温故知新 | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日5月23日は、過去BABYMETAL関連では大きなイベントのなかった日DEATH。

 

今から5年前、BABYMETAL初の単独CD、インディーズデビュー曲「ヘドバンギャー!!!」のリリースを控え、7月21日の目黒鹿鳴館「Legendコルセット祭り」に加えて、大阪・名古屋での「ヘドバ行脚ー!!!」の日程が発表された直後の2012年6月2日(土)の2ちゃんねるのスレ。みんなこんなことを言っていた。

-引用-(改行位置修正)

11:Perfumeにヒントを得て、メタルよりにして違いを出したもののロリコンオタクにしか相手にされない

13:>>11

既出の3曲がクソだとは思わんが。次もNARASAKIだぞ?少なくとも今のももクロよりは期待出来るわ。MIKIKO先生もガッツリついてるし。(jaytc註:2012年6月当時CDリリースされていたのは、「ドキモ」「いいね」「君アニ」である。)

29:>>13

この先どうなるかは別として現状まだまだももクロには及んでいない

32:>>29

正直ありゃ方向性を間違った。妙に運営が固まりだした今方向転換不可能臭い。

駄目続きなのを加速させて萎むのが目に見えるようだ。非常に残念。

12:BABYMETALはあくまでもへヴィメタル・バンドであり、断じてコマーシャル・バンドなのではない。それが気に入らない奴らは死ぬべきだ。中元すず香

24:基本カラオケってメタルじゃない

25:しかしそろそろ地上波出てもいいんじゃないのかね?以外と(jaytc註:意外と)このチビっ子トーク出来るしパフォも良い。メジャー移籍もアリだと思うんだが。

26:ベビメタはトークないっしょ トーク無しでもパフォーマンスが完璧だからステージも圧巻

27:つべのコメ欄が英語のコメントばかりなのだが、

「こんなのはメタルじゃない!」

「日本人は頭がおかしい!少女にこんなことをさせるなんて…」

「俺は今非常に混乱している…なぜこんなものを見てしまったんだ」

「いや、これが新しい音楽のカタチなんだ、時代遅れのメタラーは目を覚ませ」

などなど、喧々諤々の議論が展開されていて面白いっす。

30:>>27

ぶっちゃけ、外人にはきゃりーぱみゅぱみゅとベビーメタルの方がパヒューム当たりよりはずっと良さがダイレクトに伝わってると思う 見た目が刺激的だからな。ただきゃりーぱみゅぱみゅのようなカリスマ性はないから、演出者が盛り上げるしかない。

28:海外じゃメタルはむさくるしい男のための音楽だものな

33:なんかかわいそう。この子達。メタルなんか知らないだろうし、ヘドバンなんてしたくないだろうに。

35:まあ基本来年までのユニットだからな

38:>>35

そこだよなぁ…勿体なくね?

37:つーか マジで鹿鳴館でやるのかww

―引用終わり―

2012年当時、SU-METALは中三14歳(生徒会長)、YUIMETALとMOAMETALは中一12歳で、神バンドはまだ存在していなかった。KOBAMETALの意向はともかく、三人にとってBABYMETALは、まだまだ「さくら学院重音部」であり、単独ライブは「部活の遠征」という意識だったと思われる。

比較対照されているのが、Perfume、ももクロ、きゃりーぱみゅぱみゅなので、このスレの参加者は、アイドルファンが主であると思われる。

否定的な極論としては、「ロリコンオタクにしか相手にされない」とか「ありゃ方向性を間違った」とか「ヘドバンなんてしたくないだろうに」とか「基本来年までのユニットだからな」という意見。

肯定的な極論としては「BABYMETALはあくまでもへヴィメタル・バンド」「気に入らない奴は死ぬべきだ」とする“中元すず香”を騙った書き込み。

こうした極論は、現在から見るとやはり失笑を買う。時というものは残酷なもので、その当時書き込んだ者が思い込んでいた「視野」や「願望」や「限界」が明らかになってしまう。

中間的な意見でも、「基本カラオケってメタルじゃない」「きゃりーぱみゅぱみゅのようなカリスマ性はないから、演出者が盛り上げるしかない」といった、「未来は現在の延長だろう」という「思い込み」から自由ではない。

このスレの中で、現在でも読むに堪えるのは、25さんの「このチビっ子トーク出来るしパフォも良い。メジャー移籍もアリだと思うんだが」というご意見と、27さんのYouTubeのコメント欄を紹介した「喧々諤々の議論が展開されていて面白いっす」という報告。さらに29さんの「この先どうなるかは別として現状まだまだももクロには及んでいない」という書き込みだろう。

25さんは、先入観にとらわれず、おそらくさくら学院を見たときの感想を書き込んでいる。ポイントは“可能性”を見ている点だ。限界のある自分の思い込みではなくて、アーティストの可能性を肯定的に評価しておけば、大化けしたら「慧眼」ということになるし、上手くいかなかったら「可能性はあったのに惜しかったね」と振り返ることができる。

27さんは、YouTubeの英語コメントをちゃんと読んで、海外の反応を紹介している。自分の思い込みにこだわらず事実を客観的に「面白いっす」というふうにとらえている。今後どうなるかわからないものに、その時の思い込みで断定的に評価を下すのではなく、広い視野で直接「事実」を見てみるという態度なら、間違いは最小限に抑えられる。

29さんは、やや否定的だが、「この先どうなるかは別として」「まだまだ」という但し書きを入れてあるし、実際、当時の現状はその通りだったのだから、今読んでも正しい。この方はちゃんと時間経過を織り込んで、間違ったことを言わないようにしようとしている。

こんなふうに、過去スレを眺めてみることで、現在の自分の視野の狭さや限界を考えてみることができるのも、ネット時代の利点だろう。

このように、温故知新-故きをたずねて新しきを知る、というのは、古来、大切な態度だと考えられてきたが、実は科学的な態度ではない。

科学の方法とは、できるだけ多くの事象を集め、その事象が起こる原因を説明できる「仮説」を立て、さらに実験によってその「仮説」が、誰がやっても一定の条件下で起こりうる「法則」であることを立証していくということだ。

温故知新という方法は、過去の歴史上に起こった数少ないケース、言い換えれば特定の条件下で、1回しか生起しなかったことであっても、そこから「歴史の教訓」を学び、「法則化」して現在および未来の判断に生かすということだ。科学的には、明らかにデータ不足、検証不足であって、間違った方法である。

したがって、自然現象や物理化学現象でない、人文的、社会的、政治的事象に関する温故知新という方法論は絶対的ではない。もちろん、過去の事例を学ぶことは必要だが、「法則」のようなものを見つけたとしても、それが恒久的に正しい保証は何もなく、むしろ誤りを起こす危険性にこそ注意すべきである。

BABYMETALという現象は社会的現象だから、過去に起こった事例を「参考」にしたり、類推したりすることはできても、そこに何らかの「法則性」を見出した瞬間が、実はもっともヤバい。

例えば、ぼくが「2010年代、アイドル戦国時代の日本に突如出現したBABYMETALは、1960年代、ロカビリーバンドが乱立していたイギリスに、突如ビートルズが登場したようなものだ」と書くとき、それが正しいかどうか全く保証はない。スペルが似ているとか、他のアーティストとは質的に違うようだとか、現在、欧米の音楽界が60年代のBritish InvasionになぞらえてJapanese Invasionと言われる状況であるとか、出演した米CBSの「The Late Show with Stephen Colbert」が、ビートルズの出演した「エド・サリバン・ショー」と同じスタジオで収録される後継番組だとか、そういいたくなる理由は数々ある。

しかし、それは「そう思うとワクワクするなあ」という程度のことであって、「絶対にそうだ!」と声高に主張できるわけではない。

最近、海外のメイトさんが発見した“トリロジーの秘密”(Reddit)というのも、日本人には気づきにくく、「そうだったらオモロいなあ」ということだが、結構衝撃的だった。

2015年の三大国内ライブ、「新春キツネ祭り」はさいたまスーパーアリーナ(Saitama)、「巨大天下一メタル武道会」は幕張メッセ(Makuhari)、「Final Chapter of Trilogy」が横浜アリーナ(Yokohama)で、頭文字をとるとS、M、Y。これはSU-METAL、MOAMETAL、YUIMETALに対応している。KOBAMETALがそこまで考えて会場を選定したか、あるいは首都圏でたまたま使える会場を選んだら、ほぼ正三角形になって、しかもS、M、Yになった。キツネ様、畏るべし!

じゃあ、その中心に位置する東京ドームのイニシャルTは、誰なんだというと、そのメイトさんは、さくら学院で唯一名前のイニシャルがTなのは有友緒心(Aritomo Tsugumi)じゃないかという。

いやいや、「おしんじゃないよ、つぐみだよ」は、2016年度の転入生(現中等部一年)で、2015年にはまだいなかった。

じゃあ誰だ。大村孝佳(Ohmura Takayoshi)がいるじゃないか。そういえば大神様は東京ドームで2日間通してギターを弾いたし、最終日の「We are?」コールの際には花道でベロを出し、ジミヘンばりに弾きまくっていた。しかし大神様は東京ドーム以降、BABYMETALに帯同していない。

ぼくがコジツケるとしたら、TはTrilogyのT。トリロジーとは三部作という意味で、TriはThree=三を語源とし、Trinity=三位一体、Triangle=トライアングルの語幹。

したがって、S+M+Y=T。三人でBABYETALという意味となる。これで物語は完結する。

しかし、Tに至るまで、ウェンブリーがあり、アメリカ東海岸、ヨーロッパ、アメリカ西海岸、白ミサ+国内四大夏フェスがあった。それらはどう説明するのか…。

ね。単なる偶然の一致や思いつき、思い込みはいずれ破たんするでしょ。

やはりBABYMETALをダシにして語るエッセイには、「そうだったらオモロいなあ」くらいでとどめておく「軽み」が必要なのだ。