ARISES(1) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日7月7日は、2012年、ヘドバ行脚ライブ大阪@難波Rocketsが行われ、2013年、Rock Beats Cancer FES@日比谷野音に出演し、2014年、UK・ロンドン公演@The Forumが行われた日DEATH。

昨日7月6日(土)19:00~、ポートメッセなごやBABYMETAL ARISES BEYOND OF THE MOON Legend-S-が行われた。

以下は、完全にネタバレなので、本日初めて参加する方は、読まないでください。

なお、例によって、「ペンによる映像」を目指しているため、写真はありません。

 

<セットリスト>
1.    Road of Resistance
2.    メギツネ
3.    Elevator Girl
4.    Distortion
5.    シャンティ(仮)
6.    Starlight
7.    シンコペーション
8.    YAVA!
9.    PAPAYA!!
10.    ギミチョコ
11.    KARATE
12.    ヘドバンギャー!!!(MOAが「♪20歳の夜を~」と歌う)
(ムービーOdyssey to Galaxy)
13.   シャイニングラブ(仮)(MOAが黒いギターを弾き、ダンスする中SU-が歌う)
14.  アルカディア
メンバー:SU-METAL、MOAMETAL+RIHOMETAL
神バンド:下手ギター大村神、ベースBOH神、ドラムス青山神、上手ギターLeda神

以下レポート。
17:00超Moshu’sh Pitの集合場所に行くと、会場内から「ROR」をリハーサルしている音がダダ洩れている。
「♪レジースタンス」というSU-の声に続いて、「♪レジースターンス」と返すMOAの声がよく通っている。今日はLegend-M-、MOAMETALの20歳の誕生祝いなのだ。
開場は17:45。横アリほどではないが、15分遅れた。
今日のポジションは、上手側最前ブロックの後方柵で、横アリ初日と全く同じ。舞台装置は横アリとほぼ同じだが、花道中央の島に置かれた正八面体が、なんとなく大きく見える。
定刻19:00、場内アナウンスに続いて、SABATONがかかると場内から手拍子。昨年のDarkside Carnival@SSA、神戸ワールドホールの前座帯同で、みんなバイキングメタルの雄が好きになっているのだ。
19:20。
客電が落ち、場内から大歓声。
スクリーンに「神芝居」が映る。全編英語で、MOAの声だ。
いわく「1999年7の月、空からエンジェルモアの大王が下りてきて…」
ノストラダムスの大予言のパロディだ。
すると、花道先端の正八面体が赤く光る。ここで、横アリと違って、三人の白装束とキツネ面の少女たちは現れず、正八面体が割れると中からBABYMETALロゴの「蝶々」が舞い上がる。横アリでは、両面ともBABYMETALの来し方の映像が映るスクリーンだったが、今回、舞台側の面には、なんとMOAMETALその人がいた。MOAは嫣然と微笑みながらゆっくりと羽を動かし、舞台へと近づいてゆく。場内からは割れんばかりの拍手と「MOA!」の叫び声。
ステージ正面のスクリーンでは、「この荒れ果てた地球を救うためのメシアが誕生し…日出る国から新たな戦いを始めるのだ」とのナレーションに続いて、「Vocal & Dance、SU-METAL」「Scream & Dance、MOAMETAL」と紹介すると、ステージに立つ二人にスポットライトが当たり、またも会場は大歓声に包まれる。
そして今日もまた、もうひとりの「選ばれし勇者」が、三人の中から一人降臨するが、誰が選ばれるかは、「ONLY THE FOX GOD KNOWS」であると告げられ、「Metal Resistance will be started here in Japan…Japan…Japan…Japan…」とフェードアウトしていく。これがポートメッセなごや初日BABYMETAL ARISES Legend-M-のオープニングだった。
そして暗転に続いて、白いスクリーンに赤い放射状の「朝日」のような光が輝いたかと思うと、1曲目、いきなり三人がBABYMETAL旗を持って登場。
三人目は、横アリ初日、グラストンベリ―、O2Academy Brixtonと転戦した、RIHOMETALだった。
Aメロの終わり「♪さあ、時は来た」の時、MOAが微笑んだ。今日は主役のMOAが場内カメラで抜かれることが多かったが、その一発目。それは場内の誰もが魅了される美しく気高い、それでいて会場の隅々にまで届く愛にあふれたMOAらしい笑顔だった。
「♪Woo Woo Woo Woo…」のシンガロングが始まると、三人は八角形の移動ステージ乗ったまま、花道を客席中央の島舞台まで動いていく。RIHOもMOAも笑顔でこぶしを振り上げ、場内は一体化した。
和楽器のイントロが流れ、MOAとRIHOが狛キツネポーズを決める。
2曲目「メギツネ」である。
今日の神バンドは下手ギター大村神、ベースBOH神、ドラムス青山神、上手ギターLeda神。グラストンベリ―で9万人を沸かせたメンバーである。
一度ステージに戻っていた八角ステージが、花道をまた移動していく。
MOAとRIHOは、狛キツネポーズからジャンプし、「ソレソレソレソレ」のシークエンスに入っていくが、その息はぴったりでしなやかさと力強さを兼ね備えている。RIHOもまた、海外フェスの経験で、一皮むけたような表現力を客席に放つ。
間奏部。
SU-「Hey、なごや!ハッピーバースデイMOAMETAL!」と叫ぶと、MOAが弾けるような笑顔で答える。「Are You Ready to shout?」「Are You ready?」と畳みかけると場内は「Yeah!」と大騒ぎ。
このとき、AブロックからはMOAは背中しか見えなかったが、島舞台先端にいるSU-の顔が見えた。その顔が笑顔でくちゃくちゃになった。また、MOAが「変顔」をして笑わしにかかったのであろう。
「1,2,123!」の掛け声から、場内はジャンプ大会となった。
これで2曲目。もう汗だくだが、これがBABYMETALである。
八角ステージが島舞台に残ったまま、ピアノのコードと、SU-のオートチューン声。
3曲目「Elevator Girl」である。
グラストンベリー同様、大村神が細かく入れるDjentのリフが奇麗に聴こえる。
「♪DADADADADADA」のとき、RIHOが細かく表情を創る。MOAももちろんコケティッシュに表情やしぐさをキメる。二人ともKawaii。
曲終盤、「♪上へ参ります、下へ参ります」のあと、観客は「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」と合の手を入れる。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」と同じだ。こういうポップチューンでは、やはりBABYMETALはメタル・アイドルだと思う。
最後のポーズを三人が決めると、暗転し、八角ステージが正面ステージへ移動していく。その間、ドラムスとDjentなギターによるイントロが断続的に響く。
4曲目「Distortion」である。
5回目のイントロで「♪Woh Woh Woh Woh!」とコーラスが聴こえる。それに合わせて客席も唱和する。
明転し、バンドの演奏が始まり、カチッカチッとしたダンスが始まる。これも、MOA、RIHOの動きがダイナミックで、目を吸いつけられる。Djentな大村神のリフも絡んでいる。カッコいいぞ。
SU-の歌が始まると「Give Up Give Up」「Stop the Power」「Distortion!」と客席は合いの手を入れる。
間奏部。SU-は「Clap your hands!」「And Scream!」と叫び、8拍目で「Sing!」と命ずる。客席は「♪Woh Woh Woh Woh!」と返す。常に客席に参加を促すのがBABYMETAL。「タイガー」は許されない。
スクリーンに黄色や赤色の万華鏡のような映像が映る。シタール、タブラの響き。
八角ステージが、舞台上で4メートルほどの高さに上昇していく。
5曲目「シャンティ(仮)」である。
「ドンドコドンドン」というどこか懐かしいインド風のリズム。バリ舞踏のように、手の先まで表現するMOAとRIHOのダンス。場内がカレーの匂いに満ちる。もちろん錯覚だけど。
「♪シャンティシャンティ」「♪ライララライララライライライ」というメロディは頭の中にこびりつく。曲中盤の、三連符系のリズムも、2拍子のヘドバンになぜか合う。楽しい。
場内がBABYMETALの新たな魅力に大興奮しているうちに曲が終わり、暗転。
神秘的なメロディ。緑色から青色に変わるレーザーの光が観客の頭の上をかすめる。
6曲目、メタル銀河の彼方で、BABYMETALを見守っている藤岡神への祈りを込めた「Starlight」である。ポニテとツインテの三人が、見上げるスクリーンには無数の星。
だが歌が始まれば、疾走感に満ちたSU-の絶唱。
失った人が大きくても、日常は必死で過ごしていかねばならない。だが、ふと目を夜空に転じた時、悲しみがこみ上げてくる。疾走感と、牧歌的なコーラス。祈りとはそういうものなのだろう。
スクリーンに無機質な画像と心電図のようなパルスが映る。Amのコードで、4弦開放と3弦12F付近を使ったリフ。7曲目「シンコペーション」である。
明転し、爆発するようなバンドの演奏が始まると、MOA、RIHOとも、しなやかに鞭をふるうような振り付けのシークエンスに入る。1番の中に入るペンタのギターソロ。2番の中に入るジミヘンコード。これがカッコいい。
三人のコンビネーションもピッタリ決まり、終盤、三人が手を合わせるように終わるところは、コンビネーションの良さを見せつけられているようだ。
続いて、8曲目「YAVA!」。
横アリレポートでも書いたが、これはダンサー二人のKawaiiさがはっきりわかる曲である。
ぼくはとくに「♪チガウチガウってないよ」のところの行進ポーズが好きなのだが、今日発見したのは、RIHOがめいっぱい気張って行進するところ、MOAは、かつてのYUIのようにしなやかにエレガントに決めるのだ。このへん、バリエーションをつけているのか。
「♪ピッポパッポピー」のところでも、RIHOが驚いたような表情をつけているのに対して、MOAはどこか「気品」を感じさせている。
場内が暗転すると、またしてもアジア風のイントロが流れてくる。
すると、客席ではみんなゴソゴソしながら首や腰に巻いたタオルを取り出し始める。
もうご存知、2019年夏、一押しチューン、「PAPAYA!!」である。
イントロが始まったとたん、「パッパパパヤ!」の合いの手。「♪祭りだ祭りだ…」のところに来れば、文字通り観客全員がタオルを振り回している。定着しましたねー。
八角ステージは、下部から花火を発しながら、客席中央まで移動してくる。
それでわかったのだが、この曲の終盤、MOAとRIHOのダンスは完全に「盆踊り」になっている。今日はスクリーン出演のみだったF.HEROに引っ張られて、タイ風と思っていたが、むしろこれは「湘南乃風」と盆踊りですね。というか、汎アジアDEATHね。
興奮冷めやらぬ場内に「Give Me…」のグロウル。
10曲目「ギミチョコ!!」である。
さすがに「PAPAYA!!」からの連投はキツイ。「♪アタタタタータ」「♪ワタタタタータ」をMOAが一人で歌うのだが、後半は息が続かなかった。だが、ダンスはキレキレで、一つ一つの動きが大きい。2018年にサポートダンサーが入ったことに加え、ASH時代には「ダンスの鞘師」の異名をとったRIHOが頑張っているので、BABYMETALのダンスのレベルはまた一段と上がっているのだ。
間奏部。三人は客席中央の島舞台で煽っているが、その瞬間、ステージ下手にいる大村神が右手を挙げてアピールした。「今日はおれのソロだぜ」という感じ。そして放たれたフレーズは、藤岡神を踏襲しながら、やはりフレット移動の多い、大村神ならではのフレーズ。最後のワーミーの使い方も、「キューンキュンキュン、キュイーン、イーン、イーン」というような深みと展開の激しいソロになった。藤岡神、大村神、Leda神、ISAO神の「ギミチョコ!!」ソロの聴き比べは、せっかく神バンドをいただくBABYMETAL鑑賞のだいご味である。なお、そのあと、今日もMOAはSU-のホッペに3センチまで接近した。
あ、それから、「♪ちょっとハート、お願いなんです」のところの三人のかかと上げもポイントである。ここでもRIHO=大胆、MOA=気品という対照だった。
場内に、静かなピアノのコードが響く。
青い光の中で、三人が合掌し、イントロの始まりと共に、両手を斜めに広げる。角度はピッタリ合っている。
11曲目「KARATE」である。
正面スクリーンに映りこんだ三人の体から火の粉。
1番の「セイヤ、セ、セ、セ、セイヤ」のところ、MOAとRIHOが笑顔だった。
だが、SU-はニコリともしていなかった。そう、この曲はシリアス演出が基本なので、どんなに楽しくても笑顔はNGなのだ。2番以降は三人とも真剣な表情で、倒れ込むシークエンスでも、最後のキツネポーズでも、「残心」を決めてみせた。
場内に雷鳴とオルガンの響き。場内からは大歓声が沸き起こる。
今日、みんなが一番見たかったもの。「MOAバンギャ―」である。
「♪伝説の…」と歌いだしたのはSU-。一番のサビから、「ハータチのよーるを忘れはしない…」と歌った。場内からは「オォー」という声と拍手。
間奏部。SU-はゆっくりと場内を見渡し、MOAに微笑みかけ、マイクを渡した。そのまま、SUもRIHOも土下座ヘドバン。もちろん場内も土下座の嵐である。
マイクを受け取ったMOAがすっくと立ち、八角ステージに乗ったまま、花道を移動してくる。もう、涙があふれ、視界がかすむ。
「頭!頭!頭!」で細かいヘドバンをしたのち、来ました。MOAソロである。
「♪ハータチのよーるを忘れはしない、泣き虫な奴はここからー」「キ・エ・ロ」
ああ、泣いてるオジサンは消えなくてはならんのか。
「♪ハータチのよーるを忘れはしない、ジャマをする奴は即座に消え失せろー」
ああ、なんていい声。2014年のケルンではここでちょっとだけピッチを外した。
だが今は完璧なピッチ。そして体が大きくなった分、声量が増し、遠くまでよく通るシグネチャーボイスである。
「もう二度と戻“ら”ないわずかの時を」「この胸に刻むんだハタチの夜を」
が、リフレイン部分では
「もう二度と戻“れ”ないわずかな時を」「思い出に刻むんだハタチの夜を」
に変わる。「戻らない」と「戻れない」は違う。
「戻らない」はなんとなく、過ぎ去ってしまう青春の時への感傷に過ぎない。
「戻れ」ないと自覚すること、「この時」がすぐに「思い出」に変わるのだというあきらめに似た感情こそ、大人の証なのだ。
いつまでも聴いていたいと思うが、スクリーンには「Odyssey to Galaxy」のムービー。
そして、次の曲で場内に衝撃が走った。
暗転し、神秘的なオーケストラが流れる。聴いたことのないメロディ。しかも長い。場内がざわつく中、正面に黒いアコースティックギターを抱えたMOAが立つ。
MOAソロか、と思った瞬間SU-が現れ、歌った。
「シャイニングラブ(仮称)」である。
歌詞は、「♪昨日、今日、明日と続く、終わりなき道」「シャイニングラブ、さあ行こう!」という感じだった。聴き間違えていたらゴメン。
MOAは、スタンドに固定されたギターを離れ、一人ダンスで曲想を表現する。SU-が歌、MOAが踊るというのがツインスターの基本形らしい。
初披露なので、場内は静まり返って聞いているが、歌詞の内容、二人の関係がやはり感動を誘った。曲終盤、スクリーンでは、太陽に月が重なり、2018年のあの「日蝕」になった。
あの2018年を乗り越えてきたから今があるのだ、と思った瞬間、やはりぼくは号泣してしまったよ。
そして14曲目。横アリでは1曲目だった新曲「アルカディア」。
ドラムスが2ビートなので、メロディがまだよく聴き取れない。ファンカムに上がっている映像だとよくわかり、BABYMETALらしいポジティブなパワーメタルで、「METAL GALAXY」を旅するテーマ曲である。ギターソロもあるし、ツインギターの掛け合いもある。早くMV出して欲しいと願う。
そして、曲の終わり、SU-が「We are?」と叫んだ。
この曲でフィニッシュなのだ。「THE ONE」はなし、「アルカディア」終わり。
これも新生BABYMETALの特徴なのだろう。
以上、ポートメッセなごや初日レポートでした。