METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN
201911月16日 さいたまスーパーアリーナ

BABYMETALが、11月16日、17日にさいたまスーパーアリーナでワンマンライブ『METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN』を開催した。これまでも強烈なライブを幾度となく更新してきたBABYMETALだが、10月11日にリリースしたニューアルバム『METAL GALAXY』を引っさげての今回の公演は、とにかくすごいものを見てしまった!という圧倒感を痛烈に感じさせるものがあった。

では、今年に入ってのBABYMETALの経緯を軽くおさらい。2018年のダークサイド期を経て、今年6月28日、29日に横浜アリーナで行われたワンマンライブ『BABYMETAL AWAKENS - THE SUN ALSO RISES -』で、SU-METALMOAMETALバックアップするサポートメンバーのアベンジャーズが加わり、3人体制でのパフォーマンスが復活。反撃の狼煙を上げたBABYMETALは、9月からスタートした『METAL GALAXY WORLD TOUR』でハードな日程のUSツアーを敢行。10月11日には、ロサンゼスのレジェンダリーな会場ザ・フォーラムでのワンマンライブ『METAL GALAXY WORLD TOUR - LIVE AT THE FORUM -』を開催し、西海岸のファンを熱狂させた。

ではここからは11月16日に行われた、スペシャルゲストにイギリスのロックバンド、ブリング・ミー・ザ・ホライズンを迎えての公演のレポートをお届けする。

ブリング・ミー・ザ・ホライズンは、エレクトビートとヘヴィなバンドサウンド、スクリームを超満員の会場に轟かせる。ダンサーを従え、映像とリンクした強力なステージで、フロアのボルテージも上昇。ボーカルのオリヴァーサイクスはステージを降り、観客の中で熱唱したりとエモーショナルなパフォーマンスで会場を盛り上げた。

いよいよBABYMETALのステージ。すでにできあがった状態の会場に、エレクトロニックな「FUTURE METAL」とオープニング映像が流れる。「DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)」がドロップされると、観客の興奮はさらに上昇。メタルとユーロビートが融合したグルーヴ感溢れるサウンドで、BABYMETALは三角形のステージで歌とダンスで魅せていく。歌詞の“いざ踊れ!”のフレーズに観客も呼応し、広いさいたまスーパーアリーナは一瞬にして沸騰状態となる。

続いて投下された強力なボムは「ギミチョコ!!」。インパクト絶大なリフとキャッチーなメロディの高揚感が凄まじい。巨大なスクリーンにはメンバーの活き活きとした表情が映し出され、間奏ではSU-METALの“さいたまー!”の声が響き渡る。会場はすでにエクストリームな空間となっている。

ピアノの流麗な音色とパワフルなビートが交差する「Elevator Girl」では、3人のリアルタイムのパフォーマンス姿が、上下するエレベーターに乗ったような映像となって流れる。ジャジーかつムーディーな雰囲気さえ感じさせるメタルサウンドは、大人っぽさとかわいさを合せ持つ現在のBABYMETALの姿をしっかりと伝えた。

そして、シタールのエキゾチックな響きと刻みまくるギターが一体となって突き進む「Shanti Shanti Shanti」を披露。観客が白熱する中で繰り広げられる、間奏の3人のダンスは、もはや祈祷師の舞のようですらあった。

ここまで立て続けに燃えたぎってきた会場に、一瞬の静寂をもたらす幻想的なサウンドが聴こえる。ピアノとストリングス、天使を想起させる“ラララ”のコーラスから始まる「Starlight」。荘厳さをぶち破るSU-METALのタフなボーカルとソリッドなサウンドは圧巻。サビでは、レーザーの瞬く中で“Starlight”のロングトーンがこだまする。楽曲の持つスケールの大きさに、会場は宇宙空間化してしまったかのようだ。

続いて、うねるギターフレーズとともに届けられたのは「Kagerou」。ミディアムなグルーヴチューンに乗るSU-METALのボーカル、MOAMETALアベンジャーズのダンスは妖艶さを帯びていた。

ライブが折り返し地点に到達すると、「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」が披露される。パワーたっぷりに突き進んでいくエモーショナルなサウンドで、観客は一体となって“WOW WOW WOW WOW”の声を上げ、フロアには無数のサークルモッシュが巻き起こる。ラストサビの最後のフレーズで見せたSU-METALの歌いっぷりは、聴き手の心を掻き立てるほど感情が込められていた。

続いてはBABYMETALクラシックメギツネ」。イントロの段階から観客の“オイ!オイ!”の歓声が凄まじい。間奏で、SU-METALが“さいたまー!”と声を上げ、さらに“Are You Ready?”“1,2,1,2,3 Jump!”とシャウトすると、フロアが波打つようなジャンプが繰り広げられた。

最高潮の狂乱の宴に火に油を注ぐように「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」が披露される。SU-METALはドヤったボーカルを響かせ、MOAMETALアベンジャーズは観客を煽りまくる。会場全体でタオル回しが行われ、問答無用のクレイジーな祭りとなった。

そして「KARATE」の時間がやってくる。炎が燃え盛る中で、BABYMETALからの“押忍!”の気合いが伝達し、会場が一体となって“WOW WOW WOW”のコーラスが響く。SU-METALがラストに放った渾身の“走れー!”のロングトーンは説得力充分。

ほら貝の音が聴こえると、それは「Road of Resistance」の始まりの合図。BABYMETALフラッグを持つ3人の姿が実に神々しい。SU-METALがフロアを分けるアクションを見せ、爆音で楽曲が鳴り響き、それと同時に観客はウォール・オブ・デスの嵐。SU-METALの“Singing!”の煽りに、全観客が“WOW WOW WOW WOW”の大コーラス。神バンドの演奏に乗る観客の大合唱を、メンバーはイヤモニを外して体感する。SU-METALが“かかってこいや!”とシャウトし、彼女の“We Are!”の声に、MOAMETALアベンジャーズと全観客が“BABYMETAL!”を叫ぶ。最後は“Get Your Fox Horns Up !”をシャウトしフィニッシュ。

鳴り止まない拍手と歓声に応えて、スモークの中からBABYMETALが再び現れると「Shine」が披露される。時空を超えて輝き宇宙へ飛び立とうという歌詞の、アコースティックギターが印象的な力強いメロディのミッドチューン。スクリーンの映像とともに、会場は宇宙のワームホールを飛び抜けていくような空間へと変わる。それはまるで、映画『2001年宇宙の旅』や『インターステラー』の世界に飛び込んだかのような感覚であった。

そして、ラストチューン「Arkadia」がスタート。メロディ際立つ疾走感たっぷりなサウンドで、SU-METALは信じた道を進んでいく思いを力強く歌う。3人は完璧に揃ったド迫力のダンスで観客を魅了。SU-METALの“さいたまー!You are the best!”と叫ぶと、爆音と閃光が轟きライブは終了となった。

セットリストがニューアルバム『METAL GALAXY』の楽曲を中心としたものとなり、ライブ全体の雰囲気もこれまでとひと味違うものとなった。楽曲のバリエーションが増えたことで、それぞれの楽曲の個性が際立ち、結果ドラマチックな世界観のライブになったように感じた。それにしても、メンバーのパフォーマンスのパーフェクトぶりには驚かされた。もはやSU-METALMOAMETALは、どんなアベンジャーズが来ようとも完璧なBABYMETALを魅せる自信があるのではないだろうか。見事なフォーメーションを決めつつ、ラフに観客を煽ったりと、ライブ感もさらにアップしていた。これらは、USツアーでハードな試練を積んだ賜物かもしれない。ここに来てさらなる高みへ到達したBABYMETAL。彼女たちの圧倒的なライブヒストリーは、今後も驚異的なレベルへと更新されていくことは間違いなさそうだ。

文 / 土屋恵介 撮影 / Taku Fujii

METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN
2019年11月16日 さいたまスーパーアリーナ

セットリスト
1.FUTURE METAL
2.DA DA DANCE(feat. Tak Matsumoto
3.ギミチョコ!!
4.Elevator Girl
5.Shanti Shanti Shanti
6.Starlight
7.Kagerou
8.Distortion(feat. Alissa White-Gluz)
9.メギツネ
10.PA PA YA!!(feat. F.HERO)
11.KARATE
12.Road of Resistance
13.Shine
14.Arkadia

ライブ情報
METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW
LEGEND - METAL GALAXY

2020年1月25日(土) 幕張メッセ 国際展示場
2020年1月26日(日) 幕張メッセ 国際展示場

*詳細についてはオフィシャルサイトへ

BABY METAL
2010年結成。
2014年3月には日本武道館ワンマンライブ2DAYSを行い女性アーティスト史上最年少記録を樹立。さらに1stアルバム『BABYMETAL』が全米ビルボード総合チャートにランクイン。同年夏からは初のワールドツアーを行い、イギリスの大型フェス 「Sonisphere Festival UK」ではメインステージに登場し6万5千人の観衆を集め、アメリカではレディー・ガガの北米ツアー5公演のサポートアクトに抜擢される。
2015年5月から北米、中南米、ヨーロッパなど10カ国15公演となるワールドツアーをスタートさせる。イギリスの音楽誌「KERRANG!」と「METAL HAMMER」が主催する2つのミュージックアワードに出席し、日本人アーティスト初となるアワードを受賞する。8月にイギリスの世界的ロックフェス「Reading & Leeds Festival」のメインステージに出演。
2016年4月、2ndアルバム『METAL RESISTANCE』をリリース。全米ビルボードチャートTOP40に、日本人アーティストとして53年ぶりにランクインを果たす。また、同月にはイギリス・ウェンブリーアリーナにて日本人初となるワンマンライブを開催。そして、9月には ワールドツアーファイナルとなる東京ドーム2DAYSで11万人を動員してのワンマンライブを開催。さらには、RED HOT CHILI PEPPERSMETALLICA、GUNS N’ ROSES、KORNのツアーサポートを行う。
BABYMETALの“メタルレジスタンス” の勢いは止まらない。
今年10月11日にリリースとなった3rdアルバム『METAL GALAXY』は、USビルボードチャートロックチャートでアジア人初の1位を獲得、UKでは日本人アーティストとして初の2作連続トップ20入りを果たすなど、世界のチャートを席巻している。

BABYMETAL さらなる高みへ到達したステージ。圧倒的なライブヒストリーは、今後も驚異的なレベルへと更新されていくは、【es】エンタメステーションへ。
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掲載:M-ON! Press