ブルースとの向き合い方(3) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日2月3日は2015年、5月24日の「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2015」に出演することが発表され、2016年、6月11日のフランス「DOWMLOAD FESTIVAL in Paris」に出演することが発表された日DEATH!

 

では、どうするか。

その前に、BABYMETALやMETALLICAの楽曲によくある、マイナー下行順次進行について説明しておこう。ブルーノートを入れるとブルースっぽい「味」を表現できるのに対して、マイナー下行順次進行はデスメタルの定番である。

マイナー(短調)のコード、例えばEmをフレット一つ=半音階落として、Em→E♭m→Dm→と落としていくとその連続音はなんとなく「不気味」な感じになる。

いろんなパターンがあるが、奈落の底に落ちていくような感じ、これがデスメタルのリフの基本である。

ノーマルのEmをかき鳴らしながら、パワーコードの5弦2フレット+4弦4フレットを、その形のまま5弦1フレット+4弦3フレット、5弦開放+4弦2フレットに落としていくと、メタリカの最新作「Hardwired to Self -Destruct」のリフになる。

これをぶっ速いスピードでやりつつ、リードギタリストが12フレットEmのペンタでピロピロやりながら、定番のワウワウというエフェクターを使えば、メタリカの出来上がり。

同じEmの下行順次進行で、6弦7フレット+5弦9フレット→6弦6フレット+5弦8フレット→6弦5フレット+5弦7フレットの変拍子をやってから、6弦開放→12フレット→13フレットのリフから「あたたたたーた…」とやれば、「ギミチョコ‼」になる。リードギタリストは、ペンタではなく無調性やバッハ音階のピロピロをやって、最後はワーミーというエフェクターで1-2オクターブ高い馬のいななきのような音にするというのもポイント。わざと古臭い定番を外しているのだ。

乱暴に言えばこれが、メタリカとBABYMETALの違いで、前者にはブルースの血が流れ、後者にはない。つまり、BABYMETALの音楽性を構成する要素であるスラッシュメタル、デスメタル、メロスピという「本筋」において、メタリカとのちがいはさほどないが、リードギターや節回しという部分で、ブルーノートの代わりに女の子たちが踊っているのがBABYMETALなのだ。

 

SU-がブルースに取り組むと、SU-らしさがなくなってしまうというコメントもいただいております。そうなのです。SU-の「ブルーノート対応」は難しい。

ロブ・ハルフォードと共演したAPMAでの「Painkiller」「Breaking the law」。

あのとき、SU-は、マイナーペンタトニックで構成されたメロディを歌ったが、ブルーノートが使えず、正直ロック・シンガーっぽくはなかった。だが、それがかえって新鮮に受け止められたと思う。「Painkiller」の最後のシャウトは、自然に1オクターブ上の#9の音になっていた。天性の勘でそうなったのだろう。

だから、難しい。

どっかのテレビ局がドキュメント特番として、SU-に、1ヶ月くらいかけて、アメリカ・シカゴからミッシシッピー河を下りながら、“ブルース修行”をさせるというアイデアを思いついたのだが、ちょっと待てよ、それによってこれまで築いてきたSU-らしさがなくなったら、元も子もないと思い直した。

SU-METALは、ぼくなどがアレコレいうことなど許されない天才ボーカリストである。

彼女の天性の歌唱法や感性を生かしながら、いかにそれを伸ばせるか、ということが大切なのだ。

もうひとつの道があると思う。

実は、BABYMETALの楽曲で、無意識にブルーノートを使っている曲や、マイナーの西洋音階に入っているのにブルーススケール=ペンタトニックになっている曲がある。

その一つが「いいね!」のブレイク「ヨウ!ヨウ!」からの「Say Hoo!」である。

SU-は「ホーオッ↑」と全音上げちゃっているから目立たないが、あれがブルーノート。リズムも音階もヒップホップだから、自然にやっていたのだ。当然、アメリカ人にはウケる。

「ギミチョコ‼」を一躍有名にした「YouTuber’s Reaction to BABYMETAL」で、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のあと、「いいね!」がかかり、「メガネ外せ…」のブレイクパートになると、アメリカ人の女の子が「エーイ!」とかいいながら手のひらを上下させ、ノッていたのを覚えているだろうか。ライブでは「Say Hoo!」が入るのだから、アメリカのフェスでもあれをやればウケる。こういう部分は、「Nu Metal」も含むBABYMETALとしては、本編と関係なくやってもいいのだ。

もうひとつは、「おねだり大作戦」(Key=Cm)である。手元にギターがある方は、ノーマルチューニングで、前回のペンタトニックのギターの押さえ方を見ながら、6弦=8フレットで、「嘘でもいいー」と「レッツゴー、レッツゴーおねだり作戦」「お願い、お願い」のところを弾いてみればわかる。マイナー(短調)の曲調では、メロディのすべてがペンタトニックで作れる。「おねだり大作戦」は、実はブルーススケールなのだ。

その証拠に、ジェフ・ベックの「Superstition」の伴奏で歌える。

「お願い、お願い」」のところで、ギターのカッティングに7と#9(1弦2弦11フレット)を入れれば、一気にファンク度が増す。

本筋は、これまで通り西洋音階のマイナー下行順次進行を基調としたデスメタル路線でいいが、自由にふるまえるBBMで、もっとブルーノート、ペンタトニックを入れた曲を作ったらどうか。

ブルーノートをこよなく愛するアメリカ人対策のカギは、BBMではないか。

Blackではなく、BlueBABYMETAL。

MOAの誕生日はアメリカ独立記念日だし。関係ないか。

(つづく)