ダウンロードジャパン参戦記(5) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日3月26日は、2016年、5/4(水・祝) にWOWOWで「BABYMETAL Road to WEMBLEY ~ Live & Interview ~」が放送されることが発表された日DEATH。

20:00。Blood Stageに「Firepower」のイントロが流れ、大トリ、JUDAS PRIESTが登場。
昨年12月4日、シンガポールでBABYMETALが前座を務めたのはつい先月くらいに思えるが、もう3月も終わりだから、あれから4か月になろうとしている。
あの時、新三人組を務めたSAYA(平井沙弥)は、田口華のいる「虎姫一座」への加入が決まったとのことで、BABYMETALの新メンバーというわけではないようだ。
相変わらず公式からのツアースケジュールが一切発表されないBABYMETAL=FOXGODに対して、メタル・ゴッド=ロブ・ハルフォードは、健在だった。
オープニングは、昨年リリースされた最新作『Fire Power』の表題曲1.Firepowerだった。
このアルバムは、米ビルボード200で初登場5位というバンド史上最高のランキングを獲得。
前作である2014年の『REDEEMER OF SOULS贖罪の化身)も当時最高の6位だったので、今年結成50周年を迎えるJUDAS PRIESTは、現在まさにキャリア最高の状態なのである。
その最高の権化が、フロントマンであるロブ・ハルフォードである。
「Fire Power」はいきなりハイトーンで始まるのだが、その声量や金属的な声質にドギモを抜かれる。スクリーンにアップになるロブの顔や体形、歩き方はどうみても68歳の「おじいちゃん」なのだが、ひとたびシャウトすれば、幕張メッセ9-11ホール全体、3万人が震えるような破壊力である。
ロブ「ヘイ、トーキョー!俺たちのことを知ってるかい?ヘヴィメタル(ベビーメタルかも)で有名なJUDAS PRIESTだぜ!」観客「イェーイ!」みたいなやりとりがあって、続くは、NWOBHM期の2.Delivering the Goods(1978年『Killing Machine殺人機械』)。
ロブは途中出入りがあったので、現在バンドの創設メンバーでただ一人残っているのは、ベースのイアン・ヒルのみ。独特の微笑みを浮かべつつ、ステージの最奥部に陣取り、淡々とバンドのサウンドを支えている。


続くは、これもNWOBHM期の3.Sinner(1977年『Sin After Sin背信の門』)
この曲が凄かった。2011年に創設メンバーのK.K.ダウニングに代わったリッチー・フォークナー、2018年からツアーを休んでいるグレン・ティプトンの代役アンディ・スニープの両ギターが、空間を切り裂くアーミングや超絶ソロを展開する。そしてロブの「Sinner!!」のハイトーンシャウトは、幕張メッセの天井を揺るがし、初見の若い観客の心をも揺さぶっただろう。
ここで、バックドロップ(スクリーン)が、セピア色の英字新聞に変わる。ロンドン市民を震撼させたJack The Ripper(切り裂き魔)の文字が踊る。4.The Ripper(1976年『Sad Wings of Destiny運命の翼』)である。古風な曲調にロブのシャウトが炸裂。これぞヘヴィメタルの原型。
続いて、5.Evil Never Dies(2018年『Fire Power』)。
『Fire Power』は、各誌評論の通り、オリジナルNWOBHMのスピード感やヘヴィさに、両ギターの超絶テクニックが合わさり、ヘヴィメタルの教科書のようなアルバムに仕上がっている。「Evil Never Dies」のテンポや曲調は「The Ripper」とちょっと似ている。
ぼくの思い込みかもしれないが、ここでJUDAS PRIESTは、50年におよぶバンドの“進化”を見せつけているのだ。サビの「♪Evil Never Dies」=悪は決して死なないというメッセージは、JUDAS PRIESTもまた健在であるという含意である。
ヴァン・ヘイレン風のリフから始まる6.Bloodstone(1982年『Screaming for Vengeance』)を経て、またステージ奥のスクリーンが変わり、光輪をいただいたキリスト?マリア?天使?のシルエットが浮かび上がる。7.Saints in Hell(1978年『Stained Class』)である。そのシルエットにやせこけた手、死の鳥、ライオンなど動物のシルエットがかぶさる。ロブのハイトーンは冴えわたり、不気味な曲調を歌い上げる。
続く8.No Surrenderは、また『Fire Power』からの1曲。これぞ、現在のJUDAS PRIESTのアンセムではないか。年をとっても、メンバーが病気でツアーに参加できなくなっても、日本の若い女の子たちが「メタルの未来」がになっても、決して降参しない。前進し続けるという意気込み。「Chasing a dream as I go higher」(いつまでも夢を追い続ける、行けるところまで)という歌詞に、メタル・ゴッドの誇りを感じ、感動した。
続く9.Turbo Lover(1986年『Turbo』)が始まると、フォークナーが拍手を要求。これに応えて観客も両手を高く掲げ拍手する。サビの「I'm your turbo lover, Tell me there’s no other」も大合唱。
曲が終わると、ロブは「Woo Yeah!」と観客を煽る。観客も「Woo Yeah!」と応える。何度か繰り返すと、次は、「♪Lalalalala」とドの音で客を歌わせる。次はレの音。次はミ。ロブは平気な顔でハイトーンを出すが、客はだんだんキツくなってくる。次はファ。もう出ないよ。ソの音に行くところでロブがニヤリとしてやめる。やっぱりロブは凄い。
続くは、ご機嫌なロックンロールの10.Devil's Child(1982年『Screaming for Vengeance』)、と、今年1月から久しぶりにツアーのセトリに入った11.Killing Machine(1978年『Killing Machine殺人機械』)、12.Some Heads Are Gonna Roll(1984年『Defenders of the Faith背徳の掟』)と80年代メタルの香りのする曲が続く。
観客が、JUDAS PRIESTの世界にどっぷりつかったところで、またも『Fire Power』からの曲。メタルバラードといってよい美しいメロディの13.Guardians(2018年『Fire Power』)と、現代のNWOBHMである14.Rising From Ruins(2018年『Fire Power』)。
うわー、もー凄いの一言。JUDAS PRIESTはやはりメタルの王者なんだよなー。
ここでいったんロブがステージから消えると、「ブオーン!ブオーン!」という排気音が響き、次の瞬間、ロブが銀色のハーレーに乗って登場。バイクのスタンドをかけると、ロブはバイクにまたがり、乗馬用の鞭を持ったまま、曲が始まる。
15.Rapid Fire(1980年『British Steel』)で、これは2012年以来の披露とのこと。
続いて、16.Hell Bent for Leather(1978年『Killing Machine殺人機械』)。これが名にしおうメタル・ゴッドのお姿である。
曲が終わると、「ヘイ、トーキョー!この曲はみんなが知ってる曲だぜ。みんなで歌ってくれよな」みたいなMCがあり、あの聴きなれた17.Painkiller(1990年『PAINKILLER』)
のイントロのドラムが始まる。


ああ。やっぱりここはロブの隣にSU-がいてほしいと思ってしまう。HalestormにLOVEBITESのASAMIがいたのだから、secretゲストで登場してくれたら。
だが、さすがにPainkillerはみんな知っているのだ。「He is the Painkiller、This is the Painkiller」の大合唱。
これがフィニッシュ曲だった。
だが、当然収まるわけがない。場内が「JUDAS、JUDAS」のコールをするとすぐに、18.The Hellionのイントロが流れ、メンバーが再登場する。「♪オオオーオー」とイントロ&サビのメロディを歌う観客。続く19.Electric Eyeも同じく、JUDAS PRIEST最盛期の1982年『Screaming for Vengeance』からのナンバーである。客席はドライブ感に包まれ、サークルモッシュ&クラウドサーフも発生している。
そして、最終盤。ロブの「Breaking the what?」の煽りに観客が「ロー!」と応える。
20.Breaking the Law(1980年『British Steel』)のイントロが流れる。
観客はもちろん声を限りに「Breaking the Law!Breaking the Law!」と歌う。
サビのリフレインで、ステージ前面に、ロブと両ギタリストがそろい、動きを合わせる。
SU-もYUIもMOAもいないけど、この大合唱する観客を見ていると、やっぱり、ダウンロードジャパン2019は、BABYMETALの幻が見え隠れしていたことがわかる。
興奮冷めやらぬライブのフィニッシュは、21.Living After Midnight(1980年『British Steel』)だった。この曲は『Fire power』のEU盤ボックス付属のEPにライブが収録されている。
観客は「♪Living After Midnight!Working in the Morning!」の大合唱。
フェスティバルが終わり、明日からまた労働の日々が始まる。とはいえ、翌日の22日(金)を休みにして4連休という人もいたみたいだが。
ぼくはここで、会場を出た。
JUDAS PRIESTはやはり最高だった。出口で、来場者全員に配られるダウンロードジャパンのポスターをもらった。来年もやるのかなあ。
痛む腰を伸ばしながら、ふと見上げると、幕張の澄み切った夜空に、満月。


あれ。これはどこかで見たような。
BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPANの幕張メッセの夜と同じだ。
そう思ったとたん、無性にまたBABYMETALに会いたくなった。
やっぱりサマソニ2019の8月17日まで待たなきゃならないのかなあ。
(この項終わり)