「Burrn!」大勝利! | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日2月14日バレンタインデーは、BABYMETAL関連ではこれまで大きなイベントのなかった日DEATH。

 

もう旧聞であるが、メタル専門雑誌「Burrn!」2017年3月号(シンコーミュージック・エンタテイメント)に、初めてBABYMETALのまとまった記事が掲載された。

METALLICAのソウル高尺スカイドーム公演レポートの冒頭、見開き2ページにBABYMETALと神バンド全員が並んだステージ写真が掲載され(大村神だけが上手アンプ前でしゃがんでいて幽霊みたいだけど)、右半分のページにBABYMETALのオープニング・アクトについての論評が載ったのである。

これまで「Burrn!」誌は、BABYMETALをメタルバンドと認めず、ライブレポートを掲載してこなかった。Legendシリーズや日本武道館や新春キツネ祭りはもちろん、ウェンブリーや東京ドームでさえ。

もともと「Burrn!」誌はアイドルのロック/メタルフェス参加には否定的で、ももクロがLoudpark 12に出演した時も、「ももクロは取材しない」と公式ツイッターで表明し、別冊の出演者紹介号にも掲載しなかった。

「アイドルとメタルの融合」をテーマとしたBABYMETALについても、一定の要望があるのに掲載せず、それについて問われると「原則として広告出稿がなければ、単独ライブの取材はしない」というのが「Burrn!」誌の方針であるとされた。KOBAMETALも、「タイアップ記事を書いてもらうために広告を載せることはしていない」とインタビューに答えている。

同じシンコーミュージックのメタル季刊誌「ヘドバン」が、2013年のBABYMETAL「五月革命」に触発されて創刊され、BABYMETAL愛を全面に打ち出し、BABYMETALを機に、メタルに興味を持った新しい読者を対象にした雑誌となっているため、「Burrn!」とは住み分けていたということもあるだろう。

それでも、「Burrn!」の編集姿勢は、いわゆるメタルエリートの「BABYMETALはメタルじゃない」という論拠の一つとなっていたのだが、メタル・マスターであるMETALLICAの前座を務めた初めての日本人メタルバンドが当のBABYMETALだったという事実の前に、「Burrn!」編集部も、取り上げないわけにはいかなかったのだろう。

そりゃそうだわな。本誌にバンバン告知されているニューアルバム「Hardwired to Self-Destruct」リリース直後のMETALLICAのアジアツアー初日を見に行ったら、日本人初となるバンドが前座として出ていた。日本の雑誌として、これを現地レポートしなかったら、さすがに「Burrn!」は恣意的にBABYMETALを認めていないという意思表示になり、これまでの見解を改めねばならないことになる。本音はどうあれ“敵対”すれば、今後可能性のある広告出稿を自ら閉ざすことにもなる。

METALLICAがBABYMETALを前座にしたということの意味は、やはり大きい。

増田勇一(You Masuda)の手になる論評自体は、とても公正で、現場の様子をよく伝えている。ぼくはその場にいたから、記事がお提灯か、わざとクサしているのかどうかはわかる。

―――引用―――

「(BABYMETALスタート時:引用者註)スタンド席の上部はほぼ無人の状態だし、グラウンド(すべてスタンディング)の人口密度もさほど濃くはない。が、その前方はすでに過密状態になりつつある。」

「神バンドの安定度の高い演奏に導かれて3人の女神達が姿を現わすと、熱っぽい声援も冷やかすような嬌声もいっそう大きくなった。」(中略)

「グラウンド前方はかなりの盛り上がりになっているが、僕が立っている中央あたりには、冷ややかな視線を送っている観客も目立つ。狂喜している者もいれば、はしゃいで振付を真似している者も、無関心そうに眺めている者もいるという状況だ。が、徐々にメロイックサインならぬキツネサインを掲げる観客が拡がっていったこと、“Master of Puppets”のフレーズを取り入れたギター・プレイに歓声が上がった事実は記しておきたい。」(中略)

「…少なくとも僕の視界の範囲内にサークル・ピットの出現は見受けられなかったが、そうした英語での扇動ぶりなども含め、彼女達のパフォーマンスは実に堂に入ったものだった。」(後略)

(Burrn!」2017年3月号P.25)

――引用終わり――

これは、ぼくの見たとおり。

この後、インタビューで時間が取れず、前座終了後に物販に行ったら、撤収が始まっていて、ゲットできたのは見本のMETALLICAのSサイズ白Tシャツ1枚だけだったこと、METALLICAのライブでは、若いファンが多かったが、開演を知らせる定番BGMには反応しなかったこと、韓国人が古い曲のギターソロをシンガロングするのに驚いたことなどを交えて、レポートが続く。ぼくが現場で見て、METALLICAは素晴らしかったとこのブログにアップしたのとほぼ同じだ。

つまり、この筆者は、多額の広告出稿をもらったからと編集長に言われて、お提灯記事を書いているのではない。タイアップしていないBABYMETALを悪く書き、METALLICAを持ち上げているわけでもない。見たままを誠実に書いていると思う。

それで逆にはっきりしたことがある。

おそらく、「Burrn!」誌がBABYMETALの単独ライブを取材してこなかったのは、「広告出稿がないから」ではなく、やはり本音でBABYMETALを認めたくなかったからに違いない。もし、広告出稿をしないバンドは絶対に掲載しないということなら、無名のバンドを発掘して、記事にすることはできなくなる。また、広告出稿をしたバンドだけお提灯記事を書くというしょうもない編集方針なら、実力のないバンドでも広告費を使えばいくらでも「凄いバンド」として売り出せることになる。それではジャーナリズムではなく、ただの商業広告媒体になってしまう。そんなはずはないのだ。

「Burn」とは、70年代ブリティッシュ・ハードロックの頂点であり、メタルの始祖といってもいい第三期Deep Purpleの大ヒット曲の名だ。その名を冠し、伊藤政則を顧問にしているメタル専門誌「Burrn!」にとって、BABYMETALとは、やはり自分で作曲し、演奏する他のメタルバンドと並列には認めたくない存在だったに違いないのだ。それが、

―――引用―――

「このグループをバンドとして捉えるか、ダンス・ユニットとして解釈するかはさておき、メタルとアイドルの融合がそのテーマであることは間違いないし、全米アルバムチャートでの健闘や、欧米各国での活躍ぶりについてはもはや見事と言うしかない。世界を視野に入れながらの活動展開をしている国産バンドは今やめずらしくないが、そんななかでも誰よりも大きな成果を上げているのがこのグループだという事実には疑う余地がないのだ。」

(中略)「ただ、とにかく重要なのは、日本のグループがMETALLICAのオープニングを務めるのは今回が初だということである。これもまた、事件だ。本誌としてもその現場を見届けないわけにはいかないだろう。」(「Burrn!」2017年3月号P.25)

――引用終わり――

と記述した。ことさらに持ち上げるわけではなく、「凄い」という事実を「認めざるを得ない」という書き方なのだ。読みようによっては、相当高飛車な、上から目線だ。

ネット上では「Burrn!がBABYMETALを認めた」とか、「いや、載せたと思ったらBABYMETALを冷たく書き、METALLICAをほめちぎっている。悪意を感じる」とか、色々な意見が出ていたが、ぼくは、「Burrn!は、未だにBABYMETALを嫌いだが、認めざるを得ないということを認めたのだな」と思う。

資本主義社会であり、メタル音楽もしょせん商品だから、商業ベースでことが動くのは当然である。しかし、金を儲けることと、自分の信じる良質な商品を作ることとのバランスをとるのがオトナというものだ。「Burrn!」は十分にオトナだ。だからこういう書き方しかできない。メタル専門誌としては、まだBABYMETALをメタルバンドとして認定したくない。でも、世間は、いや当のメタル界の重鎮が認めてしまった。悔しい。まだ違和感がある。それが行間からにじみ出ているような感じがする。

そして、ぼくはこういう職人気質が、嫌いではない。

ま、BABYMETAL大勝利!ということですけど。(^^♪