METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY
2020年1月25日-26日 幕張メッセ国際展示場1~3


BABYMETALが、1月25日、26日に、千葉・幕張メッセ国際展示場でワンマンライブ「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW『LEGEND - METAL GALAXY』」を開催した。

今回のライブは、昨年11月に開催されたワールドツアー日本公演の追加公演。25日のDAY-1は“光の世界”、26日のDAY-2は“闇の世界”がテーマとなっている。2枚組アルバム『METAL GALAXY』の楽曲を中心に、両日楽曲の被り無しという完全にセパレートされたライブが繰り広げられた。ものすごいインパクトを残した幕張2Daysの模様をレポートする。

“光の世界”を掲げた25日DAY-1は、アルバム『METAL GALAXY』のDisc-1の世界観が展開された。すでに興奮状態の会場に、ライブの幕開けを告げる「FUTURE METAL」が轟くと強烈な歓声が響き渡る。同時に、幕張メッセの1から3ホールぶち抜きという広い会場に設置された、ステージ全面の巨大LEDヴィジョンの映像に圧倒させられた。観客25,000人の視覚と聴力を瞬く間に制圧したBABYMETALは、「DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)」でポップさを伴いながら爆走。可動式ステージで歌い踊るSU-METALMOAMETALアベンジャーズの3人は、観客全員を一気にブチアゲてしまう。クールさと勢いが交差する「Elevator Girl」では、巨大画面に複数のエレベーターが行き交うようなシーンが展開される。曲の持つアップダウンする心情が、大きなLEDヴィジョンによってさらにカオティックに演出されて伝わった。BABYMETALのライブは、リアルタイムのライブ映像と制作された映像とのマッチングが実に巧みだが、今回のライブは画面の大きさもあり、よりヴィジュアルの効果が引き立っていた。スリリングなライブ冒頭から一転して、「Shanti Shanti Shanti」ではエキゾチックなムードが会場に広がる。3人の妖艶な舞に、観客はハンドクラップで応える。

ここで、BABYMETALのライブで名物的な存在だった紙芝居が久々に復活。ユーモアを交えた曲紹介とでも言うべき映像で心が和んだあと、フォークメタルチューン「Oh! MAJINAI (feat. Joakim Broden)」が披露される。スクリーンには、フィーチャリングのサバトンのヨアキムが映し出され、ポルカのサウンドと彼の歌で会場全員でコサックダンス。勇ましくコミカルという、かなりクレイジー空間が広がった。続く、スカのビートソリッドなサビが突き刺さる「ヤバッ!」でライブの勢いはアップする。「Brand New Day (feat. Tim Henson and Scott LePage)」は、フューチャーベースとヘヴィなギターサウンドが絶妙にマッチしたナンバー。SU-METALのボーカルが、ミッドテンポのビートで映えまくる。3人のダンスのしなやかさも目を見張るものがあった。
※「Joakim Broden」の「e」は、アキュートアクセント付きが正式表記

ライブ後半戦に入ると、必殺のキラーチューン「ギミチョコ!!」が投下された。疾走するサウンドに、フロアの至るところでサークルモッシュが巻き起こる。SU-METALの“幕張ー!”の声に、観客も大歓声で熱量をアップしていく。燃えたぎる会場は、「メギツネ」でさらにバースト。“ソレ!ソレ!”の掛け声のデカさはハンパない。間奏で、SU-METALが声を上げ更に観客に呼びかけたあと、“Are You Ready to Jump?”の掛け声でフロアにしゃがんだ観客が全員ジャンプ。鋭い視線から“なめたらいかんぜよ”の啖呵を切りキツネのお面を飛ばす。まさに幕張は、怒涛の一体感に包まれた。炎の揺らぐ中、届けられたのは「Night Night Burn!」。情熱的なラテンチューンで3人はフラメンコやサンバテイストの振り付けを踊ると、観客から大きな拍手が送られた。

荘厳なサウンドが鳴り響き「THE ONE」が披露されると、SU-METALの伸びやかな歌が会場を貫く。ドラマチックな曲展開と画面いっぱいに広がる宇宙空間で、会場ごとスペースシップに乗り込んで旅をしているかのような感覚となってしまった。宇宙規模のスケール感は、今まで味わったことのないものであった。“We Are The One”の歌詞通り、“ラララ”の大合唱が湧き起こり会場全体がひとつになってライブは一旦ブレイク

最後のナンバーは「Road of Resistance」。戦いの始まりを知らせるほら貝の音で、フロアは大ヒートアップ。観客はイントロのギターのメロディをシンガロングし、疾走するビートとともにサークルモッシュが大発生。ステージには、これまでライブに登場してきた3人のアベンジャーズが全員加わり、5人でパフォーマンスを繰り広げる。神バンドも倍になり、8人で演奏。5人が観客を煽り、観客も拳を突き上げ“ウォーオーオーオー”の大合唱。これ以上ないほどの、あらゆる圧倒感と高揚感が弾けまくり“We Are”“BABYMETAL!”の声と花火の炸裂音でこの日のライブはフィニッシュ。

前日の衝撃冷めやらぬまま、翌日26日のDAY-2は“闇の世界”がテーマのライブ。アルバム『METAL GALAXY』のDisc-2の楽曲をメインに進行されていった。

ヘヴィなグルーヴのパーカッシブなオープニングチューン「IN THE NAME OF」から、ソリッドなサウンドが鼓膜に突き刺さる「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」でライブはスタート。炎が上がる中、3人は鋭くパワフルな歌とダンスを見せつける。SU-METALのラストサビの渾身のロングトーンは、かっこよさしかない。テンション上がりまくりの会場にドロップされたのは「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」。SU-METALの“幕張ー!ジャンプ!ジャンプ!”の煽りにフロアは狂乱状態。画面に映るF.HEROのラップも、問答無用に熱い。“踊れ騒げ”の歌詞通り、ダークサイドお祭りが展開された。「KARATE」は、うねるビートと正拳突きが観客を鼓舞していく。間奏で倒れたメンバーが立ち上がって、3人で肩を組んで再び戦いに挑む姿はすでに感動的だ。

神バンドがエモーショナルなグルーヴを叩き出し、そのまま「Kagerou」に突入。儚い心の揺らぎをヘヴィなサウンドでストレートに歌うことで、切ない感情がよりクローズアップされた。さらにタフなヘヴィサウンドが響いたのは「BxMxC」。ヘヴィメタルヒップホップといった印象のこの曲は、まさに闇の世界の中でももっとも攻めな1曲だろう。SU-METALはトラック無しでラップするなど、怒りのパワーを爆発させる。

闇を切り裂くように披露されたのは「シンコペーション」。ギターのアルペジオがツインでハモり、3人は激情感たっぷりな歌とダンスで魅せる。“回れ”の歌詞とともに、感情の赴くまま観客はサークルモッシュを繰り広げた。

熱狂のままライブもいよいよ佳境。“伝説の…”という歌い出しから大歓声が上がる中、3人が披露したのは「ヘドバンギャー!!」。BABYMETALクラシックを、SU-METALハーフマイクスタンドを持って熱唱し、MOAMETALアベンジャーズは髪を振り回してパフォーマンスする。以前と変わらぬスタイルに胸を熱くしたのも束の間、間奏でSU-METALの鋭い眼光が画面いっぱいに映し出される。MOAMETALアベンジャーズは、観客にひれ伏すようにアピール。従わない者をチェックするために、フロアには骸骨姿のBABYBONEの面々も出動した。フロアまで移動した巨大ステージに向かって囲むように床にひざまずいた観客は、“頭!頭!頭!!”の声からヘドバンで暴れまくる。進化した「ヘドバンギャー!!」は、とてつもなく恐ろしいウェポンと化していたのだ。

そんなカオスの状況を一掃するかのように、幻想的な響きから「Starlight」が披露される。会場全体を覆い尽くす無数のレーザーの光。激しさと流麗さが交差する、エモーショナルな世界観。SU-METALは、力いっぱいのボーカルで歌を解き放った。光を求め、その先に待っていたのは新しい夜明けと言わんばかりに「Shine」が歌われる。温かさを感じるメロディとダイナミックなサウンドは、どこか安らぎすら感じる雄大さがあった。続けて披露されたのは「Arkadia」。高速で爆走するスピードチューンに、観客は全てを解放してブチアガる。ステージの3人は、全身全霊のパフォーマンスで全観客を魅了した。

光と闇の世界が壮絶にぶつかり合った幕張2Daysもいよいよ最後の1曲。ラストに届けられたのは「イジメダメ、ゼッタイ」。最近は披露されることの少なかったBABYMETALクラシックに、観客は“ルルルー”のハミングからキツネサインを突き上げ歓喜する。フロアが大きく割れ、SU-METALのロングトーンから猛烈なウォール・オブ・デスが巻き起こる。炎が燃え盛る中、ステージは全てのアベンジャーズが加わった5人の編成でパフォーマンスが展開。会場のボルテージはもう止まらない。間奏のバトルシーンは、MOAMETALと3人のアベンジャーズの4人による4ウェイマッチ。激戦から再び5人が結束し、そして観客とひとつになって強力な盛り上がりを作って爆音とともにライブは終了となった。

カラーの違う世界観を2日間に渡って見せたBABYMETAL。アルバム『METAL GALAXY』をより鮮明にライブで表現し、また、かつての楽曲も進化させて披露。楽曲によって違うアベンジャーズが登場し、最後に5人でステージを行うというのも新鮮だった。常にチャレンジしていくBABYMETALを存分に見せる、新たな挑戦に満ちた2daysライブだった。

しかし、今回ライブのエンディングにショッキングな告知が流れたことも伝えなければならない。

METAL RESISTANCEが最終楽章第10章を迎え、伝説に終止符を打つ最後の聖戦が結成10周年イヤーに始動。4月1日キツネ様のお告げがあるというのだ。

これは果たして、METAL RESISTANCEの役目の終わりを指すものなのか、それともBABYMETAL自体の終焉を指すものなのか多くの疑問が残る。複雑な思いも大いにあるが、希望を持ちながら次なる展開を待ちたい。

文 / 土屋恵介
撮影 / Photo by Taku Fujii、Photo by Takimoto“JON”Yukihide
アイキャッチ写真 / Photo by Takimoto“JON”Yukihide(1月25日

METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY
2020年1月25日-26日 幕張メッセ国際展示場

セットリスト

DAY-1
01. FUTURE METAL
02. DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)
03. Elevator Girl
04. Shanti Shanti Shanti
05. Oh! MAJINAI (feat. Joakim Broden)
06. ヤバッ!
07. Brand New Day (feat. Tim Henson and Scott LePage)
08. ギミチョコ!!
09. メギツネ
10. Night Night Burn!
11. THE ONE
12. Road of Resistance

DAY-2
01. IN THE NAME OF
02. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)
03. PA PA YA!! (feat. F.HERO)
04. KARATE
05. Kagerou
06. BxMxC
07. シンコペーション
08. ヘドバンギャー!!
09. Starlight
10. Shine
11. Arkadia
12. イジメダメ、ゼッタイ

BABYMETAL 3人のアベンジャーズとともにカラーの違う2日間、約5万人の視覚と聴力を瞬く間に制圧したステージを総括する。は、WHAT's IN? tokyoへ。
(WHAT's IN? tokyo)
Photo by Takimoto “JON” Yukihide(2月25日)