ヘヴィメタルへの道(3) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日4月23日は、2015年、The One 男性限定「黒ミサ」が行われた日DEATH。


2019年10月11日(現地時間)、アメリカ・カリフォルニア州イングルウッドのThe Forumで、アメリカ初の単独アリーナ公演が行われることが発表されました。
チケットは、ロサンゼルス時間4月23日10:00→日本時間4月24日午前2時から、VIP PackageとFan Club Presaleが始まり、一般は26日10:00→27日午前2時より受付が始まります。
お申し込みはこちら→ Ticketmaster
https://www1.ticketmaster.com/event/09005689F60060B1#efeat6916
すべてのオンラインチケットには、ニューアルバムの代金が含まれ、申し込むとTicketmasterから直接メールが送られてきて、受け取り方法を指定するという流れのようです。
なお、JTBによるオフィシャルツアー(A10月10日~14日、B10月11日~15日)も設定されており、こちらの詳細は後日発表とのこと。
The Forumは収容人員17,500人で、かつてNBAのロサンゼルスレーカーズの本拠地で、現在はNYのマディソン・スクエア・ガーデンを所有するMSG社が経営しています。
10月11日開催で、おそらくは事前にニューアルバムが受け取れ、「予習」できるようになっているのだと思います。ということは、リリースは10月1日前後かな。
同じ規模のアリーナライブがイギリスでも行われるとすれば…。
2019年の全容がだんだん、わかってきましたね。

●1966年後半
1966年10月には、もうひとつ、後年BABYMETALファンになる子どもの心に深く刻まれるドラマが始まっている。『悪魔くん』である。物語は水木しげるの原作(『悪魔くん千年王国』)とは全く違って、悪魔くんが正義の味方として、メフィストを使って怪物をやっつけるというもの。


主題歌は、男声合唱によるもので、伴奏はエレキギター入りのジャズバンドで、リズムはアフロ/キューバン系。『冒険ガボテン島』のテーマにも用いられる心浮き立つようなラテンのリズムである。
問題は歌詞で、「♪エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、回れ地獄の魔法陣…」というもの。ここに初めて「魔法陣」というものが子どもの世界に入ってきた。

ユダヤのカバラとか、ゲーテの『若きヴェルテルの悩み』なんて、全然知らなかったが、魔法陣、不気味な悪魔召喚の儀式といったイメージが、強烈に刻みつけられた。
それが、BABYMETALの魔法陣やら、三人の少女の召喚やらがアイドルの「ギミック」として登場してきたときに、遠く蘇ったのである。


だが、怖がりのぼくは、『悪魔くん』をあまり見なかった。まだ幼稚園児だったぼくが見ていたのは円谷プロの特撮ギャグ怪獣ヒーロー『怪獣ブースカ』だった。
『怪獣ブースカ』の主題歌はフルオーケストラで、「♪ぼーくはブースカブー、人気者ーオッ」というコミカルな歌詞は『ウルトラマン』の真逆だが、それでもロックンロールである。
同じころ、少女向けアニメ第一作となる『魔法使いサリー』が始まった。
「♪マハリク マハリタ ヤンバラ ヤンヤンヤン」という呪文は、少女の世界に圧倒的に受け入れられ、語り継がれた。『ひみつのアッコちゃん』『魔法の天使クリィミーマミ』『魔法少女まどか☆マギカ』『魔女の宅急便』をはじめ、その後の少女アニメの多くが、主人公が「魔法を使える」という設定になっていることからもわかるように、『魔法使いサリー』は、日本の女性サブカルチャーに決定的な影響を与えた。


2011年、さくら学院学年末テストで、中2の中元すず香が「はたき」の絵を見て、「ハリーさん」と書き、「魔法使いのハリーさんていう人がいるんですよ」と説明し、それを担任の森先生が、「サリーちゃんじゃなくて?」と聞くと、「あ、サリーちゃんか…」といったエピソードは、メイトには広く知られている。
BABYMETALもまた、魔法陣に召喚され、2014年の初ヨーロッパツアーでは、「3,2,1!」でお立ち台からジャンプする瞬間の三人の姿が、空中浮遊する「魔法少女」のようにみえた。BABYMETALは『魔法使いサリー』に始まる「魔法少女」の系譜を引いているといってよい。
それはともかく『魔法使いサリー』の主題歌は、ディキシーランドジャズ風で、ロック色はない。
同じころ、戦前の紙芝居の系譜を継ぐ戦後の特撮ヒーローとして、実写版『黄金バット』が始まった。

翌1967年にカラーアニメ版も制作されるが、主題歌は共通で、サンバのリズムに疾走感のあるギターのストローク弾き、ブラスが重なるロック的な曲調だが、ボーカルは男声コーラスである。
しかし、正義の味方のヒーローがドクロって。
金色のコウモリとともに「ウハハハハハ」と笑いながら登場するそのお姿は、子ども心にも不気味であったし、今考えても違和感いっぱいである。
なぜ正義の味方がドクロなのかについては、色々な考察があり得るが、ここでは深く触れない。しかし黄金バットが、後年のKOBAMETAL&BABY BONE(骨バンド)の源流ではないかということは指摘しておかねばなるまい。


考えてみれば、ぼくが小学校に入る前年にあたるこの1966年という年は、ビートルズ来日&『ウルトラマン』=ロックのビートと並行して、「魔法陣」「魔法少女」「ドクロ」というものが、子どもたちの世界に「カッコいいもの」として入ってきた年だったのだ。
ロックとSFと魔法とドクロ。
これらの要素は、いわゆる勧善懲悪にとどまらないヘンテコリンなサブカルチャーのミックスである。こんなものを、大人たちが競い合うように子どもたちに提供し続けたのは、明治維新~戦前に世界中のあらゆる国の文化を吸収し、敗戦後の高度経済成長に支えられて、その文化力が爆発した日本にしかありえない現象だったのではないか。
そして、今や中高年となったぼくらの心の深奥に刻みつけられたこれらの要素がなければ、BABYMETALは誕生せず、受け入れられもしなかっただろう。
もちろん、このころの子ども向け番組の主題歌は、ロックバンド構成で8ビートの曲調であっても、ギターの音はクリーンで、ディストーションの効いた重低音ではない。歌も、多くが合唱であり、ボーカリストがシャウトするわけではない。
特撮ドラマ・アニメの主題歌が、クリーントーンのサーフロック/R&Bから、ディストーションの効いたハードロックへと進化するのはまだまだ先である。
(つづく)