アトランタ公演 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

―May the FOX GOD be with You―

★今日のベビメタ

本日5月17日は、2013年、DEATH MATCH TOUR五月革命@Zepp Diver City Tokyoが行われ、2018年にはノースカロライナ州シャーロット@The Fillmore公演(日本時間5月18日)が行われる日DEATH。

 

一体どこまで進化するのだろう。

BABYMETAL US Tour 2018 の5日目、ジョージア州アトランタ公演で、Dark Side BABYMETALは、またしても驚嘆すべきパフォーマンスを見せつけた。

アトランタは、昨年2017年4月14日に、21,000人収容のPhilips Arenaで、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの前座として5曲のライブを行った。今年のTabernacle Atlantaは2,600人収容で、ベニューの規模は比ぶべくもないが、3階の立ち見席までびっしり観客で埋まった。

文字通りのSOLDOUTである。

会場の雰囲気は、初日のカンザスシティUptown Theaterと同じような、古き良きアメリカという感じの作り。舞台の幅や奥行きは狭く、天井が高い。

セットリストは以下の通り。

<セットリスト>

1.In the Name of

2.Distortion

3.Elevator Girl(仮)

4.ゆらゆら(仮、SU-ソロ)

5.GJ!(MOAソロ)

6.紅月-アカツキ-

7.メギツネ

8.ギミチョコ!!

9.KARATE

10.Road of Resistance

11.THE ONE(Unfinished Ver.)

ギター(下手Leda、上手ISAO)ベース(BOH)ドラムス(青山秀樹)

セトリは、前回大勝利を収めたヒューストンまでと同じ。

だが、1日休養をとったDark Side BABYMETALのパフォーマンスは、信じられない領域に達していた。

大きくは2点。

まず、SU-の歌声である。

初日から1日置いた2日目のオースティンで、「ヤバい」と書いたほど、声量と音域が「剛速球」化していたが、連投となる3日目のダラスでは、疲れからか、かすれる部分も数か所あった。数か所だけというのは、それでも驚異的なのだが、1日置いたヒューストンでは声量、音域とも絶好調で、それが大勝利!に結びついたわけだが、そこから1日置いたアトランタでは、さらにそれを上回る歌唱になっている。

2曲目「Distortion」、3曲目「Elevator Girl(仮)」、4曲目「ゆらゆら(仮)」とも、バンドの爆音を、まるで閃光のようなSU-の歌声が切り裂いていく。手数の多いドラムスや、大音量でアンプリファイされているギターやベースの音よりも、超正確なピッチのSU-の声の方がよく通るのだ。

イアン・ギラン、ロブ・ハルフォード、ロニー・ジェイムス・ディオら歴代メタルバンドの男性ハイトーンシャウトや、ベルカント唱法のシンフォニックメタルの歌姫たちよりも、はるかによく通る澄み切った声。ビブラートなどのテクニックはほとんど使わない。

6曲目「紅月-アカツキ-」は、おそらくLegend“1997”SU-METAL聖誕祭での「Unfinished Ver.」をも上回る過去最高の歌唱だった。

ぜひ、アトランタ公演のファンカムを見てみてほしい。ダンスの女神2人の殺陣ももちろん感動的だが、一切加工していないファンカムで聴くSU-METALというシンガーの生歌が、魔力のようなエネルギーの波となり、聴いている者の心をわしづかみにして離さない。

やはり、日本の歌謡史においても、世界のロッククイーンの歴史においても、SU-METALというシンガーは、特筆されるべき存在である。

ちなみに、「Road of Resistance」はパワーメタル、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、北欧のソナタアークティカに近いメロディックスピードメタルだが、「紅月-アカツキ-」は、X-Japanをほうふつとさせるジャパメタである。

今回のUSツアーのダンスの女神2人の殺陣付きの「紅月-アカツキ-」は、悲愴なメロディラインと美しいツインギターのハモリをコアとする日本式メタル=ジャパメタの美学を、アメリカ人メタルファンが大歓声を上げて受け入れた歴史的瞬間なのではないだろうか。

そして、冒頭、ぼくが驚異的といったのは、10曲目の「Road of Resistance」である。

正面やや上手寄りから撮影されたファンカムを見てほしい。

https://www.youtube.com/watch?v=5SwsFO2uUwA

イントロ、4人のパフォーマーが日蝕旗を持って登場するシーン。肩に担いだ4本の旗の角度が、完全に平行になっている。静止画を定規で測ってみたが、寸分の狂いもない。

偶然の一致かと思ったら、4人が旗を斜めに下す瞬間の棒の角度、旗で半分顔を隠す場面の旗の上辺が作る角度が4人とも完璧に同じである。

あの日蝕旗がきれいに4本並ぶと、あれは国難を抱えた日本国旗のネガなのだという思いさえわいてくる。

「♪1234!」で走り出した4人のダンス。鞭を当てるように腕を振るその角度、タイミングは完全に一致している。MOAは舞台前面、SU-と両サイドダンサーは、お互いに見えない位置にいるはずなのに。

歌に入ると、SU-だけ違う振りになるが、MOAと両ダンスの女神の振付は完全にシンクロしている。

「♪レジ―スターンス!レジ―スターンス!」のところになると、4人とも同じ動きになり、腕を振るスピード、最高点の角度、すべて完全に一致している。

「♪ウォ、ウォーウォ」のときのキツネサインのパクパク、続く「♪心ーはひとーつ!」のときのタイミング。すべてピッタリである。

「♪フォーエーバー、フォーエーバー」のときの4人の腕の角度。静止画にしてみるとわかる。4人が完全にひとつになっているのだ。

ギターソロの間も完璧。4人のダンスはダイナミックだが、全く同じタイミングと角度で動く。

違いがあったとすれば、シンガロングの最初の「♪Woo Woo Woo Woo…」のとき、SU-の腕がルーズジョイントのため、ひじから外側に曲がってしまうのに対して、MOAとダンスの女神2人は、ほぼ垂直に上げているという点だけ。逆にこれがあることによって、他のところがすべて偶然ではなく、4人が腕の角度やタイミングを完璧に一致させようとして猛特訓した成果だということがわかる。

苦しい数か月間、そして現地入りしてからも、4人はひたすら練習したのだろう。その情景や心情を思うと、胸が締めつけられる。

さくら学院時代、MIKIKO師に「お客さんは楽しみにして見に来てくれるのに、そのダンスが揃ってないってどういうこと?」「もっと時間があったら、という言い訳はなし!」と厳しく指導されていた光景を思い出す。

シンガロングのあとのダンスもシンクロ率は100%。まずSU-、そして3人が続く弓を射るポーズには、鳥肌が立つ。「♪命が続く限りー」の4人の腕の角度も、しつこいようだが完全に一致しているのだ。

「♪進めー、答えはここにある」のとき、SU-だけでなく、MOAも2人のダンスの女神たちも、同時に舞台を指さす。

答えはライブにある。かつて、3人で気合の入った表情でやっていたそれを、4人が同時にやっている!

Dark Sideという絶望を、光り輝く希望のLight Sideに変えるため、4人の戦士たちは戦っている。それが信じがたい驚異的なパフォーマンスとなって、観客を熱狂させ、奇跡を起こす。

昨日ぼくは、遠く離れていても、ぼくらが心から声援することで、BABYMETALは前進すると書いた。

それは間違っていた。

BABYMETALから力をもらっているのは、ぼくらの方だ。