祝!水野由結聖誕!/音楽の呪術性(5) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日6月20日は、1999年水野由結が誕生し、2012年には「ヘドバンギャー!!」のMVが公開され、2017年には、KORN US ツアー、チュラビスタ@Mattress Firm Amphitheatreが行われ、「KARATE」でSU-が「Happy Birthday YUIMETAL!」と言い、会場から盛大な拍手が沸き起こった日DEATH。



水野由結さん、20歳のお誕生日おめでとうございます。
昨年、水野由結さんがYUMETALであり続けることを断念されたことは、ぼくを含め、復帰を待ち続けた世界中のメイトにとって大ショックでした。
しかし、公開されたコメントに、「今も体調が万全ではないこと、そして以前からの私の夢、水野由結としての夢に向かって進みたいという気持ち」とあったことで、ぼくの中にはそれまでのBABYMETALへの貢献に対する感謝と、「今」の決断を応援したい気持ちが湧きあがってきました。
あれからもう8ヶ月、2017年12月のLegend-S-@広島から数えれば1年半の月日が経ちました。
ぼくらメイトはBABYMETALのYUIMETALを決して忘れることはありませんが、次のステージの「水野由結としての夢」も必ずや応援します。
時間がかかってもかまいません。いつか、美しく成長し、元気な姿を見せてくれる日を待ち続けます。

音楽は言語中枢とは異なる脳の部位を使って、人間に感情を伝える方法である。
それは、宗教的な法悦と同じで、論理を超えている。呪術性といってもいい。
だが、すべての音楽にそうした機能が内蔵されているはずなのに、ぼくらメイトがとりわけBABYMETALに惹かれたのはなぜか。
その答えは、実は前回書いたことの中に含まれている。
ジャスティン・ビーバーやエド・シーランやヒップホップの人気ラッパーたち、あるいはビルボード全米3位のJojiの曲は、歌詞が命だ。だが、欧米人にBABYMETALの楽曲の歌詞は基本的に理解不能だ。それでも受け入れられた。
それは日本でも同じである。
以前ご紹介した『ヒットの崩壊』(柴那典、講談社現代新書)では、2010年以降、CDの売り上げが上位でも、国民の多くが知っているとは限らないという状況が生まれているとし、それとは別に、カラオケでよく歌われる楽曲が「定番化」(=J-POPスタンダード)していることを指摘している。
JOYSOUNDの2019年6月の月間トップ10曲は、以下のとおりである。
1.    米津玄師「Lemon」
2.    あいみょん「マリーゴールド」
3.    バルーンfeat.flower「シャルル」
4.    菅田 将暉「さよならエレジー」
5.    back number「HAPPYBIRTHDAY」
6.    中島みゆき「糸」
7.    高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」
8.    MONGOL800「小さな恋の歌」
9.    一青窈「ハナミズキ」
10.    あいみょん「君はロックを聴かない」
ドラマやアニメの主題歌だった楽曲もあるが、ずいぶん前に発売されたものも多く、それが定着して、「流行歌」を超え、日本国民に愛され歌い継がれる「定番曲」になったのだ。
自分が歌うとなったら、やはり歌詞に共感する曲、友だちや同僚や上司にウケる曲を選ぶ。
モーニング娘。やハロプロ系、AKB48グループ(SKE、NMB、NGT、STUを含む)や坂道グループ(乃木坂、欅坂、日向坂)、スタダ系(ももクロ、私立恵比寿中学、TEAM SHACHI、たこやきレインボー)などの「アイドル」グループも、Kawaiさや頑張るけなげさがフィーチャーされがちだが、歌詞もまた、若い男性ファンの共感を呼ぶために重要な位置を占めている。カラオケランキングでも、少なくとも100位くらいまでには主要な「アイドル」グループの代表的な楽曲が入っているからだ。嵐、SMAP、Kinki Kidsといった男性アイドルグループも然り。
ところが。
BABYMETALの楽曲は、JOYSOUNDのランキングには見当たらず、1000曲までのランキングをつけている他のカラオケランキングサイトでも圏外だった。
『Metal Resistance』がビルボード200で坂本九以来53年ぶりの39位にランキングされ、東京ドームに11万人を集めた2016年にさかのぼって年間カラオケランキングを見ても、BABYMETALの楽曲は、見事なほど出てこない。
SU-METALが上手すぎて、気が引けて歌わないということは、“メイトあるある”なのかもしれないが、カラオケとはそういうものではない。Keyだって変えられるんだし、HR/HM楽曲を「冗談」とか「モノマネ」として歌うツワモノも多い。
だが、BABYMETALの楽曲はそういう対象でもない。
要するにBABYMETALの楽曲は、カラオケで歌うほどの歌詞への共感性がない、あるいは友達や上司や同僚の前で歌うべきものでもないと判断されているとしか思えない。
確かに「KARATE」はともかく、「ギミチョコ!!」や「メギツネ」や「いいね!」や「META!メタ太郎」に共感しろと言ってもなかなか厳しい。
「ROR」や「Amore-蒼星-」や「紅月-アカツキ-」や「THE ONE」は大げさすぎて、ちょっと何言ってるか分からないところがあるし、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で「♪イジメ!」「ダメ!」と上司に合いの手を入れさせるのは、もっとダメ、ゼッタイ。その上司がメイトでない限り、ね。
「歌」は、メロディと歌詞の合体である。
歌っているときは、脳の中で、言語中枢とは別の部位でメロディをコントロールしながら、言語中枢では歌詞の意味を考えつつ表現しているのだ。
東京ドームに11万人集め、連日地上波で報道されていた2016年でさえ、BABYMETALの楽曲がカラオケで歌われないのは、そのような「歌」として認知されていなかったからだろう。
自分が歌う「歌」としてナンセンスな歌詞を表現するより、大音量でヘドバンしながら音楽に浸っていたい。だから通信カラオケの会社によってはライブ映像バージョンがある。
つまり、BABYMETALの楽曲は、あまたあるバンド、歌手、アーティストの中で、言語中枢からもっとも遠い位置にあるのではないか。ということは、もっとも「呪術としての音楽」に近いのではないか。
だから、惹かれる。ナンセンスな歌詞なのに、自分で歌うような身近さではなく、なんというかもっと「聖なるもの」のような気がする。
では、前回の問いを再び。
BABYMETALの音楽は呪術の一種であり、かつ危険な宗教なのか。
ぼくの考えでは、前者はイエス、後者は当然ノーだ。
ぼくらメイトはみんな、論理じゃないチャンネルで直接心に響く音楽として、BABYMETALを好きになった。
BABYMETALの音楽に「聖なるもの」を感じ、ライブを生きる希望とする。
あるいはBABYMETALを現代に起こっている「奇跡」、歴史的な存在であると思う。
「聖なるもの」の求道者あるいは伝道者として、ある者はライブ全通を目指し、ある者は仲間を求め、ある者はグッズを作って配り、ある者はファンのための酒場を開き、ある者はBABYMETALを褒めたたえる文章を書き続ける。
その在り方は宗教に非常に近い。そこまではいい。
だがBABYMETALが危険な邪教かといえば、それは全然違うだろう。
むしろ、BABYMETALは言語中枢=ロジック中心に動いている現実世界の危険性に対する解毒剤になり得るのではないか。


アメリカ、香港、台湾VS北朝鮮、中国、イラン。
世界はにわかにキナ臭くなってきた。
思想・信教の自由と民主主義、市場経済、法の支配を基本原則とするアメリカ的価値観は、人類普遍のものである。共産主義のお題目とはかけ離れて一党独裁の全体主義に堕し、チベットを侵略し、ウイグル人を大量虐殺し、香港、台湾進攻、はては世界制覇を企てている中国の覇権主義には決して屈してはならないというのも一つのロジックである。
500年以上続いている欧米人(白人)による世界支配を覆し、かつて大日本帝国が果たせなかった有色人種による世界の解放・再統合に再び挑戦しようとしているのが中華人民共和国の「中国の夢」政策であり、その憲法第一条に掲げた社会主義という手段により、メディアや個人・民族の自由は一定程度制限されても、より効率的で豊かな世界を築けるのだというのも一つのロジックである。
あるいは、世界はアッラーの神が統治すべきであり、ハメネイ師は現存する最も優れた神の言葉の解釈者であるから、邪宗に堕したスンナ派のサウジアラビアや、経典の民ではあるが敵対するイスラエル、その背後にいる現代の“大淫婦”アメリカは滅びるべきであるというのも一つのロジックである。
だが、本当にそうなのか。世界はロジックだけでできているのか。
(つづく)