ギターとベビメタ(7) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
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★今日のベビメタ
本日1月14日は、2013年、FM802「REDNIQS」、FMOsaka「Buzz Rock」に出演し、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」リリース記念ライブin大阪が行われた日DEATH。

エレキギターのピックアップから出る音は電流なので、つまみで動かせる可変抵抗素子(ポット)を回路に組み込めば、音量をコントロールできる。これがギターのボリュームである。
同じように、高い周波数をカットするコンデンサーにポットをつければトーンになる。
ボリュームポットを足踏み式にしたのがボリュームペダル、トーンポットを足踏み式にしたものがワウペダルである。
ギターから出た信号を、特殊な素子を組み込んだ回路を通すことによって変化させる機器をエフェクター(ペダル)といい、リバーブ、ファズ、オーバードライブ、ディストーション、コンプレッサー、エコー/ディレイ、フェイザー、コーラス、フランジャーなど様々なものが開発されてきた。
もともと小さなトランジスターアンプでも迫力のある歪みを出すという目的で、日本人が作ったMAXONのOD-880、IbanezのTS808、BOSSのOD-1といったオーバードライブは、ジェフ・ベックやスティーヴィ・レイ・ヴォーンら海外の有名ギタリストが真空管アンプをドライブするために愛用され、これを改良した機種が、現在に至るまで数多く開発されている。


1980年代のロック/メタルシーンには、これらのエフェクターが不可欠だった。日本人は、これらのエフェクターを通じて、ロックの発展に貢献しているのだ。
日本人がロック史に貢献したのは、エフェクターだけではない。
以前も書いたが、1985年に現在のフェンダー・インストゥルメンツ・コーポレーション(フェンダー・ミュージック)が再建されたプロセスに深くかかわっていたのも日本人である。
1970年代後半~1980年代前半、フェンダー社はCBSの傘下になっていたが、加工/組み込み精度の低下など、様々な問題を抱えていた。また、日本の楽器メーカーが、安価で高品質なギターを米国で販売していたため、マーケットを奪われていた。
日本では、1960年代の「エレキブーム」以降、多くの楽器メーカーが誕生し、1970年代にはYAMAHA、グレコ、フェルナンデス、トーカイ、アリアプロⅡ、Ibanezなど、様々なブランドがオリジナルに限らず、ギブソン、フェンダーのコピーモデルを作っており、訴訟問題なども起こっていた。
1981年、マーケティング・ディレクターとして、フェンダー社に招かれたダン・スミスは、当時グレコブランドの楽器などをOEM生産していた日本の富士弦楽器製造(現フジゲン)の生産技術を高く評価し、フェンダーUSAへの技術協力を依頼する。
富士弦楽器は技術者チームを派遣して、創業以来稼働してきたカリフォルニア州フラートン工場から30kmの距離にあるコロナ新工場建設の技術支援を行い、新工場が本格稼働するまでフェンダーブランドのOEM生産も請け負った。


1982年、フェンダー社、富士弦楽器、神田商会、山野楽器が共同出資して、フェンダージャパン社が設立される。日本のギター小僧にとっては高嶺の花だったフェンダーのブランドが、身近になったのだ。

フェンダージャパン社は1997年に解散して、神田商会のブランドとなり、2015年からは米国フェンダー・ミュージックの生産ラインに組み込まれたが、富士弦楽器、東海楽器、寺田楽器、ダイナ楽器などで製造された日本製フェンダーは、ジャパン・ヴィンテージとして高く評価されている。
1970年代後半~1980年代前半には、ギブソン、フェンダーの二大ブランド以外にも、B.C.RICH、ミュージックマン、PRSといったハイエンドブランドが表舞台に登場してきた。
また、カスタムショップからスタートしたJackson、Charvel、SCHECTER、Kramerといったメーカーは、ストラトキャスターのシェイプなのに、24フレットのセットネック仕様、ハムバッカーやEMGのピックアップやフロイドローズ・トレモロユニットを組み込んだ通称「スーパーストラト」や、フライングVシェイプのギターを製作し、HR/HMギタリストの御用達となった。


スパニッシュギター職人の名前から名づけられたIbanez(星野楽器)が製造したTS-808はオーバードライブの名器だが、1987年にスティーヴ・ヴァイのシグネチュア・モデルJEMを作り、それをもとにしたRGシリーズが、KOЯN、リンプ・ビズキットなどヘヴィメタルバンドのギタリストに愛用された。
ESPはKramerやSCHECTERのOEMから始まったが、プロギタリスト、プロベーシストのシグネチャーモデルを多く製作し、ハイエンドブランドとして認知されている。
とりわけメタルバンドの愛用者が多く、著名なところでは、ロン毛のお兄さん=Kirk Hammet、James Hetfield(METALLICA)、Jeff Hanneman、Tom Araya (SLAYER)、Frank Bello (ANTHRAX)、Alex Scolnick (TESTAMENT)、Alexi Laiho (Children of Bodom)、Will Adler (LAMB OF GOD)、Erias Viljanen (Sonata Arctica)、Richard Z. Kruspe (RAMSTEIN)、Stephen Carpenter(DEFTONES)、SUGIZO(X-Japan)、Char、横山健などがいる。
神バンドのギタリストが使うHorizon FR-7やSnapper-7、ARROW-7もESP製である。
こうして、1980年代以降、ギターの進化はボーダーレスとなり、日本もまた、その重要な一翼を担う舞台となったのである。
(つづく)