BABYMETAL脱退劇、北朝鮮に渡った元「裸のラリーズ」メンバーも衝撃

    「妻がなんと言おうと、彼女らはやはり私のオンリーワンです!」

    3人組メタル・ダンスユニット「BABYMETAL」は、メンバーのYUIMETALが脱退すると発表した。

    伝説のバンド「裸のラリーズ」の元メンバーで、脱退後に日航機「よど号」をハイジャックして北朝鮮へ亡命した若林盛亮は、熱烈なBABYMETALファンとして知られる。

    BuzzFeedは北朝鮮在住の若林にメールで取材し、いまの思いを聞いた。

    「夢に向かって進みたい」

    BABYMETALの公式サイトによると、YUIMETALは昨年12月の広島公演を体調不良で欠席して以来活動を休止していたが、本人の意向で10月のワールドツアー日本公演への出演を見送り、BABYMETALを離れることになった。

    YUIMETAL個人のページでは「水野由結」の名義でこう綴っている。

    《もう1度ステージに立ちたいという強い思いもありましたが今も体調が万全ではないこと、そして以前からの私の夢、水野由結としての夢に向かって進みたいという気持ちもあり、今回このような決断をいたしました》

    伝説のバンドの元メンバーは…

    裸のラリーズは1967年、京都の同志社大に通う水谷孝(ギター、ボーカル)、若林(ベース)、中村武志(ギター)の3人で結成された。

    中心人物の水谷はほとんどインタビューを受けず、公式な音源はわずか数作品。にもかかわらず海賊盤は乱発され、国内外に熱狂的なファンが存在する。

    「日本ロック史上最大の謎」ともささやかれる、伝説のバンドだ。

    若林は結成の翌年に脱退。1970年、赤軍派メンバー9人で「よど号」をハイジャックし、北朝鮮へ渡った。現在は平壌の日本人村で暮らす。

    「金属疲労」を心配

    昨年の電話インタビューの際も、若林はベビメタの大ファンであることを明かしていた。「いい年して、いい加減にしなさいよ」と妻から小言を言われながらも、熱心に応援しているという。

    なかでもお気に入りは、2014年の英国でのライブ映像。「このビデオひとつあれば、私には何も不要」とまで言い切る。

    「10代のミュージシャンに惹かれたのは、尾崎豊デビュー当時以来のこと。しかもアイドルっぽい女の子たちは初めての体験…。妻がなんと言おうと、彼女らはやはり私のオンリーワンです!」

    しかし、今回の脱退に関しては、数年前から「なんとなく、この日が来る予感していた」そうだ。

    「取材時の素顔や話しぶりから、この子は大丈夫かな?と秘かに心配していました。『体調不良』と言われていますが、実際はモチベーションが保てなくなったのではないでしょうか

    「もうBABYという年齢でもなくなってくる。なのに人気はうなぎ昇り。だからそれでも、BABYMETALでありつづけなければならい。そうした状況に精神が『金属疲労』を起こしているのではないか。そんな印象が伝わってきたのです」

    揺れるファン心理

    今後のBABYMETALとどう向き合っていくか。若林の心も激しく揺れている。

    「あの3人でないBABYMETALは考えられません。SUやMOAを応援したい。けれどBABYMETALの『残骸』は見たくない。そんな複雑な気持ち。いっそ潔い『解散』もあり、というのが私見です」

    かと思えば、こんな風にも言う。

    「BABYMETAL、これからどうしてほしいか正直よくわかりません。YUIちゃんお疲れさんでした、と言うしかないでしょう。歌唱力抜群のSU-METAL、そして不可欠なダンス、合いの手のMOAMETAL。2人になっても応援したいですね」

    「これまで」のBABYMETALと、「これから」のBABYMETAL。両者の間で引き裂かれる、複雑なファン心理があるようだ。

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    BABYMETAL / Via youtu.be

    BABYMETAL - Starlight (Official)

    新曲の歌詞はメッセージ?

    新体制となったBABYMETALは10月19日、新曲「Starlight 」を発表した。その歌詞は、巣立っていくYUIMETALへの、SU-METALとMOAMETALからのメッセージのようにも読みとれる。

    Wherever we are, we'll be with you.

    We'll never forget shining starlight.

    Wherever you are, you live in my heart.

    (和訳)

    私たちはどこにいても、あなたと一緒にいる。

    私たちは輝く星の光を決して忘れない。

    あなたがどこにいても、あなたは私の心にいる。

    若林は言う。

    「今後どうなっても、彼女らの、またスタッフの選択を支持したいと思います」

    (わかばやし・もりあき) 1947年生まれ。滋賀県立膳所高校を卒業後、京都の同志社大学に進学。1967年、水谷孝・中村武志と裸のラリーズを結成。翌年に脱退。1969年、東大安田講堂事件で逮捕。1970年、赤軍派メンバー9人で「よど号」をハイジャックし、北朝鮮へ(国外移送目的略取などの容疑で国際手配)。政治亡命者として平壌の「日本人村」で暮らす。