ご長寿バンドへの道(1) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日3月28日は、BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

スラッシュメタル四天王の一角SLAYERにとって、ダウンロードジャパンは、日本での最後のライブだった。ライブ途中でしばしば見られたトム・アラヤの観客を見つめる表情は、忘れられないものになった。
一方、JUDAS PRIESTは、結成50周年を迎えているが、アルバムのランキングだけでいえば、2014年の『REDEEMER OF SOULS』、2018年の『FIRE POWER』が過去最高となったように、健在ぶりを見せつけてくれた。
ぼくは、数か月間公式から何の発表もなくても、BABYMETALはもう「アイドル」ではないのだから、ファンの基本姿勢としては、気長に待つしかないと考えてきた。
それはこれまでの経験から、BABYMETALは、ファンを待たせるならその分必ず、期待値の斜め上から新しい「何か」をもたらしてくれるアーティストだとわかっているからである。
また、長年ロックファンをやっていれば、長期にわたって活動を続けているバンドには、ファンには知りえない事情によるメンバーの脱退、新メンバーの加入、あるいは音楽性の変化等々は当たり前のことだと知っているからである。
だから、このブログで何度か書いたように、BABYMETALは、近視眼的な「アイドル標準」では「ファン軽視」に見えても、遠い将来からみれば、「なるほど、そういう事情だったのか」「先へ進むためにはやむを得なかったのだ」と思えるように、息の長いバンドになってくれることを望む。
SLAYERやJUDAS PRIESTを見ていて、無性にそう思った。
この項では、世界のご長寿バンドを取り上げつつ、どうすればBABYMETALがそういうご長寿バンドになれるのかを探ってみたい。
世界には結成50周年を迎えても、依然、日々活動を続けているご長寿バンドがある。
広義の「ロックバンド」にジャンルをしぼって、ピックアップしてみる。
なお、「長寿」と言えるように、現在活動中であり、再結成されて活動していても、バンド史上5年以上の「解散」もしくは「活動休止」期のあるバンド(ディープパープルなど)は除外した。
●ザ・ベンチャーズ
結成:1959年(2019年現在60年目)
出身:米ワシントン州
ギターミュージックである「ロック」という様式そのものが1950年代に発祥したので、このバンドが最古となる。モズライトとスプリングエコーによる「テケテケテケテケ」というギミックは一世を風靡し、各県教育委員会から、「エレキ禁止令」が出るほどだった。ベンチャーズがここまで長寿になったのは、日本に熱狂的なファンがいて、ライブをやれば必ず一定数の観客が集まったからだと思う。でも、例えば、イーグルスのジェフ・バクスターが参加した時期もあったぐらいで、クリーントーンのインストギターバンドとして、演奏には相当のテクニックが必要である。
●ステイタス・クォー
結成:1962年(2019年現在56年目)
出身:英国
イギリスのロックバンドでご長寿といえばローリングストーンズの名前が挙がるが、実はこのバンドの方が1年早い。ブギー・ロックという音楽性は不変で、アメリカでは大ヒット作がないが、途切れることなく2-4年ごとにアルバムを出し、必ずチャートの上位にランクされている。
●ザ・ローリング・ストーンズ
結成:1963年(55年目)
出身:英国
いわずとしれた超大物バンドで、日本では東京ドームの常連でもある。
アメリカ南部ブルース・ギタリストの影響を受けつつ、より明るいオープンチューニングを用いたシンプルなリフは、ラジオから流れてきても一発でストーンズとわかるシグネチャー・サウンド。最新アルバム『ブルー&ロンサム』(2016年12月)は、原点回帰し、60年代のブルースジャムセッションのような趣。たまたまスタジオに来ていた「後輩」のエリック・クラプトンを捕まえてレコーディングに参加させている。
●スコーピオンズ(1965年、54年目、独)
結成:1965年(54年目)
出身:ドイツ
ジャーマン・ロック/メタルの原点。マイケル・シェンカー(→UFO→MSG)、ウリ・ジョン・ロートといった超絶メタル・ギタリストを輩出した。2010年に『Sting in the Tail(蠍団とどめの一撃)』を最後に解散すると発表されたが、ツアーが好評だったため、結局解散は撤回された。最新アルバムは、『Return to Forever(祝杯の蠍団)』(2015年)。


●サンタナ(1966年、53年目、米)
結成:1699年(53年目)
出身:米カリフォルニア州
正確に言えばカルロス・サンタナ(G)のバックバンドで、これまで100名近いメンバーが交代してきたから、ご長寿バンドといえるかどうかはわからないが、72歳になっても旺盛にライブ活動を続けるサンタナに敬意を表して掲載。50歳以上で「哀愁のヨーロッパ」を知らない日本人はいないだろう。最新アルバムは『Santana IV』 (2016年)
●シカゴ
結成:1967年(52年目)
出身:米イリノイ州
オールドファンにとって、シカゴは、ロックにブラス(金管楽器)を取り入れ「長い夜」「サタデイ・イン・ザ・パーク」で知られたので、コピー不能なバンドだった。80年代にはぐっとポップス寄りになり、「素直になれなくて」など、HR/HMとは毛色が違う「大人」な感じだった。最新アルバムは『CHICAGO VI DECADES LIVE (This Is What We Do)』(5枚組、未発表ライブ集、2018年)。
●フリートウッド・マック
結成:1967年(52年目)
出身:英国
70年代イギリスのロックシーンを知るオールドファンにはビッグネームである。クラプトンも影響を受けた「ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ」のメンバーだったピーター・グリーンは、当時のブルース系ハードロックの「神」だった。サンタナの「ブラックマジックウーマン」のオリジナルは、このバンド。ピーター・グリーンだった以後は、当時にしては珍しく、女性ロック・ボーカリストのスティーヴィー・ニックスをフロントマンとしてアメリカで大ヒットを連発し、スーパーバンドに。停滞期やメンバーの交代、リユニオンなどを経て、現在まで活動を続けている
●タンジェリン・ドリーム
結成:1967年(52年目)
出身:ドイツ
同じく1967年結成のプログレバンド。電子音、シンセサイザーとエドガー・フローゼのミニマルでクリーミーなテレキャスターの音が融合され、かつポップな風情も備えた、いかにもドイツ人らしい構成主義的な楽曲は、高校生のぼくのあこがれだった。1974年『Phaedra(フェードラ)』、1975年『Rubycon(ルビコン)』の「音」は忘れられない。2011年に日本人の女性ヴァイオリニスト・山根星子が加入、2015年にエドガー・フローゼが死去するも、バンドは継続し、2017年にはアルバム『Quantum Gate』をリリースしている。


●ブルー・オイスター・カルト
結成:1967年(52年目)
出身:米ニューヨーク
アメリカのヘヴィメタルの源流とも、アメリカ版ブラックサバスともいわれるが、ニューヨークのアンダーグラウンドロックシーンの重鎮であることは間違いない。1975年のライブ・アルバム『On your feet or on your knees』のMCは、ニューヨーク・パンクのヒロイン、パティ・スミスである。エリック・ブルーム(G)を中心にメンバーを交代しながら現在までライブ活動を続けている。
●イエス
結成:1968年(51年目)
出身:英国
1968年は、ディープ・パープル、レッドツェッペリンが結成された年だが、イエスはこの年から一度も解散することなく、現在に至っている。
スティーブ・ハウ(G)が加入したプログレ期の『こわれもの - Fragile (1971年)』、『危機 - Close to the Edge(1972年)』は、必聴盤だった。だが1974年にリック・ウェイクマン(K)、1981年にスティーブ・ハウ(→エイジア)が脱退し、残されたメンバーにより「再結成」された1983年、「ロンリー・ハート」が大ヒット。ポップ化した曲調に耳を疑ったが、今聴いてみると確かにイエスらしい構成になっていると気づかされる。1988年~1991年まで、オリジナルメンバーが2つのバンドに分れる「分裂期」や、リック・ウェイクマンとスティーブ・ハウの息子が加わった時期を経て、2017年にロックの殿堂入り。2018年には『Fly From Here - Return Trip』リミックス盤をリリースしている。


●ジューダス・プリースト
結成:1969年(50年目)
出身:英国
ここでようやくジューダス・プリースト。
前述したように、2014年にバンド史上最高位となるビルボード200の6位、そして昨年の『FIRE POWER』 が5位となり、「FIRE POWER World Tour」に、「メタルの未来」と位置づけたわがBABYMETALを帯同するなど、ここへ来てメタル・ゴッドのパワーは全開となっている。
このほか、ダリル・ホール&ジョン・オーツ(1969年、50年目、米)、UFO(1969年、50年目、英)、エアロスミス(1970年、49年目、米)、クラフトワーク(1970年、49年目、独)、クイーン(1971年、48年目、英)、ヴァン・ヘイレン(1972年、47年目、米)、キッス(1973年、46年目、米)、AC/DC(1973年、46年目、オーストラリア)、ジャーニー(1973年、46年目、米)、チープ・トリック(1974年、45年目、米)、アイアン・メイデン(1975年、44年目、英)、U2(1976年、43年目、アイルランド)、デフ・レパード(1977年、42年目、英)、デュラン・デュラン(1978年、41年目、英)、メタリカ(1981年、34年目、米)、アンスラックス(1981年、34年目、米)、ボン・ジョヴィ(1983年、36年目、米)、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(1983年、36年目、米)、メガデス(1983年、36年目、米)、オフスプリング(1984年、35年目、米)、セパルトゥラ(1984年、35年目、ブラジル)、ブラインド・ガーディアン(1984年、35年目、ドイツ)、ストラトヴァリウス(1984年、35年目、フィンランド)、ガンズ・アンド・ローゼス(1985年、34年目、米)などなど、ご長寿バンドは枚挙にいとまがない。
ご長寿なだけに、これらのバンドは当然「大物」であり、このうち、BABYMETALはジューダス・プリースト、メタリカ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ガンズ・アンド・ローゼスとは、ツアーに帯同し、ステージで共演したバンドもある。
本当にBABYMETALが「メタルの未来」になるためには、これらのバンドの長寿の秘訣を学び、「未来のメタル」を創造し続けなければならない。
(つづく)