レッチリUSサポートツアーまとめ | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日5月2日は、過去にBABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

 

振り返るとあっという間の4月ツアー10公演だった。

ワシントンD.C.~アトランタ~ローリー~シャーロット~コロンビア~リトルロック~ジャクソンビル~オーランド~タンパ~マイアミまで、総移動距離は3311マイル、5328kmである。東海岸からフロリダというと、アメリカの限られた一地方を回っているように思うかもしれないが、これは北海道から鹿児島まで行って、また鹿児島から北海道へ戻ったくらいの距離である。アメリカは広い。

昨年12月のレッチリUKツアーは14日間、ロンドンからグラスゴーまで行ってバーミンガム、マンチェスター、ロンドンへと戻ってきただけだから、総移動距離はせいぜい1600kmくらい。今回は18日間でその3倍以上の距離を移動したことになる。

もっとも昨年も、5月に東海岸、7月に西海岸と単独ツアー&フェスでアメリカを攻略している。だが会場の規模は2,000~3,000人クラスで、NY、ワシントン(シルバースプリング)、シカゴ、デトロイト、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルスといった大都市が中心だった。

今年は大物バンドの帯同だが、それだけに20,000人規模のNBA・NHLスタジアムで、全米ツアーというにふさわしく、中規模の地方都市を地道に巡業した。

流行に敏感な大都市のメタルファン中心の層ではなく、アメリカのサザンオールスターズ(という比喩の発見が今回の大収穫だった)、アメリカ人の生活に根づいたレッチリのファン層に、BABYMETALという存在を示し、あのフォーンライト煽りを定着させたことの意義はきわめて大きい。

初代レッチリドラマーのJack Ironsが、空席の目立つなかで本当のオープニングアクトをやってくれたので、BABYMETALの開始時間には8割程度の客席が埋まっていたこともプラスに働いた。

「紙芝居」が始まり、「BMD」のイントロから三人が登場したときの「ウォー」という歓声があってこそ、ライブは一気に盛り上がる。知らない人も「えっ、そんなに凄いバンドなの?」という雰囲気にのみ込まれるからだ。

その意味で前座の前座としてJack Ironsが出てきて、そこには毎回ベースのフリー(B)やジョシュ(G)が出てきてJackの紹介や小学校時代の話をしてくれていたことは、大変ありがたかった。Jackを見に、またフリーやジョシュが最初から出てくるのを見るために、早く会場入りしたお客さんもいたに違いないのだ。

わずか30分の出番、スクリーンも使えない厳しい環境だったが、BABYMETALも本当によく顔笑った。ステージは「BMD」のトランスジャンプから、最後の「See You!」まで常に全力だった。ドラム神の変更という危機的な状況にありながら、アメリカのお客さんを笑顔にし、心を動かすという揺るがぬ思いで毎日のライブに臨み、完全燃焼した。

2月~3月のベビメタロス期間、三人は「特訓」をしていたに違いない。SU-の英語はネイティブ並みにペラペラになっていたし、YUI、MOAは体が一回り大きくなり、アスリート並みの筋肉を身に着け、ダンスのキレにダイナミックさが加わっていた。また、二人のScreamパートの声量、歌唱力は格段にアップしていた。

細かい楽曲上の変更は、「メギツネ」の「おめかしキツネさん…」のところにスリーディグリーズ風のコーラスがついたこと(ただし、シャーロットの現場で聴いたときは目立たなかった)、1月のガンズ&ローゼズ大阪公演で初披露された「あわだまかくれんぼ」が、神バンドソロ2017年バージョンであることもわかった。(途中、2公演は「CMIYC」になったが、オーランド以降戻った)

そして、新開発された「KARATE」曲中のフォーンライト煽り。

ワシントンD.C.のファンカムで初めて見たときは、「またSU-が変なことやってる!」と衝撃が走ったが、「How feeling tonight?」からの「Take your phone out!」「Turn on your light!」という発音がびしっと通じ、ちゃんと観客がSU-の言うとおりにスマホのライトをつけた。それに対してSU-は「Oh!What a beautiful scene…」とか「Awesome!」とか、ちゃんと観客に英語で語りかける。さらに「I wanna see more!」「Show me your light!」とたたみかけ、「Ok guys, Wave your hands!」と言うと、観客はアイドルライブのように手を振る。マンツーマンどころか、2万人相手に英会話している!あの「デロリアン」のSU-がですよ(涙)。英会話教室のCMオファーが殺到するかも。

東京ドームを思わせるそのファンカムがYouTubeにアップされると、BABYMETALがフォーンライト煽りをやることが物珍しく、また幻想的で美しいパフォーマンスとして、アメリカ人の心を奪ってしまった。

ガンズ&ローゼズがSSAで「November Rain」の時にやったのを参考にしたとか、同じ事務所のOne OK Rockや星野源もやっている、ということだが、BABYMETALがやると、リリースしたばかりの東京ドーム、”Spirit of Heavy Metal”を表現したあの幻想空間の再現となる。その中でSU-がハミングし、最高の盛り上がりが生まれた。

「Metal Resistance」は去年のリリースだから、今年のツアーで新しいことは何もない。しかしこのフォーンライト煽りによって、BABYMETALはアメリカ中の話題となった。

ワシントンD.C.やアトランタではフロア席でも座って見ていた客が、シャーロット、コロンビアではスタンディングになった。パフォーマンスのクオリティの高さが地元紙やRolling Stone誌(電子版)で報道され、明らかに潮目が変わった。お客さんは、幻想的なフォーンライト煽りで話題のJ-POPメタル、BABYMETALを見てみようと最初から集まるようになったのだ。

全行程にわたって帯同し、貴重な現地情報をアップし続けてくれたPAPIMETALさん、ITCHIEMETALさんのコンビの情熱も、日本のみならずアメリカのメイトにも感動を呼んだ。リトルロックからは日本からコスプレイヤーひろみんさんも登場。観客から写真撮影を求められる大人気となった。

ジャクソンビル、オーランドとフロリダ半島を南下するにしたがって、観客のノリはヒートアップしていった。

アメリカは“連邦”であり、州や地域ごとに“国民性”が少しずつ違う。

ぼくの勝手な個人的イメージだが、NYやワシントンD.C.のような東部はスノッブ・エリート。サンフランシスコやロサンゼルスのような西海岸はオルタナティブ志向のインテリ。シカゴやデトロイトなどの中西部は、骨っぽいブルースマン。今回初めて回った南部~フロリダの観客は、内に情熱を秘めたラテン系。ライブやお祭りが大好きでBABYMETALには意外に相性がよかったのかもしれない。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズは、永遠に讃えられよ。

UKに続いて、今回のUSツアーでBABYMETAL史の重要な1ページを作ってくれた。

特に最終日、ギターの神にJosh-METAL、ベースの神にFlea-METAL、ドラムの神にChad-METAL、そしてトランペットの神Nate-METAL(レッチリサポートメンバーのNate Walcott)が加わった8神バンドによる「ギミチョコ!」は圧巻だった。

レッチリをバックバンドにして歌い踊ったBABYMETALは、日本のマスコミでは報道されないが、芸能史に残る偉業といってよいと思う。

Metal Resistance第5章米国死闘編1stステージ終了。

次回、2ndステージは6月16日(現地時間)、ハリウッドPalladiumでの単独ライブに続く、KOЯNアメリカ西海岸サポートアクト10日間である。

まだまだ行くよ!