アイドルの「底」を抜け(1) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日2月25日は、2014年、「ギミチョコ!!」PVが公開された日。現在6760万回を超える再生件数となっています。2015年はワールドツアー、ヨーロッパの追加公演(ストラスブール、チューリッヒ、ボローニャ)が発表され、さらに2016年には、セカンドアルバム「METAL RESISTANCE」のトレイラーが公開された日DEATH。

 

BABYMETALがアイドルでもあるというなら、サービスが悪すぎやしないか。

握手会や水着グラビアはもちろんやらないでほしいが、他のアイドルならやっている半プライベートなFBやTwitterも禁じられているから三人の近況もわからない。

1月23日にカウントダウンまでしてMetal Resistance第5章が幕開けしたはずなのに、2月後半になってもレッチリ以降のライブスケジュールが発表されない。どう考えても「お客さんを笑顔にしたい」という原則から外れているではないか…。

確かに、公式サイトでは昨日ようやくメタリカとガンズの前座TシャツがThe One限定で再発売(3月3日21:00~)されることが発表されただけである。ぼくに関していえば、3月3日は雛祭りセミナー開催日で、21:00にPC、スマホには張りつけない。ソウルにも大阪にも行ったのに。うくく。

しかし、こんなことをやっていて、国内のほかのアイドルと比べてBABYMETALは正直どうなんだ。

活躍のバロメーターとなるCDのリリースとオリコンウィークリー順位を、2016年について、ベンチマークしている他のアイドルと並べてみた。

2月17日ももいろクローバーZ「AMARANTHUS」(3rdアルバム、2位)

2月17日ももいろクローバーZ「白金の夜明け」(4thアルバム、1位)

3月3日さくら学院「2015年度〜キラメキの雫〜」(CDアルバム、15位)

3月9日AKB48「君はメロディ」(43rd、1位)

3月18日BABYMETAL「KARATE」iTunes先行配信

3月23日乃木坂46「ハルジオンが咲く頃」(14th、1位)

3月30日SKE48「チキンライン」(19th、1位)

4月1日BABYMETAL「Metal Resistance」(2ndアルバム、2位)

4月6日欅坂46「サイレントマジョリティー」(1st、1位)

4月6日Perfume「COSMIC EXPLORER」(5thアルバム、1位)

4月13日HKT48「74億分の1の君へ」(7th、1位)

4月20日私立恵比寿中学「穴空」(3rdアルバム、2位)

4月20日℃-ute「「何故 人は争うんだろう?」(29th、2位)

4月20日きゃりーぱみゅぱみゅ「最&高」(12th、16位)

4月27日NMB48「甘噛み姫」(14th、1位)

5月11日モーニング娘2016「泡沫サタデーナイト!」(61st、2位)

5月25日乃木坂46「それぞれの椅子」(2ndアルバム、1位)

5月25日きゃりーぱみゅぱみゅ「KPP BEST」(ベストアルバム、2位)

6月1日AKB48「翼はいらない」(44th、1位)

7月7日さくら学院「2015年度〜キラメキの雫〜」(DVD圏外、BD6位)

7月27日乃木坂46「裸足でSummer」(15th、1位)

8月3日NMB48「僕はいない」(15th、1位)

8月10日欅坂46「世界には愛しかない」(2nd、1位)

8月17日SKE48「金の愛銀の愛」(20th、1位)

8月31日AKB48「Love Trip/幸せを分けなさい」(45th、1位)

9月1日BABYMETAL「Trilogy The One限定版」(DVD、圏外)

9月7日HKT48「最高かよ」(8th、1位)

9月7日ももいろクローバーZ「ゴールデンヒストリー」(16th、2位)

9月17日さくら学院「メロディックソルフェージュ」(シングルDVD、圏外)

9月21日私立恵比寿中学「まっすぐ」(10th、7位)

11月2日「夢幻クライマックス」(30th、2位)

11月3日さくら学院「秋桜学園 合唱部」(DVD、圏外)

11月9日乃木坂46「サヨナラの意味」(16th、1位)

11月16日AKB48「ハイテンション」(46th、1位)

11月23日BABYMETAL「Live at Wembley通常版」(DVD、2位)

11月23日モーニング娘2016「セクシーキャットの演説」(62nd、1位)

11月30日欅坂46「二人セゾン」(3rd、1位)

12月28日NMB48「僕以外の誰か」(16th、1位)

AKBグループのリリース数と頻度、順位は驚異的である。本隊のAKBは3か月おき、NMBと乃木坂と欅坂は4か月おき、SKEとHKTは6か月おきにシングルをリリースし、全部1位。ほとんどが4曲程度のマキシシングルであり、すべてのタイトルソングが秋元康作詞である。グループごとにチーム分けして、年間スケジュールに沿って、システマチックにCDを制作、リリースしているということだろう。一つの産業システムですね。

老舗モーニング娘2016は、年間2枚のシングルをリリース。2位、1位ときっちり結果を出している。

MCZは2月にアルバムを2枚同時発売、9月にシングルをリリースした。エビ中もシングル1枚とアルバム1枚をリリースした。

MOAが大好きなハロプロの℃-uteは2枚のシングルをリリース。2017年6月には解散が予定されている。

Kawaii海外進出の先輩、きゃりーぱみゅぱみゅは、シングル1枚とベストアルバム1枚。

アミューズのPerfumeは欅坂46のデビューシングルと同日、5thアルバム「COSMIC EXPLORER」をリリースし、アルバム部門できっちり1位をとっている。2016年度中にはシングルを出さなかったが、2017年2月5日に「Tokyo Girl」をリリースし、2位になっている。

さくら学院の2016年は、2015年度アルバム「キラメキの雫」(CD&DVD)、9月ビデオシングル「メロディックソルフェージュ」、11月ミュージカル「秋桜学園合唱部」DVDがリリースされたが、年度アルバム以外はアスマート、タワレコ限定というインディーズ扱い。

わがBABYMETALはFox Dayに2ndアルバム「Metal Resistance」を全世界同時リリース。米ビルボード200で39位、イギリスでは15位、日本のオリコンでは6位だった。iTunes先行配信の「KARATE」をシングルと考えることもできるが、売り方はメタリカと同じくニューアルバム収録曲の“小出し”に近い。9月に豪華版「Trilogy」を出したがThe One限定版のためオリコンでは圏外、11月に「Live at Wembley」通常版DVDを出すと2位になっている。

AKBグループのシングルリリース頻度が異常なのであって、1年に配信シングル1曲+アルバム1枚(6位)+ライブDVD1枚(2位)+会員限定版3枚組を出しているBABYMETALは、立派な売れっ子アイドルである。

もちろん、アイドルにはもう一つの指標となるライブ動員数がある。

ももクロは2016年、25万人を動員した初の全国ドームツアー、本格的な欧米進出となるアメリカ横断ウルトラツアーを行った。しかし、AKBグループも元々各地の劇場その他でライブをやっており、乃木坂は真夏の全国ツアーやクリスマスの日本武道館公演を行っている。

やはり国内で見れば、AKB48グループは圧倒的に強く、ももクロがライブ動員で対抗しているというアイドル戦国時代の図式は数年前と変わらない。2016年は欅坂46が加わったから、AKBグループ間の浮き沈みやナチス騒動はあってもスネーク、じゃなかった秋元康体制は盤石だ。

BABYMETALはこういう国内状況をにらみながら海外に市場を求めた。2016年は、アルバムを世界同時発売し、ライブでは海外(ウェンブリー、ワールドツアー)、国内(4大夏フェス制覇、東京ドーム)とも大きな足跡を残した。アイドルとしてはいうまでもなく前人未踏の領域だ。

だから国内CDのリリースの「量」は指標ではないし、それを売るためのTV露出、PR、キャンペーンの「頻度」も問題ではない。

国内アイドルの中ではAKBグループ+ももクロのネクストグループ、8-10番手くらいだが、それを補って余りある海外での実績。

しかし、そういう組み立てをしているBABYMETALだけに、海外+国内のフェス参加と単独ライブは生命線。それが年明け2月25日になってもスケジュールが公表されていない。

バレンタインイベントもあり、全国ホールツアーおよび恒例の春、夏の大規模野外ライブが予定され、CMやTVへの露出も再び多くなってきたももクロや、卒業式へ向けてピッチが上がる母校さくら学院を横目で見ながら、BABYMETALファンはひたすらベビメタロスを耐え忍ぶのみ。アミューズおよびKOBAMETALに「やる気あんのかよ」と悪態のひとつもつきたくなる。

だがしかし。

「メタルの底」を抜けと言った以上、「アイドルの底」も抜かなくてはなるまい。

もともとBABYMETALの楽曲は、さまざまなメタルの要素をマッシュアップして作られるから、促成量産できるものではない。

ダンスの振り付けにしても、MIKIKO師の「五感に響く作品作り」「三か月間ひたすら練習してはじめて人の心を動かす表現になる」といったモットーを守っているから、そう簡単に次から次へと新曲を披露できるわけもない。

他のアイドルファンの方には怒られそうだが、例えていうならシステマチックなファミリーレストランと海外の受賞歴で売るシェフズレストランの違い、暮らしに定着した量販衣料チェーンとデザイナーズブランドの違いのようなものだ。

どちらがいいとか、上下ではなく、尺度が違うのだ。

では何が、どう違うのか。

(つづく)