Japanese Invasion by Japanese Girls | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日5月26日は、2012年、インディーズデビュー曲「ヘドバンギャー!!」のレコーディングが行われ、2013年には、METROCK東京@新木場・若洲公園に初出演し、2016年には、WWEのファーム団体「NXT」がテーマソングに「KARATE」を採用すると発表された日DEATH。

前回挙げたきゃりーぱみゅぱみゅ以外にも、日本のテレビのフレームの中ではなく、広大な海外市場に照準を定めてライブ活動を展開する日本人アーティストは多い。
BABYMETAL同様、2017年~2018年に海外ツアーを行った日本人女性アーティストにしぼって、その活躍をまとめてみたい。

■女性ロック/メタルバンド
ロックの本場から遠く離れた東洋の島国、日本で、しかも若い女性がエクストリームなメタルをやるというのが、欧米人にとってのBABYMETALの衝撃の“キモ”だったとすれば、女性だけの編成によるロック/メタルバンドの欧米市場への登場は、ある意味それ以上である。だから、ここに挙げた3組は、BABYMETALのライバルではなく、Japanese Invasion by Japanese Girlsの同志だととらえたい。

●SCANDAL
BABYMETAL結成の1年前の2009年に結成されたSCANDALは、2013年3月に、インドネシア・ジャカルタ、シンガポール、タイ・バンコクの3か国を巡るツアーで海外でのライブをスタートした。
同じ年、BABYMETALも、9月のAFAインドネシア、11月のAFAシンガポールへの出演、それに初の海外単独ライブLive in Singaporeを12月にやっている。
SCANDALは、1年置いた2015年には、フランス・パリ、UK・ロンドン、ドイツ・エッセンとヨーロッパにも進出し、シンガポール、台北のあと、シカゴ、メキシコシティ、ロサンゼルス、アナハイムと北米にも進出した。
2016年は、さらに規模を拡大し、シンガポール、香港、台北、タイのアジアツアーの後、オランダ・アムステルダム、ドイツ・ケルン、ハンブルク、ポーランド・ヴロツワフ、オーストリア・ウィーン、イタリア・ミラノ、フランス・マルセイユ、スペイン・バルセロナ、UK・ロンドン、フランス・パリと、BABYMETALより広範囲にヨーロッパ各国を回った。
2017年には、47都道府県ライブツアーや、ぼくもRichardさんと見たRIJなど、国内を巡るツアーのため、海外へは行かなかったが、今年2018年は、第一弾として6月にアジアを回るツアーが予定されている。

日程は以下の通り。
6月10日(日)@中国・香港MacPherson Stadium
6月24日(日)@フィリピン・マニラSMX Convention Center
6月30日(土)@台湾・台北Clapper Studio



●BAND-MAID
2013年に結成されたBAND-MAIDは、メイド喫茶のコスチュームや、リーダー小鳩ミクによる「お給仕始めさせていただきます」のキメ台詞など、日本のサブカルチャーを「設定」=ギミックとして取り入れ、結成当初から海外進出に狙いを定めていた。ワールドツアーは2016年にスタートし、今年3年目を迎える。
2016年は、米国・シアトルで行われた日本フェアのSakura Conventionへの出演を皮切りに、メキシコ・メキシコシティ、UK・ロンドン、ドイツ・ケルン、ハンブルク、フランス・パリ、ポーランド・ワルシャワ、イタリア・ルッカ、スペイン・バルセロナ、香港と8か国9公演の本格的なワールドツアーを行った。
2017年は、7月にヴォーカルのSaikiが咽喉ポリープの手術を受けたが、サマーソニックは幕張、舞洲両日に出演し、10月からは台湾、香港のアジアライブの後、UK・ロンドン、フランス・パリ、ドイツ・ボーフム、べルリン、ミュンヘンとツアーを続けた。
2018年も、4月に国内ツアーを終え、メキシコでの単独公演が予定されている。
6月29日(金)@メキシコ・メキシコシティFORO INDIE ROCKS


●LOVEBITES
昨年5月にメジャーデビューし、10月にフルアルバムをリリース、11月27日にはUK・ロンドンのカムデン地区にある名門ライブハウスUnderworldで初の海外ライブを行った本格的スピードメタルバンドLOVEBITESは、BABYMETALのツアーがなかった2017年、イギリスのメタルヘッズに大人気となった。
アニメ主題歌を彷彿させるオールドスクール=王道のジャパニーズスタイルのメロスピだが、なんといっても並みの男性バンドが束になっても敵わない卓越した演奏力と楽曲構成力は、イギリスのメタルヘッズを驚愕させた。Underworldのライブには、ぼくの友人のRichardさんも参戦しており、大絶賛していた。
2018年には、6月にセカンドミニアルバムのリリースと、渋谷O-EASTでの単独ライブがあり、ANTHEMとの東名阪ツアーの後、8月には世界最大級のメタルフェス、ドイツのWacken Open Airと、イギリスのBloodstock Open Airフェスティバルに、日本人女性バンドとして初めて出演することが決まっている。
そこでの演奏も凄絶なものになるはずで、ロンドン・カムデンのUnderworldとは比べものにならない数のメタルヘッズが生で聴くこととなり、オールドスクールながら演奏力においては、世界一の女性バンドという評価を得るはずだ。

2014年のBABYMETALと同様、2018年はLOVEBITESにとって、Big Yearになるだろう。



■男女混合バンド
●水曜日のカンパネラ
独特な世界観のシュールかつ繊細な歌詞と先鋭的なポストロックの曲調、「主演」コムアイの強烈な個性で熱狂的なファンをもつ水曜日のカンパネラが、2017年、満を持して世界に進出した。
2017年は長期にわたる全国ツアーを行い、フジロック、ロックインジャパンにも出演し、10月13日、14日には台湾の台北と台中での単独ライブ、10月28日、29日の両日は、米国・ロサンゼルスのExpo Parkで行われたCAMP FLOG GNAW CARNIVAL、11月18日に中国・香港のCentral Harbourfront Hong Kongで行われたClockenflap Festivalに出演した。
コムアイは、2015年にBABYMETALが受賞した『VOGUE JAPAN』 Woman of the Year 2017をMIKIKO師とともに受賞した。
今年2018年は、8月5日からのポーランド・カトヴィツェのOFFFESTIVAL2018に出演が決まっている。渋い。

吉澤佳代子と同じく、句読点やオノマトペにさえ意味がある日本語のシュールな歌詞の世界観が命。その神秘性こそが、欧米人にとって憧れの日本文化なのかもしれない。といっても「桃太郎」の面白さが欧米人にわかるのかなあ。

 

■女性アイドル/ダンスユニット
BABYMETALは「メタルダンスユニット」であって、厳密にはバンドではない。
だがそんなことはどうでもいいというのがぼくの立場で、音楽性は、テクノからラウド系まで色々でも、楽曲や「設定」のオリジナリティ、歌とダンスが鍛え上げられ、海外のツアーにチャレンジしていればJapanese Invasionの「同志」だ。

日本のテレビでしか通用しない口パク&クオリティの低い多人数ダンスの「アイドル」とは、文字通り「志」が違うからだ。

●PASSCODE
ラウド系アイドルというジャンルがあるとすれば、PASSCODEはもはや第一人者である。
アイドル離れしたグロウル担当の今田夢菜の健康問題を爆弾のように抱えつつ、南奈生、高嶋楓、大上陽奈子の大阪出身の4人組がここ数年駆け抜けてきたライブの数々は、アイドルのど根性と、アーティストとしての洗練とが同時進行する、唯一無二のパフォーマンスの連続だった。
ぼくはファンクラブに入り、CDやDVDを入手し、トークライブに足を運んで南奈生にサイン&握手をしてもらい、ライブに参加するたびに今田夢菜のパフォーマンスに冷や冷やし、南奈生の煽りに共鳴し、感動させてもらった。
今年2018年は、バンドセットの過酷な全国ツアーに、昨年に引き続きサマソニ舞洲、幕張の両日出演があり、台湾と韓国での海外ライブも組み込まれている。
ここにも戦う少女たちがいる。
10月13日(土)@台湾・台北CLAPPER STUDIO
10月20日(土)、10月21日(日)@韓国・ソウルWest Bridge Live Hall

●TENPURA KIDZ
Asobi System所属のきゃりーぱみゅぱみゅの初代キッズダンサーで、1人減って4人になったメンバーは1998年~1999年生まれなので、YUI、MOAとほぼ同世代。あ、P→☆君は男性ね。
2013年3月にメジャーデビューし、KPP以外にも多くのアーティストのバックダンサーを務める。
音楽性は、KPP路線で、テクノポップ+原宿系ファッション+ストリート系ダンス。このダンスの技術が凄い。
TENPURA KIDZ という名前が、海外でも日本人であることを示すためにつけられたことからわかるように、結成直後からKPPとともに海外に進出した。
2014年にタイ・バンコクで行われたTOFU MUSIC FESTIVAL(日本音楽祭)を皮切りに、2017年まで毎年、ミャンマー、フィリピン、ベトナム、カンボジア、マレーシアといった東南アジアおよび上海、スイス、ドイツ、スペインなどヨーロッパでのフェスに出演してきた。
今年2018年の海外ライブないしフェス参加のスケジュールはまだHPに公表されていないが、KPP同様、TENPURA KIDZは海外に本国以上のファンベースを持つ日本人アーティストである。

■おまけ
女性アーティストではないが、いや本当は性別さえも「不明」なのだが、昨年後半から、Spotifyを中心に、全世界で爆発的な人気となっているAmPmという年齢不詳・顔出し不可の覆面デュオユニットがいる。
2015年に「会社の新規事業」のような感覚で音楽活動を始め、世界中にいるキュレーター=センスのいいリスナー代表のSNSのリストに入ることを意識してプロモーションをし、ネイティブのシンガーをフィーチャーした「Best Part of Us」が、リリースから半年となる2017年10月に800万回再生を記録。

Spotifyの総合バイラルランキングで、世界36位、全米6位となり、インドネシア・ジャカルタで行われた「SPOTIFY ON STAGE」にもトップバッターで出演した。ただし、覆面のままだが。


詳しくは、BABYMETALのインタビューでおなじみの柴邦典氏による記事 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53166
を読んでいただきたいが、AmPmの方法論は、巨大勢力「アイドル」のビジネスモデルにどっぷり浸かった日本のレコード会社、芸能事務所、テレビ局や興業会社には、用語や概念さえ理解できないものだろう。
グローバルなインターネットの中では、音楽とは、センスのいいリスナー代表のリストを参考にして、リスナー自身が1曲1曲選んで購入するものになっているのだ。レコード会社や芸能事務所の「売らんかな」のお金をかけたプロモーションは、うさん臭いだけだ。
ファンに疑似恋愛感情を抱かせるために、水着やランジェリーのグラビアやMVを撮影し、握手券を同封して、接触商法で複数バージョンのCDを売る?
1970年代ならいざ知らず、21世紀の現在、未成年のアーティストにそんなファンサービスを強要したら、欧米では間違いなく大問題になるだろう。
第一、そんなものは音楽ですらない。
初めからグローバルに楽曲を売りたいと思ってプロモーションするなら英語は必須だ。

AmPmの公式HPは、日本時間2018年5月24日深夜に発表されたトランプ大統領の金正恩にあてた米朝会談中止を告げる書簡のように、中学生でも理解できる英語で書かれている。

日本人であるAmPmが「Best Part of Us」に英語ネイティブ・シンガーを起用したのも同じ理由だ。
AmPmの場合は、日本人であることにすら意味を持たせず、楽曲そのものをプロモーションして人気と利益を勝ち得たわけだが、ここにあげた日本人女性アーティストたちは、ネットを有効に活用して情報発信しながら、ライブという肉体性で海外を転戦している。
どちらかといえば、ぼくはこっちのほうが好みだが、いずれにせよ、日本人が創る音楽が、海外で、音楽として普通に日常生活に溶け込んで聴かれているのは痛快である。
狭いテレビのフレームの中で、コメディアンに育ててもらうアーティスト=カッコつき「アイドル」って、いったい何なのだ。

4-5種類ある特典付きCDを大量に買うファンのおかげでオリコン連続1位って、どんな意味があるのか。
ぼくには、どうしても理解できないのである。