Hot Wave | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日2月22日は、これまでBABYMETAL関連で大きなイベントはありませんでした。昨日2月21日は、2015年、ワールドツアーのヨーロッパでのフェス参加(ミュンヘン、ニュルブルク→のちにゲルゼンキルヒェン、ウイーン)が発表された日DEATH。

 

ベビメタロスの寂しさを解消する方法は、メイトさんひとそれぞれだろうが、YouTubeで昔の動画を見るというのが、一番手っ取り早い。

木枯らしの吹く寒い夜、三人が小っちゃかった頃からの成長を追いながら、スマホ片手に昆布茶を飲むという、ほっこり感満載のメニューはいかがでしょう。

テレビ埼玉の「Hot Wave」はアイドル紹介番組だが、MCの山本昇氏(以下、敬称略)は、ツッコミの優しい関西弁のお兄ちゃんキャラ。紹介するアイドルのライブには、必ず一度は参戦し、アイドルマニア芸人というより、誠実にアイドルを紹介する仕事に徹している。覚えるのも大変だと思うが、アイドルの名前や特徴となる設定を頭に入れながら、グダグダ感を笑いに変えるスリリングな進行が楽しめる番組である。

BABYMETAL、さくら学院はほぼ半年~8ヶ月おきにこの番組に出演しているので、登場回を連続して見ていくと、世界を股にかけて大活躍するBest Live Band(「Kerrang!」2016)像とは別に、三人が普通の女の子として、少しずつ大きくなっていく姿を感慨深く眺めることができる。ドルヲタというなかれ。「親目線」、いや部活とか生徒会の顧問の先生が、入れ替わっていく代々の学年を眺める「先生目線」というふうに見ていただけるとありがたい。

最初の登場は、2013年2月13日。

Hot Waveには、さくら学院本体よりもBABYMETALの方が先に、「今話題のメタルアイドルユニット」として登場した。リリースしたばかりのメジャーデビュー曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のキャンペーンで予算がついたのだろう。

今の感覚で見ると、SU-もほっぺがふくらんだ幼さが残っているし、YUI、MOAにいたっては小学生の名残がまんま残っている感じ。

BABYMETALの正しい発音「ベイビーメタルじゃなくてベビーメタル」とか、キツネサインのいわれとか、さくら学院の部活動=「重音部」として結成されたといった基本事項がSU-や、声変り前のYUI、MOAから語られる。

Legend“I,D,Z”を終えたこの時点では、すでに「父兄」さんには常識であるが、神バンドを帯同した全国ライブ修行前だから、あくまでも「アイドル」の「設定」として語られている。だが、いかにこの設定が「メタル」だったか、今となってはよくわかるし、もどかしいというかなんというか、不思議な感覚にとらわれる。

今となってはタブー化している私生活のことにも話が及び、アイドルというより子どもの日常が語られる。

今、ハマっているものは?という質問に、SU-は「天然石」と答えた。東日本大震災で寄付してしまった1円玉集めに代わって、お母さんといっしょに天然石の勉強をしていたらしい。MOAは、「小っちゃい頃に集めていた『きらりんれぼるーしょん」の着せ替えカードを眺めて楽しんでます」、YUIは「桜のシール集め」。

本屋に行けばアニメキャラクターの着せ替えファションブック、文房具コーナーでは、いろんな種類のシールを欲しがった頃のわが娘たちを思い出す。

シンガポールでカエルを食べた話、ライブ前にYUIとMOAが緊張をほぐすためにはしゃぎまくり、緞帳の下から客席を覗いている話なども出てくる。

そして、最後に今年の目標は?という質問に答えて、三人は次のように答えている。

MOA「BABYMETALでアニメに出てみたい。声優さんとか。」

YUI「CMに出て、○○DEATH!といってみたい。」

SU-「世界征服。」

二回目は2013年6月19日。セカンドシングル「メギツネ」のキャンペーンだった。

冒頭、この4ヶ月間でYUIがMOAの身長を超えたことを得意げに話すと、MOAが「また抜かすんで」と言い張るのが微笑ましい。これ以降二人ともどんどん大きくなり、SU-の高さに近づいていくが、背の順も年齢と同じSU-、YUI、MOAの順で固定する。さすがにこれ以上身長は伸びないだろう。

定番の「ライブ中は意識がないので、衣装が破けたり、靴が壊れたのに気づかなかった」という設定話のほか、BLACK BABYMETAL、モッシュならぬモッシュッシュ、横振りヘドバンなどの基本要素を丁寧に解説していく。

だが、元々メタル好きらしい山本昇とのやりとりは、生バンドをバックにすると「背中を押される」という心境や、お客さんの反応を観ながらパフォーマンスするという姿勢、サマソニ2013でメタリカと同じステージに立つことへの感想など、アイドルというより、やはりライブバンドに対してのものになってくる。そのためか、アイドル=BABYMETALとしての出演はこの2回だけとなった。

8か月後の2014年2月は、さくら学院としての初登場となり、堀内まり菜、飯田来麗、佐藤日向の中三3人に、中二からただ1人菊地最愛が出演した。

山本昇は今回も、「成長期限定ユニット」「学校をテーマにしている」「中学を卒業したらさくら学院も卒業しなければならない」といった基本設定をメンバーに説明させる。

すでにBABYMETALはサマソニはじめ国内ロックフェスを席捲し、3月1-2日の日本武道館を控えている。だが、ここでは「課外活動」であるBABYMETALのことには一切触れられず、菊地最愛もMOAMETALではなく、アイドルさくら学院の中等部二年生としての登場だから、日本武道館ではなく、2013年度「卒業式」のキャンペーンとなった。

ここで、はたと気づく。なぜ中二から菊地最愛だけが出演したのか?

2013年2月のBABYMETAL初出演時には、SU-METAL名義ではあったが、2012年度生徒会長中元すず香が出演していた。そして2014年2月には卒業を目前に控えた2013年度生徒会長堀内まり菜と、2014年度生徒会長となるはずの菊地最愛が出演した。つまり、「Hot Wave」は、図らずも(なのか、その時点で既定路線だったのかわからないが)生徒会長のバトンタッチを紹介していく番組みたいなのだ。

それにしても、わずか1年で、菊地最愛はあの「きらりんれぼるーしょんの着せ替えカードを眺めてます」と言っていた子とは別人のように、細かったアゴが大きく発育してフェイスライン全体が変わり、体つきも逞しくなっている。2013年の全国ロックフェス行脚は、大きな成長の糧になったのだろう。声も、よく通るハイトーンはそのままに、より低音域が出るようになっている。イベントの紹介の中で、堀内まり菜がモノマネを振られ、さらに佐藤日向が前半スベッたスティッチのモノマネをしたところまたしてもスベッてしまった。そこで、菊地最愛は要求されてもいないのに「はくまーい!」「ハラショー!」「誰か助けて~」とアニメ「ラブライブ」のモノマネをやる。山本昇には理解不能だったらしくスベッているのだが、なんとかやりきろうとする菊地最愛の気持ちの強さが感じられてうれしい。

四度目はその8か月後の2014年10月22日。出演者は菊地最愛、水野由結、磯野莉音の三人である。ほらね。今まで出演していなかった2015年度生徒会長の磯野が出演している。

最高学年になってさらに頼もしくなった菊地最愛の肩書は「生徒会長」、YUIMETALならぬ水野由結は「プロデュース委員長」。BABYMETALとしての2013年2月から1年半、MOAに劣らずYUIも子どもっぽい面影は消え、声変りして、しっかりしたお嬢さんという雰囲気になった。ここでもBABYMETALには一切触れられないが、山本昇が「お二人は夏休みどっかへ行っていたんでしたっけ」とふると、MOAMETALとしての菊地最愛は「北米!」と答える。最初の方で「はくまーい!」とか言っているから、どうも楽屋で「白米」と「北米」をひっかけた話をしていたらしい。

五度目の出演は、2015年3月。出演者は、菊地最愛(中三)、野津友那乃(中三)、磯野莉音(中二)、倉島颯良(中一)、山出愛子(小六)。やっぱりね、2015年度生徒会長磯野莉音に続いて、2016年度生徒会長となる倉島颯良が出ている。

今回の出演は、菊地最愛にとっては、自らの「卒業式」の告知のためである。海外ツアー、新春キツネ祭り、タワレコの嶺脇社長夫妻がラストシーンで泣いたという「仰げば尊し」のMV撮影を経た彼女は、山本昇に小ボケをかましつつ、堂々たる振舞いであった。

もちろんぼくらは、YUI、MOAのさくら学院卒業後、BABYMETALがどうなったかを知っている。2015年の海外10か国ツアー、2016年のウェンブリー、「Metal Resistance」の全米トップ40入り、そして東京ドーム11万人、レッチリ、メタリカ、ガンズの前座。

だが、こうして「Hot Wave」という番組から定点観測してみると、三人の普通の女の子として文字通りの肉体的な成長、話し方や態度などの精神的な成長がはっきりとわかる。

今となっては、こういう生身の三人を見ることはできなくなってしまったのが寂しい。

2013年2月の初出演時、「今年の目標は?」という質問にSU-が「世界征服」と答えたのに対して、山本昇は「面白い!」とウケていた。

アイドル時代のBABYMETALとして2回、MOAは通算5回、YUIは通算3回も出演した番組のMCとして、山本昇は、今BABYMETALをどう思っているのだろうか。彼もまた、BABYMETALの「先生」のひとりなのだ。彼にインタビューしてみたいなあ。