BABYMETALはモスラである(4) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
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★今日のベビメタ

本日3月22日は、2014年、1stアルバム「BABYMETAL」が、米ビルボード200で187位にチャートインした日DEATH。日本人14組目、最年少でのランク入りでした。

 

日ロ(ロリシカ国)共同調査団のロリシカ側事務局長だったネルソンは、調査終了後、ひそかにインファント島で小美人を捕獲する。本性を現し、日本で「妖精ショー」を開催して大儲けする興行師ネルソン。だが見世物にされた小美人が発する祈り=脳波によって、インファント島ではモスラの卵が孵化。巨大な幼虫の形態になったモスラは太平洋をすさまじいスピードで北上し、日本へやってくる。

出現地点は、しかし、東京の市街地ではなく、当時完成したばかりの第三ダム(奥多摩湖)であった。モスラの目的は小美人の奪還にあり、ゴジラのように戦後日本への恨みを晴らすことではない。まずは示威行動を行い、都内へ向かって徐々に迫っていくことで、ネルソンに小美人を解放させようとしたのだ。

しかし、モスラの意図が理解できない自衛隊は、都内への進軍を阻止しようとして発砲。もちろん、全然歯が立たない。主人公の新聞記者の活躍により、駐留していたロリシカ国軍にもネルソンが悪者だということが伝わり、ネルソンは指名手配されるが、彼は巧妙にも「脳波遮断ケース」の中に小美人を隠し、パンナム機に乗ってロリシカ国へと逃亡してしまう。

このあたり、観客に感情移入させるプロットは、さすが気鋭の作家3人が合作しただけによくできている。

小美人が遠くへ行ってしまったことを感知したモスラは、東京タワーをへし折って繭をつくる。これに対して米軍、いやロリシカ軍は、「原子放射熱線砲」で、モスラの繭を焼き尽くす。またしても放射能のまき散らしである。現在ではありえないストーリー。

ロリシカ国の自宅にたどりついたネルソンは、そのラジオ中継を聞いて、モスラが死んだと思い、狂喜して「脳波遮断ケース」から小美人を出してしまう。

ところが、焼き尽くされた繭の中から、小美人の「祈り」に呼応してモスラの成虫が現れる。

「原子放射熱線」は、放射能怪獣であるモスラの成虫化を早めたのである。

そして、巨大な蛾の姿となったモスラは、東京タワーから飛び立ち、瞬く間にロリシカ国のニューカーク市に飛来。マンハッタンと思しき摩天楼、ブルックリン橋を次々となぎ倒し、市街地を破壊する。

原爆投下によって、広島市街は「死の街」と化し、「75年間は草木一本生えない」とされた。(広島市広報HP「広島の復興」より)

また、当時は放射能についての知識が行き渡らず、被爆者や遺族は、肉体的な後遺症だけでなく「放射能が伝染する」などという偏見にも悩まされた。

しかし広島で生き残った人々は、1946年に早くも復興都市計画を策定。人口減による財源不足から、1950年には憲法95条にもとづく広島平和記念都市建設計画法が成立し、現在の平和記念公園や平和大通りが出来上がり、1957年には市民の手によって植樹が行われるまでになった。

被爆者とその遺族が、米軍による人体実験たる原爆投下を許すことは決してないだろう。

しかし、それ以上に、生き残った人々には、「もう二度とこのような惨禍を起こしてはならない」という平和希求の強い心情が生まれた。

広島市の広島平和記念公園内に設置されている「広島平和都市記念碑」の「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」という碑文に主語がないのは、日本人のあいまいさであり、原爆投下の責任の所在がはっきりしないとよく言われる。だがぼくは、そこに日本人の強さを見る。

主語がないことによって、それはいつか全人類の言葉になりうる。

恨みの感情で責任を千年追及しても、過去が変わるわけではない。辛酸をなめた過去は過去として、これからどう生きるかがもっと大切なのだと考えることができるのは、日本人の強さでなくてなんであろうか。

原爆を投下した当事者であるアメリカ政府の「原子力の平和利用」の推進に協力したのも、原爆という人類最悪の兵器を、人類の英知として、繁栄の希望へと転換する発想、平和への希求の念が強かったからではないか。

そして、その「平和を祈る民衆の魂」の比喩である小美人が奪われ、興行師の道具として使われたとき、「民衆の意志と力」の象徴であるモスラは飛び立ち、東宝怪獣映画史上初めて、水爆実験をやめないロリシカ国、すなわちアメリカ本土への報復を行うのである。

総天然色で描かれたモスラの羽根の赤い斑点は、見ようによっては巨大な日の丸に見える。

ネルソンが倒壊したビルの下敷きになって死亡したあと、主人公の日本人新聞記者の提案で、空港にモスラの紋章を描くとモスラは着陸し、解放された小美人と共にインファント島に帰っていく。

今回もBABYMETALは出てこないなあ。しかし、賢明な読者の方々には、前回掲載したザ・ピーナッツのXポーズ、原爆=広島、怪獣史上初めてアメリカを直撃したモスラの姿に、だいたいぼくの言いたいことは、ご理解いただけているのではないでしょうかね。

もちろん、こんなのはベビメタロスの妄言に過ぎず、「深読み」や「思い入れ」など、BABYMETALにも、多くのファンの方々にも迷惑千万、笑止であることは、重々承知しておりまする。

(つづく)