祝!SU-METAL 聖誕 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日12月20日は、1997年、SU-METALこと中元すず香が誕生し、2012年には、Legend “D” SU-METAL聖誕祭@赤坂Blitzが、2014年には、APOCRYPHA-S@豊洲PITが行われた日DEATH。

今日はSU-METALこと中元すず香の22歳の誕生日。


思えば、20歳を祝う広島グリーンアリーナでのLegend-S-からもう2年経った。
この2年間は彼女にとって「大人」として、またBABYMETALおよびチームベビメタのリーダーとして、最初の大きな試練だったと思う。
いわゆるグループアイドルとBABYMETALの決定的な違いは、メンバーのアーティストシップにあるとぼくは思う。
グループアイドルは、「卒業」が前提となっている。
メンバーの多くがローティーンで加入し、長くいても20代の半ばに「卒業」する。
さくら学院に至っては小学生で「転入」して、中学3年生で「卒業」となる。
その儚さがグループアイドルの魅力でもあるのだが、せっかくデビューして一定の知名度を得たのに、その後の長い芸能活動では「元〇〇」としか呼ばれない。しかも、「歌って踊る」という“芸”ではなく、女優、バラエティタレントその他の分野でしか活躍できない。元アイドルでソロ歌手、ダンサーとしてアイドル時代以上の成功をおさめることは、皆無ではないが至難の業である。
その原因というか、構造的な問題は、グループアイドルの場合、芸能ジャーナリズムが、メンバーひとりひとりの“芸”を真正面から評価しないからだ。そこでの評価軸は、あくまでもグループの一員としてのものであり、「かわいさ」はもちろん、「がんばり」や「けなげさ」や「リーダーシップ」や、ときには「未熟さ」や「ポンコツぶり」や「塩加減」が対象になる。
それはそれで一つの見方であり、BABYMETALにおいても、この2年間の二人の「がんばり」や「けなげさ」は称賛に値するし、SU-の「リーダーシップ」や先日のANOTHER GALAXY初日に見せた「ポンコツぶり」は、メイトにとっても御馳走である。
しかし、BABYMETALにおいて評論の対象となるのは、あくまでもメンバーやアベンジャーズの歌唱・ダンス・ステージングや神バンドの演奏、観客の反応を含めたトータルなライブの出来である。いくらがんばっていても、ピッチが外れていたら指摘されるし、振りのタイミングがズレたらダメなのだ。
グループアイドルでも、ラウド系/ロックアイドルでも、そこを指摘する評論家はいないし、ファンでも稀である。
なぜ、「アイドルとメタルの融合」という看板を掲げていたBABYMETALがBABYMETALになったのか。
それは、畢竟、中元すず香という少女が、小学生にして類まれな「歌手」だったからだ。


メタルマニアのアミューズ社員プロデューサーKOBAMETALが、可憐Girl’sにいた小学校5年生の中元すず香を観たとき、「メタル少年少女歌劇団」を構想したという。
歌うことが大好きで、大人から見ても「上手い」と思わせる少女はいくらでもいるだろう。
しかし、中元すず香は、歌が上手いことを見せびらかすのでも、「歌手になりたい」と夢見る少女でもなく、最初から「歌手」だった。
年に二回あるアクターズスクール広島の発表会は、中元すず香にとっては「お稽古事の発表の場」ではなく、観客の心を動かす文字通りの「舞台」だった。
練習するのは「上手く歌うため」ではなく、その歌に込められた「思い」を伝えるためだった。だから、歌詞を読み込み、どう表現したらその思いが観客に伝わるかを考えた。
おそらく、アクターズスクール広島の歌の先生も、技術的なことだけでなく、歌の「思い」を伝える大切さを教えただろう。
しかし、小中学生のレベルではそこまではなかなか到達しないし、表面上、上手く歌えてしまえば、大人たちはそれをほめそやすだろう。
中元すず香は違った。
あくまでも生真面目に先生の教えを守り、「歌で思いを伝える」ために自分の時間のすべてを使った。
お洒落にはほとんど関心を持たず、姉の洋服を拝借して事足れりとする。「力うどん」を「長年の職人さんが力を入れてこねたうどん」だと思い込む。靴の紐が結べない。
ある意味、とんでもなく不器用なのだ。
その姿勢は、『METAL GALAXY』の「Brand New Day」に関するインタビューでも一貫している。息を抜くように歌うこと、抜きながらも“大人カッコよさ”を表現すること。徹底的に「Brand New Day」という楽曲の本質を表現しようとする。
ひとたびステージに立てば、中元すず香ではなく世界の歌姫SU-METALとして、メタルの本質を表現しようとする。
この生真面目さ、不器用さがBABYMETALを創った。
デビュー当時、変わり種のグループアイドルとみられていたBABYMETALのアーティストシップは、中元すず香の性格によってもたらされたものであり、観る者は自然にロックシンガー、ロックミュージシャンと同じ評価軸でとらえるようになった。
ここ数年、BABYMETALの世界的活躍を機に、ラウド系アイドル、あるいは、ロカビリーやガレージロックなども含め、広い意味でのロックをテーマにしたロックアイドルグループが続々と生まれている。
本格的なロックそのものの曲調を持つ楽曲も少なくない。
メンバーの歌とダンス、生演奏の“芸”で、アーティストシップを感じる域にまで達しているグループは少なく、メンバーの入れ替わりも激しいのが現状だが、日本のみならず、海外のライブハウスやフェスで活動しているグループもある。
海外では、「Idol」というジャンルがロックの一種として確立されつつあり、小規模ながらフェスも開催されるようになった。日本でも、そんな日が来るのだろうか。
その意味で、中元すず香とBABYMETALの影響は限りなく大きい。
なぜ、1997年12月20日に、中元すず香が、こういう性格=生まれつきの歌手として広島に生まれたのか。
それはもちろん、Only The Fox God Knowsである。
中元すず香さん、お誕生日おめでとうございます!