レッチリUSツアー4日目(2) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日4月19日は、2016年、APOCRYPHA-Only Fox God Knows、新木場Studio Coastが行われた日DEATH。そして2017年は、Red Hot Chili PeppersのUSAツアーSpecial Guestとして、コロンビア(SC)Colonial Life Arenaに出演しました。(現地時間4月18日)

 

先ほど、帰国いたしました。応援、励ましのコメントいただいた皆様、現地レポートをお読みいただいた皆様、ありがとうございました。短い滞在期間でしたが、BABYMETALの頑張りを肌で感じることができ、大変有意義な旅行となりました。

こうして、比較的自由な立場で海外へ行くことができるのは幸運以外の何物でもなく、またブログを読んでくださっている皆様の無形の後押しがなかったら決断できなかったことでもあり、深く感謝したいと思います。また明日から仕事に集中せねば。

今回の戦利品はこんな感じ。

帰国後まず確認したのは、「5大キツネ祭り」の抽選結果で、複数申し込んだうち、8月30日(水)の大阪・Zepp Osaka Baysideが一つだけ当選しておりました。全落ちの方には申し訳ありませんが、ひとつだけでも当たったのはうれしいDEATH。

 

現地のご報告の続き。

終演後、PAPIMETALさん、ITCHIE-METALさんとエントランスで待ち合わせ、2ブロックほど離れた旧飲み屋街まで歩く。実は午後の市内観光で妹に案内してもらっていたのだ。しかし、だいぶ歩いてたどり着くと、みんな閉まっている。妹にあとで聞くと月曜日のため、早く店じまいしたとのこと。いい気になって案内しといて恥ずかしい。

しかたなく、そのそばにあるMellow Mushroomというピザとチキンのお店に入る。

この店が当たりだった。アメリカ風の大味な感じではなく、チキンを様々なスパイスで漬け込み、地元特産のキノコと合わせてベークした料理で、味付けも辛いのから、甘辛いのから色々あった。量的にはアメリカンサイズではなくむしろ少ない感じ。ぼくは地ビールを頼んだのだが、これも旨かった。

お二人いわく、今回のツアーで一番おいしかったとのこと。ただ、スペシャルのマッシュルームスープはとてもいい味なのだが、ちょっとぬるかった。

昨年から海外のBABYMETALの公演には全て現場に足を運ばれているお二人から色々話を聞いた。やはり行く先々によって、現地の方の反応が少しずつ異なるとのこと。例えばイギリス人は生真面目で、日本から来てへヴィメタルというジャンルに挑戦しているBABYMETALという存在を評価したうえで受け入れているようだが、アメリカでは、単純にポップミュージックの一種として楽しんでいるようだとのこと。

ITCHEさんは、「アメリカだと最初観客が笑うんですよねー」とおっしゃり、PAPIさんも「これはどこでもそうだけど、ベビメタを見るとみんなニコニコ笑顔になりますね」とおっしゃっていた。

確かに日本では少なくとも笑い声は上がらない。ベビメタを見てゲラゲラ笑ったのは、2013年のAKBだけだ。むしろ日本人は、ぼくみたいに「こんないたいけな子たちが海外で頑張っている…オヨヨ」と泣いちゃう方が多い。

なぜ、アメリカ人は笑うのか。

実は、今回ぼくは本屋さんで、「Rolling Stone」「Guitar Player」「Kerrang!」「Revolver」などの音楽雑誌、メタル雑誌を物色し、知らなかったいくつかのメタル雑誌も発見したのだが、そのほとんどがPrinted in UKとなっていて、値段の付け方も、UKいくら、US&カナダいくら、AUSいくらというふうに、複数の通貨での価格表示になっていた。

日本語の「Burrn!」は、1億数千万人の日本人の中の零コンマ何%に売れるかが勝負なわけだが、英語のメタル雑誌は、UK(6500万人)、US(3億2000万人)、カナダ(3500万人)、オーストラリア(2300万人)の人口合計4億4300万人が対象となるわけだ。

もちろん、他のヨーロッパの国々や北欧、東南アジア、アフリカでも英語を公用語とする国は多いから、市場規模は日本の4~5倍であり、少数派であってもへヴィメタルというジャンルは成り立つ。

アメリカではすでにへヴィメタルは、ヒップホップ、カントリー、ジャズのようなメジャージャンルではなく、ロックというジャンルのサブジャンルに過ぎない。ロックの下にはクラシックロック、アダルト、オルタナティブ…と細分化され、メタルもその一つで、ここからさらにエクストリーム系、カルト系と分かれていく。

つまり、へヴィメタル・シーンは、日本と同じ、ごく少数派なのだが、アメリカだけでも単純に市場規模が3倍なので大きく見えるのだ。そこが、イギリスとの違いで、イギリスはHR/メタル発祥の地だから、人口が少なくても音楽市場におけるメタルファンの占有率が高い。その辺が、BABYMETALの海外ライブを転戦されているお二人が肌で感じたUKとアメリカの雰囲気の違いなのではないか。

ただし、レッチリはもう昔のバンドだから、オルタナティブ、ファンクというルーツをもちながら、有名だという点でもうポップと言ってよい。サザンオールスターズが、ロックなのかニューミュージックなのか分からないのと同じだ。今回、ライブ会場で見た客層は、40代以上の世代と、20代の学生・カップルが半々、男女も半々のようだった。

だから、Fusion of J-POP & Heavy Metalという触れ込みのBABYMETALもCute Japanese girls play Heavy Metalというコミカルなポップだと思われたのだろう。

だが、お二人の話をお聞きして痛感したポイントはそこではない。

日本では、エクストリームなへヴィメタルバンドは経済的に成り立たない。BABYMETALが露出を避けてもちゃんとトップグループになっているのは、「アイドル」、いやさ、スターだからだ。

また、日本のロック史は、英語で歌えば欧米で勝負できるわけではないという歴史だったが、BABYMETALはその突破口を開いた。やはり、「アイドルとメタルの融合」=Fusion of J-POP & Heavy Metalはオリジナリティあふれるコンセプトであり、英語でなくてもウケている主たる要因なのだというのが、これまでのぼくの主張だった。

しかし、お二人が肌で感じているのは、どんなバックグラウンドの観客でも、一度見れば虜になってしまうというBABYMETALの「強さ」だ。

今回、ぼくが泣いてしまったSU-のフォーンライト煽り、YUI、MOAの生歌、ダンスの力強さは、「コンセプト」のユニークさをはるかに超えた、エンターテナーとしての魅力だった。

BABYMETALの音楽がへヴィメタルと見られようが、J-POPと見られようが、実はそんなことはどうでもいい。

KOBAMETALが心血を注いで作った「アイドルとメタルの融合」の楽曲は、日本人のティーンエイジャーと卓越した技量をもつ神バンドによって生演奏されることで、本当の意味で観客の心を動かしている。

Billboad200で39位になったとか、Best Live bandに認定されたとか、BDならAKBやももクロより売れているとか、そういう「商品」としての業績だけでBABYMETALを評価してはいけない。

去年の暮れからBABYMETALがやっているのは、たった30分の前座でも、観客の心を動かし、虜にしてしまう「生きた音楽」である。

酔っぱらった勢いで、メガチャーチの牧師が旧日本軍や北朝鮮に触れて「悪い王の支配は続かない」という説教をした報告から、米軍はどうも本気で北朝鮮を空爆するらしく、世論誘導が始まっているという話に発展し、もし空爆→戦争となったら日本行きの飛行機は飛ばず、帰国できなくなる。そうしたらベビメタはどうするのか。帰国できなくなったら家族にどう説明しようか、などという話にまで膨らんでしまったが、ぼくはいいかげんなことを話しながらここで、けっこう胸熱になってしまった。

PAPIMETALさんとITCHE-METALさんがやっていることは、BABYMETALが、これまで日本のバンドやアイドルの誰もやったことのない、海外で数万人規模のライブ会場を長期転戦し、観客の心を動かすという戦いの「生き証人」となることだ。

BABYMETALは、ちょっとコンセプトに凝ってMVを公開し、海外でのCDランキングに一喜一憂するアーティストではない。今のBABYMETALは、レッチリやKORNの前座として、たった30分間、モニターも使えない厳しい環境で、笑い、驚きから感動へと、観客の心を揺さぶり動かす戦いを日々やり続けている。

そして、BABYMETALは勝利し続けている。

それを、誰に何を言われても見届けてやるという気概。それがお二人を突き動かしているのである。

月曜の深夜で、妹の車はナンバー制限で市内に入れない。そのため、お二人と別れた後、Lynx電車に乗ってシャーロット南の郊外まで一人で帰っていくとき、ぼくはお二人を思い出して、不思議な感動に浸っていた。

今日は、サウスカロライナ州のコロンビア。

週末からは、いよいよフロリダに入る。このルートは1964年、全米に大旋風を起こしたThe BEATLESと同じだ。鬼門となったのはジャクソンビル。BABYMETALにとっても、PAPIMETALさん、ITCHIE-METALさんにとっても、これからが正念場だ。

顔笑れ!戦え!BABYMETAL&PAPIMETAL&ITCHE-METAL!