ジャクソンビルの戦い | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日4月24日は、2015年、The One 女性限定「赤ミサ」が行われた日DEATH。

 

1964年9月11日、The Beatlesのジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人はフロリダ州ジャクソンビルにいた。

The Beatlesのアメリカ初お目見えは同年2月9日、CBSの「エド・サリバン・ショー」に出演して大人気となった。ちなみに昨年BABYMETALが出演し、ぼくの妹の旦那の妹の娘のおばあちゃん(80)が見た「The Late Show with Stephen Colbert」は「エド・サリバン・ショー」が収録されていた「エド・サリバン・シアター」(マンハッタン区西53-54丁目)で収録された。

つまり、ウェンブリーアリーナ、エド・サリバン・シアターと、BABYMETALは52年の時を超えてThe Beatlesと同じ場所に立っていたのだ。

The Beatlesは、テレビ出演の2日後、1964年2月11日にワシントンD.C.のワシントン・コロシアムで初ライブ(8,000人)、その翌日にはカーネギー・ホール(2,000人)でのライブを行い、マイアミで休暇をとったあと、もう一度2月23日に「エド・サリバン・ショー」に出演して帰国の途についた。

この時には軽い小手調べだったが、8月~9月にかけてアメリカ、カナダを回るツアーは、1か月間で23都市33公演を行った。ビートルズ・ノースアメリカンツアー1964である。

8/19 Cow Palace, Daly City, CA

8/20 Convention Center, Las Vegas, NV(2回)

8/21 Center Coliseum, Seattle, WA

8/22 Empire Stadium, Vancouver, BC, Canada

8/23 Hollywood Bowl, Hollywood, CA

8/26 Red Rocks Amphitheatre, Morrison, CO

8/27 Cincinnati Gardens, Cincinnati, OH

8/28 Forest Hills Tennis Stadium, New York, NY

8/29 Forest Hills Tennis Stadium, New York, NY

8/30 Convention Hall, Atlantic City, NJ

9/2 Convention Hall, Philadelphia, PA

9/3 State Fair Coliseum, Indianapolis, IN(2回)

9/4 Milwaukee Arena, Milwaukee, WI

9/5 International Amphitheater, Chicago, IL

9/6 Olympia Stadium, Detroit, MI(2回)

9/7 Maple Leaf Gardens, Toronto, ON, Canada(2回)

9/8 Montreal Forum, Montreal, QC, Canada(2回)

9/11 Gator Bowl, Jacksonville, FL

9/12 Boston Garden, Boston, MA

9/13 Baltimore Civic Center, Baltimore, MD(2回)

9/14 Civic Arena, Pittsburgh, PA

9/15 Public Hall, Cleveland, OH

9/16 City Park Stadium, New Orleans, LA

9/17 Municipal Stadium, Kansas City, MO

9/18 Memorial Auditorium, Dallas, TX

9/20 Paramount Theatre, New York, NY

ご覧のとおり、ほぼ移動日なし、休みなし、1日2回公演が6日もある、現在では考えられない過酷なスケジュールである。

1964年9月9日、BABYMETALもフェスに出演したことのあるカナダ・モントリオールでの2回公演を終えた後、ビートルたちを乗せた飛行機はフロリダ州ジャクソンビルに飛ぶはずが、台風の影響で、フロリダ半島の南端、キーウェストに着陸してしまった。

ホテルもとっておらず、4人は一晩中バーで飲み明かした。そのとき、ジョンとポールはともに母親を亡くした悲しみを分かち合い、絆が深まったという。ビートルズ史上名高い「二人で泣いた夜」である。

問題はそのあとだった。

ようやくジャクソンビルに着き、4人が会場のGator Bowlを下見すると、White(白人)とColored(有色人種)の座席が柵で仕切られていた。

この年7月、リンドン・ジョンソン大統領は、人種差別を撤廃する公民権法に署名していた。しかし、黒人に対する差別の激しかった南部に位置するフロリダ州最北端のジャクソンビルでは、旧態依然、白人と黒人の座席を隔離する構造のままだったのである。

4人は恒例の記者会見に臨み、とんでもないことを言い始めた。

「ぼくたちは、聴衆が隔離された会場では、絶対に演奏しない。ライブは始められない。お金なんかすぐに無くなってしまうから要らないよ。」(ジョン・レノン)

公民権運動に共鳴していたビートルズは、今回のツアーの公演で「人種が分離された座席の会場では演奏しない」という一条が入った契約書を交わしていたのである。

最終的には主催者側が折れ、ジャクソンビルで初めて、人種を隔てる柵が取り払われ、全席自由となった。のちに歴史学者となった黒人女性は、そのとき初めて白人席に座った。親の世代が見たことのない光景が広がっていた。ライブが始まると、白人の女の子も黒人の女の子も隣り合って4人の名を叫び、ともに失神した。

https://www.youtube.com/watch?v=h2t9DIh4kMA

<セットリスト>

1.Twist and Shout

2.You Can’t do That

3.All My Loving

4.She Loves You

5.Things We Said Today

6.Roll Over Beethoven

7.Can’t Buy Me Love

8.If I Fell

9.I Want to Hold Your Hand

10.Boys

11.A Hard Day’s Night

12.Long Tall Sally

 

のちにコメディ女優となったウーピー・ゴールドバーグは、「ビートルズは最高だった。初めて、世界には音楽という素晴らしいものがあることを知った。」と語っている。

以上、デルタ航空の機内で観た映画「The Beatles Eight Days A Week」からの受け売りである。

この映画は、ビートルズ史の前半、1966年まで続いたライブバンド時代の映像を集めたもので、昨年9月に封切られた。この頃の4人の仲の良いこと。当時4人は22歳から24歳。じゃれあい、ふざけあい、1本のマイクにジョンとポールが顔を近づけてコーラスを歌う。

その演奏は荒々しく、ロックそのもの。その歌声は正確なピッチで、魅力的この上ない。そして4人はBABYMETAL同様、きわめて礼儀正しい。おしゃれなスーツを着て、曲が終わるごとに深々とお辞儀をする。

空港に着いた時から、会場やホテルに入る時まで、常に大勢の10代の女の子たちが金切り声をあげて殺到し、コンサートでは常にキャーキャー言っているので演奏は聴こえず、ある会場では232人の女性が失神したという。とんでもない人気だったのだ。

そんな人気者が、「人種差別をするなら演奏しない」と言った。そのことでジャクソンビルから白人と有色人種を分け隔てる柵がなくなった。

音楽で腹は膨れない。しかし音楽には世界を変える力があるのだ。

BABYMETALレッチリUSツアー7日目となる明日は、ジャクソンビルだ。