音楽と民主主義(4) | 私、BABYMETALの味方です。

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★今日のベビメタ

本日3月17日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

 

ぼくらは、自由にものを言える民主主義社会に生きている。

空気のように当たり前すぎて、ふだんは意識されないが、それは、戦後間もなく文部省(当時)が自ら著作者として発行した中学・高校の教科書『民主主義』に書かれたエッセンスの何分の一かが実現したものだ。

そして、尾高朝雄がGHQの目を盗んで書いたように、民主主義的要素は戦前にもあった。

その現れのひとつが「唱歌」(音楽)を小学校の必修教科にしたことである。

これによって、明治政府が近代化のお手本である西洋文明の叡智をすべて国民に学ばせ、享受させようとしたことがわかるからである。

もちろん、1889年に発布された大日本帝国憲法(明治憲法)は君主が人民に与えたという形式の欽定憲法であり、法理上の主権者は天皇だった。

だから、アメリカのように、国家元首=大統領が選挙によって選ばれるという意味での「民主主義」ではない。

ところが、イギリスの正式名称は「グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国」、略称はUnited Kingdomで、国家元首としてエリザベス女王を戴く立憲君主制の国であるが、「民主主義の故郷」とも呼ばれる民主主義国である。

現行の日本国憲法の下でも、日本には天皇が「国民の象徴」として存在し、国家元首として国事行為を行う。では、日本は民主主義国でないのかといえば、そんなことはない。冒頭に書いたように、日本は、法の下の平等と基本的人権が保障され、身分にかかわらず国民が選挙権、被選挙権を持つ立派な民主主義国である。

天皇や国王がいることをもって、民主主義でないとすることはできないのだ。

一方、北朝鮮の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」であるが、三代にわたって金一族の独裁が続くあの国に民主主義があると考える人は、ほとんどいないだろう。

つまり、民主主義とは、国の体制や呼称によってはかるべきものではない。

権力者が思いつくままに政治を行うのではなく、言論や表現の自由が保障され、国民が選挙によって選んだ代表者の定めた法律に則って、司法や行政が行われているかどうか、という実態のことを指すのだ。

そして、現代の民主主義国の代表というべきアメリカ、イギリス、日本は、世界の三大音楽市場でもある。

IFPI Global Music Report 2017によると、2016年度の音楽関係の売上は、第1位がアメリカで53億1821万ドル(5743億6700万円)、第2位が日本で27億4599万ドル(2965億6700万円)、第3位がイギリスで12億5114万ドル(1351億2300万円)だった。

世界一の人口を持ち、GDPでは日本を上回る中国は、第12位で2億0224万ドル(218億4200万円)だったのに対して、人口やGDPでは中国におよばないフランス、カナダ、オーストラリア、韓国、イタリア、オランダ、ブラジルといった国は、音楽市場の売り上げでは中国を上回っている。

北朝鮮には、金一族に奉仕する国営モランボン楽団はあっても、音楽市場そのものが存在しない。

音楽産業が隆盛するには、何よりも表現の自由や流通インフラが整っていなくてはならない。GDPで測れる経済指標とはまた違って、音楽は自由や心の豊かさ、つまり「民主主義度」を示すバロメーターといえないだろうか。

前回書いたように、日本は明治時代から、国をあげて音楽教育に取り組んできた。

明治時代に「唱歌」を、小学校の必修科目にした先人たちは、そのことをわかっていたのかもしれない。民主主義と同じく、空気のように当たり前のものとして気づかないけれど、日本は今や世界第2位の音楽大国なのだ。

(つづく)