オランダ大勝利! | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

BABYMETALは、現地時間6月5日、オランダ、ナインメーゲンのFORTAROCKに出演しました。前回のブログで「明日はドイツだ」と書いたのはどこのドイツだ。

セットリストは、1.BABYMETAL DEATH、2.ギミチョコ!!、3.META!メタ太郎、4.Catch Me If You Can、5.イジメ、ダメ、ゼッタイ、6.メギツネ、7.KARATE、8.Road of Resistance

の順。YouTubeにクリアな動画があがっていた。

オランダは初見参であるが、55分の枠をもらっており、セカンドステージのトリ前というポジション。フェスだから初見の客が多いのだろうが、ステージ前ドセンは、BMフリークで埋まっているいつもの光景。紙芝居が始まり、「Are You Ready?」のところで大歓声が上がる。

考えてみるとBABYMETAL DEATHは名曲だ。さくら学院時代の2012年、TIFやサマソニでは、1秒バージョン(ナパームデスのYou Sufferへのオマージュ)が、ライブ終わりの「ギャグ」として使われていた。

現在のようなロングバージョンが初披露されたのは、2012年10月6日のLegend “I”が初めてだ。神バンドの生演奏でこの曲が披露されたのは、2013年2月1日のLegend “Z”。SU-の卒業とともに解散説もあったBABYMETALの命のカウントが尽きたとき、紙芝居の「We are?」の呼びかけに、ファンが「BABYMETAL」と応える声によって復活する。クサい演出ではあったが、その直後に神バンドが降臨して、白装束に身を包んだ3人が「DEATH、DEATH」と飛び跳ねたとき、生演奏の迫力に、BABYMETALが本当に生まれ変わったと思わせたのがこの曲であった。

2013年のサマソニ幕張。前年、ももクロが上がった本格的フェスのステージに、神バンドとともに登場したBABYMETALは、「リンキンパークはこっちじゃないぞ」という挑発的な紙芝居に続いて、この「BABYMETAL DEATH」の圧倒的な演奏、パフォーマンスで、アイドルファンとロックファンが半ばする観客を文字通りノックアウトしたのである。

3人に言わせればライブ1曲目の「体操」という意味もあるというが、実は昨年のワールドツアー後のラジオインタビューで「実は一番きつい」と漏らしてもいる。しかしそれだけに、アウェーの観客をも一発で振り向かせる重い音、デスメタル感と、飛び跳ねるキュートな日本人アイドルの魅力とエネルギー、一言でいえば「なんじゃこりゃ」感に満ちた、キラーチューンなのだ。

ぼくは、今でも車の中では「BABYMETAL」と「Metal Resistance」の両方を交互に聞いているのだが、神秘的なコーラスから始まる「BABYMETAL DEATH」のイントロを聞くたびに、「キツネ様がBABYMETALを召喚し、この世に送り給うた」という感じがするし、シンバルの4カウントから、銃弾のようなドラムとギターのリフに続く「ぴよーん」というシンセの音を聞くと、2014年のNYCやロンドン02アカデミーブリクストンで、3人がすっぽんからせりあがって登場した瞬間の、“降臨”感を思い描いて、運転中にもかかわらず、ついつい手を合わせてしまうのである。

そして、ライブではいわずもがな「DEATH、DEATH」と飛び跳ねる姿、特に後半、YUIとMOAが左手をスカートの前において、ちょっと前かがみになりながら右手を高く上げて観客を煽る、あの瞬間は、会場をBABYMETALオーラに染め上げてしまう効果をもっている。

今回、初見参のシンフォニックメタルの本場、オランダでも、ちょっと有名になりつつあるBABYMETALとは何者じゃい、という半信半疑の観客の心を、「BABYMETAL DEATH」は、文字通り一発でわしづかみにしたのであった。

しかも、BABYMETAL DEATHのエンディングSEがフェードアウトするかしないかで、3人はマイケル体制に入る。「Give me chocolate」のデス声から、ぶっ速くて暴力的な「ギミチョコ!!」のあのギターリフとキュートな日本人アイドルのへんてこダンス。

初見だとしても、これで惹きつけられないロックファンはいない。今回は煽りなし。疾走感を大切にしたのだろう。

その代りにですよ、あなた。次の曲は「メタ太郎」ですよ、あなた。なんとも牧歌的なマーチ。YUIとMOAはニコニコ顔で堂々とナチス式敬礼をやっている。オランダの観客は、2ビートに合わせてヘドバンだ。なにが「ネオナチを助長する」だ。

「メタ太郎」が終わると3人は舞台をはける。そして神バンドのソロパート、「Catch Me If You Can」である。マジで超絶テク。特に、フランスが近いせいか、BOH氏の動きが激しい。大受けしたところで「ハイ、ハイ、ハイ」と3人が入ってくる。いつでもどこでも、このコンビネーションは最高だ。オーディエンスの関心を一瞬たりとも逸らさない。

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、初見参のオランダでは、やっぱり外せない。SU-のボーカリストとしての実力、YUI、MOAのダンサーとしての天性が、いかんなく発揮され、このバンドがきわめてよく訓練され、練り上げられた完成品だということが、素人にもわかる。気づいているだろうか。今年、セトリの中盤にこの曲が位置づけられてから、ソニスフィア2014のような、ドラムの「タカトトン」のあと一瞬の空白があってラストコード「ジャーン」という終わり方ではなく、初期のPVのような、ギターの「キュキューン」で終わっていることを。ソニスフィア型だと、どうしても“終わり”感が強くなる。実力を見せたいが、まだまだ続くよ、という意味で、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の終わり方を変えているのだ。このあたり、神バンドの意見なのか、KOBAのカンなのかわからないが、きめ細かい。ジャパンクオリティなのだ。

「メギツネ」は、BABYMETALが日本から来たというエスニック感をしっかり伝える曲。YUIも体のキレが戻っているから、MOA同様、「ソレソレソレソレ」で膝が胸まで上がっている。この体制で横移動するのだから、やはりアスリートだ。

そして「KARATE」。オランダもスイス同様、武闘派の国だ。UWFやK1ファイターを輩出している。YouTubeの動画では、これはバックステージからの映像なので煽りがどうだったのか、わからないが、盛り上がったに違いない。フィニッシュは「Road of Resistance」。当然「WowWowWowWow」の大合唱だったのだろう。

惜しむらくは、55分という長丁場で、シンフォニックメタルの本場オランダなのだから、「The One」をやってほしかった、ということだ。アフター・フォーエヴァー、ウィズイン・テンプテーション、エピカ、ストリーム・オブ・パッションなど、名だたるバンドがいる。スウェーデン、フィンランドなど北欧と並んで、オランダはシンフォニックメタル王国なのである。BABYMETALは、もちろん狭義のシンフォニックメタルではないが、女性ボーカル、ドラマティックな構成力など、シンフォニックメタルとして聴ける曲も多い。「The One」はその代表だ。コアなオランダ人ファンはBABYMETALの多様性をよくわかっているだろうが、一般的なオランダ人ロックファンは、耳慣れたシンフォニックメタルを、日本から来た10代の美少女3人組のバンドがやっている、という事実に感動するだろう。

それにしてもBABYMETALは強い。

日本代表DFで、インテル所属の長友が熱愛交際している平愛梨を「アモーレ」と言ったので、新聞・雑誌・テレビで、アモーレという言葉が独り歩きし、場末のスナックのママまでが、「うちの店の名前を広めてくれた」とフィーバー(古い!)している。イタリア語だから当たり前なのだが、ベビメタファンたちもまた、「Amore-蒼星-」だと言って喜んでいる。ぼくもそうだが。

キツネ様をシンボルとする岡崎所属のイギリス・プレミアリーグのレスターシティFCは、5000倍のオッズを乗り越えて優勝してしまうし、長友も「アモーレ」という言葉を流行語にしてしまう。サッカーとキツネ様ってなんかあるんですか?

当のBABYMETALは、東京ドーム2 Days決定で11万人動員だ。

今年は、FOX Yearなのかも。いやいや、まだ強敵ドイツ2か所、上半期の天王山、ダウンロードフェスが待っている。

がんばれBABYMETAL。戦えBABYMETAL。