キツネ様降臨数(5) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日12月3日は、2017年、Legend-S-洗礼の儀@広島グリーンアリーナ2日目、ライブ終盤SU-METALがスモークの中央通路を歩き、参拝者の拍手が鳴りやまない感動のシーンを見せてくれた日で、2018年には、JUDAS PRIEST Fire Power Tourシンガポール公演@ZEPP@BIGBOXに、前座として出演した日DEATH。

●2018年…日本5回、海外7か国18回
YUIMETALが欠場した2017年12月2-3日のLegend-S-洗礼の儀@広島グリーンアリーナは、SU-とMOAが二人だけでステージを務めた。
「In The Name Of」で巨大なキツネ像の口から登場したSU-が、キツネ面を被った男たちが鎖を引く移動舞台に乗って弓矢を引くと、ステージのパイロに点火するという大興奮のオープニング。


YUIの欠場でBBM楽曲を一人で歌い踊ることになったMOAに、観客がYUIのパートを歌うシーンも見られたが、2日目には堂々たるパフォーマーぶりで感動を呼んだ。
最後の「THE ONE Unfinished Ver.」で、配布された三種の神器のマスクが光り、幻想的な光景が現出した。バンドパートから登場したMOAがSU-に続いて階段を上っていくと、「女神」になったSU-とともにMOAもまた1年半後には「女神」になっていくのだなという確信を抱かせた。
しかし、年が明け、キツネ様の天敵、戌年となった2018年1月8日午後7時ごろ、衝撃的なニュースが飛び込んできた。
年末に自宅で天体観測中に滑落した藤岡幹大神が、加療の甲斐なく1月5日に永眠されたという悲報だった。
世界中のメイトが打ちひしがれる中、2月24日にはWorld Tour 2018の日程が発表になり、BABYMETALは立ち上がるのだなと希望を抱かせてくれた。
4月1日、2018年のテーマとなる「CHOSEN SEVEN」のトレイラーが配信された。「5大キツネ祭り」の次は「7大〇〇」になるのか、くらいしか、この時点ではわからなかった。
4月23日、藤岡幹大追悼ライブMy Little Godが川崎CLUB CITTA'で行われた。ゆかりのミュージシャンやMIの講師仲間たち、BABYMETALのライブに欠かせないマニピュレーターの宇佐美秀文氏のバンド、仮バンド、大村バンドらメイトにとってもお馴染みのメンバーが5時間におよぶライブを繰り広げた。
最後に残ったのは、BOH神、青山秀樹神、大村孝佳神、Leda神の神バンド4人で、故人の名前からとった「Wisteria Hill」で、ESPスナッパー藤岡モデルを弾きながら、大村神が号泣していた姿は今でもくっきりと目に焼き付いている。
5月7日、World Tourの前日、何の前触れもなく新曲「Distortion」が配信された。メイトは歓喜したが、翌日5月8日、カンサスシティ公演でどん底に突き落とされた。
この年から、BABYMETALは単独公演ではOAをつけるようになった。
USツアーのサポートは、インド出身のSkyharborだった。それが終わり、BABYMETALが登場すると、体調不良から回復し、また笑顔を見せてくれると思っていたYUIMETALが、引き続き欠場していた。
その代りに、大柄な二人のサポートダンサーがステージに立ち、ヘッドギア付き鎧コスチュームのBABYMETALは4人体制になっていた。


二人のサポートダンサーは、下手側がELEVENPLAY所属の丸山未那子氏、上手側がJAC所属のアクション女優佃井皆美氏だった。
セトリ中盤に置かれた「紅月-アカツキ-」で、この二人は偽闘を見せた。
これまで二人のギタリストが背中合わせになってツインソロを聴かせていたところ、下手Leda、上手ISAOの両神は動かない。その代り、二人のダンサーが、鋭い回し蹴り、突き、前転、側転、水面蹴り、ジャンプ、ハイキックなど、美しい殺陣を見せた。
それは単なる振り付けではなく、MIKIKO師流の「五感に響く作品」だった。
BABYMETALは、メタルダンスユニットである。メタルを歌と演奏だけでなく、ダンスを含めた「表現」とするのがBABYMETALの本領である。
YUIMETALの不在は、ある程度前から確定していたに違いない。チケットはすでに売れている。ファンには事前に知らせない。
20歳になったばかりのSU-と18歳のMOAは苦しいだろう。だからこそ、矢面に立つこの二人のダンサーたちは、それを補って余りある「表現」で勝負しなければならない。
ゼッタイに負けない。
その必死の思いと気迫が、二人のダンサーの体からほとばしっていた。
そして、金色のマントを翻し、二人の偽闘に割って入り、「♪過ぎてゆく時の中~」と歌い上げるSU-も、多くの曲でフォーメーション上、ステージ最前線に立ち、「GJ!」では二人のプロダンサーを従える形になるMOAも、気迫とショーマンシップにあふれていた。
新曲は「Distortion」のほか、「Elevator Girl」、「KAGEROU」(当時はTATOOと呼ばれていた)がドロップされた。
新しいコスチューム。日蝕を象った新しいロゴ。「Darkside」と銘打った新しい「ベビメタ神話」。曲間の新しいオーケストレーション。
メンバー、サポートダンサー、神バンド、チームベビメタ全員が、一丸となって藤岡神の逝去とYUIMETALの不在という危機を乗りこえようとしていた。
それに気づいたとき、ファンカムを見ていたぼくは心が締め付けられ、断固BABYMTALを支持するブログを書き続けた。
「YUIはまだBABYMETALに在籍しています。ですが今回のUSツアーには参加していません。」
Alternative Pressの記者が、アメリカでBABYMETALをマネージメントする5Bの担当者に直撃取材した記事が、オースチン公演の開演2時間前に掲載され、待機列には歓喜の声が響いた。だが、それよりも、4人体制のBABYMETALのライブ内容そのものが、観客を熱狂させ、感動させていった。
ヒューストン公演終演後、公式ツイッターは、フロア席を埋め尽くしたアメリカ人の大観衆がこぶしを振り上げてステージ上のBABYMETALを讃えている姿を映し出していた。
タイトルは、「Thanks Houston Texas」。
YUI不在のDarksideでも、ファンが熱狂的に支持してくれた喜びにあふれたツイートだった。
5月8日    ~20日まで、カンサスシティ、オースティン、ダラス、ヒューストン、アトランタ、シャーロット、ナッシュビルとアメリカ南部を中心に巡り、最後はオハイオ州コロンバスのRock on the Rangeに出演して2018年のUSツアーは終了。
6月からは、神バンドのギタリストが大村孝佳神とISAO神の組み合わせとなって、6月1日Rock am Ring 2018、2日Rock im Park 2018と2つのドイツのフェスに出演、6月4日はサポートバンドがDream Stateに代わり、風光明媚なオーストリア・インスブルック、6月5-6日の両日はオランダ・ユトレヒトでの公演。そして6月9日には、UK・ドニントンパークのDownload Festival 2018に出演した。ぼくはRichard氏の家族とキャンプを張って初日から参戦していた。BABYMETALが登場する土曜日の午後、セカンドステージとしてはフェス史上最多の観客が集まり、朝から最前列にいたぼくの上を何人サーフしていったか数えきれない。そこで知り合ったフランス人の若者から、ヨーロッパではDarksideのBABYMETALが新しいファン層を獲得していることを知った。


夏休み。2018年のBABYMETALはめずらしく夏フェスにも出ず、沈黙を保った。
この年、ようやく初の国内ライブとなった幕張メッセ公演を控えた10月19日、YUIMETALの脱退が発表された。多くのメイトに失望を与えたが、ついに体調が回復しなかったこと、「水野由結としての夢」を叶えるために辞める決意をしたというメッセージに、「YUIちゃん、今までありがとう」とコメントするファンも多かった。同日、新曲「Starlight」が配信された。冒頭と最後の「♪ラララララ…」というコーラスに、藤岡幹大氏への追悼とYUIMETALへの惜別の気持ちが込められていると同時に、再出発を期する「浄化」の曲のように思った。
迎えた10月23-24日の幕張メッセ。
サポートバンドはGalactic Empireで、スターウォーズを模した奇抜な外観とは真逆に、全曲インストの演奏力は驚異的だった。今思えば、ここから2019年の銀河神バンド構想は始まっていたのかもしれない。
登場したBABYMETALは、さらに3人のサポートダンサー(ELEVENPLAYのSHOKO、大阪CALLES出身のSAYA、KOTONO)が加わり、7人体制になっていた。これが2018年のテーマ、CHOSEN SEVENだったのだ。


上下する△と▽の舞台が組み合わさり、7人が群舞するCHOSEN SEVENのフォーメーションは変幻自在で、ヘヴィメタルの楽曲を表現しているのに、ミュージカルのように豪華だったが、「Starlight」では、観客全員がキツネサインを掲げ、藤岡神への哀悼を捧げた。
終演後の満月が印象的だった。
10月28日、さいたまスーパーアリーナで、初のヘッドライナーフェス、Darknight Carnivalが行われた。出演バンドはGalactic Empire、SABATON、BABYMETALの3組だが、OZZフェストやノットフェスのように、BABYMETALがヘッドライナーとなるフェスが開かれることを夢見ていたメイトには、大いなる喜びの一日となった。「META!メタ太郎」で、SU-、MOAとSABATONのヨアキム、Galactic Empireのダークベイダー卿がひとつの▽ステージに乗り、5メートルくらい持ち上がる光景は圧巻だった。
10月30-31日には、サポートバンドがSABATONに代わり、神戸ワールド記念ホールでジャパンツアーを終了。
12月4日、BABYMETALはJUDAS PRIESTのFire Power World Tourのサポートとして、シンガポールZEPP BIGBOX に出演。サポートダンサーはSAYAひとりで、かつての3人体制が再現した。また、神バンドのギタリストとして、かつて「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の演奏動画をアップしていたメイトでもある平賀優介神が初降臨した。
このままのメンバーで、12月7日からは、初めてオーストラリアのGood Things Festival 2018に出演。7日メルボルン、8日シドニー、9日ブリスベーンと日本とは反対の灼熱の冬フェスを経験した。


思えば、シンガポール~オーストラリアでの3人体制が、やっぱりBABYMETALは三人組がいいなというメイトたちの願望に火をつけ、SU-&MOA+1の「アベンジャーズ」体制が生まれたのかもしれない。

だがBABYMETAの歴史を語るなら、2018年にサポートダンサーを務めてくれたMINAMI、MINAKO、SHOKO、SAYA、KOTONOの5人の献身を、ぼくは決して忘れない。

2014年の欧米デビュー以来、最少のキツネ様降臨数となった2018年。
藤岡神逝去、YUIMETALの欠場~脱退といった危機の中で、メンバーはもとより、サポートダンサーたちの顔笑りや、チームベビメタ一丸となって乗りこえたDarksideの経験は、2019年の新生BABYMETALの大きな財産となった。
そして、ライブが少ない分、3rdアルバム『METAL GALAXY』の楽曲制作や「アベンジャーズ」構想、全米横断ツアーの準備が着々と進んでいたわけだ。
天敵の戌年、手痛い傷を負いながら、キツネ様は虎視眈々と、もとい狐視眈々と次の年を準備していた。それが2019年4月FOXDAYに爆発する。
(つづく)