汎ヨーロッパツアー11都市目グラスゴー公演 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日2月20日は、2020年、UK・カーディフ公演(開演21:00)が行われる日DEATH。なお、時差とOAのためBABYMETAL登場は、日本時間2月21日07:15頃と推定されます。

2月19日21:00~(日本時間2月20日6:00~)、METAL GALAXY WORLD TOUR 2020十一都市目、グラスゴー公演が行われた。開演時間は、ドアオープン20:00、前座のCreeperが45分、ベビメタ登場は21:15(日本時間20日7:15)だったようだ。
会場は2,100名収容のBarrowland Ballroom。1934年にオープンし、1958年の火災後、1960年に再建され、現在まで続く老舗ダンスホール。ここの特徴は、なんといっても床下にバネが仕込まれたSprung Floorで、ジャンプしても衝撃を吸収してくれる。グラスゴー出身のロックバンドSimple Mindsの「Waterfront」MVはこの床でジャンプする観衆がフィーチャーされている。
BABYMETALは2016年12月にレッチリUKツアーのSSE HYDRO(13,000人収容)で前座を務めており、グラスゴーには3年2カ月ぶり2度目のお目見え。今回はヘッドライナーだが、当然SOLD OUT。外観からは想像できないほどレトロモダンな場内の天井は丸みを帯びており、超満員になっていた。
セットリストは以下のとおり。

1.FUTURE METAL
2.DA DA DANCE
3.ギミチョコ!!
4.Shanti Shanti Shanti
5.BxMxC
6.神バンドソロ~Kagerou
7.Oh! MAJINAI
8.メギツネ
9.PA PA YA!!
10.Distortion
11.KARATE
12.ヘドバンギャー!!
13.Road of Resistance

メンバー:SU-METAL、MOAMETAL、アベンジャー:岡崎百々子
神バンド:下手ギターChris Kelly、ベースClint Tustin、ドラムスAnthony Barone、上手ギターCJ Masciantonio

「FUTURE METAL」から「DADADANCE」で始まるオープニングはいつも通り。
心配だったのは、“メタルの本場”たるUKで、『METAL GALAXY』のコンセプトが受け入れられるかどうか。「FUTURE METAL」では、SU-のオートチューンで「Please fasten your neck brace」(コルセットをお締めください)といいながら、「This ain’t heavy metal.」(これはヘヴィメタルではありません)ともいう。
青い照明の点滅に三人のシルエットが浮かび上がると、極寒の中、長時間待ち続けた観客から大歓声が上がる。そこからスクリーンが真っ赤に燃え上がり、ユーロビート+メタルの「DA DA DANCE」が始まる。本日のアベンジャーはオランダに引き続き、岡崎百々子。
「BABY BABYベイビーメロッ」「フォー!」のリズムに、最前列のボルテージは一気に上昇するが、ミキサー卓付近からの映像では、会場の後ろ半分には“地蔵”が多数見受けられる。
2016年もそうだったが、スコットランドの観客は比較的おとなしい。チケットを買って足を運んだのだからBABYMETALのファンであることは間違いないが、2016年当時とはだいぶ違ったイメージの曲調に戸惑っている感じなのか。
3曲目は「ギミチョコ!!」。セットリストは再びツアー初日の「Aセット」に戻った。
スクリーンに「Give me…Give me…」の文字が映るだけで大歓声が沸く。さすがにこの曲で熱狂しないベビメタファンはいないだろう。
手拍子、ヘドバン、奇声など思い思いにノッているが、ベルギーやオランダのようにいきなりモッシュ、クラウドサーフという感じではない。大人しいのだ。感情を表に出さないスコットランド人気質なのだろう。間奏部、「Hey! グラスゴー!」とSU-が叫ぶと、観客は大歓声を上げる。ようやくノリが出てきた。
だが、4曲目「Shanti Shanti Shanti」では、ステージ付近で熱狂する観客と、後方であまり動かず「鑑賞」する観客の温度差が現れた。
ぼくは個人的にこの曲がUK四都市でどう受け入れられるか注目していた。ご存知の通りインドはイギリスの旧植民地であり、それをどう“消化”するかはイギリス人の人生観の一部である。だからビートルズの四人はインド音楽や哲学を学んだのだ。
インド音楽を見事にメタル化ないしBABYMETAL化したこの曲が、帝国主義ないしグローバリズム発祥の地でもあるイギリスでどう評価されるかは、『METAL GALAXY』の評価に直結するだろう。ここグラスゴーではまだ答えは見えない。 
5曲目「BxMxC」。テクノ+ヘヴィメタル+日本語+ダンスという多重新機軸が盛り込まれたこの曲は、意外にもグラスゴーの観客には大ウケしていた。ヘヴィでダークな曲調、SU-の狂気じみたラップ、激しく踊るMOAとMOMOKOという体験は、言語化できないだけに、ストレートに感情が伝わったのかもしれない。
銀河神バンドソロ~6曲目「Kagerou」は2018年のDownloadフェスでも、昨年のグラストンベリー&ロンドン公演でも演奏されたから、観客の中には馴染みのある方がいたかもしれない。イントロが鳴ると大歓声が上がるが、どちらかといえば「演奏を楽しむ」という雰囲気が濃厚である。
7曲目「Oh! MAJINAI」は、北欧~オランダ公演では、大熱狂の曲となった。Kawaii三人+ポルカ+メタル+ヨアキム・ブローデン×古代ゲルマン魂=無限大の楽しさとでもいうべきか。グラスゴーでもピットの中ほどまではうねるように踊っているが、後方の観客は手拍子をし、大笑いしながら見ている。楽しい感じは伝わってきた。良きかな。
8曲目は「メギツネ」。
「さくらさくら」のメロディが流れると、観客席から大歓声が上がる。やはり、どうもグラスゴーの観客は、2016年時点のBABYMETALのイメージが強いようだ。きれいに決まったMOA、MOMOKOの狛キツネポーズから「ソレソレソレソレ…」とイントロに入ると、客席はジャンプし、気勢を上げる。
間奏部、MOAが微笑みながら何かSU-に話しかけている。それを受けて場内を見回したSU-が「Hey、グラスゴー!How are you feelin’ tonight? We’re so happy to be here! 」と話しかけると、手拍子をしていた観客から大歓声が上がる。続けて「Are you ready to jump? Are you ready?」と畳みかけ、「1.2,1,2,3Jump!」でジャンプ大会になる。やはり「メギツネ」はUK最強である。
ちなみにadamさんのツイートによれば、SU-の「Glasgow」の発音は、大方のアメリカ人よりうまいそうだ。
続けてお祭りメタルの9曲目「PAPAYA!!」。イントロが鳴るとステージ近くでは「パッパパパヤ!」と叫び、タオル振りをしている観客もいるが、後方からの映像では後ろ1/3は「鑑賞」の態度を崩さない。大陸各地での熱狂に比べると大人しいのだ。アジアンテイスト+メタルというコンセプトをどう感じているのか、新生BABYMETALを気に入ったのか、ちょっとわからない。
10曲目「Distortion」。これも2018年以来お馴染みであり、わかっている観客は「ウォーウォーウォーウォー!」とシンガロングしている。もちろんライブがここまで進めば場内の雰囲気は熱気を帯びている。だがどうしても後方の観客は頭さえ動かさないのだ。
11曲目「KARATE」。青い照明の中、三人が斜めに腕を上げる構えをとる。きれいにそろったところでヘヴィなリフが始まる。観客は歓声を上げ、三人の正拳突きに合わせて「Hey! Hey!」と声を合わせる。やはり人気曲である。「♪ウォーウォーウォー!」の合いの手も入る。熱狂的にモッシュやサーフをするのではなく、歌いたいのだろう。
間奏部。三人が倒れ込み、起き上がり、肩を組んで前進し、SU-が「Everybody, Jump!」と叫ぶと、観客の2/3くらいがジャンプしていた。やはりこの会場ではジャンプが似合う。
12曲目「ヘドバンギャー!!」。ここでこの曲をセトリに入れていたもうひとつの意味がわかる。「成長テーマ」という奥深い意味ではなく、間奏部のMOA、MOMOKOによる煽りである。地蔵を決めていたグラスゴーの観客もステージからヘドバンを促されると、頭を動かさないわけにはいかない。内心は燃えているのだが、感情や動作に表せないのは北国の観客の特徴。新生BABYMETALが嫌いなわけではない。要するにシャイなのだ。MOAは「ヘドバンヘドバン」ではなく、ちゃんと英語で「Head Bang!Head Bang!」と言っている。それに応えて、短い時間だったが、後方の観客までヘドバンしていた。
13曲目「Road of Resistance」。この曲は2014年、ロンドン追加公演で生まれたご当地ソングである。イギリスを第二の故郷とするBABYMETALのアンセムでもある。
「ヘドバンギャー!!」でようやく心のほぐれた観客は、ピットに大きなWODを形成し、MOAの「1234!」で曲が始まるとモッシュを始め、シンガロングパートでは「♪ウォーウォーウォーウォー…」と大合唱になった。
グラスゴーの観客は、荒々しかったドイツやベルギーの観客に比べて大人しかった。
終演後のツイッターには、「so much fun tonight」とか、「A think Babymetal was by far the best metal gig ive been to in the 7/8 years of goth gigging ive done」「What a show」という絶賛ツイートが相次いだ。
だが、『METAL GALAXY』のコンセプトや、セトリに入った新曲のパフォーマンスを気に入ったのかどうかは、正直現状ではわからなかった。
ここからBABYMETALは南下し、2月20日(日本時間2月21日)、ウェールズ南部のカーディフ、2月22日(日本時間23日)、リヴァプールにほど近いマンチェスター、2月23日(日本時間24日)ロンドンに至る。
顔笑れ!戦え!BABYMETAL!

 

※私事ですが、老母逝去のため、数日間ブログ更新が遅れる可能性があります。ご容赦ください。>ALL