世界征服進捗状況(2) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日4月17日は、2017年、Red Hot Chili PeppersのUSAツアーSpecial Guestとして、シャーロット(NC)Spectrum Arenaに出演した日DEATH。

次に3rdアルバムおよび、そこからのシングルカット曲が目指すべきポジションについて。

●ビルボードHot 100
米ビルボードの総合シングルチャートは、Hot 100と呼ばれ、日本人としては過去11曲がランクインしている。
1963年「Sukiyaki」(坂本九)1位
1963年「China Nights」(坂本九)58位
1979年「KISS IN THE DARK」(ピンク・レディー)37位
1980年「Computer Game」(YMO)60位
1981年「Walking on Thin Ice」(オノ・ヨーコ)58位
1981年「Love Light」(YUTAKA/横倉裕)81位
1990年「Right Combination」(松田聖子&ドニー・ウォルバーグ)54位
2016年「PPAP」(Pikotaro/ピコ太郎)77位
2018年「「Best Friend」(植野有砂/Sofi Tukker feat. NERVO, The Knocks & Alisa Ueno)81位
2019年「Slow Dancing in the Dark」(Joji)96位
2019年「Face my Fears」(宇多田ヒカル&スクリレックス)98位
の11曲である。
1963年の「Sukiyaki/上を向いて歩こう」の全米1位は燦然と輝いている。
日本人2位はピンクレディの「Kiss in the Dark」の37位。
昨年、今年と下位ではあるが、日本人アーティストの楽曲が3曲入った。
このほか全米でシングルデビューし、HOT100では圏外となったアーティストとしては、ニッキー・モンロー/小林幸恵(2000年「SUKIYAKI」)、倖田來未(2001年「TAKE BACK」「Trust Your Love」)、UTADA /宇多田ヒカル(2004年「Easy Breezy」2009年「Come Back to Me」)、赤西仁(2011年「Test Drive」、2012年「Sun Burns Down」)らがいる。
Hot 100は、かつてはシングルEP、CDのセールスとラジオリクエスト数(Air Play)が主な指標だったが、現在アメリカではフィジカルなシングルCDというものがほぼ存在しないため、Air Play、楽曲単位のデジタル・ダウンロード数、有料ストリーミングの再生回数、YouTubeの動画再生回数も含めての集計によってきめられている。
わがBABYMETALの配信シングルの米ビルボードでのランキングは、
2013年「メギツネ」(配信分)→Billboard US World Digital Songs 14位
2015年「Road of Resistance」→Billboard US World Digital Songs 22位
2015年「Gimme Chocolate!!」(英国限定)→Billboard US World Digital Songs 5位
2016年「KARATE」→Billboard US World Digital Songs 2位
2018年「Distortion」→Billboard US World Digital Songs 2位
2018年「Starlight」→Billboard US World Digital Songs 4位
という成績。


US World Digital Songsは、アメリカ国内での外国人アーティスト曲のダウンロード/ストリーミング再生回数の指標。この部門でBABYMETALは確実にトップレベルなわけだが、総合シングルチャートであるBillboard Hot 100には入っていない。
その理由を考えてみると、BABYMETALの楽曲が日本語であり、ファンベースがメタルの領域にとどまっているからだろう。
ドラマや映画とのタイアップや、よほどの話題性がない限り、一般的なアメリカ人が、日本人が日本語で歌う、しかもメタル楽曲を気に入ることはないだろう。
何かのきっかけでBABYMETALを知れば、無料のYouTube画像を見はするだろうが、そこでよほど興味をひかない限り、ラジオでリクエストしたり、加入しているストリーミングサービスを使って、スマホや車の中で何度も聴いたりするとも思えない。
音楽好きなら2014年~2016年くらいにBABYMETALの名前を知っただろうし、2017年のレッチリ、KORN帯同、2018年のアメリカ南部でBABYMETALファンになった人はいるかもしれないが、微々たるものに過ぎない。
もちろん、日本の「アイドル」じゃないんだから、シングルをいかに売るかに血道をあげずともよく、アルバム中心でいいわけだが、そのアルバムの話題性やそこからのシングルカット楽曲のMVが広く受け入れられることは、やはり「世界征服」の一つの指標になるだろう。

●ビルボード200
1963年「Sukiyaki and Other Japanese Hits」(坂本九)14位
1971年「Yoko Ono / Plastic Ono Band」(オノ・ヨーコ)182位
1971年「Fly」(オノ・ヨーコ)199位
1973年「Approximately Infinite Universe」(オノ・ヨーコ)193位
1974年「Snowflakes Are Dancing」(冨田勲)57位
1975年「Moussorgsky:Pictures At An Exhibition」冨田勲49位
1976年「Go」(ツトム・ヤマシタ)60位
1976年「Firebird」(冨田勲)71位
1977年「Holst:The Planets」(冨田勲)67位
1977年「Go Too」(ツトム・ヤマシタ)156位
1978年「Kosmos」(冨田勲)115位
1979年「The Bermuda Triangle」(冨田勲)152位
1980年「Yellow Magic Orchestra」(YMO)81位
1980年「Ravel:Bolero」(冨田勲)174位
1980年「X∞Multiplies」(YMO)177位
1981年「Season Of Glass」(オノ・ヨーコ)49位
1982年「It's Alright (I See Rainbows)」(オノ・ヨーコ)98位
1985年「Thunder In The East」(LOUDNESS)74位
1986年「Lightning Strikes」(LOUDNESS)64位
1986年「My Best」(喜多郎)141位
1987年「E・Z・O」(E・Z・O)150位
1987年「Hurricane Eyes」(LOUDNESS)190位
1987年「Tenkyu」(喜多郎)183位
1988年「The Last Emperor」(坂本龍一)152位
1990年「Kojiki(古事記)」(喜多郎)159位
1995年「An Enchanted Evening」(喜多郎)199位
1996年「Peace On Earth」(喜多郎)185位
1999年「Stereo Type A」(チボ・マット)171位 
2004年「Exodus    Utada」(Utada)160位 
2008年「Uroboros」(DIR EN GREY)114位
2009年「This Is The One」(Utada)69位
2011年「Dum Spiro Spero」(DIR EN GREY)135位
2014年「Hotel Valentine」(チボ・マット)168位
2014年「BABYMETAL」(BABYMETAL)187位
2016年「METAL RESISTANCE」(BABYMETAL)39位
2017年「Ambitions」(ONE OK ROCK)106位
2017年にワンオク兄さんがランクインして、日本人アーティストでビルボード200に入ったのは14組となった。
『Metal Resistance』の39位は、やはりスゴイことである。と同時に、前作から3年経過し、YUIMETALが脱退した今年2019年のBABYMETALが、3rdアルバムでどこまでランクを伸ばせるか、胃が痛む思いもする。
Judas Priestの『Fire Power』(2018年)は昨年ビルボード200の5位を獲得した。
ロブ・ハルフォードと共演しているAPMA’Sの映像は全世界に流れたし、2018年に「Fire Power Tour」の前座をシンガポールで務めたのはBABYMETALだ。
METALLICAの『Hardwired…to Self-Destruct』(2016年)は1位だ。BABYMETALは2017年1月にソウルで前座を務めている。
レッチリの『Getaway』(2016年)は2位。BABYMETALは、2016-2017年に、全英・全米で前座を務めた。
KOЯNの『The Serenity of Suffering』(2016年)は4位。BABYMETALは2017年に西海岸でバンドツアーに加わった。
アルバムに関しては、メタルだからといって、ビルボード200で上位にランクされないなどということはないのだ。むしろ、大物バンドに高評価されている新進バンドのBABYMETALの待望の3rdアルバムが、ビルボード200の10位以内に入る可能性は十分にある。
懸念材料があるとすれば、YUIMETALの脱退ではなく、日本人/日本語のKawaiiメタルという「なんじゃこりゃ?」の話題性が薄れていることである。
YUIMETALの脱退は、バンドにはありがちなことであり、現にYUIMETAL抜きの昨年のワールドツアーで、新規ファンが増えている。音楽性の変化もバンドにはありがちなことで、その評価は4thアルバムにこそ現れるだろう。
ただ、2016年の『Metal Resistance』が評価されたのは、日本人のKawaii女の子たちが、本格的なメタルをやっていることへの話題性がベースにあったはずで、それが一過性にとどまってしまったか、それともこの2年間のライブ・パフォーマンスが、本物のメタルバンドとしての評価を定着させたのか、せめぎあっている状況ではないか。


願わくは、3rdアルバムは、前二作を超えるコンセプト的なアルバムで、全米、全世界の話題をかっさらうような社会性をもっていてほしい。
これまで、BABYMETALは、社会性のある歌詞の楽曲をほとんど歌ってこなかった。
理不尽な現実に立ち向かう根性や一見ナンセンスに思える歌詞に皮肉や違和感を込めることはあっても、ストレートに何かを訴える内容の楽曲はなかった。
このブログを始めた当初、ぼくはSU-には、いつか「HIROSHIMA」という楽曲を作詞してほしいと書いた。
2017年、SU-は広島に全世界のファンを集めた。
2016年から現在まで、日本は北朝鮮の核・ミサイルの脅威にさらされているし、朝鮮半島の非核化をめぐる米朝会談は世界的な関心の的になっている。
音楽の価値は、政治的なメッセージとは無関係である。
だが、音楽でなければ訴えられない「感情」というものもある。
BTSのことは言うまい。
核兵器による市民への大量無差別攻撃がかつて行われた事実、今なおそれを体制延命の恫喝に使う政治指導者がいるという現実の中、広島に生まれた世界的歌姫であるSU-METALには、10万人以上の普通の人々が一瞬にして焼き殺されたHIROSHIMAの歌を、心を込めて歌う権利があると思うがどうか。
(つづく)