サマソニ幕張 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日8月17日は、2014年、サマソニ2014大阪@舞州特設会場Mountain Stageに出演し、2015年にはフジテレビ「めざましテレビ」でBABYMETAL報道があり、2016年には白ミサ@Zepp Tokyoが行われ、2019年にはサマーソニック2019幕張Mountain Stageに出演した日DEATH。

セットリストは以下のとおり。
1.メギツネ
2.ギミチョコ!!
3.PA PA YA!!
(デジタルキツネ様動画)
4.Elevator Girl
5.Shanti Shanti Shanti
6.YAVA!
7.Distortion
8.KARATE
9.ヘドバンギャー!!!
10. Road of Resistance
メンバー:SU-METAL、MOAMETAL+RIHOMETAL
神バンド:下手ギター大村神、ベースBOH神、ドラムス青山神、上手ギターLeda神

それではレポート。

例によって、写真はありません。
18:20、Bring Me The Horizonが終了。
ぼくは脊椎間狭窄症のため、長距離を歩き回ることができないので、LovebitesもBand-MaidもTashSultanaもあきらめ、Mountain Stage内のプラチナ・ラウンジの張り出し部分でずっと過ごしていた。
このままBABYMETAL待ちの観客が多いのだろうと思っていたが、半分くらいが出ていった。入れ替わりに、ベビTを着た観客が続々と入ってくる。だが、ベビTは全体の3割くらい。残りは思い思いの恰好をした客である。
うーむ。入場制限がかかるのではないかという勢いはない。
18:50。ミキサー卓と照明タワーの前はほぼいっぱいになったが、その後ろはまだ4割くらいの入り。この日Mountain Stageで最も客が入ったのはZEBRAHEADで、BABYMETALのラスト近くでさえ、タワーの前の密度も、後ろの入りもBABYMETALより多かった。
これは「定点観測」した上での事実なのでちゃんと報告しておきたい。
それではレポート。
定刻19:00。
「♪キーツーネーキーツネー、私はメーギツネー…」というおなじみのSU-の歌に続いて「紙芝居」が始まる。
「サマーソニック、またの名を天下一メタル武道会。鋼鉄の海と山を舞台にメタルの神々が集う夏の祭典。海へ山へと右往左往するメタラーたちの群れは巨大なウオールオブデスとなって夏休みの若者たちを巻き込んでゆくのだ。やさしいキツネ様はこっそり教えてあげるのだ。前々前世はこっちじゃないぞ?諸君、首の準備はできているか?もう一度聞く。首の準備はできているか?20周年の天下一メタル武道会の幕開けだ!」
和楽器の調べに乗せて、イントロが始まる。
1曲目「メギツネ」である。
ギャラクシーロゴをバックに、スポットライトを浴びたのは、下手RIHO、中央SU-、上手MOA。
アップになるSU-の顔は自信に満ち、客席に流し目をくれながら、遠くまで視線を動かしていく。
MOAは微笑みながら、RIHOと視線を合わせ、狛キツネポーズを決めたかと思うと、躍動感のあるダンスで客席の目線をくぎ付けにする。RIHOの表情はやや硬いが、ダイナミックな動きで安定感抜群。
SU-の声はよく伸び、ピッチも正確。
間奏部。SU-は「ヘイ、サマーソニック!」のあと、「もっと声出して!」と叱咤。夏フェスだけの日本語煽り。客席はウオーと応える。「1、2、123、Jump!」でジャンプ。
後日書くが、Mountain StageのTHE INTERRUPTERSも、ZEBREHEADも、MACHINEGUN KELLYも、BRING ME THE HORIZONも、座らせてからジャンプとい流れで客を煽っていた。定番なんだけど、やっぱりぼくらメイトは、SU-に煽られたいやね。
曲が終わると、暗転し、青い光に包まれたステージに響くは、ギリギリギリ…というSE。
2曲目「ギミチョコ!!」である。
昨日の大阪とは、曲順が違うようだ。
SU-、MOA、RIHOの「ギミチョコ!!」は横アリ、なごやで見たがやはりスゴイ安定感である。グランストンベリーのインタビューで語っていたが、「大人になってもKawaii」という雰囲気にピッタリである。
ギターソロは上手のLada神によるもので、アウトなメロディに後半のワーミー部分の激しさがかみ合ったソロだった。その間、MOAは上手を駆け回り、手を叩いて客席を煽る。相似形で下手のRIHOも同じ動き。そしてその二人が中央に駆け戻って、三人で頭指差しヘンテコダンスするコンビネーションは、もはや完成されつくした「芸」である。
3曲目は、もちろん「PAPAYA!」
イントロがかかった瞬間、8本のステージ前面パイロが煙を噴く。
ぼくらメイトは横アリ、なごやでもう慣れているが、多くの観客にとっては初見だろう。それでも、ベビT派がタオルを振り出したので、みんな振っている。というか、「♪ま・つ・りだ!祭りだ!…」というあのリズムはやっぱりタオル振りが似合っている。
ラップ部分、正面スクリーンに、F.HEROの巨体が映る。客席はオオウケである。
「♪パパヤ―!」のところのSU-のピッチは、やっぱりメッセのMountain Stageでは狭すぎる感じ。野外巨大盆踊りスタジアムこそ似合うと思うのは、ぼくだけではないだろう。
4曲目の前は、やっぱり横アリ、なごやのCG、「デジタルキツネ様」だった。あれは「Future Metal」なのか、「B×M×C」なのか、曲名がわからない。
室内とはいえ、激しいダンス曲が3曲続いたので、インターバルという感じだろう。
4曲目は、「Elevator Girl」。
これも初見の方が多いのだと思う。スクリーンは横アリ、なごや同様、現実のダンス映像に炎のような枠が上下する合成CG。これも、何度かのステージを経て、きわめて完成度が高い。とはいえ、もうSU-もMOAも汗びっしょりで、黒髪がうなじやおでこに張りつくのを払う仕草がたまらない。
そして、灼熱の感じはすぐ次の「Shanti Shanti Shanti」へとつながる。
正面スクリーンに黄色の万華鏡映像。4/4拍子のインド風メロディに合わせたSU-の歌唱に、MOA、RIHOの息の合った東南アジア風ダンス。カレーの匂いがしてくる。
途中の三拍子系のところも、もうちゃんと聴き取れるし、ノレるようになった。こういう変拍子をブッ込んでくるところが、Djentやマスロックを難なくこなす神バンドの技量なのであり、こういう複雑なことをやれるバンドは、今日のMountain Stageには一組もいなかった。BABYMETALは、インド風POPという仕掛けの中で、誰も気づかないうちに、音楽的にはきわめて高度なことをやっているのだ。
場内が興奮の渦に巻き込まれた後、照明が明るくなり、スカのリズムが鳴り響く。
5曲目「YAVA!」である。これもMountain Stageに合っている。THE INTERRUPTERS
やZEBRHEADは、パンク、スカのバンドであり、改めて2nd『METAL RESISTANCE』の幅の広さ、国際性に気づかされる。ここ数年、フェスに出るラウド系の若いバンドは、日本でも欧米でも、NYパンクやロンドンパンクのオリジナルに回帰する傾向があり、ポジティブ・パンクというスタイルをとっていることが多い。その中で速い裏全拍の「んチャんチャ…」というスカのリズムは、反体制的な歌詞でも、やっぱり楽しいのだ。
BABYMETALの場合、日本語だし、「ヤバ!」という「気になっちゃう」歌詞だが、全体的な雰囲気としては、このムーヴメント上にあるのだと思う。この曲調の延長はアリだと思う。
いつものドラムス×Djent風ギターではなく、新しくエレクトロニカ風のインターバルから始まった6曲目は「Distortion」。
「♪ウォーウォーウォーウォー↑」から、ドラムスに合わせたカッチカチのダンスが始まり、曲目が分かったとき、周りを見渡すと、2018年のDarksideのことをあまり知らない観客が多いらしく、「メギツネ」や「ギミチョコ!!」に熱狂していた観客が、けっこう「静観」している様子がうかがえた。ぼくのいる場所が後ろの方なので、ステージ近くと温度差があるのだ。たぶんだけど、2016年にベビメタを知り好きになった子たちが、三人目が入ったのを知って戻ってきたのだろう。
間奏部、SU-はそんなことおかまいなしに、「Sing!」と煽り、ぼくらが「♪ウォーウォーウォーウォー」とレスポンスすると、やがてそれが客席に広がっていく。苦しかった2018年も知ってくれよな、みんな。
曲が終わり暗転すると、青い照明の中、7曲目「KARATE」のイントロが始まる。きれいにそろった三人の腕の角度。見事である。RIHOが入ったときは、本当に完成度が高くなる。
「KARATE」なら、客席は安心してノレる。「オイ!オイ!」というぼくらベビオタ=メイトの合いの手に、みんな拳を突き上げて乗っている。
間奏部。SU-がMOA、そしてRIHOを助け起こす芝居に客席はウオー!と応える。そして、SU-が「Everybody、Jump!」と叫ぶと、客席は大ジャンプ大会と化した。
今日、ぼくはどうせTシャツは買えないだろうと踏んで、2017年4月のレッチリ帯同ツアーのトーテムキツネTを着ていったのだが、あの頃、SU-はスマホライトを点灯させ、ハミングし、「Everybody Jump!」と観客を立たせる煽りをやっていたのだ。そのことを懐かしく思い出した。
不気味なオルガンのイントロ。雷鳴が鳴り響く。
8曲目「ヘドバンギャー!!」である。
「♪ヘドバン、ヘドバン…バンバンババン」は、ぼくらにとってはなごや以来だが、サマソニとしては2017年以来である。
ぼくの周りの一般客も、ニコニコして楽しそうである。
ここで問題です。
SU-は「♪ハータチのよーるを」と歌ったでしょうか?それとも「♪イーチゴのよーるを」でしょうか?それともMOAが「♪ハータチのよーるを」と歌ったでしょうか。
2017年、この曲はサマソニで久しぶりに復活し、それがLegend-S-@広島の「♪ハータチのよーるを」につながった。
だから、サマソニで「ヘドバンギャー!!」は、意味が深いのだ。
正解は、SU-が「♪イーチゴのよーるを」と歌ったのでした。
サマソニ20周年なので「♪(サマソニ)ハータチのよーるを」だったらウケただろう。
また、MOAは先日20歳になったので、MOAが「♪ハータチのよーるを」と歌っても、なごやに来られなかったファンは大喜びだったろう。
でも、ふつうにSU-が「♪イーチゴのよーるを」と歌ったのだ。
うがってみれば、ここにいないKANOMETALのことを指しているのかも。藤平華乃の誕生日は8月28日。てことは…。
それはともかく、間奏部。
MOAがボンベを持って、ニコニコしながら「いくよー!」と客席最前列へ向けて炭酸ガスをぶちまける。これも「紙芝居」に続き、2013年の再現と思える。
そして、場内が静かになる間もなく、戦国SEが鳴り響き、赤いサーチライトが場内を巡る。
9曲目「Road of Resistance」である。
ステージ上にすっくと立った3人はもちろんBABYMETAL旗を担いでいる。その角度も見事。SU-が場内を分ける仕草をすると、「WOD!WOD!」の声。
「1234!」の掛け声で、曲が始まる瞬間、SU-は「ツッコメー!」と煽った。これはカッコよかったなあ。
「♪東のそーらをー」と歌うSU-のうなじや頬に黒髪が張りつく。女神様の風格。
シンガロング部。「♪ウォーウォーウォーウォー…」と歌う観客は紅潮している。
客席にマイクを向けるSU-。上手で客と目で会話するMOA。下手でニコニコしながら客を見渡すRIHO。
「♪命の続く限り決して背を向けたりはしない…」と歌うSU-の気高さ。忠実に従うMOAとRIHO。
そしてSU-の叫び声は「かかってこいやー!」。
9月から、全米横断ツアーが始まる。BABYMETAL史上最長かつ、『METAL GALAXY』フィジカルCD付属のセールスツアーでもある。すべての仕掛けが機能すれば、全米No.1も夢ではない、勝負のツアー。その過酷な運命を、全身で受け止め、チャレンジする雄たけび。
その直後、「♪進め!答えはココにある」のとき、アップになったのはMOA。ステージを指さし、すべての答えが観客の心を動かすライブにあることを、全身で決意表明していた。
新しいことは何もない、フェスのライブ。
だがそこには、1st、2ndと歩み、2018年のDarksideを乗り越え、ポップに復帰した新曲と、名前のある「三人目」をデビューさせた今年のBABYMETALを凝縮したライブだったと思う。そして何より、未踏の領域へ進もうとしている決意がほとばしるライブだった。
それを見届けて、ぼくは会場をあとにした。
ムッとする熱気。台風が過ぎ去ったあとの夜空を見上げると、またも満月。