ヘヴィメタルへの道(16) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日5月9日は、2015年メキシコシティ公演@Circo Voladorが行われた日DEATH。

<1998年>
この年から深夜枠が拡張され、アニメ番組は急激に増えた。
BABYMETALの音楽に親和性を持つメタル主題歌を発見するのが目的なので、ロボット・SF・魔法・異世界とは関係ないギャグ、ラブコメ、探偵ものなどを除いても、この年はアニメ42作・特撮ドラマ3作合計45番組となった。
このうち、14曲(31.1%)がメタル。ただしうち9曲は深夜アニメだった。
『爆走兄弟レッツ&ゴー!! MAX』
https://www.youtube.com/watch?v=yjQatdJ2XrQ
歌は影山ヒロノブと遠藤正明による鋼鉄兄弟。メタル色は強まり、ヴァンヘイレンの「Jump!」のような曲調になっている。


『ブレンパワード』
https://www.youtube.com/watch?v=QPSbVB3tDnQ
by真行寺恵里。力強い。
『熱沙の覇王ガンダーラ』
https://www.youtube.com/watch?v=1nmJ9lUhjQI
アコースティックギターにメタルのパワーコードが重なるV系っぽい8ビート。By HAL。
『鉄コミュニケイション』
https://www.youtube.com/watch?v=BwRhIhAmafM
演奏はメタル標準だが、メロディと歌唱はアイドルソング風。
『ウルトラマンガイア』
https://www.youtube.com/watch?v=1dNPth63hJI
シンセブラス付きだが、歌部分はメタル。
『AWOL -Absent Without Leave-』(深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=-qoVeoG8XuU
by Hide with Spread Beaver。文句なし。
『ジェネレイターガウル』(深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=XKdpCXW-X_4
『異次元の世界エルハザード』(深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=YO0kljcs5Cg
『星方武侠アウトロースター』(深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=IAJA-XE8ARE
ミドルテンポのメタル。
『銀河漂流バイファム13』(深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=kG6SBjN77M0
88年のリアレンジだが、より激しいメタルになっている。
『TRIGUN』 (深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=4OxFSy8G5wk


今堀恒雄によるギターインスト。メタル以外の何物でもない。
『LEGEND OF BASARA』(深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=wnFIfpZwc4s
名古屋出身のV系バンドROUAGE。
『ヴァイスクロイツ』(深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=TSHfuDjqJ3A
16ビートのシンセサウンドのイントロから、メタル展開へ。
『バブルガムクライシス TOKYO 2040』(深夜)
https://www.youtube.com/watch?v=cuSLkGJGPQI
プリス・S・アサギリ(浅川悠)によるブルージイなボーカル。

ダンサブルな16ビート、シンセ主体のアレンジ、日本語のアクセントに合わせたメロディ、転調が多い「小室サウンド」の楽曲は、『ビーストウォーズII 超生命体トランスフォーマー』、『ロスト・ユニバース』、『グランダー武蔵RV』、『YAT安心!宇宙旅行(第2期)』、『セイバーマリオネットJ to X』、『守護月天!』、『時空探偵ゲンシクン』(メタルっぽいイントロから歌に入ると16ビート)、『頭文字D』(深夜、クラヴィネットベースのダンスミュージック+ラップ=小室)、『遊☆戯☆王』(小室リズム+ディストーションギター=TM-Revolutionに近い。)、『サイレントメビウス』(バッハからメタル~フュージョン~転調から小室メロディ)、『SHADOW SKILL -影技-』(深夜)、『聖ルミナス女学院』(深夜、ゆったりした16ビートの安室奈美恵風バラード)の12曲(26.6%)。うち、深夜枠は3番組。
総数ではまだメタル主題歌が多いが、子どもが見る通常枠だと小室サウンドの方が優勢になってしまった。
小学生向けでは、男の子向けの『超速スピナー』、特撮の『テツワン探偵ロボタック』は“偽8ビート裏拍”だし、『星獣戦隊ギンガマン』はブラス+ストリングス主題だが、雰囲気はかなりメタルっぽい。
だが、女の子向けの『カードキャプターさくら』は、シティポップ、『ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー』はアイドルソング風インストだし、『ひみつのアッコちゃん(第3作)』は、第1作と同じ3拍子のワルツ、『魔法のステージファンシーララ』はアメリカンポップス、『アリスSOS』はピンクレディ「SOS」と、ポップ色が強い。
この年は、「カッコよさ」をヘヴィメタルや小室サウンドの疾走感に見出すのではなく、ちょっと毛色を変えた主題歌も目立った。
『DTエイトロン』(深夜)は、Dragon Ashの「陽はまた昇り繰り返す」で、アコースティック+DJ+ヘヴィなギターリフで、ミクスチャーロックだったし、『serial experiments lain』(深夜)はイギリスのロックバンドbôaによる全編英語の主題歌だった。『EAT-MAN'98』(深夜)は8ビートのパンク~グランジの音。
『ロードス島戦記-英雄騎士伝-』6/8拍子のエスニック調だし、『時空転抄ナスカ』(深夜)エキセントリック・オペラによる女性コーラス+エスニックなメロディ、『南海奇皇 -ネオランガ-』もフルオケ+パーカッションでエスニックさを演出。
『魔術士オーフェン』は4ビートのジャズだが、歌はシャランQのつんく♂で、『ガサラキ』もアシッドジャズ+謡曲というユニークな楽曲になっている。極めつけは『デビルマンレディー』(深夜)で、フルオーケストラ+東京混声合唱団の教会音楽的な主題歌で、宗教的な雰囲気を感じさせた。
もちろん、当時テレビでアニメや特撮ドラマを見ていた子どもたちは、音楽の詳しいことなどはわからなかっただろうが、カッコいいストーリーの主題歌がメタルだったか、小室サウンドだったか、神秘的な曲調だったかは、なんとなく心に刻まれると思う。
少なくとも1994年~1998年まではメタル優勢だったので、現在20代後半から30代中盤までの方たちは、メタル=カッコイイというイメージがあるはずだ。
ところが、1999年になるとガラリと様相が変わってしまう。音楽市場を席巻した小室サウンドが、アニメ・特撮ドラマ主題歌の世界にも反映されてきたのだ。
(つづく)