汎ヨーロッパツアー15都市目ヘルシンキ公演 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日2月27日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

ヘルシンキのHouse of Culture(1,500名収容)は、北欧を代表する建築家・デザイナーのアルヴァ・アールトの代表作とされるモダンな芸術ホールで、1953年にフィンランド共産党のために設計されたが、現在はフィンランド政府が所有している。
ここでライブを行ったのは、ジミ・ヘンドリックス、クリーム(1967年)、レッド・ツェッペリン(1970年)、フランク・ザッパ、クイーン(1974年)、AC / DC、ラモーンズ(1977年)、ティナ・ターナー(1982年)、メタリカ(1984年)、ハノイ・ロックス、レナード・コーエン(1985年)、アイアン・メイデン(1995年)、レディ・ガガ(2009年)、ストラトヴァリウス、ハロウィーン(2010年)など、そうそうたるアーティストである。
BABYMETALは、今年1月28日のDIR EN GREYに続いて、日本人アーティストとしてそこに名を連ねることになった。
セットリストは以下のとおり。


1.FUTURE METAL
2.DA DA DANCE
3.Distortion
4.PA PA YA!!
5.BxMxC
6.神バンドソロ~Kagerou
7.Starlight
8.Oh! MAJINAI
9.メギツネ
10.ギミチョコ!!
11.KARATE
12.ヘドバンギャー!!
13.Road of Resistance

メンバー:SU-METAL、MOAMETAL、アベンジャー:岡崎百々子
神バンド:下手ギターChris Kelly、ベースClint Tustin、ドラムスAnthony Barone、上手ギターCJ Masciantonio

宇宙船基地を思わせるモダンな建物に「FUTURE METAL」はピッタリ。
インダストリアルな曲調に、近未来のメタル銀河から飛来したBABYMETALが、当地に降臨!というギミックがリアリティを帯びていく。ステージは小さく、銀河神バンドがスクリーンの前に立つと、会場から大歓声が起こる。
青い照明が点滅し、三人のシルエットが浮かび上がるたび、場内から奇声交じりの歓声が沸き起こる。三度目に三人が腕を動かし始めるとピットのエネルギーが高まっていく。スクリーンが真っ赤に燃え上がり、「DADADANCE」が始まる。
「BABY、BABYベイビーめろっ!」「フォー!」のポージングがカッコいい。
ストラトヴァリウス、ソナタ・アークティカ、チルドレン・オブ・ボドム、ハノイ・ロックス、ナイトウィッシュ、コルピクラーニなど、多様なメタルバンドを生んだメタル大国フィンランドだが、ユーロビートにも相性がよく、ユーロビート+メタルのコンセプトもアリだろう。最前列ではお立ち台よろしく手をヒラヒラさせて盛り上がっている。
3曲目は「Distortion」だった。Bセットですね。
不穏なSEから、「♪ウォーウォーウォーウォー…」というコーラスが聴こえてくる。続いてDjentなギターリフとマーチのようなドラムスに合わせて三人がダンスを始める。
パワーメタル、シンフォニックメタル大好きなフィンランド人にとっては「正統派」メタルだろう。会場は音響がよく、ギターの歪んだサウンドが心地よい。
だが、意外にも観客は静かだ。激しい圧縮やクラウドサーフは起こらない。ピット中央から後方は頭を動かしながらも、「鑑賞」する雰囲気が強い。
4曲目は「PA PA YA!!」。イントロが鳴るとSU-は「スーオーミー!」と叫び、「んJump!んJump!んJump!」と煽りながら曲に入っていく。スオミとは、フィンランド語でフィンランドのこと。観客席は一気にヒートアップする。
最前列では「ッパッパッ…パパヤー!」の合いの手を入れながらタオルを振り、ジャンプするファンが見受けられたが、ピット中央から後方は比較的おとなしい。国民性なのか。
5曲目は、イギリスでは大受けした「BxMxC」。だが、今日はヘドバンしながらもじっくりとステージを見つめる観客が多い。メロディがなく、ヘヴィなリフ+日本語ラップ+激しいダンスという曲調は、フィンランド人にはピンとこないのかもしれない。もちろん、SU-のアカペラソロパートでは大歓声が沸いた。
銀河神バンドのソロが始まると、Kulttuuritalo=House of Culture=文化の家らしく、演奏に聴き入る「鑑賞」の雰囲気が強まる。パートが終わるごとに拍手、歓声。三人が肩を揺らしてステージに再登場すると奇声が響くが、その雰囲気は変わらない。BABYMETALは、卓越した演奏、SU-の澄み切ったボーカルと日本語の響き、MOA、MOMOKOの表現力豊かなダンス。その完成度を見せつけた。
スクリーンに星空の中にひときわ輝く大きな星が映る。遠くから「♪ララララーラーラー…」というコーラスが聴こえてくる。7曲目「Starlight」である。これも「正統派」の楽曲だろう。観客は熱狂する最前列を除いては引き続き「鑑賞」している感じ。だが、変拍子を含む複雑な曲構成、美しいメロディ、ドラマチックな展開に、フィンランド人が静かに興奮しているのが、曲終わりの大きな拍手と歓声でわかる。
「♪ナイナナナイナイナイナイナイ…」のScreamが響き、8曲目「Oh!MAJINAI」が始まる。フィンランドが誇る(?)フォークメタルの雄コルピクラーニを思わせるポルカ・メタルであり、今日のライブはこの曲を楽しむためにあったといってもいい。赤い旗を振り、つるはしを振り、コサックダンスを踊るヨアキム・ブローデンの姿は、ソ連、共産主義のパロディにも見え、長年ロシアと対峙してきたフィンランド人にとっては快哉!だろう。
さすがにほとんどの観客がニコニコ顔で手拍子を打ち、波打つように動いている。ピット中央では小さなサークルモッシュが発生。やっぱりこの曲は欧州最強である。
そして欧州最強といえば続く9曲目「メギツネ」である。「さくらさくら」のメロディに続いて、C#mのリフが繰り返され、スクリーンには青と赤に輝く巨大なキツネ面が迫ってくる。キツネ面を持って再登場した三人は、客席に向かって深々とお辞儀。
和楽器のカラリンコン!という響きに続いて、MOAとMOMOKOがキツネサインを客席に突き刺し、曲が始まる。「ソレ!ソレ!ソレ、ソレソレソレソレ…」と踊ると、観客席は引き続き手拍子とジャンプで波打つように動く。
間奏部、MOAの笑顔に続いてSU-が再び「スオミー!へるしんきー!」と叫ぶ。それに続くフレーズもフィンランド語で、多分いつもの「今夜の気持ちはどう?私たちはここに来れて幸せでーす。」と言っているのだろう。そこからは英語で「Are you Ready to Jump?」「Are you Ready?1,2,123、Jump!」と煽り、観客席の熱狂を引き出した。
続く、10曲目は「ギミチョコ!!」。代表曲でさらに会場は燃え上る。「Give me…Chocolate!」で曲が始まった瞬間、おとなしかったピットでも、モッシュからのサークルモッシュが発生。
2014年の欧米デビュー以来、オランダまでは来るが北欧には足を延ばさなかったBABYMETALだから、フィンランド人ファンにとって、「ようやくその日が来た!」という感慨があったのかもしれない。
11曲目「KARATE」。腕を揃えた三人がスポットライトに浮かび上がると歓声が沸く。この曲もフィンランド人にはよく知られているのだろう。観客はイントロのリフに合わせて「エイ!エイ!…」の合いの手を入れ、「♪ひたすらセイヤソイヤ戦うんだ」に「♪ウォーウォーウォー」とシンガロングする。
三人が倒れ、立ち上がり、肩を組んで前進するシークエンスでは、歓声が止まず、SU-の「Everybody、Jump!」でうねるようにジャンプしていた。最後の「握りこぶしをキツネサインに変えて掲げ、スッと胸にしまう」ポーズに、日本文化の「残心」の香りが漂う。
不穏なオルガンの音色が響き、12曲目「ヘドバンギャー!!」が始まる。古い曲だがおそらくほとんどは初見だろう。MOAとMOMOKOが腰に手を当て、横ぶりヘドバンで「ヘドバン、ヘドバン…バンバンババン」とステージの際までせり出してくる。「いーちごのよーるを」の「トイ!」のタイミングで小さくジャンプしながら、観客に笑顔を振りまくMOAとMOMOKO。ヘヴィメタルのリフとドスの利いたSU-のボーカル。Kawaiさとメタルの迫力のアマルガムがBABYMETALであり、この曲はズバリその本質をついている。メタルを聴きなれたフィンランド人も、あらためて魅了されたに違いない。
暗転し、「BABYMETAL!」のコールが響く中、三人がBABYMETAL旗を担いで再登場すると、大歓声。フィニッシュ曲「Road of Resistance」である。
SU-は「文化の家」に配慮してかWODのしぐさは1回だけだったが、「1234!」の掛け声でピット中央に小さなサークルモッシュが発生。参加したフィンランド人たちはニコニコ顔で回っている。よしよし、これでよい。
「♪ウォーウォーウォー…」のシンガロング部では、MOAとMOMOKOがステージ前面に出て、大きな笑顔で客席を煽る。
「♪進め!答えはココにある!」とステージを指さす三人。どんな国民性の観客でも、最後にはキツネサインを上げさせる。そのプライドにシビレル。
終演後、Ne Tammelatさんのツイート「Ihan jäätävän hyvä keikka! Kannatti odottaa kolme vuotta, että Babymetal tulee Suomeen Niin kotoisa olo tuli taas muiden metallipäiden keskellä」を翻訳してみると、「本当に良いギグだった。BABYMETALを3年間待った甲斐があった!」というものだった。その高揚した気持ちが伝わってくる。
BABYMETALもまた、終演後の公式ツイッターで、「Kiitos!」(ありがとう)とフィンランド語で返した。
中1日置いて、次回は2月28日(日本時間2月29日)、「汎ヨーロッパツアー」第一ラウンド最後の国、極寒のロシア・サンクトペテルブルク公演である。