レッチリUSツアー5日目 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日4月21日は、2016年、APOCRYPHA-Only Fox God Knows、新木場Studio Coastが行われ、夜にはTV朝日「Mステ」出演、KARATE披露、欅坂46と共演した日DEATH。

 

シャーロットライブ参戦記に多くのコメントをいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

レッチリUSツアー5日目、現地時間4月19日サウスカロライナ州コロンビア、Colonial Life Arena。

昨日は朝、時間がなくて、夜も接待があって、結局ファンカムを見られたのは深夜帰宅後だった。

セットリストは、これまでの4日間と同様だった。

1. BABYMETAL DEATH

2. いいね!

3. 神バンドインプロ~あわだまフィーバー

4. メギツネ

5. KARATE

6. ギミチョコ!

「紙芝居」の「Are You Ready?」の段階で観客は立ち上がっている。ワシントンD.C.で観客が基本着席だったのとはやはり全然違う。MOAのトランスジャンプは今日も高い。

「DEATH!DEATH!」のジャンプが全力になるのは短時間の前座ならでは。長時間の単独ライブでは、お立ち台に足をつけたままで体力をセーヴする。

「いいね!」。YUI、MOAのダンスはキレキレ。客席後方まで大きな動きが伝わっていく。SU-の喉も絶好調。「いいね!」の「気持アイスクリーマー」「現実逃避行~」は、会場がやや小ぶりなこともあって、よく伸びている。煽りもSU-の「What’s up? Columbia!」から、MOAのシグネチャーボイスが響く「Yo! Yo!」、SU-の「こーろんびー、こーろんびー」まで、素晴らしく声が出ている。

「あわだまかくれんぼ」のスネアドラムの変拍子連打はちょっとリズムが舌足らずでギクシャク。これはドラム神の叩き方の問題なのか音響の問題なのか。下手の藤岡神のギターの音もやや中高音にシフトして聴こえる。東京ドーム以降黒いE-ⅡHorizon FR7から、ESP藤岡シグネチャーモデルのサーモンオレンジ色のSnapperに変わったせいか、あるいはドラム神の音色に合わせてKemperモデリングアンプの設定を変えたのか。音響のせいかなあ。LEDA神は最初の8小節でややアウトな音を聴かせ、後半のレッチリリフは、シャーロットの「Californication」からアトランタ、ローリーの「Can’t Stop」に戻った。

「ハイ、ハイ」と入ってきた三人に、これまでのどの会場よりも観客が唱和している。

「メギツネ」は、ノリノリの和風ファンクで、基本アメリカ人は大好きなリズムだが、キツネ面をつけて三人が登場すると、ファンカムに「Mad!」と叫ぶ声が入る。この曲は南部では要注意。実はシャーロットでも、ぼくの前にいたカップルが「メギツネ」の最中、一時的に退出した。ここらはバイブルベルトの中心地であり、敬虔なクリスチャンにとっては、異教の神を見せつけられるのは冗談でも嫌だというお堅い人々が実在するのだ。フロリダではゾンビ・ホラーっぽいデスメタルが盛んになったが、悪魔崇拝のブラックメタルは北欧が本場で、反キリストの立場をとれないデスメタルを「ライブメタル」と揶揄した。

だが、三人は元気いっぱい。YUI、MOAの生声、ダイナミックなダンスの「わっしょいわっしょい!」や「ソレソレソレソレソレ!」には、会場が揺れるほどである。ノースカロライナ州から南に行くにしたがって、気候は温暖湿潤になっていく。シャーロットのあと1日空けて、体調も整えたのだろう。

「KARATE」には変な縛りがない分、観客のノリはいい。YUI、MOAの「セイヤセセセイヤ!」の生声も大きく、BOH神のぴょんぴょんパフォーマンスも冴えている。やはり藤岡神のギターが、特にアルペジオで響き渡る。このバランスは楽曲により哀切さを加える。悪くない。

そして、「Now Everybody Take Your Phone Out!」「Turn On Your Cannon light」は、もう予習済みなのか、すぐにライトが会場中に広がった。SU-は「Oh you guys awesome...」「Oh very beautiful! I wanna see more!」「Everybody wave your phone」からのハミング、「Sing it!」で観客のほとんどがシンガロングする。

星火燎原。東京ドーム並みのこの幻想的な明かりの広がりは、今まさにBABYMETALファンがアメリカの大地に野火のように広がっている証だ。また目から汗が…。

フィニッシュ曲、「ギミチョコ!」は、「That’s It!」(待ってました!)という感じで、三人のヘンテコダンスを真似る女の子たちが続出している。BOH神はのっけから踊り狂っている。「Hey Guys! Clap your hands!」で、言われなくても観客は「Yeah!」と大歓声を上げる。そのボリュームはウェンブリーみたいだ。

そして、レッチリへの感謝の言葉を述べ、「チョコレート、チョコレート、チョコレート」のシンガロング。MOAのジェスチャーが大きい。C&RからSU-が「Hope you enjoyed our show! Now it’s time for Red Hot Chili Peppers!」というと大歓声が上がる。「See You!」と三人と神バンドが去っていくと、観客は拍手と口笛で送る。今日も30数分で、すっかり観客を虜にしたようだ。

レッチリUSツアーへの参加がアナウンスされたとき、「またレッチリ前座かよ」「日本で単独ライブをやってくれなきゃヤダ」という意見が多かったのは事実である。ぼくにもそういう気持ちがなかったではないが、Metal Resistance第五章「米国死闘編」と名付けて、三人の「修行」を追っていくというスタンスをとった。だいぶ盛ったけど。

だが、ぼくが現地で見たのは、本当に三人が死闘している姿だった。

ワシントンD.C.に始まり、南部のジョージア州アトランタ、ノースカロライナ州ローリー、シャーロット、サウスカロライナ州のコロンビアと、毎回2万人を超えるすり鉢の底のようなNBAコートで、30数分の出番、スクリーンも使えないという状況の中、観客の心を動かす過酷な戦いをしているのだ。

観客が最初BABYMETALを見て笑うのは、「A Long time ago…In a Heavy Metal Galaxy, far, far away…」という「紙芝居」にも原因があるだろう。デルタ航空の機内で「Rogue One-Star Wars Story」をやっていたのでつい観てしまったが、まんまなのだ。アメリカ人には当然スターウォーズは「常識」だろうから、「A Long time ago…」と始まった瞬間にパロディバンドだと思うのだろう。

そんな中、エクストリームデスメタルの「BMD」が始まる。出てくるのは文字通り日本人形のような少女たちだ。アメリカ人女性はデカい。去年同じシャーロットのCrolina Rebellionで、クラウドサーフを食らってそのデカさをいやというほど思い知らされた。

街や空港も基本お相撲さん体形の方が多い。いや、グラマーな女性もそれはそれで魅力的だが、ステージで見るベビメタの三人は、やはり宝石のように見える。

4月17日のシャーロットの気温は華氏80度(摂氏27度)前後と、もう夏のような気温だった。だから三人は汗だくになってステージ上を駆け回り、歌い、踊り、叫び、煽り、全身を使って観客の心を揺さぶっていた。そして笑っていた観客は、「あわだま」で驚嘆し、「メギツネ」で声をあげ、「KARATE」でうっとりとフォーンライトを振り、「ギミチョコ」ではニコニコ顔でシンガロングする。最後は大歓声を上げてBABYMETALを讃え、ベビTを着たメイトにエールを贈る…。

「Rolling Stone」誌は、BABYMETALはゴシックのチアリーダーだというが、SU-のフォーンライト煽りの幻想的MCに観客は心奪われ、主役であるレッチリを食ったと評した。

ぼくは、「アメリカでの前座ばっかじゃThe Oneに入った意味ねえよ。千円も値上げしやがってTシャツデカッ」と文句を垂れていた。しかしそれはやっぱりチガウ。

完全アウェーの中、観客の心を動かす死闘を続けている三人の姿を思えば、自然に愛しさがこみあげ、胸が熱くなる。

The Oneならば、メイトならば、遠くから三人にメタル魂を送り続けようではないか。それが共に戦う者=The Oneの真の意味であり、BABYMETALと共に生きるという喜びはお金には換算できない。

BABYMETALとはそういうアーティストなのだ。

遠く離れた今、ぼくは心からそう思う。