★今日のベビメタ
本日、2月16日は、2016年、6月5日のオランダのフェス『FORTAROCK 2016』に出演することが発表された日DEATH。
BABYMETAL MINI-ARROW試奏の第2弾、さくら学院の名曲「Friends」を弾いてみました。
https://www.youtube.com/watch?v=dAvfeqrfMZ8
弦をロトサウンドの09-42のセットにして、張力をあげるため全弦半音上げのチューニングにして、もう一度オクターブチェックをやり直したのですが、やはり強く握るとピッチが不安定です。
まだ、ボリュームが小さいので、スマホにつけるマイクを探してみます。
歌詞の話のつづき。
これまでのHR/HMの名曲の歌詞は、例えばこんなものだ。
―――引用―――
おれたちみんなモントルーのジュネーブ湖のほとりに来た。移動スタジオでレコードを作りにさ。おれたちにはぜんぜん時間がなかった。
フランク・ザッパ&マザースが一等いい席を占めているときに、何人かの馬鹿が銃で焼夷弾を撃ちやがって、地面を燃やしてしまったのさ。
水上には煙、空には火、水上には煙
(「Smoke on the Water」©1972 Deep Purple訳詞jaytc)
――引用終わり――
なぜこんなたわいもない歌詞の曲が大ヒットし、ロック史上に残る「名曲」とされているのか、未だによくわからない。
―――引用―――
空が赤い。わけがわからない。
俺は一晩中地上を眺めていた。
人々は、あの女は呪われているという。
彼女は手を振るだけでお前を焼き尽くすんだと。
都市は燃え、街は火の中に。
女の炎は高く上る。
人々は叫ぶ。俺たちが馬鹿だった。あの女は嘘つきだと。
俺が聞いたすべては…“燃えろ!”(「Burn」©1974 Deep Purple訳詞jaytc)
――引用終わり――
わけがわからないのはこっちだ。この情景で思い浮かぶのは、基地外女が街に火をつけている様子。「八百屋お七」ではないか。
おかしなハプニングやこけおどしの悪夢のような情景を歌っているが、ハードロックというのは、音のデカさと演奏技術に酔うものであって、歌詞などどうでもいいらしい。
パワーメタルとメロイックサインの祖はロニー・ジェイムズ・ディオだから、ディープ・パープル→レインボウと、中世風のファンタジーが主流となり、歌詞には、王への反乱だとか、魔女狩りだとか、聖杯やら秘剣やら魔法やら龍やらが出てくるようになる。
そこから派生したジャーマンメタル、メロスピも基本的には同じ。
―――引用―――
人々がお互いの手を離さないようにせよ。
そして彼らの心を真実で満たせ。
お前は神聖なる決心をした。
鎧を身につけろ、戦いの後にはボロボロになるけれど。
剣をとれ。光を去り、闇の主に仕える準えをせよ。
彼らはお前のゆく手を見ている。静かに、そして耳をそばだたせよ。
憎しみと罪の海をよく見ろ。
さもないと、人々は我らが何者だか忘れてしまう。
我らの唯一の望みはお前の勝利。
悪魔を殺せ!我らには決して殺させないあいつを。
お前は七つの鍵の護持者、七つの海を閉ざすもの。
盲となってしまう前に幻を見た者。
人々を悪魔から隠し、人類を救え。
さもないと、すぐに我らはみな売られてしまう。
魔王の金で贖われる悪の市場で競売にかけられるのだ。
(「Keeper Of The Seven Keys」 ©1987 Helloween 訳詞:jaytc)
――引用終わり――
ファンタジーの世界なのだが、現実の人間関係を仮託しているような気もする。ぼくも罹患したことのある”中二病”。
学校でイジメられる臆病な少年とか、職場で上司や同僚に馬鹿にされている青年が、暗喩のような歌詞に、ドラマチックなメロディ、ドラムスのブラストビートに、ツインギターのピロピロ、シャウトするボーカルを聴いて、密かに自分をヒーローになぞらえ、「やってやるぜ!」と気合を入れる音楽。少なくともメロスピの「消費のされ方」はそうだろう。
社会派とされるスラッシュメタルの王者METALLICAの最新曲でもこんな具合だ。
―――引用―――
絶望の名において
悲惨な痛みの名において
すべての創造の名において
狂っちまった。
俺たちはこんなに姦られちまってる。
糞!ついてないぜ
自滅する運命にがんじがらめだ。
(Hardwired to…Self Destruct © 2016 METALLICA)
――引用終わり――
ぶっ速いリフに乗って、韻を踏み、現代社会に暮らす孤独な人間の絶望的な境遇を歌い上げているようなのだが、ものすごく自虐的な「負」のエネルギーを発散している。
これをずっと車の中で聞いていると、街ゆく人々に「チャラチャラしやがって」と言ってやりたい気分になってくるが、逆に大音量メタルの浄化作用(カタルシス)でスッキリもしてくる。
BABYMETALの楽曲は、「ドキドキ☆モーニング」「ギミチョコ!」「いいね!」などのKawaiiメタル-カワイくて面白くて社会的な意味はない-のイメージが強いのかもしれないが、メタル少年だったKOBAMETALのルサンチマン(恨み)がそこここに隠されている楽曲も多い。
中でも冒頭にあげた「KARATE」や「META!メタ太郎」や「Road of Resistance」「GJ!」には、メタルのパワーで生まれ変わろう、つらい日常を乗り切ろうというポジティブなメッセージがダイレクトに書かれている。
―――引用―――
メタ太郎、メタ太郎、君はヒーローさ
メタルのハートで生まれ変わるのさ
メタ太郎、メタ太郎、Together boys and girls
みんなのヒーロー、META!メタ太郎
ずっとむかし もっとむかし はるかかなた
銀河系の 澄んだ星で 生まれました
時は戦国 勝てば天国
負けっぱなしな僕らは地獄
そんな日々は ここでサラバイ
さぁ立ち上がろうよ!
(META!メタ太郎by BABYMETAL©2016 トイズファクトリー)
――引用終わり――
この曲名が発表されたとき、全国のメイトさんが「なんじゃこりゃー!」と一斉に叫んだ。
そしてほとんどの方が、YUIとMOAのBLACK BABYMETALの曲だと思い込んだ。
しかし、実際には三人による歌で、SU-は、インタビューで「この曲が一番好き」「META!メタ太郎を聴いたら、次の日は一日中、頭の中でこの曲が鳴り響きます」と述べた。その通りだった。
ウェンブリーではセトリの早いうちに披露され、何度かのライブを経て、東京ドームでは5万5千人が「Woo woo woo…」とシンガロングする曲に成長した。
メッセージは単純だ。
2ndアルバムのタイトル「Metal Resistance」とは、Only OneのBABYMETAL道を突き進む三人の戦いの名称であるだけではない。
ファンにとってのResistance、すなわちメタルという音楽のパワーを借りて、うまくいかない現実に立ち向かえ!戦え!BABYMETALのように、と呼びかけているのだ。
ぼくらは孤立無援ではない。BABYMETALのファンはThe One。「BABYMETAL is always on your side.」「負けっぱなしな僕ら」に「サラバイ」して、メタルのパワーで生まれ変わり、立ち上がろう。
それを端的に、笑っちゃうほどステレオタイプな「水戸黄門」風フォークメタルに乗せて訴えているのがこの曲である。
つまり、「メタ太郎」とは、ぼくであり、あなた自身のことなのだ。
(つづく)