずのテレビ局のディレクターにはほとんどそうした意識がないが、国際比較では「実数」ではなく、人口当たりにしないと話にならない。
さきほどの実数を各国の人口で割り、単位を揃えるために10万人当たりにすると、イギリス45.2人、ベルギー35.0人、ポーランド34.7人、ドイツ22.6人、フランス20.6人、スペイン19.7人、オランダ18.1人、イタリア17.9人、スイス14.0人、オーストリア10.7人となる。
ちなみに日本は、肺炎で亡くなる方が94,654人もいるので、10万人当たりだと74.8人になる。
武漢ウイルスでの10万人当たり死者数は、4月2日現在、イタリア23.0人、スペイン21.7人、フランス7.0人、イギリス4.4人、オランダ7.7人、ベルギー8.9人、ドイツ人1.3人、スイス6.3人、オーストリア1.8人、ポーランド0.1人である。
武漢ウイルスでの10万人当たり死者数が、肺炎のそれを超えているのは、イタリアとスペインだけである。
注目したいのは、武漢ウイルスでの10万人当たり死者数が多い国は、逆に、肺炎での10万人当たり死者数が少ない傾向があるということだ。肺炎の多い日本では、武漢ウイルスでの10万人当たり死者数は0.06人である。
つまり、以前からインフルエンザや風邪から併発した肺炎での死者が多く、それに備えて医療体制を整えていた国は、総じて今回の武漢ウイルスでも、死者数を抑えられていると考えられるのだ。

ヨーロッパでは、3月初旬から感染確認者が増え始め、3月10日ごろから「爆発的」な拡大が始まった。この頃には中国での拡大が止まり、韓国とイランでの感染確認者の急速拡大に注目が集まっていた。

ヨーロッパ各国の保健当局は、クラスターを中心にPCR検査を限定的に行なって重症化する可能性の高い感染者を見つける日本式とは異なり、感染者の出た地域全体でPCR検査をできるだけ多く行う韓国式の方策をとった。「恐ろしいウイルス」だから、感染者を可能な限り発見して隔離することが最善だと考えたためだろう。

だが、それが逆に、短時日の間に感染確認者=偽陽性や軽症者も含めて「要隔離」の患者が急増した原因となった。

ぼくに言わせれば致死率の低い「風邪」なのだから、流行するのは当たり前だ。

その結果どうなったか。

気候が寒冷で、以前から肺炎の死者が多く、肺炎に対する医療体制のしっかりしていたイギリス、ドイツ、ポーランドなどの国では、武漢ウイルス感染確認者の実数が多くても、重症者への手当は適切に行われた。死者数は実数だと多く見えるが、実は、先ほど見たように通常の肺炎で亡くなる方よりはるかに少なく抑え込まれている。

しかし、温暖なため肺炎で亡くなる方が相対的に少なく、人工呼吸器など、肺炎に対する医療の備えが整っていなかったイタリアとスペインでは、要隔離の感染者が急増したことで、肺炎を併発した重症者への手当てが追いつかなくなり、肺炎で1年間に亡くなる方よりも多い死者が出てしまった。

これが武漢ウイルスで大勢の方が亡くなった原因であり、「恐ろしさ」の正体である。

マスコミの「ヨーロッパの惨状は明日の日本だ」という印象操作に惑わされ、「恐怖」のあまり、為政者に法的根拠のない強権を求めることになってはならない。そのためには、

第一に、「実数」に目を眩まされず、単位を揃えて人口10万人当たりで見ること。

第二に、通常のインフルエンザや肺炎患者の死者数・死亡率と比較すること。

第三に、個人への愛と社会的事象を混同しないこと。

が大切だと思う。

各国とも肺炎に備えたインフラが異なるので、「ヨーロッパ」とひとくくりにしてはいけないし、ましてや日本も必ずそうなると考える必要はどこにもない。

インフルエンザや風邪から併発した肺炎で亡くなる高齢者の多いわが国日本は、人工呼吸器や肺炎の有無を見るCT装置の数では世界一である。

要するに「武漢ウイルスは肺炎を併発する“こともある”風邪である」「重症化しやすい方への対策をしっかりやればよい」と考えた方が、無用な混乱を起こさず、冷静かつ有効な対策がとれるのだ。

先日の専門家会議の会見の最後に、尾身茂副座長は、「PCR検査を、コミュニティの中で感染の広がりを見るために行なうことはしていない。だが、日本の保健機関が20年も経験してきたサーベイで、疑いのある人はほとんど網にかかっている。それをもとにした“クラスターつぶし”は、武漢ウイルス対策の“主戦場”であり、ヨーロッパではやっていない。この“日本モデル”がもっと世界で広がって欲しい」と述べ、「2009年の新型インフルエンザのとき、日本の10万人当たりの致死率はケタ違いに低かった。今回もそれを目指したい」とキッパリ言った。カッコ良かった。

サーベイとは、感染経路(リンク)を徹底的に調べて、早期に重症化しやすい陽性者を見つける「積極的疫学調査」のことである。確かに、日本のPCR検査数における陽性者の比率は高く、10万人当たりの死亡率は「ジャパン・パラドクス」と言われるほど低い。

だが、この先どうなるかはわからない。尾身先生がおっしゃるとおり、“主戦場”が疲弊しており、リンクの追えない感染確認者が大都市圏で増えているのも事実で、今後の感染急増に備えて、感染症指定病院だけでなく、町医者やクリニックを再編成したり、軽症者専用施設を作ることは急務だ。この際、テレビやツイッターでデタラメを振りまき、10年も患者を診ていない「内科医」など要らない。

だが、このすべては「感染拡大を防ぐため」ではなく、「感染拡大によって重症者への手当てができなることを防ぐため」であることを正しく理解しなければならない。

だとするなら、武漢ウイルスはインフルエンザと同じく「肺炎を併発することもある風邪」であり、「普通の人は罹っても数日で治ります」「65歳以上の方と、持病のある方だけ発熱したらすぐに医師に相談してください」とアナウンスすべきだというのがぼくの考えである。

もっと乱暴に言えば、「ワクチンや特効薬のない未知のウイルスだから恐い」と思うのがそもそも間違いだ。

風邪は、医者や薬で治るのではない。人間は原始時代から未知のウイルスに対しても、体内で抗体を作って生き延びてきた。罹患し、発熱することで抗体ができる。ワクチンはあらかじめ病原体に罹患させて、接種者の体内に抗体を作らせる仕組みであって、薬ではない。

致死率の高い天然痘のようなウイルスに対しては、あらかじめ抗体を作っておくワクチンは必須だ。しかし、致死率の低い武漢ウイルスの場合、ワクチンがなくても、風邪と同じように、国民の多くが感染して軽症で治り、抗体を獲得すればよい。

重症化すると危険な感染症なので、インフルエンザと同じく統計を取り、自治体ごとに人工呼吸器や隔離病床などの医療インフラを整え、ワクチンや、抗体そのものを身体に入れる抗体薬の開発をスピードアップすべきだとは思う。

だが、まずは、武漢ウイルスもまた、インフルエンザと同様、社会的なリスクとして許容すべき感染症であるという当たり前の認識を持つことが大切だとぼくは思う。

もちろん、マスコミやアベヤメロの人々は「恐怖のウイルス」だと煽った方が、何かと都合がいいのだろうが。