世界征服への道のり(6) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

本日2月12日は、2011年、さくら学院「Happy Valentine」イベントで、重音部が初めて「BABYMETAL」と名乗った記念すべき日DEATH。しかし、ももクロは毎年恒例のバレイベをやっているというのに、BABYMETALは何もなし。嗚呼。

 

輸出商品としての自動車や電化製品や食品は、言葉が違っても何も問題ない。取扱説明書やサービスが輸出先の言語に対応していればいい。スポーツも、チームメイトの意思疎通の問題はあるが、運動能力や技術が第一であろう。

しかし、日本語を使った文学作品や論文、あるいはドラマやアニメ、お笑いなどは、言葉が通じないと話にならない。そこで翻訳というものの出番になる。

ちなみに日本の大学が、「世界の大学ランキング」とかでなかなか上位になれないのは、所属する研究者の英語の論文数で比較されるからである。ならば簡単な話、各大学事務局に常備の英訳チームを置き、日本語で発表される論文をどんどん翻訳して世界に発信すればいいと思う。なぜそうしないのか、いまだにわからない。

それはともかく、歌は曲と詞だから、言葉が通じないと魅力は半減してしまう。そこをダンスという表現方法で3分の2まで通じるようにしているのがBABYMETALで、インターネットで動画が自由に見られるようになったからこそ、世界的な人気になったのだという言い方もできるが、それにしてもやはり大したものである。

しかし、「親目線」で成長過程を追うことができたこれまでと違って、純粋なアーティストとして「世界征服」=「世界の誰もが知っている人気者」になるためには、やはり英語が必要なのではないか。さてどうする?

結局、方法は2つしかないと思う。

ひとつは、YUI、MOAの高校卒業後(2019年4月以降)、三人そろってアメリカの大学に留学するか、アメリカに在住して数年間はそこで過ごすこと。KOBAMETALもだな。

どんな優れた教材でも、日本で英語を勉強しているだけでは、日常生活で支障なく英語でしゃべれるようにはならない。

もし、三人が本当に国際的アーティストとして今後の人生を送っていく、という決意をするなら、これが一番良い。その間、三人が日本にいなくてもぼくらは待つ。というか、今でも日本での公演期間以外は、日本にいるのかどうか、わからんではないか。

要するに、メジャー挑戦と同じである。これからのBABYMETALの主戦場はアメリカ。ぼくらはメジャーに挑戦するイチローや松井やダルビッシュや田中のように、BABYMETALを応援すればよい。野球と違って、日本公演も年に何回かはあるだろうし、お目にかかれる頻度は、今とたいして変わらない。

そしてメジャー挑戦と違うのは、数年間アメリカで過ごし、英語を身につけた後は日本に帰ってきて、今と同じように、そしてメタリカと同じように、ワールドツアーのときだけ海外へ行けばよいということだ。

まだ10代なのだから、数年間のアメリカ留学は、長い人生のほんの一瞬に過ぎない。

ちなみにぼくの妹は高校生のときアメリカに留学したのだが、1年経って帰ってきたとき、英語がペラペラになっており、自信に満ち溢れていた。大学生のときにまた1年留学し、日本で外資系の会社に就職した後、アメリカ人と結婚して、渡米して苦労しながら転職し、現在はアメリカ国籍を取得して、ノースカロライナ州シャーロットにいる。

三人とチームベビメタが将来を見据えてそういう決意をするなら、断固支持しよう。

それじゃあ日本人らしさがなくなっちゃうんじゃないかとか、最悪日本人じゃなくなっちゃうかもしれないとか、俺は英語がわかんないからSU-やYUIやMOAが英語ペラペラになったら寂しいよ、というご意見もあるだろう。

まあ、つい自分の娘みたいに思ってしまうから、気持ちはわかるけどBABYMETALは「世界征服」を目指しているんだから、もし、三人がそう決意したなら、応援するしかないでしょうな。

SU-やYUIやMOAが、英語が喋れないままで、アメリカ人はじめ世界中の人々と直接コミュニケートするもう一つの道、日本ならではの方法がある。

A.I.である。

日本語の文章を英文に変換したり、英文を日本語文に変換してくれるアプリが、すでにネット上で各種提供されている。だが、自動翻訳させてみるとどうしてもヘンテコな文にしかならない。やはり、ある程度の文法や単語、イディオムの知識で補い、「てにをは」のちゃんとした文章に修正しないといけない。

スマホでは、かなり進化したA.I.(i-PhoneならSiri)が会話を聴きとることができるし、それを外国語に翻訳してくれる無料アプリもある。しかし、発話するとき滑舌をしっかりしないといけないし、挨拶など定型的な文か、短い文しか正確に翻訳してくれない。

つまり、現在の技術では、まだまだ正確にニュアンスまで同時翻訳するアプリはない。

だが、今、この分野には日本でも世界でも研究者が集中しており、日進月歩で技術が進歩している。

つい先月も、パナソニックが自動翻訳機能付き拡声器「メガホンヤク」を発表した。NICT(国立情報技術研究所)が翻訳エンジンを開発したという。緊急時など、日本人が日本語でしゃべったことを、英語にしてアナウンスしてくれる。すでに成田空港に試験導入されている。

今月中にはペンダント型の自動翻訳機が発表されるという。日立など他社も参入してくるようで、東京オリンピックが行われる2020年までには、もっと小型でウェアラブルな同時会話翻訳機が誕生していることは、間違いないだろう。

定型的な文章しか正確に翻訳できないという問題は、要するに辞書と検索スピードの問題で、古今東西のあらゆる文章とその翻訳文がデータとして蓄積され、通信回線やCPUの処理速度とアルゴリズムの効率化が進めば解決するし、さらにA.I.は自分で学習するから、使用者のよく使う単語や言い回しをどんどん覚えて、使用者の「分身」になっていくだろう。

文章には、緩急や間というものがあるので、文法構造上、センテンスが終わってから翻訳を確定するため、人間の同時通訳くらいのタイムラグが生じることはしかたがない。

「もっと先」を考えれば、喋らなくても、脳の中で、日本語で考えた文章が、さまざまな言語でアウトプットできるような装置ができるかもしれない。これなら完全に同時翻訳になる。

2020年ではそこまで行かないだろうが、ウェアラブル自動翻訳機がついて近未来型になった赤黒メタル衣装を装着したSU-、YUI、MOAが、人類史上初の「全言語対応メタルアイドル」として東京オリンピックの開会式に出演するかもしれない。

ええー、それじゃアンドロイドじゃんという声もあるかもしれないが、東京ドームの衣装はもうメタリックの輝きで、十分近未来的だから、イヤモニ、ヘッドセットがちょっとカッコよくなるくらいで、全然違和感ないと思うよ。

英語留学したり、A.I.装置をつけるなんてイヤだよ。だったら国際的アーティストなんかにならなくてもいいというご意見もあるだろう。

だが、少女たちの「世界征服」にむけた戦いはもう始まっているのだ。

どこまで行けるかはわからない。しかしBABYMETALにもう戻るべき道はない。

であれば、ぼくらにできることはそれを応援しつづけることだけだ。

(つづく)